2019年12月12日、後発医薬品の薬価が官報で告示され、12月13日に薬価収載されました。
今回、成分として新しく後発医薬品が登場するのは、イメンド(アプレピタント)、エプジコム(ラミブジン・アバカビル硫酸塩)、ファンガード(ミカファンギンナトリウム)、デノシン(ガンシクロビル)、シムビコート(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物)、パルミコート(ブデソニド)です。
また、規格として初めて収載されるものにアクトネル錠75mg/ベネット錠75mg(リセドロン酸ナトリウム)があります。
今回はAGはないですねー。
2019.12.13に薬価収載された後発品医薬品
まずは官報へのリンクを貼っておきます。
今回は主に2019年8月15日に承認されていたものが薬価収載されたのですが、収載されていないものも多いですね・・・。
ブデホルは2019年2月15日に承認です。
ブデホルについては前回2019年6月14日の収載を見送って、今回やっと薬価収載です。
後発品の薬価算定ルール
ジェネリックは基本 半額。10社を越すと6割引!
後発品の薬価は、基本的に先発品の薬価の0.5掛け(=50%)で算定されます。
ただし、内服薬について、同一の後発品の銘柄数が10社を超えた場合はさらに安い0.4掛け(=40%)になります。(今回は対象なし)
ちなみに、先発品に新薬創出等加算が適用されている場合、新薬創出等加算分を差し引いてから0.5掛け、0.4掛けして後発品薬価が算定されます。
今回、0.4掛けの対象はありませんでしたが、イメンド、エプジコム、シムビコート、パルミコートの4製品が新薬創出等加算が適用されているためGEの薬価が大きく安くなっています。
はじめて薬価収載された後発医薬品一覧
今回、初めて後発品が収載されたものをまとめました。
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成分として初めて薬価収載された後発品
今回はじめて後発品として薬価収載された成分についてまとめます。
<h5id=”a”>アプレピタントカプセル
イメンドカプセルのジェネリックが登場。適応は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」
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ガンシクロビル点滴静注用
デノシン点滴静注用のジェネリック。適応は「後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、悪性腫瘍によるサイトメガロウイルス感染症」
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ブデソニド吸入液
パルミコート吸入液のジェネリック。適応は「気管支喘息」
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パルミコートタービュヘイラーのジェネリックは出ないのかな?
使用量と開発コストを考えると厳しいんじゃないかな?あるとすれば、DPIに力を入れていて、粉末吸入製剤の製造施設を持っている東亜薬品さんがブデホル(下記参照)のデバイスで出すくらいかな?
ブデホル吸入粉末剤
前回(6月14日)は収載が見送られたシムビコートタービュヘイラーのジェネリック、ブデホル吸入粉末剤がついに薬価収載!適応は「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」、「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」
あれ?「ニプロ」は・・・?
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ニプロ、日本ジェネリック、東亜薬品の3社で共同開発された製剤だったはずですが、「ニプロ」は今回も薬価収載見送り、「MYL」は薬価収載されましたが発売日も含めて詳細不明のままです。
デバイス(タービュヘイラーと)の違いは?
ブデホル吸入粉末剤「JG」の見た目はシムビコートにそっくりで、操作もほぼ同じですが、回転するパーツごとに色(オレンジ)が分かれてるので少し説明しやすそうですね。
ブデホル吸入粉末剤30吸入/60吸入「JG」 指導箋
初回の準備操作でシムビコートが「カチッ」と3回なのに対してブデホル吸入粉末剤「JG」は「カチン」音4回なのが気になりますね。
シムビコートを使っている人でジェネリックに切り替える時には初回操作の回数の違いについて念入りに確認しておかないとね。
安定供給は可能なの?
予想通りというか何というか。。。
発売開始と同時に出荷調整がかかったみたいですね。
薬価収載 即 販売開始 即 出荷調整!!
ミカファンギンNa点滴静注用
ファンガード点滴静注用のジェネリック。適応は「アスペルギルス属及びカンジダ属による真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症」
25mgは承認されていないんだね。
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ラバミコム配合錠
エプジコム配合錠のジェネリック。適応は「HIV感染症」
抗HIV治療薬のジェネリックは日本初!
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規格として初めて薬価収載された後発品
成分としては既に後発医薬品が存在していましたが、その規格には後発医薬品が存在しなかったものとして、アクトネル錠75mg/ベネット錠75mgのGEが初収載されています。
リセドロン酸Na錠75mg
アクトネル/ベネットの月一回製剤のジェネリック。適応は「骨粗鬆症」
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薬価収載が見送られたもの
2019年8月15日に承認されていた後発医薬品のうち、以下のものは今回の薬価収載を見送っています。
AGの承認を取得しておいてタイミングを見て薬価収載ってのが主流になってきているよね。
- イミダフェナシン「杏林」(先発医薬品名:ウリトス、ステーブラ)
- エゼチミブ錠10mg「DSEP」(先発医薬品名:ゼチーア錠10mg)
- デフェラシロクス顆粒分包「サンド」(先発医薬品名:ジャドニュ顆粒分包)
- ファスジル塩酸塩点滴静注液30mg「旭化成」(先発医薬品名:エリル点滴静注液30mg)
おそらくですが、すべてAGっぽいので他社の発売に合わせて薬価収載となるんでしょうね。
先発医薬品メーカーからすると、あまり早く発売すると先発医薬品の売り上げが下がってしまうという問題はもちろんですが、多数(10 社を超える)のメーカーが参入予定の薬剤であれば、
- 他社より高い薬価でも先行発売してシェアを獲得する
- 他社に合わせて同じ(安い)薬価で発売してシェアを獲得する
などの駆け引きがあるんだと思います。
でも、できれば承認されたらすぐに出して欲しいなあ・・・。
前回に引き続き今回も薬価収載されなかったもの
前回に引き続き、今回も承認されなかったジェネリックもいっぱいあります。
- エベロリムスAF「サンド」(先発医薬品名:アフィニトール)
- エベロリムスCE「サンド」(先発医薬品名:サーティカン)
- オロパタジン点眼液0.1%「サンド」(先発医薬品名:パタノール)
- ボルテゾミブ注射用3mg「DSEP」(先発医薬品名:ベルケイド)
- タモキシフェン錠10mg「DSEP」(先発医薬品名:ノルバデックス)
- タモキシフェン錠20mg「DSEP」(先発医薬品名:ノルバデックス)
そのほか気になる後発品
ジェネリックに新規参入する成分でもないけれど何気に気になるものを紹介します。
ヘパリン類似物質外用泡状スプレー0.3%「日医工」
個人的に注目しています!
ヒルドイドフォームのジェネリックに位置づけられる「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー」に日医工ブランドが加わります。
ヒルドイドのジェネリックといえばビーソフテンのイメージがありますが、日医工/持田のヘパリン類似物質外用薬の評価は高い印象があります。
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他社の外用泡状スプレーとの違い
ヘパリン類似物質外用泡状スプレーには「ニットー」と「日本臓器」が存在しています。
ですが、今回収載された「日医工」には他の2つと明確な違いがあります。
それは添加物です。
他の2社のものに添加物として含まれている「精製ヒアルロン酸ナトリウム」が日医工には入っていません。
これにより先発品であるヒルドイドフォームに近い使用感が再現されているのではないかと思います。
ヒルドイドフォームは油分を含まないのが特徴でしたね。
ただ、ヒルドイドフォームには噴射剤としてLPGが使用されていますが、ヘパリン類似物質外用泡状スプレー0.3%「日医工」は噴射剤を使用していないのでその違いがどうなるか?
サンプル使ってみたいですね。
ちなみに、ヘパリン類似物質外用泡状スプレー0.3%「日医工」は1本100gです。
(ヒルドイドフォームは1本 92g)
バルプロ酸ナトリウム徐放錠A「トーワ」
バルプロ酸ナトリウム徐放錠A「トーワ」はバルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」の名称変更品です。
そう、BがAに変わります。
この名称変更の理由が注目です。注意!!
東和薬品の資料には以下のように記載されています。
第十七改正第二追補日本薬局方において本剤の局方名が「バルプロ酸ナトリウム徐放錠 A」と して収載されました。引用元:バルプロ酸ナトリウム徐放錠A100mg「トーワ」 販売名変更等のお知らせ(PTP100錠、D0200(2022/9)、バラ300錠、D0201(2022/9))
そう、つまりはこういうことです。
- バルプロ酸ナトリウム徐放錠A:先発医薬品名 デパケンR錠
- バルプロ酸ナトリウム徐放錠B:先発医薬品名 セレニカR錠
バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」の経過措置は「2020年9月30日まで」ということですが、それまでは怖いですね。
「バルプロ酸ナトリウム徐放錠B」と記載された処方箋を見ると「バルプロ酸Na徐放B錠「トーワ」」で調剤してしまいそうです。