2021年2月15日付けで新規後発医薬品が承認されています。
今回承認された後発医薬品は2021年6月18日に薬価収載される予定です。
じほう社さんが公開している承認簿はこちら
https://nk.jiho.jp/sites/default/files/nk/document/2021/02/2月15日付医薬品承認情報(承認簿).pdf
令和3年6月17日付で官報が告示されています。
使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部を改正する件(厚生労働二三五)
新規ジェネリック医薬品(内服薬)
今回、6つの内服薬について新たにジェネリック医薬品が登場します。
サインバルタ(デュロキセチン)のジェネリック医薬品
サインバルタのジェネリックが登場しますが、サインバルタ(先発医薬品)との適応違いに注意が必要となります。
承認時点ではジェネリックには「慢性腰痛症」と「変形性関節症」の適応がありませんでしたが、現在、適応追加の承認が進み、一部メーカーを除いて先発品と適応が揃っています。
2021年6月17日時点で適応未取得のメーカー:アメル(共和薬品工業)、タカタ(高田製薬)、フェルゼン(ダイト)、トーワ(東和薬品)
また、デュロキセチンについては10社以上の製品が薬価収載されるので薬価は0.4掛けになりました。
さらに、先発のサインバルタは新薬創出等加算の対象であるため、その累積分も引かれて薬価は0.3掛け近くになっています。
サインバルタのGE一覧
サインバルタのGE(デュロキセチン)は先発医薬品と同じカプセル以外に、普通錠と口腔内崩壊錠(OD錠)が承認されています。
デュロキセチンカプセルの承認一覧
17社が承認取得していましたが、日医工G、ケミファ、杏林は薬価収載を見送っています。
日医工は仕方がないとして、ケミファはは錠剤に注力、杏林は???
(2021年2月製造販売承認取得品目の薬価基準収載見送りのお知らせ)
カプセルのサイズは全メーカー先発品のサインバルタと同じです。
(20mg:4号、30mg:3号)
「明治」、「日新」はともに日新製薬が製造を行うそうです。
デュロキセチン錠の承認一覧
2社が承認を取得。錠剤化で気になるのは大きさですが、東和薬品のものは20mgが8.5mm、30mgが直径10.0mmです。直径10.0mmというとエックスフォージOD錠やカルタン錠500mg、シナール配合錠と同じ直径なのでやや大きめですね。
デュロキセチンOD錠の承認一覧
OD錠についても2社が承認を取得しています。
錠剤を採用するならOD錠かなあ・・・。
「ニプロ」と「明治」の両方とも製造はニプロが担うようです。大きさは以下の通り。
デュロキセチンOD錠20mg「明治」/「ニプロ」:直径9.6mm、厚さ5.2mm
デュロキセチンOD錠30mg「明治」/「ニプロ」:直径11.0mm、厚さ5.8mm
味はミント味ということです。
ザクラス配合錠のジェネリック医薬品(ジルムロ配合錠)
ザクラス(アジルサルタン/アムロジピン)の統一製品名はジルムロです。
当然と言えば当然かもしれませんが、武田テバファーマがAGの製造販売承認を取得しています。
ぺんぎん薬剤師ついつい、アジムロって言っちゃうんだよね・・・。
ザクラスのGE一覧
武田テバは当然ながらAGですね。
東和薬品と沢井製薬はOD錠の製造販売承認を取得しています。
ジルムロOD錠の大きさは?
OD錠となると気になるのは錠剤のサイズですね。比較してみましょう。
比較してみると、ジルムロ配合OD錠HD「トーワ」の大きさが気になりますね。
アジルバのジェネリックが登場しない理由
ザクラス配合錠のジェネリックが承認されたのに、アジルバのジェネリックが承認されないのはなんで?と思っていたんですが、小児用量に関する知見を実施するため、再審査期間が延長されているのが理由のようですね。(延長後の再審査期間:令和3年10月17日まで)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0816&dataType=1&pageNo=1
アジルバのジェネリックは再審査が終了後に登場するはずです。
ルネスタ(エスゾピクロン)のジェネリック
ルネスタのジェネリックが登場します。さすがにどのメーカーもOD錠の製造承認は取得していませんね。苦いもんなあ・・・。
ルネスタのGE一覧
14社が承認を取得していましたが、日医工の薬価収載が見送られ、13社が参入ということになりました。
(2021年2月製造販売承認取得品目の薬価基準収載見送りのお知らせ)
10社以上が製造承認を取得しているので薬価は0.4掛けです。
さらに、先発のサインバルタは新薬創出等加算の対象であるため、その累積分も引かれて薬価は0.3掛け近くになっています。
日本薬品工業は「NPI」の製造販売元でありながら、「ケミファ」の販売元でもあるんですね・・・???
「明治」、「日新」はともに日新製薬が製造を行うそうです。
ベシケア(ソリフェナシンコハク酸塩)のジェネリック
ベシケアのジェネリックがついに登場します。ベシケアについてはアステラス製薬からオーソライズドジェネリックの権利を受けて日医工がAGの製造承認を取得しています。
ぺんぎん薬剤師と思っていたら早い段階で薬価収載を見送ることが発表されましたね。まあ、今は仕方がないですね。
ベシケア錠のGE一覧
6社が承認を取得していましたが、AGの日医工は承認見送りとなりました。。。
ベシケアOD錠のGE一覧
OD錠は5社が承認を取得していましたが、AGの日医工は承認見送りとなりました。。。
ベシケアOD錠といえば添付文書に記載されている以下の文章が気になります。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤交付時の注意
14.1.2 本剤をかみ砕かないで服用するよう患者に指導すること。本剤をかみ砕いた際にマスキング粒が壊れ、有効成分由来の刺激性を感じる可能性がある。
この文章からわかるように、ベシケアOD錠は単純な口腔内崩壊錠ではなく、成分をコーティングして苦味を軽減する工夫が施されている製剤です。この点を考慮するとAGじゃないと刺激性が問題になるのではないかと思いましたが・・・。
現時点(2021.2.16)でpmdaに公開されている「トーワ」と「JG」の添付文書を確認してみると全く同じ文書が記載されています。・・・ということは、少なくとも「トーワ」と「JG」には成分由来の刺激性を軽減させる工夫が行われているということですね。(AGである「日医工」は同じ技術が使用されているはずです)
アドシルカ(タダラフィル)のジェネリック医薬品
アドシルカのジェネリック医薬品が登場します。アドシルカのジェネリックは初ですが、タダラフィル自体はすでにジェネリック医薬品が販売されています。
(タダラフィル錠CI:シアリス錠のジェネリック、タダラフィル錠ZA:ザルティア錠のジェネリック)
アドシルカのGE一覧
レバチオ(シルデナフィル)のジェネリック医薬品→薬価収載見送り
レバチオのジェネリック医薬品が承認されていましたが薬価収載は見送られたようです。
シルデナフィル自体はすでにジェネリック医薬品が販売されています。
(シルデナフィル錠VI:バイアグラ錠のジェネリック)
発売されていればレバチオの初のジェネリックだったんですが・・・。
レバチオのGE一覧
現在、確認できているのはJGのみで剤形も錠剤のみです。
(レバチオはODフィルムと懸濁用ドライシロップの剤形が販売されている)
薬価収載は見送りとなったようですね・・・。
長生堂の問題もありますし、今は既存製品の安定供給の回復に注力するということでしょう。
新規ジェネリック医薬品(外用薬)
今回は4つの外用薬(うち3つは点眼薬)について新たなジェネリック医薬品が登場します。
アレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)のジェネリック医薬品
アレジオン点眼液のジェネリックが登場します。アレジオンLXについてはまだ承認されていません。
あれ?パタノール点眼液のジェネリックはまだだよね?
パタノール点眼液のジェネリックについては、2019年2月15日にオロパタジン点眼液0.1%「サンド」が承認されていますが、未だに薬価収載されていません・・・。
アレジオン点眼液のGE一覧
SEC(参天アイケア)はAGのようですね。
と思っていたら、SECは薬価収載見送りのようですね・・・。
アレジオン点眼液の特徴の一つに塩化ベンザルコニウムが使用されていない(BAKフリー)ということがあります。
ジェネリックはどうかなと思って見てましたが、現時点でPmdaに掲載されているものはすべて先発医薬品と同じ添加物になっており、BAKフリーになっていますね。ですが、さすがにアレジオンLXと同じようにホウ酸を使用していないものはありませんでした。(あれは静菌作用をもつエピナスチンの濃度が高いLXだから可能なはずなので当然ですね)
ちなみにpH(6.7〜7.3)と浸透圧比(0.9〜11)も各社同じになっています。
アイファガン点眼液(ブリモニジン酒石酸塩)のジェネリック医薬品
アイファガン点眼液のジェネリックが登場します。
アイファガン点眼液のGE一覧
添加物は各社それぞれ異なりますが、アイファガン同様にBAKフリーになっています。pHや浸透圧は同一です。
アゾルガ配合懸濁性点眼液のジェネリック医薬品(ブンチモ配合点眼液)→薬価収載見送り
アゾルガ配合点眼液(ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩)のジェネリックも登場します。統一名称はブンチモ。
ぺんぎん薬剤師だからなんでブリチモにしてくれなかったんだ!っていう。。。
アゾルガ配合点眼液のGE一覧
ブンチモ配合点眼液の製造承認を取得しているのはサンドのみです。
アゾルガの製造販売元のノバルティスの子会社であるサンドですからAGっぽいですね。
と思いきや、これも薬価収載見送りですね・・・。
エムラクリーム(リドカイン/プロピトカイン)のジェネリック医薬品→薬価収載見送り
メディックスサトウのみが製造承認を取得しています。
先発医薬品のエムラクリームの製造販売元は佐藤製薬なのでリドプロクリーム「サトウ」はAGのようですね。
と思ってたら、これも薬価収載見送りのようですね。。。
新規ジェネリック医薬品(注射)
薬局に勤務していると触れることは少ないのですが、注射にも新規後発品が登場しています。
ハラヴェン静注(エリブリンメシル酸塩)のジェネリック医薬品→薬価収載見送り
ハラヴェンのジェネリックは一社のみでAGです。
ハラヴェンの製造販売元であるエーザイから権利を得た日医工がAGの製造承認を取得しています。
が、これも薬価収載見送りです。。。というか薬価収載の申請自体を行わなかったようです。
これは何かあったんでしょうか?
<blockquote class=”twitter-tweet”><p lang=”ja” dir=”ltr”>こっちの承認簿には日医工がハラヴェン(エリブリンメシル酸塩)の製造販売承認受けたって載っているけど<a href=”https://t.co/sSafMnEpQ1″>https://t.co/sSafMnEpQ1</a><br><br>日医工のHPにはエリブリンメシル酸塩の記載がないや<a href=”https://t.co/1QTnilsXS2″>https://t.co/1QTnilsXS2</a><br><br>なんで?<br>とりあえず承認申請したけど作る気ありませんってこと? <a href=”https://t.co/R4UAxqUgR6″>https://t.co/R4UAxqUgR6</a></p>— すん@製薬工場勤務 (@shin_gmp) <a href=”https://twitter.com/shin_gmp/status/1361339675684737024?ref_src=twsrc%5Etfw”>February 15, 2021</a></blockquote> <script async src=”https://platform.twitter.com/widgets.js” charset=”utf-8″></script>
当時から何かあると気づいていた方もいたみたいですね。。。
アロキシ静注/点滴静注(パロノセトロン塩酸塩)のジェネリック医薬品
アロキシのジェネリックが登場します。
アロキシのGE一覧
「タイホウ」(岡山大鵬薬品)はAGです。
結局、AG以外は収載見送りになりましたね。
そのほか気になるジェネリック医薬品
そのほか気になる承認品目をまとめます。
カデュエット(アムロジピン/アトルバスタチン)のAG?→薬価収載見送り
アマルエット配合錠「ファイザー」(製造販売元:ファイザーUPJ合同会社)が承認されています。カデュエットのAGで間違いないでしょう。
って思っていたらこれも薬価収載見送り・・・。
小林加工の製造承認取得はなし
ちなみに、今回、小林加工は一つも承認を取得していません。
おそらく申請はしていたのだと思いますが、改善命令が出されている状態では承認を満たすことができないのかもしれませんね・・・。
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日医工も全て薬価収載を見送っていますね。
既存の医薬品の安定供給に努めるためにはやむを得ませんね。。。
まとめ
2021年6月に収載予定のジェネリック医薬品について情報をまとめます。
新規参入は12品目
表にまとめてみます。
今回承認されたAG一覧
今回承認されているAGについてまとめます。
- ジルムロ配合錠「武田テバ」(ザクラス配合錠)
- ソリフェナシンコハク酸塩錠「日医工」(ベシケア錠)→収載見送り
- ソリフェナシンコハク酸塩OD錠「日医工」(ベシケアOD錠)→収載見送り
- エピナスチン塩酸塩点眼液「SEC」?(アレジオン点眼液)→収載見送り
- ブンチモ配合懸濁点眼液「サンド」?(アゾルガ配合懸濁点眼液)→収載見送り
- リドプロクリーム「サトウ」?(エムラクリーム)→収載見送り
- エリブリンメシル酸塩静注「日医工」(ハラヴェン静注)→収載見送り
- パロノセトロン静注0.75mg/5mL「タイホウ」(アロキシ静注0.75mg)
- パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg/50mL「タイホウ」(アロキシ点滴静注バッグ0.75mg)
- アマルエット配合錠「ファイザー」?(カデュエット配合錠)→収載見送り
確実なもので4成分(6品目)、未確認のものも入れると8成分(10品目)です。
だったのに、結局残ったのは2成分のみ・・・。
なんじゃこりゃ。。。