令和6年2月15日に承認された後発医薬品【クレナフィン、グラナテック、ジェミーナ、ブリディオン】

2024年2月15日、新規後発医薬品の承認が行われました。

今回承認された後発品は、各企業が申請を行えば6月に薬価収載される予定です。

承認された後発品について気になる点を色々まとめてみたいと思います。

それにしても、今回の承認数は少ないですね・・・。
今の状況(供給不安等)を考えると仕方がないことと思いますが。

2024年2月15日に承認された後発品一覧

承認品目をまとめてみます。

医療用後発医薬品として承認された医薬品について(事務連絡 令和6年2月15日)

内服薬(2024年2月15日承認の後発品 等)

初めて後発品が承認される登場するのはジェミーナ配合錠(レボエチ配合錠JE)でAGのみの承認です。
また、剤形追加ですがノベルジン顆粒(酢酸亜鉛顆粒)も承認されており、こちらもAGが承認を受けています。
そのほか気になるものをまとめてみます。

初承認後発品名承認先発品名備考
レボエチ配合錠JEあすかジェミーナ配合錠AGのみが承認取得
アビラテロン酢酸エステル錠500mgDSEPザイティガ錠500mg500mgの承認は初めて

※250mgは6社が承認を取得しているがすべて薬価収載は未定

ゾニサミドOD錠25mgTRE
ゾニサミドOD錠50mgTRE
DSEP、KO、ZE、アメル、ケミファ、サワイ、サンド、ダイト、トーワ、ニプロ、フェルゼン、杏林、日医工、日新トレリーフOD錠25mg
トレリーフOD錠50mg
AGのみが既承認
※AGのゾニサミドOD錠TRE「SMPP」は2月20日に発売済
14社が承認取得
酢酸亜鉛顆粒5%サワイ、ノーベルノベルジン顆粒5%顆粒の承認は初めて

ノーベルがAG

マドパー配合錠L50・ネオドパゾール配合錠
・イーシー・ドパール配合錠
と同一成分
マドパー配合錠の新規格

既存のマドパー配合錠はマドパー配合錠L100に名称変更

  • △:剤形追加、規格追加
  • ※:後発品以外の新規格

外用薬(2024年2月15日承認の後発品 等)

続いて外用薬。
初めて後発品が登場するのはクレナフィン爪外用液(エフィナコナゾール爪外用液)とグラナテック点眼液(リパスジル点眼液)の2つで、両剤ともAGのみの承認です。

初承認後発品名承認先発品名備考
エフィナコナゾール爪外用液10%科研クレナフィン爪外用液10%AGのみが承認取得
リパスジル点眼液0.4%KOGグラナテック点眼液0.4%AGのみが承認取得
タフルプロスト点眼液0.0015%TS、センジュ、わかもと、日点タプロス点眼液0.0015%NITが既承認・薬価収載済
AG(SEC)が既承認だが薬価収載は未定

注射薬(2024年2月15日承認の後発品 等)

最後に注射薬です。

初めて後発品が登場するのはブリディオン静注(スガマデクス静注液)のみで、丸石製薬がAGを取得しています(スガマデクス静注液200mg「マルイシ」)。

また、複数のメーカーが先発品には存在しないシリンジ製剤の承認を取得しており、丸石製薬はシリンジ製剤にも先発と同じ原薬を用いているようです。

初承認後発品名承認先発品名備考
スガマデクス静注液200mg
スガマデクス静注液500mg
F、VTRS、サンド、ニプロ、バクスター、マルイシブリディオン静注200mg
ブリディオン静注500mg
6社が承認取得
AGあり
スガマデクス静注液200mgシリンジF、サワイ、ニプロ、マルイシブリディオン静注200mgの新剤形新剤形のためマルイシはAGに該当しないが
バイアル製剤と同じ原薬を使用
フルベストラント筋注250mgシリンジサンドフェソロデックス筋注250mgオーハラが既承認だが薬価収載は未定
メトジェクト皮下注10mgペン0.20mL
メトジェクト皮下注12.5mgペン0.25mL
メトジェクト皮下注15mgペン0.30mL
メトジェクト皮下注7.5mgペン0.15mL
メトジェクト皮下注シリンジ
の新剤形
ペン型製剤が追加
  • △:剤形追加、規格追加
  • ※:後発品以外の新規格

はじめて後発品が登場するもの = 新たに承認されたオーソライズドジェネリック(AG)

今回、はじめて後発品が承認されたのは4成分、剤形追加を含めると5成分ですが、そのすべてでAGが承認されています。

今回、後追いAGの承認はないので剤形追加を含めた初登場のジェネリック全てでAGが承認された形です。

レボエチ配合錠JE(ジェミーナ配合錠のジェネリック)

ジェミーナ配合錠のジェネリックが承認されています。

  • レボエチ配合錠JE「あすか」(AG)

あすか製薬のみが承認を取得しており、AGでの承認になっています。

一般的名称が「レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール」の医薬品には

  • ジェミーナ配合錠(月経困難症、生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整)
  • アンジュ21錠/アンジュ28錠(避妊)
  • トリキュラー錠21/トリキュラー錠28(避妊)
  • ラベルフィーユ21錠/ラベルフィーユ28錠(避妊)

が存在するため、ジェミーナ(Jemina)のGEであることがわかるよう「JE」の識別記号が付けられています。

ジェミーナ配合錠はノーベルファーマの製品ですが、販売提携があすか製薬だったことがAGの開発につながっているようですね。

後発品の薬価について

先発品 ジェミーナ配合錠の薬価は281.60円/錠(R6年度改定前)なので、後発品の薬価は少なくとも737.90円/gとなり、1本あたりの薬価は140.80円になりそうです。

ただし、AG単独での承認のため、6月に薬価収載されるかどうかは微妙なところです。

酢酸亜鉛顆粒(ノベルジン顆粒のジェネリック)

錠剤に続いて顆粒も後発品が承認されました。

  • 酢酸亜鉛顆粒5%「サワイ」(沢井製薬)
  • 酢酸亜鉛顆粒5%「ノーベル」(ダイト)(AG)

錠剤と同じくAGは「ノーベル」屋号ですが製造販売元はダイトです。

先発品(ノベルジン錠/顆粒)の製造委託先がAGの承認を取得した形ですね。

もう一つ注目すべきは錠剤に続いて顆粒の承認を沢井製薬が取得していること。
裁判の方はどうなったんでしょうか?

「ノベルジン」特許に関する特許権侵害訴訟の提起について

後発品の薬価について

先発品 ノベルジン顆粒5%の薬価は460.80円/gです(R6年度改定前)。
通常であれば後発品の薬価は230.40円/gとなるはずですが、ノベルジンは新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目のため、加算の返還を行なった上で後発品の薬価が算定されます。

参考までにノベルジン錠と酢酸亜鉛錠の薬価の比較を掲載します。

  • 25mg:230.40→100.60(43.7%)
  • 50mg:361.00→157.60(43.7%)

後発品については薬価改定後に収載されるので、あまり細かい薬価の話をしても仕方ないかもしれませんが、200円/g前後になりそうです。

エフィナコナゾール爪外用液(クレナフィンのジェネリック)

クレナフィン爪外用液のジェネリックが初登場です。

  • エフィナコナゾール爪外用液10%「科研」(科研ファルマ)

承認を取得したのは科研ファルマのみ。
先発品のクレナフィンの製造販売元 科研製薬の子会社がAGを取得しました。

科研ファルマさんのホームページを見てみましたが、主に化粧品と健康食品を製造している会社のようです。
今回初めて医療用医薬品の製造販売に参入するようです。

後発品の薬価について

先発品 クレナフィン爪外用液の薬価は1,475.80円/gなので、1本の薬価(R6年度改定前)は

  • 3.56g(4mL):5,253.85円/本
  • 7.12g(8mL):10,507.70円/本

とかなり高価になっています。

後発品の薬価は少なくとも737.90円/gとなり、1本あたりの薬価は

  • 3.56g(4mL):2,626.92円/本
  • 7.12g(8mL):5,253.85円/本

くらいになりそうです。
(おそらく薬価改定で先発品の薬価は引き下げになるのでもっと低くなります)

高額薬価で知られる医薬品のため後発品の発売が期待されますが、AG単独での承認のため、6月に薬価収載されるかどうかは微妙なところです。

リパスジル点眼液(グラナテックのジェネリック)

グラナテック点眼液のジェネリックが初登場します。

  • リパスジル点眼液0.4%「KOG」(興和AGファーマ)(AG)

承認を取得したのは興和の子会社 興和AGファーマのみなので、AGのみが承認された形です。

後発品の薬価について

先発品 グラナテック点眼液の薬価は449.40円/mLなので、1本の薬価(R6年度改定前)は2247円/本です。

通常であれば後発品の薬価は224.70円/mLとなり、1本の薬価は1123.5円/本となりますが、グラナテック点眼液は新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象のため、後発品の薬価は加算の返還を行なった上で算定され、もう少し安くなりそうです。

ただし、これもAG単独での承認のため、6月に薬価収載されるかどうかは微妙です。
社名にAGを冠する(興和AGファーマ)くらいなので、ここは薬価収載・発売してほしいところですが・・・。

スガマデクス静注液(ブリディオンのジェネリック)

ブリディオン静注のジェネリックが承認されています。

ポイントはAGは承認されていることと、先発品にはないプレフィルドシリンジ製剤も承認されている点です。

  • スガマデクス静注液200mg/500mg
    • F(富士製薬工業)
    • VTRS(ヴィアトリス・ヘルスケア)
    • サンド
    • ニプロ
    • バクスター(バクスター・ジャパン)
    • マルイシ(丸石製薬)(AG)
  • スガマデクス静注液200mgシリンジ
    • F(富士製薬工業)
    • サワイ(沢井製薬)
    • ニプロ
    • マルイシ(丸石製薬)

バイアル製剤についてはブリディオン静注の製造販売元であるMSDから許諾を受けた丸石製薬がAGの承認を受けています。

シリンジ製剤については先発品が存在しないのでAGという概念がありませんが、実質AGのような存在になりそうですね。

また、医療現場での利便性向上および医療安全対策を考えたプレフィルドシリンジ製剤(200mg)は、先発品と同じ原薬を使用して製造いたします。
筋弛緩回復剤 スガマデクス静注液200mg・500mg「マルイシ」、スガマデクス静注液200mgシリンジ「マルイシ」製造販売承認取得のお知らせ

後発品の薬価について

先発品 ブリディオン静注の薬価(R6年度改定前)は

  • 静注200mg:9000.0円/瓶
  • 静注500mg:21480.00円/瓶

とかなり高価になっています。

通常であれば後発品の薬価は

  • 静注液200mg:4,500.0円/瓶
  • 静注液500mg:10,740.00円/瓶

ですが、ブリディオン静注は新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象であるため、その返還を考えると実際にはもっと低い薬価になりそうです。

プレフィルドシリンジ製剤については先発品が存在しないため詳細不明ですが、200mgよりは高くなりそうです。

そのほか気になるもの

初登場以外にも気になるジェネリックが承認されています。

アビラテロン酢酸エステル錠500mg(ザイティガ錠500mgのジェネリック)

ザイティガ錠500mgのジェネリックが承認されています。
250mgは承認されていましたが500mgは初めてです。

  • アビラテロン酢酸エステル錠500mg「DSEP」

250mgについては2023年8月15日に以下の6社が承認を取得していますが、すべて2023年12月の薬価収載は見送られました。

  • DSEP(第一三共エスファ)
  • JG(日本ジェネリック)
  • SUN(サンファーマ)
  • サンド
  • トーワ(東和薬品)
  • ニプロ

今回の承認でDSEPは唯一250mgと500mgの両規格のジェネリックの承認を取得したことになります。
250mgと合わせて6月に薬価収載されるかどうか注目したいところです。

ゾニサミドOD錠TRE(トレリーフのジェネリック)の追加承認14社

トレリーフOD錠のGEはすてに「SMPP」(住友ファーマプロモ)がAGとして承認を取得、発売開始されていますが、新たに14社が承認を取得しています。

  • DSEP(第一三共エスファ)
  • KO(寿製薬)
  • ZE(全星薬品工業)
  • アメル(共和薬品工業)
  • ケミファ(日本ケミファ)
  • サワイ(沢井製薬)
  • サンド
  • ダイト
  • トーワ(東和薬品)
  • ニプロ
  • フェルゼン(フェルゼンファーマ)
  • 杏林(キィーリンリメディオ)
  • 日医工
  • 日新

このまま10社以上が薬価収載されれば、先発品の薬価に0.4掛けルールが適用されることになります。
AGがすでに発売されているのにどうして・・・と思いましたが、トレリーフは高薬価であることが知られる医薬品のため、AGとの10%の薬価差はAGであること以上に、患者さんの選択に影響するかもしれませんね。

4月に薬価改定があるので詳細な薬価がどうなるかわかりませんが、以下のような薬価になるのではないかと予想します。

規格先発AG他社GE
25mg966.10円/錠353.20円/錠282.60円/錠?
50mg1,449.10円/錠529.80円/錠423.80円/錠?

タフルプロスト点眼液(タプロス点眼液のジェネリック)の追加承認4社

タプロス点眼液のGEはすでに「NIT」(製造販売元:東亜薬品、販売元:日東メディック)が発売されていますが、新たに4社が承認を取得しました。

  • TS(テイカ製薬)
  • センジュ(千寿製薬)
  • わかもと
  • 日点(ロートニッテン)

おそらく4社とも6月に薬価収載されると思うのですが、ここで気になるのが2023年8月15日に承認されながらも薬価収載されていないAG タフルプロスト点眼液0.0015%「SEC」(参天アイケア)の存在です。

6月に今回承認された4社の製品とともに薬価収載される可能性がありますね。

マドパー配合錠L50(マドパー配合錠の新規格)

レボドパ・ベンセラジド塩酸塩を成分とするマドパー配合錠の新規格が承認されています。
また、それに伴い、既存のマドパー配合錠の名称がマドパー配合錠L100に変更されます。

  • マドパー配合錠L50(レボドパ 50mg/ベンセラジド 12.5mg)
  • マドパー配合錠L100(レボドパ 100mg/ベンセラジド 25mg)

ネオドパゾール配合錠とイーシー・ドパール配合錠はレボドパ100mg製剤しか存在しないので、マドパーに切り替えるケースが増えそうですね。

「パーキンソニズム治療剤「マドパー®配合錠L50」剤形追加に関する製造販売承認取得のお知らせ」

メトジェクト皮下注ペン(メトジェクトの新剤形)

メトトレキサートの皮下注製剤メトジェクトにペン型自動注射剤が登場します。

「メトジェクト®皮下注ペン」ペン型自動注入器注射剤の承認を取得

自己注射可能なメトトレキサート製剤にペン型自動注射剤が登場することで患者さんの負担が軽減し、安全に投与可能になりそうです。

参考資料

医療用後発医薬品として承認された医薬品について(事務連絡 令和6年2月15日)

新薬創出・適応外薬解消等促進加算 対象品目リスト(医薬品コード順)

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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