薬食審第二部会 ゾレアのアレルギー性鼻炎に対する適応追加など 20191031

  • 2019年11月3日
  • 2021年1月17日
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2019年10月31日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で審議され、承認が了承された新医薬品についてまとめます。
この記事を作成している時点では承認が了承された段階で、正式には承認されていませんが、近く正式に承認される予定です。
今回審議・報告が行われたものはすべて一部変更承認(一変承認)に関わるものなので、既存の承認内容や薬の性質も含めた復習と合わせて勉強しておきましょう。
2019年11月22日付でトルツ皮下注とテセントリク点滴静注1200mg、エムプリシティ点滴静注用、カイプロリス点滴静注用の一変承認は正式に承認されました。
ゾレア皮下注の「季節性アレルギー性鼻炎」の追加とイブランス錠については未承認のままです。

2019年10月31日の薬食審・医薬品第二部会

今回は2つの新効能・新用量医薬品について審議され、2つとも承認が了承されています。

審議品目(承認了承)

一変承認

  • ゾレア皮下注:「季節性アレルギー性鼻炎」の効能追加
  • トルツ皮下注:「強直性脊椎炎」の効能追加

また、報告品目が4つ挙げらています。

報告品目

一変承認

  • テセントリク点滴静注1200mg:用法・用量の拡大
  • イブランス錠:新剤形(既存のカプセルとは適応の記載、用法が異なる)
  • エムプリシティ点滴静注用:ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法 追加
  • カイプロリス点滴静注用:デキサメタゾンとの2剤併用療法に週1回投与 追加

審議品目

まずは審議が行われた3製品について。

ゾレア皮下注用:季節性アレルギー性鼻炎(適応追加)

2019年12月11日付で承認されました!

医薬品名ゾレア皮下注用75mg
ゾレア皮下注用150mg
ゾレア皮下注75mgシリンジ
ゾレア皮下注150mgシリンジ
成分名オマリズマブ(遺伝子組換え)
申請者ノバルティスファーマ
効能・効果季節性アレルギー性鼻炎
(既存治療で効果不十分な重症または最重症患者に限る)
指定等なし

 

承認済!

ゾレア皮下注(オマリズマブ)はヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。
オマリズマブは、ヒトIgE抗体がIgE受容体と結合する「Cε3」と言う部分に特異的に結合する性質を持った抗体製剤です。
オマリズマブがCε3に結合することで、ヒトIgE抗体はマスト細胞や好塩基球の細胞膜表面に存在するIgE受容体のサブユニット(FcεR1)に結合できなくなり、アレルギー反応が阻止される。
元々の適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る) 」。
用法・用量は、気管支喘息に対するものと同様の「通常、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75〜600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前の血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。」になる予定です。(換算表が気管支喘息と同じものかどうかは不明です)

承認されれば・・・季節性アレルギー性鼻炎に対する適応を持つ初の抗体製剤が登場することになります。
ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤について

オマリズマブ(遺伝子組換え)はヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。
なんだか複雑な名前ですね。
わかりやすくするためにもっと正確に言うとヒト化マウス抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。
「ヒト化マウス抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤」
オマリズマブ(遺伝子組換え)はマウスが作った抗ヒトIgEモノクローナル抗体を人に安全に投与できるよう加工(ヒト化)したものです。

トルツ皮下注:強直性脊椎炎(適応追加)

2019年11月22日付で承認されました!関連記事

医薬品名トルツ皮下注80mgシリンジ
トルツ皮下注80mgオートインジェクター
成分名イキセキズマブ(遺伝子組換え)
申請者日本イーライリリー
効能・効果
(追加)
既存治療で効果不十分な
強直性脊椎炎
指定等なし

 

承認済!

トルツ皮下注(イキセキズマブ)はヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤です。
サイトカインの一種であるインターロイキン17A(IL-17A*1)が過剰に産生されてしまうことが乾癬などの自己免疫疾患に関わっていることが知られています。
イキセキズマブはIL-17Aに特異的に結合することで、IL-17AとIL-17RA*2の結合を阻止、炎症性サイトカインやケモカインの放出を抑制し、自己免疫疾患に対して効果を発揮します。
強直性脊椎炎の発症にもIL-17Aが深く関与していることが知られているので、イキセキズマブを用いて試験が行われていました。
今回の承認で強直性脊椎炎をトルツ皮下注で治療することが可能になります。
ちなみに、イキセキズマブもマウス抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体をヒト化して作られています。

報告品目

PMDA*3(医薬品医療機器総合機構)の審査段階で部会での審議を行わず報告のみでよいと判断されたものです。

テセントリク点滴静注1200mg:一部用法変更

2019年11月22日付で承認されました!関連記事

医薬品名テセントリク点滴静注1200mg
成分名アテゾリズマブ(遺伝子組換え)
申請者中外製薬
効能・効果切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
用法・用量
(変更)
(併用できる抗悪性腫瘍剤が拡大)
指定等なし

 

承認済!

テセントリク点滴静注(アテゾリズマブ)は抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体によるがん免疫療法薬です。
「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の用法・用量については「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用」と記載されていましたが、正式に承認されれば「他の抗悪性腫瘍剤との併用において」に変更になります。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
1. 化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌において、他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
引用元:テセントリク点滴静注 添付文書

と記載されているように、「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)」以外の抗悪性腫瘍剤との併用に関するデータが存在しませんでしたが、今回、国際共同フェーズ3試験結果でシスプラチンの併用に関するデータが加わったことによる変更です。

イブランス錠:新剤形・新適応・新用法

医薬品名イブランス錠25mg
イブランス錠125mg
成分名パルボシクリブ
申請者ファイザー
効能・効果ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
指定等なし

 

まだ承認されていないので注意!

イブランス(パルボシクリブ)は世界初のサイクリン依存性キナーゼ(CDK*4)4/6阻害薬です。
パルボシクリブはCDK4/6の活性を選択的に阻害し、サイクリンD・CDK4/K6複合体の活性を阻害することで、細胞周期を停止させ、抗腫瘍効果を発揮します。
カプセル剤は食後投与の記載がありましたが、錠剤はその記載がなくなり、食事の摂取状況にかかわらず服用できます。
また、錠剤の適応には「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」で、カプセルの適応である「手術不能又は再発乳癌」に「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の」が加わっていますが、カプセルの場合は同様の条件が「効能・効果に関連する使用上の注意」に記載されています。

[効能・効果に関連する使用上の注意]
2.本剤の投与を行う場合には、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の患者を対象とすること。
引用元:イブランスカプセル 添付文書

承認されれば・・・服用しやすい錠剤が加わり、食事の有無にかかわらず服用可能となります。

エムプリシティ点滴静注用:ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法追加

2019年11月22日付で承認されました!関連記事

医薬品名エムプリシティ点滴静注用300mg
エムプリシティ点滴静注用400mg
成分名エロツズマブ(遺伝子組換え)
申請者ブリストル・マイヤーズ スクイブ
効能・効果
(追加)
ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用
指定等なし

 

承認済!

エムプリシティ(エロツズマブ)はヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体で、SLAMF7*5を標的とする免疫賦活性モノクローナル抗体(免疫刺激モノクローナル抗体)です。
ナチュラルキラー細胞(NK細胞*6)に発現するSLAMF7と結合することで、抗体依存性細胞傷害(ADCC*7)活性を高め、腫瘍増殖抑制作用を示します。
レナリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法に加えて、ポマリドミド・デキサメタゾンとの3剤併用療法も可能になります。

カイプロリス点滴静注用:デキサメタゾンとの2剤併用療法に新レジメン追加

2019年11月22日付で承認されました!関連記事

医薬品名カイプロリス点滴静注用10mg
カイプロリス点滴静注用40mg
成分名カルフィルゾミブ
申請者小野薬品
効能・効果再発又は難治性の多発性骨髄腫
用法・用量
(追加)
(デキサメタゾン併用時の週一回投与)
指定等なし

 

承認済!

カイプロリス(カルフィルゾミブ)はプロテアソーム阻害薬です。
20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性を有するβ5サブユニットに不可逆的に結合することで、ユビキチン化タンパク質の分解を担うプロテアソームの活性を阻害します。
ユビキチン化タンパク質が蓄積することで、細胞のアポトーシスが誘導され、骨髄腫細胞の増加が抑制されます。
デキサメタゾンとの2剤併用療法においては下記の通り「1、2、8、9、15及び16日目に点滴静注」するようになっていますが、週1回投与での治療が可能になります。

〔用法・用量〕
デキサメタゾン併用の場合:通常、成人には1日1回、本剤を1、2、8、9、15及び16日目に点滴静注し、12日間休薬する。この28日間を 1 サイクルとし、投与を繰り返す。本剤の投与量はカルフィルゾミブとして、1サイクル目の1及び2日目のみ20mg/m2(体表面積)、それ以降は56mg/m2(体表面積)とし、30分かけて点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
引用元:カイプロリス点滴静注用 添付文書

*1:InterLeukin-17A

*2:InterLeukin-17 Receptor A

*3:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

*4:Cyclin Dependent Kinase

*5:Signaling Lymphocyte Activation Molecule Family Member 7

*6:Natural Killer cell

*7:Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity

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