薬食審第一部会 デエビゴ錠、ユリス錠など 20191129

  • 2019年12月6日
  • 2021年1月17日
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2019年11月29日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で10製品の承認の可否が審議され、全ての承認が了承されました。
なんと言っても注目はエーザイのデエビゴ錠(レンボレキサント)、ベルソムラに続く2つ目のオレキシン受容体拮抗薬です。
富士薬品の痛風・高尿酸血症治療薬ユリス錠(ドチヌラド)も気になりますね。ユリノーム錠(ベンズブロマロン)以来の尿酸排泄促進薬です。
ボトックス注用の排尿障害への適応拡大、あすか製薬のチラーヂンS静注製剤の追加もありました。
2019.11.29時点では全て未承認、近々承認予定です。
2019.12.20に一部変更の品目については承認されました。(フィコンパは除く)
2020.1.23に新薬・剤形追加の品目が承認されました。

2019年11月29日の薬食審・医薬品第一部会

今回は1つの新有効成分含有医薬品、2つの新効能医薬品、合計3製品について審議され、全ての承認が了承されています。

審議品目(承認了承)

製造承認

  • プロウペス腟用剤10mg:「妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進」(PGE2製剤)
  • アネレム静注用:「全身麻酔の導入及び維持」(超短時間作用型BZP*1
  • デエビゴ錠:「不眠症」(オレキシン受容体拮抗薬)
  • ユリス錠:「痛風、高尿酸血症」(尿酸再吸収の抑制)
  • チラーヂンS静注液:「粘液水腫性昏睡、甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)」

一変承認

  • ボトックス注用:「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」追加(A型ボツリヌス毒素)
  • フィコンパ:部分発作に対する単独療法・小児適応の追加、細粒の剤形追加
  • 献血ベニロン-I静注用:「視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)」追加(免疫グロブリン製剤)
  • 献血ヴェノグロブリンIH静注:「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作」追加
  • オルケディア錠:「副甲状腺がん並びに副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症」追加(カルシウム受容体作動薬)

また、1製品の効能追加が報告品目として挙げらています。

報告品目

ボトックス注用:「上肢痙縮」の新用量追加

ボトックスは審議(排尿障害)、報告品目(上肢痙縮の新用量)の2回登場ですね!

審議品目(新有効成分含有医薬品・新投与経路医薬品)

まずは審議が行われた新有効成分含有医薬品・新投与経路医薬品5製品について。

プロウペス腟用剤

2020.1.23付で承認されました!(関連記事

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医薬品名プロウペス腟用剤10mg
成分名ジノプロストン
申請者フェリングファーマ
効能・効果妊娠37週以降の子宮頸管熟化不全における熟化の促進
指定等なし
海外承認66以上の国・地域で承認(2019年7月)

有効成分であるジノプロストンはプロスタグランジンE2錠0.5mg「科研」として「妊娠末期における陣痛誘発並びに陣痛促進」に対して使用されています。
その名前の通り、ジノプロストンはプロスタグランジンE2(PGE2*2)製剤。
PGE2によるコラゲナーゼ活性の上昇により、子宮頸管熟化を促進します。
取り出し用ネットに入った剤形で、12時間膣内に留置可能ですが、必要に応じてネットを引き抜くことで投与を中止できます。

子宮頸管熟化不全に対して欧米で標準的な経腟投与製剤が日本でも使用可能になります。

アネレム静注用

2020.1.23付で承認されました!(関連記事

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医薬品名アネレム静注用50mg
成分名レミマゾラムベシル酸塩
申請者ムンディファーマ
効能・効果全身麻酔の導入及び維持
指定等なし
海外承認なし

超短時間作用型ベンゾジアゼピン系の静脈麻酔薬です。
従来はジアゼパム(長時間型)、ミダゾラム(短時間型)が使用されているが、レミマゾラムは超短時間型であるため、より早い鎮静効果とその消失が期待されます。*3
ミタゾラムと同様に、レミマゾラムは水溶性であるため、血管痛などの注射部位の発現を起こしにくく、他の製剤との混注も行いやすくなっています。

レミマゾラムが使用可能になることで麻酔使用時により速やかでより安全な鎮静が可能に!

デエビゴ錠

2020.1.23付で正式に承認されました!(関連記事

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医薬品名デエビゴ錠2.5mg
デエビゴ錠5mg
デエビゴ錠10mg
成分名レンボレキサント
申請者エーザイ
効能・効果不眠症
指定等なし
海外承認なし

オレキシン受容体拮抗薬です。
オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドの一つで、睡眠と覚醒の調整のほか、食欲や報酬系に関与していることが知られています。
レンボレキサントはオレキシン受容体に結合することでオレキシン神経伝達系を阻害し、睡眠導入や睡眠維持を促進します。

ベルソムラ(スボレキサント)に続いて2つ目のオレキシン受容体拮抗薬になります。

ユリス錠

2020.1.23付で正式に承認されました!(関連記事

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医薬品名ユリス錠0.5mg
ユリス錠1mg
ユリス錠2mg
成分名ドチヌラド
申請者富士薬品
効能・効果痛風、高尿酸血症
指定等なし
海外承認なし

尿酸再吸収の抑制作用を持つ尿酸排泄促進薬です。
従来の尿酸排泄促進薬であるベンズブロマロン(ユリノームなど)やプロベネシド(ベネシットなど)では肝障害や薬物相互作用が問題となり使用できない場合があります。
ユリスはそのようなケースでも使用しやすい尿酸排泄促進薬を目指して開発された薬剤です。

従来の尿酸排泄促進薬が使えなかった場合でも使用可能となるので、高尿酸血症の治療の新たな選択肢になります。

チラーヂンS静注液

2020.1.23付で承認されました!(関連記事

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医薬品名チラーヂンS静注液200µg
成分名チラーヂンS静注液200µg
申請者あすか製薬
効能・効果粘液水腫性昏睡、甲状腺機能低下症
(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)
指定等なし
海外承認フランス・米国など

「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の議論を経て、厚生労働省が開発を要請した品目です。
チラーヂンS錠の適応は「粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫」だが、静注は粘液水腫による昏睡と甲状腺機能低下症により意識が混濁しているような状態を主体として使用される。

経口投与困難な状態の患者に対しては静注製剤による治療が可能になります。

審議品目(新効能・新用量医薬品)

審議が行われた新効能・新用量医薬品5製品について。

ボトックス注用:排尿障害に関する適応追加

2019年12月20日付で承認されました!(関連記事

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医薬品名ボトックス注用50単位
ボトックス注用100単位
成分名A型ボツリヌス毒素
申請者グラクソ・スミスクライン
効能・効果既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁
指定等なし
海外承認90か国以上(2019年8月)

日本排尿機能学会から開発要望が出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の議論を経て、厚生労働省が開発を要請した品目です。
ボトックス注用を膀胱に直接注射して用います。
A型ボツリヌス毒素により末梢神経終末内でのアセチルコリンの放出が抑制され、筋弛緩作用を発揮、膀胱容積が拡大されます。

脊椎損傷等で通常のOAB治療薬では効果が期待できない場合の排尿障害に対する選択肢になります。

フィコンパ:部分発作に対する単独療法・小児適応の追加、細粒の剤形追加

2020.1.23付で承認されました!(関連記事

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医薬品名フィコンパ細粒1%(新剤形)
フィコンパ錠2mg
フィコンパ錠4mg
成分名ペランパネル水和物
申請者エーザイ
効能・効果てんかん患者の部分発作
(二次性全般化発作を含む)
指定等なし
海外承認55以上の国・地域(2019年1月)
※海外では錠剤・懸濁剤
※細粒は日本のみ

元々は部分発作・強直間代発作ともに12歳以上の小児・成人に対して他の抗てんかん薬との併用療法のみの適応でした。
AMPA*4型グルタミン酸受容体に対して選択的かつ非競合的な拮抗薬として働きます。
その結果、中枢神経系におけるグルタミン酸性の興奮性シナプス伝達を抑制、抗てんかん薬としての効果を発揮します。

部分発作については単剤療法が可能になり、単剤療法・併用療法ともに4歳以上の小児で使用可能になる。

献血ベニロン-I静注用:視神経炎の急性期に対する適応追加

2019年12月20日付で承認されました!(関連記事

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医薬品名献血ベニロン-I静注用500mg
献血ベニロン-I静注用1000mg
献血ベニロン-I静注用2500mg
献血ベニロン-I静注用5000mg
成分名乾燥スルホ化人免疫グロブリン
申請者KMバイオロジクス
効能・効果視神経炎の急性期
(ステロイド剤が効果不十分な場合)
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし

静注用免疫グロブリン製剤。
視神経炎のうち、抗アクアポリン4(AQP4*5)抗体陽性の視神経炎に対しては、抗AQP4抗体の働きを抑制し、補体依存性細胞傷害や抗体依存性細胞介在性傷害を抑制することで効果が発揮されます。

ステロイド剤で効果が発揮されない視神経炎に対しての新たな選択肢が加わります。

献血ヴェノグロブリンIH静注

2019年12月20日付で承認されました!(関連記事

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医薬品名献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注1g/20mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注5g/100mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注10g/200mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注0.5g/5mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注2.5g/25mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注5g/50mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注10g/100mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注20g/200mL
成分名ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
申請者日本血液製剤機構
効能・効果抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし

免疫グロブリン療法(IVIG*6)は、免疫グロブリン大量療法や大量免疫グロブリン療法、免疫グロブリン大量点滴静注療法とも呼ばれます。
高用量IVIGを用いた脱感作療法は複数の国でガイドライン化されていますが日本では使用できていませんでした。
現在、ドナーに対する抗体陽性レシピエント脱感作に関する方法で保険適用されているのはしかありません。

抗ドナー抗体陽性腎移植レシピエントの脱感作に対する適応は二重ろ過血漿交換療法以外にはありませんでしたが、海外でガイドライン化されている高用量IVIGを用いた脱感作療法も保険適応の範囲で行えるようになります。

オルケディア錠

2019年12月20日付で承認されました!(関連記事

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医薬品名オルケディア錠1mg
オルケディア錠2mg
成分名エボカルセト
申請者協和キリン
効能・効果副甲状腺がん並びに副甲状腺摘出手術または
術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし

カルシウム受容体作動薬。
元々の適応は「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」です。
原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT*7)は、腫瘍などの影響で副甲状腺ホルモン(PTH*8)が過剰分泌される疾患です。
PTHは血中のカルシウム濃度を高めてしまうため、高カルシウム血症を起こしてしまいます。
治療の第一選択は副甲状腺摘出術(PTx*9)ですが、合併症などの問題でPTxが不能な場合があります。

原発性の副甲状腺機能亢進症の高カルシウム血症をコントロールするための選択肢が追加されます。

 

報告品目

PMDA*10(医薬品医療機器総合機構)の審査段階で部会での審議を行わず報告のみでよいと判断されたものです。

ボトックス注用:上肢痙縮における緊張筋と用量の拡大

2019年12月20日付で承認されました!(関連記事

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医薬品名ボトックス注用50単位
ボトックス注用100単位
成分名A型ボツリヌス毒素
申請者グラクソ・スミスクライン
効能・効果上肢痙縮
指定等なし
海外承認欧米など92の国または地域(2019年8月)

ボトックス注用の上肢痙縮に対する用法・用量は「成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計240単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は240単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。」、「緊張筋:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等」となっています。
今回報告された内容では緊張筋の範囲に上腕二頭筋や上腕筋、腕橈骨筋が加わり、用量も400単位に増量されます。

注射部位の追加、用量増量によって、効果上昇が期待されます。

*1:BenZodiazePine

*2:ProstaGlandin E2

*3:Chest. 2019 Jan;155(1):137-146. doi: 10.1016 PMID: 30292760

*4:α-Amino-3-hydro-5-Methyl-4-isoxazolePropionic Acid

*5:AQuaPorin 4

*6:IntraVenous ImmunoGlobulin

*7:Primary HyPerThyroidism

*8:ParaThyroid Hormone

*9:prathyroidectomy

*10:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

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