令和2年1月23日、厚生労働省は12製品19品目を承認しました。
今回の記事では同日に承認された医薬品についてまとめています。
この記事を読んでもらえれば承認された新医薬品について大まかに理解してもらえると思います。
薬局で勤務する者としてやはり注目なのは新規オレキシン阻害薬 デエビゴ錠ですね。
アトピー性皮膚炎に使用する初の概要JAK阻害薬 コレクチム軟膏0.5%や新規尿酸排泄促進薬 ユリス錠も注目です!
今回承認された新医薬品一覧
まずは、今回承認された新医薬品について五十音順にまとめました。
新医薬品
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医薬品名 (一般名) | 製造販売元 (販売元) | 適応や特徴 |
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アネレム静注用50mg (レミマゾラムベシル酸塩) | ムンディファーマ | 「全身麻酔の導入及び維持」 超短時間作用型BZD |
コレクチム軟膏0.5% (デルゴシチニブ) | 日本たばこ産業 (鳥居薬品) | 「アトピー性皮膚炎」 初の外用JAK阻害薬 |
デエビゴ錠2.5mg デエビゴ錠5mg デエビゴ錠10mg (レンボレキサント) | エーザイ | 「不眠症」 ベルソムラに続いて2剤目のオレキシン受容体拮抗薬 |
ニュベクオ錠300mg (ダロルタミド) | バイエル薬品 | 「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」 3剤目の新規 非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬 |
ノクサフィル錠100mg ノクサフィル点滴静注300mg (ボサコナゾール) | MSD | 「造血幹細胞移植患者又は好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者における深在性真菌症の予防」 「フサリウム症、ムーコル症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌腫」 より広範囲の真菌に対して作用を発揮する新規トリアゾール系抗真菌薬 |
プロウペス腟用剤10mg (ジノプロストン) | フェリング・ファーマ | 「妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進」 欧米では標準的な子宮頸管熟化不全に対する経腟投与製剤 |
ユリス錠0.5mg ユリス錠1mg ユリス錠2mg (ドチヌラド) | 富士薬品 (持田) | 「痛風、高尿酸血症」 相互作用、肝毒性の少ない新規尿酸排泄促進薬 |
リンヴォック錠7.5mg リンヴォック錠15mg (ウパダシチニブ水和物) | アッヴィ | 「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」 選択的JAK1阻害薬 |
新剤形表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。
医薬品名 (一般名) | 製造販売元 | 適応や特徴 |
---|---|---|
チラーヂンS静注液200μg (レボチロキシンナトリウム水和物) | あすか製薬 | 「粘液水腫性昏睡」 「甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)」 |
フィコンパ細粒1% (ペランパネル水和物) | エーザイ | 「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」 「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」 |
新規格・新剤形(報告品目)表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。
医薬品名 (一般名) | 製造販売元 | 適応や特徴 |
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イブランス錠25mg イブランス錠125mg (パルボシクリブ) | ファイザー | 「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」 錠剤は食事の有無にかかわらず服用可能に |
ディナゲスト錠0.5mg (ジエノゲスト) | 持田 | 「月経困難症」 |
新医薬品
まずは新医薬品として製造承認を受けたものについてまとめていきます。
アネレム静注用
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医薬品名 | アネレム静注用50mg |
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成分名 | レミマゾラムベシル酸塩 |
製造販売元 | ムンディファーマ |
効能・効果 | 全身麻酔の導入及び維持 |
用法・用量 | <導入> 通常、成人には、レミマゾラムとして12 mg/kg/時の速度で、 患者の全身状態を観察しながら、意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入する。 なお、患者の年齢、状態に応じて投与速度を適宜減速すること。 <維持> 通常、成人には、レミマゾラムとして1mg/kg/時の速度で静脈内への持続注入を開始し、 適切な麻酔深度が維持できるよう患者の全身状態を観察しながら、 投与速度を適宜調節するが、上限は2mg/kg/時とする。 なお、患者の年齢、状態に応じて投与開始速度を適宜減速すること。 覚醒徴候が認められた場合は、最大0.2mg/kgを静脈内投与してもよい。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
超短時間作用型BZD レミマゾラム
レミマゾラムは超短時間作用型ベンゾジアゼピン(BZD*1)です。
アネレム静注は超短時間作用型ベンゾジアゼピン系の静脈麻酔薬になります。
従来の麻酔ではジアゼパム(長時間型)、ミダゾラム(短時間型)が使用されています。
超短時間型であるレミマゾラムは国内外の臨床試験で麻酔作用・鎮静作用の速やかな発現・消失が示されています。(Chest. 2019 Jan;155(1):137-146. doi: 10.1016 PMID: 30292760)
ミタゾラムと同様レミマゾラムは水溶性です。
そのため、血管痛などの注射部位の発現を起こしにくく、他の製剤との混注も行いやすくなっています。
レミマゾラムが使用可能になることで麻酔使用時により速やかでより安全な鎮静が可能になると期待されます。
向精神薬として指定
新たに1物質を向精神薬に指定します(令和元年12月18日 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課)
+ 向精神薬に指定される物質
化学名:メチル=3-{(4S)-8-ブロモ-1-メチル-6-ピリジン-2-イル-4H-イミダゾ[1,2-a][1,4]ベンゾジアゼピン- 4-イル}プロパノエイト及びその塩類
別名:レミマゾラム
- 施行日等
公布日:令和元年12月18日(水)
施行日:令和2年1月17日(金)
レミマゾラムは令和元年12月18日付で向精神薬に指定(施行は令和2年1月17日から)されているよ!
メーカーからの案内
現時点での関連リンクをまとめておきます。
コレクチム軟膏
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医薬品名 | コレクチム軟膏0.5% |
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成分名 | デルゴシチニブ |
製造販売元 (販売元) | 日本たばこ産業 (鳥居薬品) |
効能・効果 | アトピー性皮膚炎 |
用法・用量 | 通常,成人には,1日2回,適量を患部に塗布する。 なお,1回あたりの塗布量は5gまでとする。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年10月25日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
JAK阻害剤 デルゴシチニブ
デルゴシチニブはヤーヌスキナーゼ(JAK*2)阻害薬です。
細胞内の免疫活性化シグナル伝達を担うJAKの働きを阻害することで、過剰な免疫反応を抑制、自己免疫性疾患やアレルギー性疾患を改善すると言われています。
ヤーヌスキナーゼ
JAKを含む非受容体型チロシンキナーゼの多くは細胞外領域を持っていません。
細胞質側から細胞膜に結合しており、細胞内側の末端にチロシンキナーゼ部位をもつ構造です。
細胞膜表面に存在する受容体に免疫グロブリンやサイトカイン等が結合した結果、細胞質内で受容体タンパク質に結合しているJAKが活性化します。
活性化したJAKはまず受容体をリン酸化し、次に受容体に結合している下流分子であるシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT*2)をリン酸化させます。
その後、リン酸化されたSTATが種々の反応を引き起こしていくというわけです。
JAKは受容体とSTATの両方をリン酸化することから、二面神Janus(ヤーヌス)にちなんで「Janus kinase」(ヤーヌスキナーゼ)と呼ばれています。
デルゴシチニブはコレクチム軟膏という形で製剤化された初の外用JAK阻害薬であり、アトピー性皮膚炎に対する適応を有する初のJAK阻害薬です。
アトピー性皮膚炎の治療選択肢にJAK阻害薬が加わります!
「1回あたりの塗布量は5gまでとする。 」と使用量が決められているのがポイントですね。1本5gなので1回につき1本までしか使えない。
メーカーからの案内
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関連リンク
デエビゴ錠
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医薬品名 | デエビゴ錠2.5mg デエビゴ錠5mg デエビゴ錠10mg |
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成分名 | レンボレキサント |
製造販売元 | エーザイ |
効能・効果 | 不眠症 |
用法・用量 | 通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。 なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
2番目のオレキシン受容体機構薬 レンボレキサント
デエビゴ錠の成分であるレンボレキサントはオレキシン受容体拮抗薬です。
ベルソムラ(スボレキサント)に続いて2つ目のオレキシン受容体拮抗薬になります。
オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドの一つで、睡眠と覚醒の調整のほか、食欲や報酬系に関与していることが知られています。
レンボレキサントはオレキシン受容体に結合することでオレキシン神経伝達系を阻害し、睡眠導入や睡眠維持を促進します。
とにかく名前が言いにくい!「デエビゴ」って・・・。
デエビゴとベルソムラの比較
デエビゴとベルソムラを比較してみたよ!
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医薬品名 (成分名) | デエビゴ錠 (レンボレキサント) | ベルソムラ錠 (スボレキサント) |
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規格 | 2.5mg/5mg/10mg | 10mg/15mg/20mg |
禁忌 | 過敏症の既往歴 重度の肝機能障害 | 過敏症の既往歴 CYP3Aを強く阻害する薬剤 |
用法・用量 | 1日1回5mg 就寝直前 最大10mg | 1日1回20mg 就寝直前 高齢者 1日1回15mg 就寝直前 |
用法・用量 に関する注意 | 中等度〜強力なCYP3A阻害薬と併用:1日1回2.5mg 中等度肝機能障害:1日1回5mgを超えない | CYP3A阻害薬と併用:1日1回10mg |
併用禁忌 | なし | 強力なCYP3A阻害薬 イトラコナゾール クラリスロマイシン リトナビル ネルフィナビル ボリコナゾール |
併用注意 | CYP3A4阻害薬 イトラコナゾール クラリスロマイシン エリスロマイシン フルコナゾール ベラパミル等 CYP3A4誘導薬 リファンピシン フェニトイン等 中枢神経抑制剤 アルコール | CYP3A4阻害薬 ジルチアゼム ベラパミル フルコナゾール等 強力なCYP3A誘導薬 リファンピシン カルバマゼピン フェニトイン等 ジゴキシン 中枢神経抑制剤 アルコール |
取扱い上の注意 | なし | 服用直前にPTPシートから取り出す |
併用禁忌がないのは嬉しいけど、CY3A4阻害薬と併用する際に用量調節がいるのは変わらないね。
デエビゴには取扱い上の注意の記載がない・・・。一包化いける!?
メーカーからの案内
現時点での関連リンクをまとめておきます。
関連リンク
- 【製造販売承認取得のご案内】不眠症治療薬「デエビゴ錠2.5mg・錠5mg・錠10mg」が製造販売承認を取得いたしました。
- [https://www.eisai.co.jp/news/2020/pdf/news202005pdf.pdf:title=不眠症治療薬「デエビゴTM」(一般名:レンボレキサント)、日本において製造販売承認を取得]
ニュベクオ錠
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医薬品名 | ニュベクオ錠300mg |
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成分名 | ダロルタミド |
製造販売元 | バイエル薬品 |
効能・効果 | 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌 |
用法・用量 | 通常、成人にはダロルタミドとして1回600mgを1日2回、 食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月25日 薬食審第二部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
3番目のアンドロゲン受容体阻害薬 ダロルタミド
非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬。
新規の非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬としてはイクスタンジ(エンザルタミド)、アーリーダ(アパルタミド)に続いて3剤目になります。
新規 非ステロイド性アンドロゲン受容体阻害薬 3剤の比較
ニュベクオとアーリーダ、イクスタンジを比較してみたよ!
医薬品名 (成分名) | ニュベクオ錠 (ダロルタミド) | アーリーダ (アパルタミド) | イクスタンジ (エンザルタミド) |
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効能・効果 | 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌 | 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌 | 去勢抵抗性前立腺癌 |
用法・用量 | 1日2回 1回600mg 食後 | 1日1回 240mg | 1日1回 160mg |
慎重投与 | 重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害 | 重度の肝機能障害 てんかん等の痙攣性疾患とその既往 痙攣発作を起こしやすい患者 間質性肺疾患とその既往 | てんかん等の痙攣性疾患とその既往 痙攣発作を起こしやすい患者 間質性肺疾患とその既往 |
併用注意 | 強いCYP3A誘導薬 BCRPの基質 OATP1B1の基質 OATP1B3の基質 | CYP2C8阻害剤 CYP3A阻害剤 CYP3Aの基質 CYP2C19の基質 CYP2C9の基質 P-gpの基質 BCRPの基質 OATP1B1の基質 | CYP2C8阻害剤 CYP2C8誘導剤 CYP3Aの基質 CYP2C19の基質 CYP2C9の基質 |
取扱い上の注意 | なし | 小児の手の届かない所に保管 服用直前までPTPシートから取り出さない | なし |
それぞれ長所・短所があるけど、ニュベクオは痙攣リスクがないことと相互作用が少なめなのがメリットだね。
1日2回服用ってのは惜しいよね。ニュベクオはアーリーダと同じく遠隔転移がある場合は使用できないんだね。
メーカーからの案内
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ノクサフィル錠・ノクサフィル点滴静注
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医薬品名 | ノクサフィル錠100mg ノクサフィル点滴静注300mg |
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成分名 | ポサコナゾール |
製造販売元 | MSD |
効能・効果 | 造血幹細胞移植患者又は好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者における深在性真菌症の予防 下記の真菌症の治療 フサリウム症、ムーコル症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌腫 |
用法・用量 | ノクサフィル錠 通常、成人にはポサコナゾールとして 初日は1回300mgを1日2回、2日目以降は300mgを1日1回経口投与する。 ノクサフィル点滴静注 通常、成人にはポサコナゾールとして初日は1回300mgを1日2回、 2日目以降は300mgを1日1回、中心静脈ラインから約90分間かけて緩徐に点滴静注する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月25日 薬食審第二部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
新規トリアゾール系抗真菌薬 ボサコナゾール
ボサコナゾールは新規のトリアゾール系抗真菌薬です。
真菌細胞の細胞膜を構成するエルゴステロールの生合成を阻害することで抗真菌活性を示します。
ボサコナゾールは他のトリアゾール系抗真菌薬と比較して、幅広い抗真菌活性を持っており、他のアゾール系抗真菌薬が無効な接合菌(ムコール目)に対しても抗真菌活性を有しています。
白血病などの血液腫瘍では造血幹細胞移植が行われますが、移植後しばらくの間は血液細胞の働きが安定せず、著しく免疫が低下した状態になります。
通常であれば真菌の感染は皮膚表面で起こる(表在性真菌症)のがほとんどですが、免疫力が低下した状態では真菌が体内の臓器に感染してしまう可能性があります。
このような真菌感染を(侵襲性)深在性真菌症といい、発症してしまうと予後不良なため、同種造血幹細胞移植後等では抗真菌薬の予防投与が国内外のガイドラインで推奨されています。
幅広い真菌の種類に対して効果を発揮するボサコナゾールによる深在性真菌症の予防効果が期待されます。
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プロウペス腟用剤
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医薬品名 | プロウペス腟用剤10mg |
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成分名 | ジノプロストン |
製造販売元 | フェリング・ファーマ |
効能・効果 | 妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進 |
用法・用量 | 本剤1個を後腟円蓋に挿入し、最長12時間腟内に留置する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
ジノプロストンを用いた腟用剤
有効成分であるジノプロストンは内服では『プロスタグランジンE2錠0.5mg「科研」』として「妊娠末期における陣痛誘発並びに陣痛促進」に対して使用されています。
ジノプロストンはプロスタグランジンE2(PGE2*3)製剤です。
PGE2によるコラゲナーゼ活性の上昇により、子宮頸管熟化を促進します。
プロウペス腟用剤は取り出し用ネットに入った剤形で、12時間膣内に留置可能ですが、必要に応じてネットを引き抜くことで投与を中止できます。
子宮頸管熟化不全に対して欧米で標準的な経腟投与製剤が日本でも使用可能になります。
特殊な薬剤なので使用方法は熟知しておきたいね。
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ユリス錠
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医薬品名 | ユリス錠0.5mg ユリス錠1mg ユリス錠2mg |
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成分名 | ドチヌラド |
製造販売元 (販売元) | 富士薬品 (持田製薬) |
効能・効果 | 痛風、高尿酸血症 |
用法・用量 | 通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgより開始し、1日1回経口投与する。 その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。 維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回4mgとする。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
新規尿酸排泄促進薬 ドチヌラド
ドチヌラドは尿酸再吸収の抑制作用を持つ尿酸排泄促進薬です。
従来の尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロン(ユリノームなど)やプロベネシド(ベネシッドなど)では肝障害や薬物相互作用が問題となり使用できない場合があります。
ユリス錠はそのようなケースでも使用しやすい尿酸排泄促進薬を目指して開発された薬剤です。
従来の尿酸排泄促進薬が使えなかった場合でも使用可能となるので、高尿酸血症の治療の新たな選択肢になります。
尿酸排泄促進薬の比較
ユリス錠と他の尿酸排泄促進薬を比較してみたよ!
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医薬品名 (成分名) | ユリス錠 (ドチヌラド) | ユリノーム錠 (ベンズブロマロン) | パラミヂンカプセル (ブコローム) | ベネシッド錠 (プロベネシド) |
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効能・効果 | 痛風、高尿酸血症 | 痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症 | 手術後及び外傷後の炎症及び腫脹の緩解 下記疾患の消炎,鎮痛,解熱 関節リウマチ,変形性関節症 膀胱炎 多形滲出性紅斑 急性副鼻腔炎,急性中耳炎 子宮付属器炎 痛風の高尿酸血症の是正 | 痛風 ペニシリン、パラアミノサリチル酸の血中濃度維持 |
禁忌 | 過敏症の既往歴 | 肝障害 腎結石を伴う患者、高度の腎機能障害 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人 過敏症の既往歴 | 消化性潰瘍 重篤な血液の異常 重篤な肝障害 重篤な腎障害 アスピリン喘息 過敏症の既往歴 | 腎臓結石症又は高度の腎障害 血液障害 2歳未満の乳児 過敏症の既往歴 |
併用注意 | ピラジナミド サリチル酸製剤(アスピリン等) | クマリン系抗凝血薬(ワルファリン) ピラジナミド サリチル酸製剤(アスピリン等) | クマリン系抗凝血薬(ワルファリンカリウム) | サリチル酸製剤(アスピリン等) インドメタシン ナプロキセン ジドブジン 経口糖尿病用剤 スルホニルウレア系 スルホニルアミド系 パントテン酸 セファロスポリン系抗生物質 ペニシリン系抗生物質 アンピシリン水和物等 アシクロビル バラシクロビル塩酸塩 ザルシタビン ガチフロキサシン水和物 ジアフェニルスルホン メトトレキサート 経口抗凝血剤(ワルファリン) サルファ剤 ガンシクロビル ノギテカン塩酸塩 |
重大な副作用 | なし | 重篤な肝障害 | 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群) | 溶血性貧血、再生不良性貧血 アナフィラキシー様反応 肝壊死 ネフローゼ症候群 |
確かに他の薬剤と比較して肝毒性は少なく、相互作用も少ないようだね。
フェブリクに置き換わるってことは難しいとは思うけど、長期投与が解禁されれば尿酸排泄促進薬では第一選択として使われそうだし、これまで副作用等で尿酸排泄促進薬を使うことができなかった方にも使えるようになりそうだね。
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リンヴォック錠
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医薬品名 | リンヴォック錠7.5mg リンヴォック錠15mg |
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成分名 | ウパダシチニブ水和物 |
製造販売元 | アッヴィ |
効能・効果 | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む) |
用法・用量 | 通常、成人にはウパダシチニブとして15mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて7.5mgを1日1回投与することができる。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
選択的JAK1阻害薬 ウパダシチニブ
ウパダシチニブは1日1回の経口投与で用いる選択的JAK1阻害薬。
リンヴォック錠は中等度から重度の関節リウマチ患者に対して、従来型合成DMARDとの併用・非併用に関わらず使用できる。
関節リウマチに用いるJAK阻害薬の比較
関節リウマチに用いるJAK阻害薬 4剤を比較してみたよ!
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医薬品名 (成分名) | リンヴォック錠 (ウパダシチニブ) | スマイラフ錠 (ペフィシチニブ) | オルミエント錠 (バリシチニブ) | ゼルヤンツ錠 (トファシチニブ) |
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禁忌 | 過敏症の既往歴 重篤な感染症(敗血症等) 活動性結核 重度の肝機能障害 好中球数が1000/mm3未満 リンパ球数が500/mm3未満 ヘモグロビン値が8g/dL未満 妊婦又は妊娠している可能性のある女性 | 過敏症の既往歴 重篤な感染症(敗血症等) 活動性結核 重度の肝機能障害 好中球数が500/mm3未満 リンパ球数が500/mm3未満 ヘモグロビン値が8g/dL未満 妊婦又は妊娠している可能性のある女性 | 過敏症の既往歴 重篤な感染症(敗血症等) 活動性結核 重度の腎機能障害 好中球数が500/mm3未満 リンパ球数が500/mm3未満 ヘモグロビン値が8g/dL未満 妊婦又は妊娠している可能性のある女性 | 過敏症の既往歴 重篤な感染症(敗血症等) 活動性結核 重度の肝機能障害 好中球数が500/mm3未満 リンパ球数が500/mm3未満 ヘモグロビン値が8g/dL未満 妊婦又は妊娠している可能性のある女性 |
効能・効果 | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ (関節の構造的損傷の防止を含む) | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ (関節の構造的損傷の防止を含む) | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ (関節の構造的損傷の防止を含む) | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法 (既存治療で効果不十分な場合に限る) |
用法・用量 | 15mgを1日1回 状態に応じて7.5mgを1日1回 | 150mgを1日1回食後 状態に応じて100mgを1日1回 | 4mgを1日1回 状態に応じて2mgに減量 | 1回5mgを1日2回 中等度又は重度の腎機能障害:5mgを1日1回 中等度の肝機能障害:5mgを1日1回 |
併用注意 | CYP3Aを強く阻害する薬剤 イトラコナゾール リトナビル クラリスロマイシン等 CYP3Aを強く誘導する薬剤 リファンピシン カルバマゼピン フェニトイン等 セイヨウオトギリソウ (St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | なし | プロベネシド | CYP3A4阻害剤 マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン等) ノルフロキサシン等 アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール等) カルシウム拮抗剤(ジルチアゼム、ベラパミル) アミオダロン シメチジン フルボキサミン 抗HIV剤(リトナビル、インジナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、サキナビル) 抗ウイルス剤(テラプレビル;C型肝炎) グレープフルーツ フルコナゾール CYP3A4誘導剤 抗てんかん剤(バルビツール酸誘導体、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等) リファンピシン リファブチン モダフィニル セイヨウオトギリソウ (St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 肝機能障害を起こす可能性のある薬剤 |
リンヴォック錠は禁忌に該当する好中球数が他の薬剤と比較してシビアになっていますね。
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新剤形
チラーヂンとフィコンパの新剤形が承認されています。
チラーヂンS静注液
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医薬品名 | チラーヂンS静注液200μg |
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成分名 | レボチロキシンナトリウム水和物 |
製造販売元 | あすか製薬 |
効能・効果 | 粘液水腫性昏睡 甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る) |
用法・用量 | 粘液水腫性昏睡 本剤を日局生理食塩液で希釈し、 通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、 1 日目は50〜400μgを緩徐に静脈内投与し、2 日目以降は 50〜100μg を1日1回、緩徐に静脈内投与する。 なお、患者の状態に応じて適宜増減する。 甲状腺機能低下症 本剤を日局生理食塩液で希釈し、 通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、 25μgから投与を開始し、50〜150μgを維持用量として、 1日1回、緩徐に静脈内投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年11月25日 薬食審第二部会2019年11月29日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の議論を経て、厚生労働省が開発を要請した品目です。
チラーヂンS錠の適応は「粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫」だが、チラーヂンS静注液は粘液水腫による昏睡と甲状腺機能低下症により意識が混濁しているような状態を主体として使用される。
経口投与困難な状態の患者に対しては静注製剤による治療が可能になります。
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フィコンパ細粒
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医薬品名 | フィコンパ細粒1%) | 「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」 「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法 | |
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成分名 | ペランパネル水和物 | ||
製造販売元 | エーザイ | ||
効能・効果 | 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む) てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法 | ||
用法・用量 | 省略 | ||
指定等 | なし | ||
審議 | 2019年11月29日 薬食審第一部会 | ||
承認日 | 令和2年1月23日 |
部分発作・強直間代発作ともに12歳以上の小児・成人に対して他の抗てんかん薬との併用療法のみの適応でしたが4歳以上の小児及び成人に対して使用可能になり、それに伴って細粒が追加になりました。
AMPA*4型グルタミン酸受容体に対して選択的かつ非競合的な拮抗薬として働きます。
その結果、中枢神経系におけるグルタミン酸性の興奮性シナプス伝達を抑制、抗てんかん薬としての効果を発揮します。
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新規格・新剤形(報告品目)
部会で報告品目として挙げられていた新規格と新剤形も今回承認されました。
イブランス錠
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医薬品名 | イブランス錠25mg イブランス錠125mg |
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成分名 | パルボシクリブ |
製造販売元 | ファイザー |
効能・効果 | ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 |
用法・用量 | 内分泌療法剤との併用において、 通常、成人にはパルボシクリブとして1日1回125mgを3週間連続して経口投与し、その後1週間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年10月31日 薬食審第二部会(報告品目) |
承認日 | 令和2年1月23日 |
イブランス(パルボシクリブ)は世界初のサイクリン依存性キナーゼ(CDK*5)4/6阻害薬です。
パルボシクリブはCDK4/6の活性を選択的に阻害し、サイクリンD・CDK4/K6複合体の活性を阻害することで、細胞周期を停止させ、抗腫瘍効果を発揮します。
カプセル剤は食後投与の記載がありましたが、錠剤はその記載がなくなり、食事の摂取状況にかかわらず服用できます。
また、錠剤の適応には「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」で、カプセルの適応である「手術不能又は再発乳癌」に「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の」が加わっていますが、カプセルの場合は同様の条件が「効能・効果に関連する使用上の注意」に記載されています。
[効能・効果に関連する使用上の注意]
2.本剤の投与を行う場合には、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の患者を対象とすること。
引用元:イブランスカプセル 添付文書
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ディナゲスト錠0.5mg
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医薬品名 | ディナゲスト錠0.5mg |
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成分名 | ジエノゲスト |
製造販売元 | 持田製薬 |
効能・効果 | 月経困難症 |
用法・用量 | 通常、成人にはジエノゲストとして1日1mgを2回に分け、 月経周期2~5日目より経口投与する。 |
指定等 | なし |
審議 | 2019年10月25日 薬食審第一部会 |
承認日 | 令和2年1月23日 |
ジエノゲストは第4世代の黄体ホルモンに分類されます。
第4世代黄体ホルモンの特徴は強いプロゲステロン活性を維持しつつ、アンドロゲン作用がないことです。
その結果、不正出血の副作用には注意が必要なものの、アンドロゲン作用による副作用(ニキビ、肌荒れ、多毛)が軽減され長期服用が可能となっています。
月経困難症とは?
月経期間中に月経に伴って身体に生じる病的な症状の総称を月経困難症と言います。
その代表的な症状が日常生活に使用が出たり、痛み止めを服用しないといけないような強い月経痛(生理痛)で、これが他の症状の原因となっていることも多いです。
月経困難症はその原因により2つに分けられます。
器質性月経困難症:骨盤内の異常が原因で起こる月経困難症。子宮内膜症、子宮腺筋症などが起きる。
機能性月経困難症:上記のような婦人科疾患を原因としない月経困難症。子宮内膜で産生されるプロスタグランジン等の影響により症状を引き起こす。
ジエノゲストは子宮内膜の増殖を抑えることにより、月経自体をなくします。
そのため1mgが「子宮内膜症」(と「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」)に対して使用されていますが、それを拡大し、0.5mgを月経困難症に対して使用します。
(従来の1mg錠と追加される0.5mg錠で適応が異なることに注意)
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