令和2年1月21日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品等について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
 今回は大きく分けて5つの改訂指示が出されています。
※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。
使用上の注意の改訂指示(令和2年1月21日)
 PMDAへのリンクを貼っておきます。
 令和元年度指示分 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
添付文書の改訂が実施されたのは大きく分けて以下の5つです。
- レボドパ含有製剤:ドパミン調節障害症候群
 - オルメサルタン メドキソミル含有製剤(オルメテックOD錠・レザルタス配合錠 等):間質性肺炎
 - イプラグリフロジン L-プロリン含有製剤(スーグラ・スージャヌ):ショック、アナフィラキシー
 - セクキヌマブ(コセンティクス皮下注):紅皮症(剥脱性皮膚炎)
 - アレムツズマブ(マブキャンパス点滴静注):頭頚部動脈解離
 
ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。
- 旧記載要領:「医療用医薬品添付文書の記載要領について」(平成9年4月25日付け薬発第606号局長通知)
 - 新記載要領:「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」(平成29年6月8日付け薬生発0608第1号局長通知)に基づく改訂
 
現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめます。
レボドパによるドパミン調節障害症候群
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。
- レボドパ
- ドパストンカプセル(大原薬品工業):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - ドパストン散(大原薬品工業):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - ドパストン静注(大原薬品工業):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - ドパゾール錠(アルフレッサ ファーマ):適応「パーキンソン氏病・パーキンソン症候群に伴う 寡動〜無動、筋強剛、振戦、日常生活動作障害、仮面様顔貌、歩行障害、言語障害、姿勢異常、突進現象、膏様顔、書字障害、精神症状、唾液分泌過剰 の 治療及び予防」
 
 - レボドパ・カルビドパ水和物
- ネオドパストン配合錠L(第一三共):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - メネシット配合錠(MSD):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - カルコーパ配合錠L(共和薬品工業):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - ドパコール配合錠L(ダイト):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - パーキストン配合錠L(小林化工):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - レプリントン配合錠L(辰巳化学):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - デュオドーパ配合経腸用液(アッヴィ合同会社):適応「レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られない パーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」
 
 - レボドパ・ベンセラジド塩酸塩
- イーシー・ドパール配合錠(協和キリン):適応「パーキンソン病、パーキンソン症候群」
 - ネオドパゾール配合錠(アルフレッサ ファーマ):適応「パーキンソン病・パーキンソン症候群」
 - マドパー配合錠(太陽ファルマ):適応「パーキンソン病・パーキンソン症候群」
 
 - レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン
- スタレボ配合錠L(ノバルティス ファーマ):適応「パーキンソン病〔レボドパ・カルビドパ投与において症状の日内変動(wearing-off現象)が認められる場合〕」
 
 
レボドパ製剤は併売が多いし、後発医薬品も一般名称になってないから名前が・・・。
改訂指示の内容
 【旧記載要領】に従ってまとめます。
 各薬剤ともに、添付文書の「重要な基本的注意」の改訂が指示されています。
 下線部が追記、打消線が削除された部分です。
 レボドパ製剤、レボドパ・カルビドパ水和物製剤、レボドパ・ベンセラジド塩酸塩製剤
重要な基本的注意
レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
引用元:デュオドーパ配合経腸用液 使用上の注意改訂のお知らせ
レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン製剤
重要な基本的注意
レボドパ又はドパミン受容体作動薬を投与された患者において、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような。また、レボドパを投与された患者において、衝動制御障害に加えてレボドパを必要量を超えて求めるドパミン調節障害症候群が報告されている。患者及び家族等にこれらの症状について説明し、これらの症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。
引用元:「スタレボ配合錠L50」、「スタレボ配合錠L100」の<使用上の注意改訂のお知らせ>
改訂理由
過去3年度で以下の通り国内での症例報告が集積されています。
- レボドパ製剤:なし
 - レボドパ・カルビドパ水和物製剤:2例(因果関係が否定できないもの2例)、死亡例なし
 - レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン製剤:1例(因果関係が否定できないものなし)、死亡例なし
 - レボドパ・ベンセラジド塩酸塩:なし
 
国内症例が集積したため、今回の改訂が望ましいと判断されました。
使用上の注意改訂のお知らせ
各社からのお知らせへのリンクを簡単にまとめておきます。
- ドパゾール錠・ネオドパゾール配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ
 - ネオドパストン配合錠L100・配合錠L250 使用上の注意改訂のお知らせ
 - メネシット配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ
 - カルコーパ配合錠L100、配合錠L250 使用上の注意改訂のお知らせ
 - デュオドーパ配合経腸用液 使用上の注意改訂のお知らせ
 - イーシー・ドパール配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ
 - マドパー配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ
 - 「スタレボ配合錠L50」、「スタレボ配合錠L100」の<使用上の注意改訂のお知らせ>
 
ドパミン調節障害症候群
 「ドパミン調節障害症候群(DDS*1)」とは、ドパミン補充療法に伴い生じる異常行動(行動障害・情動障害)です。
 「パーキンソン病診療ガイドライン2018」(第5章 非運動症状の治療)によると、ドパミン調節障害症候群(DDS)とは必要量を超えたドパミン補充療法薬への渇望を主徴とし、以下のような行動障害や情動障害を起こす症状とされています。
- 病的賭博
 - 性欲亢進
 - 買いあさり
 - むちゃ食い(過食)
 - punding(複雑な動作の常同的反復)
 
行動障害の発現頻度は
- パーキンソン病症候群 全般:6.1%
 - ドパミンアゴニスト服用患者:13.7%
 
 というデータがあります。(Voon V, Hassan K, Zurowski M, deSouza M, Thomsen T, Fox S, Lang AE, Miyasaki J. Prevalence of repetitive and reward-seeking behaviors in.Parkinson disease. Neurology. 2006 Oct 10;67(7):1254-7. Epub 2006 Sep 6.)
 パーキンソン病運動症状の発症から平均して5〜9年で発現することが多いようです。(柏原 健一. 「Parkinson病患者の行動障害」. 神経治療 Vol. 34 No. 3(2017). 153-154)
 原因として、脳内報酬系を形成する腹側線条体回路の過活動や側坐核に分布するドパミンD3受容体の過剰刺激が重視されており、米国食品医薬局(FDA*2)に報告された衝動制御障害の報告ではD3に親和性のあるプラミペキソールとロピニロールが最も強い相関を示しています。(Moore TJ, Glenmullen J, Mattison DR : Reports of Pathologi- cal Gambling, Hypersexuality, and Compulsive Shopping As- sociated With Dopamine Receptor Agonist Drugs. JAMA In- tern Med 174 : 1930–1933, 2014)
 現在可能な対処方法としては、ドパミンアゴニストの中止、変更、減量などの抗パーキンソン病薬の見直しです。
 その際にはドパミンD3への親和性も考慮する必要があるかと思います。
 ドパミンアゴニストの性質上、完全に回避することは難しい副作用になるので、治療開始時から家族、介護者からの情報を求め、早期発見に努める必要があります。
 ガイドラインでは若年生発症や新奇性追求性格の男性患者で特に注意が必要と記載されています。
新奇性追求性格の男性・・・。自分も当てはまる気がする・・・。
ドパミンという存在が性格形成においても重要な働きを担っているってことだろうね。
オルメサルタンによる間質性肺炎
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。
- オルメサルタン メドキソミル
- オルメテックOD錠(第一三共):適応「高血圧症」
 - オルメサルタン錠(各社):適応「高血圧症」
 - オルメサルタンOD錠(各社):適応「高血圧症」
 
 - オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン配合剤
- レザルタス配合錠:適応「高血圧症」
 
 
改訂指示の内容
 【新記載要領】に従ってまとめます。
 オルメテックOD錠(オルメサルタン メドキソミル)
 添付文書の 11.副作用 > 11.1 重大な副作用 に以下の内容が追記されます。
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.11 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
引用元:オルメテックOD錠5mg・錠10mg・錠20mg・錠40mg、レザルタス配合錠LD・配合錠HD 使用上の注意改訂のお知らせ
レザルタス配合錠(オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン配合剤)
添付文書の 11.副作用 > 11.1 重大な副作用 に以下の内容が追記されます。
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.12 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
引用元:オルメテックOD錠5mg・錠10mg・錠20mg・錠40mg、レザルタス配合錠LD・配合錠HD 使用上の注意改訂のお知らせ
改訂理由
過去3年度で以下の通り国内での症例報告が集積されています。
- 間質性肺炎関連症例
- オルメサルタン メドキソミル製剤:6例(因果関係が否定できないもの2例)、死亡例なし
 - レザルタス配合錠:1例(因果関係が否定できないものはなし)、死亡例なし
 
 
国内症例が集積したため、今回の改訂が望ましいと判断されました。
使用上の注意改訂のお知らせ
お知らせへのリンクです。
間質性肺炎
 オルメサルタンの副作用で「間質性肺炎」・・・。
 他のARBではどうなんでしょうか?
 重大な副作用に「間質性肺炎」が記載されているARBを列挙してみます。
- カンデサルタン
 - テルミサルタン
 - バルサルタン
 
 ロサルタンとイルべサルタンには記載がありませんが、それ以外のARBでは重大な副作用に「間質性肺炎」が記載されているんですね。
 ちなみに、プレミネント/ロサルヒド、イルトラには記載されていますが、それぞれヒドロクロロチアジドとトリクロルメチアジド由来のものだと思います。
 ACE阻害剤ほどではないですがARBでも咳(空咳)の副作用が起こり得るため、呼吸器症状については(血管浮腫も含めて)注意しているとは思います。
 原因不明の咳が続く場合に間質性肺炎を疑えるようにならないといけませんね。
余談ですが、先日、咳による重度の不眠に悩まされている患者さんが間質性肺炎でした。耳鼻科で副鼻腔炎の治療を受けていたのでそちらを疑ってしまい、すぐに気づくことができませんでした。
単一の症例として検討することができれば間質性肺炎も考慮することができるけど、別の疾患で治療を受けている中では気付きにくくなる可能性もあるので広い視野で考えることができるように普段からトレーニングを続ける必要があるよね。
イプラグリフロジンによるショック、アナフィラキシー
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。
- イプラグリフロジン L-プロリン
- スーグラ錠(アステラス):適応「2型糖尿病、1型糖尿病」
 
 - シタグリプチンリン酸塩水和物・イプラグリフロジン L-プロリン
- スージャヌ配合錠(MSD):適応「2型糖尿病ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L-プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。」
 
 
改訂指示の内容
 【新記載要領】に従ってまとめます。
 スーグラ錠
 添付文書の 11.副作用 > 11.1 重大な副作用 に11.1.5が新設され、以下の内容が追記されます。
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.5 ショック、アナフィラキシー (いずれも頻度不明)
引用元:スーグラ錠25㎎・錠50㎎ 使用上の注意改訂のお知らせ
スージャヌ配合錠
添付文書の 11.副作用 > 11.1 重大な副作用 の 11.1.2 に下線部が追記されます。
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
引用元:スージャヌ配合錠 使用上の注意改訂のお知らせ
改訂理由
過去3年度で以下の通り国内での症例報告が集積されています。
- ショック、アナフィラキシー関連症例
- スーグラ錠:2例(2例とも因果関係が否定できない)、死亡例なし
 - スージャヌ配合錠:なし
 
 
国内症例が集積したため、今回の改訂が望ましいと判断されました。
使用上の注意改訂のお知らせ
各社からのお知らせへのリンクを簡単にまとめておきます。
セクキヌマブによる紅皮症(剥脱性皮膚炎)
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。
- セクキヌマブ(遺伝子組換え)
- コセンティクス皮下注(ノバルティス ファーマ):適応「既存治療で効果不十分な 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎」
 
 
改訂指示の内容
 【旧記載要領】に従ってまとめます。
 添付文書の 3.副作用 > (1)重大な副作用 に以下の内容が追記されます。
3 .副作用
(1)重大な副作用
5) 紅皮症(剥脱性皮膚炎)(頻度不明):紅皮症(剥脱性皮膚炎)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
引用元:「コセンティクス皮下注150mgペン」、「コセンティクス皮下注150mgシリンジ」の<使用上の注意改訂のお知らせ>
改訂理由
過去3年度で以下の通り国内での症例報告が集積されています。
- 紅皮症(剥脱性皮膚炎)関連症例:3例(因果関係が否定できないもの1例)、死亡例なし
 
国内症例、海外症例が集積されたため、今回の改訂が望ましいと判断されました。
自主改訂
 また、今回の改訂指示によるものとは別に以下の通り自主改訂も行われています。
 添付文書の 9.その他の注意 に以下の内容が追記されます。
9 .その他の注意
(3)本剤との因果関係は明確ではないが、国内の市販後において自殺既遂の死亡例が報告され ている。
引用元:「コセンティクス皮下注150mgペン」、「コセンティクス皮下注150mgシリンジ」の<使用上の注意改訂のお知らせ>
使用上の注意改訂のお知らせ
お知らせへのリンクです。
紅皮症(剥脱性皮膚炎)
 「紅皮症(剥脱性皮膚炎)」とは全身の皮膚が真っ赤に潮紅する状態を指し、皮膚が剥がれ落ちる落屑を伴います。
 紅皮症には様々な原因が考えられますが、様々な疾患に伴う皮膚反応という考えが主流になっています。
 その中でも乾癬に伴って発症する紅皮症は多いと考えられています。
乾癬の治療に伴って紅皮症を発症すると考えれば、今まで副作用に記載されていなかったことの方が不思議ってことになるのかな?
アレムツズマブによる頭頚部動脈解離
添付文書改訂の対象となる医薬品は以下のとおりです。
- アレムツズマブ(遺伝子組換え)
- マブキャンパス点滴静注(サノフィ):適応「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(CLL*3)」
 
 
改訂指示の内容
 【旧記載要領】に従ってまとめます。
 添付文書の 4.副作用 > (1)重大な副作用 に以下の内容が追記されます。
4.副作用
(1)重大な副作用
10)頭頚部動脈解離(頻度不明)
頚動脈、椎骨動脈等の頭頚部動脈解離があらわれることがあり、虚血性脳卒中に至った症例が報告されている。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
引用元:マブキャンパス/点滴静注30mg 「使用上の注意改訂のお知らせ」
改訂理由
過去3年度で以下の通り国内での症例報告が集積されています。
- 頭頚部動脈解離、虚血性脳卒中関連症例:1例(因果関係が否定できない症例はなし)、死亡例なし
 
国内での症例は1例のみで薬剤との因果関係も認められていませんが、海外では症例が集積されており、今回の改訂が望ましいと判断されました。
自主改訂
 また、今回の改訂指示によるものとは別に以下の通り自主改訂も行われています。
 いずれも、4.副作用 > (1)重大な副作用 について下線部が追記されています。
4.副作用
(1)重大な副作用
3)感染症(45.7%)
細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症が発現又は再活性化することがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、血球貪食症候群に至った症例も報告されている。
引用元:マブキャンパス/点滴静注30mg 「使用上の注意改訂のお知らせ」
4.副作用
(1)重大な副作用
4)免疫障害
自己免疫性溶血性貧血(0.8%)、自己免疫性血小板減少症(頻度不明)、自己免疫性肝炎(頻度不明)、再生不良性貧血(頻度不明)、ギラン・バレー症候群(頻度不明)、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(頻度不明)、輸血後移植片対宿主病(頻度不明)等の免疫障害があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
引用元:マブキャンパス/点滴静注30mg 「使用上の注意改訂のお知らせ」
使用上の注意改訂のお知らせ
お知らせへのリンクです。
頭頚部動脈解離
 「頭頚部動脈解離」か・・・。
 どういった機序で発症するんでしょうか?
 アレムツズマブはほとんどのB細胞性リンパ球に発現しているCD52を標的としたモノクローナル抗体です。
 元々の副作用として免疫障害(自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症など)や出血(頭蓋内出血、胃腸出血、粘膜出血など)も報告されているので、血管壁に対する障害や出血の亢進という意味では起こりうる副作用なのかもしれませんね。
「頭頚部動脈解離」を副作用に持つの薬剤は今回改訂を受けた「マブキャンパス点滴静注」のみですが、「動脈解離」を副作用に持つ薬剤は身近にあります。
- モキシフロキサシン(アベロックス錠)
 - トスフロキサシン(オゼックス錠/細粒小児用、 トスキサシン錠 等)
 - オフロキサシン(タリビッド錠 等)
 - レボフロキサシン(クラビット錠/細粒/点滴静注 等)
 - シタフロキサシン(グレースビット錠/細粒 等)
 - シプフロキサシン(シプロキサン錠/注 等)
 - ガレノキサシン(ジェニナック錠)
 - プルリフロキサシン( スオード錠)
 - ノルフロキサシン(バクシダール錠 等)
 - ロメフロキサシン(バレオンカプセル)
 - パズフロキサシン(パズクロス点滴静注液、パシル点滴静注液)
 - ラスクフロキサシン(ラスビック錠)
 - エテルカルセチド(パーサビブ静注透析用)
 
ご覧の通り、最後のエテルカルセチド以外は全てニューキノロン系抗菌薬ですね。
どんな薬にも副作用はありますが、薬剤の作用からイメージできる(イメージしやすい)副作用とは限らないですよね。
薬剤師としては薬剤の性質から先入観を持たずに副作用を見極められるようになりたいね。
 
 


