2023年12月8日に新規後発医薬品の薬価収載が行われました。
今回の薬価収載は2023年8月15日に承認された後発医薬品が中心となっています。
薬価基準収載の内容については令和5年12月7日の官報(号外 第256号)に掲載されています。
使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部を改正する件(厚生労働三二六)
今回薬価収載された医薬品の承認時の記事は↓です。
令和5年8月15日に承認された後発医薬品【ザイティガ、エディロール錠、ジャヌビア/グラクティブ、トレリーフ、エフィエント、ベプリコール、アミティーザ、エルカルチンFF内用液、ジクアス】
2023年12月8日 GE薬価収載のポイント!
薬価収載された品目を紹介する前に、今回の薬価収載でポイントとなる部分をまとめておきます。
初登場のジェネリック(内服・外用)は合計6製品
今回、初登場となるジェネリック医薬品は以下の6製品です。
数え方には色々あると思いますが、オセルタミビル錠を含めて考えています。
内服薬(先発5製品)
- オセルタミビル錠(タミフルカプセル)※新剤形
- ゾニサミドOD錠TRE(トレリーフOD錠)※ゾニサミドEX(エクセグラン)は既収載
- ベプリジル塩酸塩錠(ベプリコール錠)
- レナリドミドカプセル(レブラミドカプセル)
- レボカルニチンFF内用液(エルカルチンFF内用液)※内用液の剤形は初収載
外用薬(先発製品)
- ジクアホソルNa点眼液(ジクアス点眼液)
今回収載されたAG
AGは4製品収載されています。
- 酢酸亜鉛錠「ノーベル」(ノベルジン)※後追いAG
- ゾニサミドOD錠TRE(トレリーフOD錠)
- ダサチニブ錠「BMSH」(スプリセル錠)※後追いAG
- レナリドミドカプセル「BMSH」(レブラミドカプセル)
新規収載とあわせてAGが収載されたのはゾニサミドTREとレナリドミドです。
今回初登場となる後発医薬品
まずは今回初収載となる医薬品&AGの一覧表です。
オセルタミビル錠75mg(タミフルカプセル75の別剤形)
「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防」の適応を持つタミフルカプセルの別剤形として初の錠剤が収載されました。
- オセルタミビル錠75mg「トーワ」
東和薬品 一社のみが承認を取得、薬価収載されています。
2023年12月追補品のご案内(東和薬品 医療関係者向けHP)
成分・規格 | 先発品薬価(タミフルカプセル) | 後発品薬価 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
オセルタミビル75mg | 230.20円/カプセル | 114.40円/錠 | 49.7% |
オセルタミビル錠75mg「トーワ」の薬価114.40円は既収載のオセルタミビルカプセル75mg「サワイ」と同じ薬価になっています。
新剤形とはいっても同じ区分(錠剤・カプセル剤・丸剤)であるためか薬価で評価されていません。(評価してほしいなあ)
収載と同時に発売開始となっています。
かなり小さな錠剤
実物を見た人は実感したと思いますが、オセルタミビル錠75mg「トーワ」は非常に小さいです。
タミフルはカプセルであるため、飲みにくさ・抵抗感を訴える方がいますが、これだけ小さな錠剤なら飲めるという方が多いと思います。
また、小さすぎて紛失するというようなこともなさそうで、個人的には理想的な大きさです。
粉砕の可否
ちょうど現在(2023 年12月)、タミフルドライシロップを含めるオセルタミビルドライシロップ製剤の供給不安が起きています。
オセルタミビル錠75mg「トーワ」については粉砕時ならびに簡易懸濁時の安定性データが公開されています。
まずは粉砕に関する情報です。
続いて簡易懸濁に関する情報です。
インタビューフォームにも記載されていますが、あくまでも「承認を受けていない品質に関する情報」で試験によって得られたデータを公開しているもので、実際に粉砕や簡易懸濁を行うかどうかは医療者の判断によります。
また、東和薬品のホームページには英語版を含む服薬指導せんも公開されています。
ゾニサミドOD錠TRE(トレリーフOD錠のGE)
「パーキンソン病」、「レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズム」の適応を持つトレリーフOD錠の後発品が初めて収載されました。
- ゾニサミドOD錠25mgTRE「SMPP」
- ゾニサミドOD錠50mgTRE「SMPP」
住友ファーマプロモ(SuMitomo Pharma Promo)一社単独、AG先行承認のまま薬価収載です。
剤形・規格 | 先発品(トレリーフOD錠) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
ゾニサミドOD錠25mg | 966.10円/錠 | 353.20円/錠 | 36.6% |
ゾニサミドOD錠50mg | 1449.10円/錠 | 529.80円/錠 | 36.6% |
一社のみの承認なので後発品の薬価は0.5掛けで算定されるルールなんですが、トレリーフOD錠は新薬創出等加算の対象のため、累積変換分を差し引いた(新薬創出等加算の返還)上で0.5掛けして後発品の薬価が算定されています。
そのため、トレリーフAGの薬価は先発品の36.6%とかなり安くなっていますね。
発売日と数量シェアの計算
発売日は2024年2月20日の予定となっています。
「オーソライズド・ジェネリック(AG)ゾニサミドOD錠TRE「SMPP」に関する薬価収載および発売日のお知らせ」(住友ファーマプロモ HP)
「ゾニサミドOD錠25mgTRE「SMPP」/OD錠50mgTRE「SMPP」の新発売のお知らせ」(住友ファーマプロモ 医療関係者向けHP)
トレリーフは高薬価で知られている製品ですから、AGでこれだけ安いものが登場すれば、一気に切り替えが進むのではないかと思います。
また、後発品数量シェアの計算でトレリーフが分母に含まれる(後発品のある先発品)のは4月1日からとなっています。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和5年12月8日適用)(厚生労働省)
住友ファーマのメリットは?
トレリーフは他に代替のない医薬品なので、他社が後発品の承認を取得していない段階で急いで後発品を発売するメリットはないと思うのですが、それでも薬価収載・発売を進めるのは、医療費削減・社会貢献の考えによるものではないかと推察します。
ジェネリックが登場した時点で次回の薬価改定では先発品のトレリーフOD錠についても新薬創出等加算の返還が実施され、大幅に薬価低下となります。
TREはトレリーフを意味する識別記号
TREは識別記号で、先発品であるトレリーフ(TRERIEF)の略称です。
同じゾニサミドを成分とする医薬品にはエクセグラン(EX:EXCEGRAN)が存在します。
単純に一般名ゾニサミドとしてしまうと先発品(用途が異なる)の区別がつかなくなるため名称に識別記号が含まれています。
先発医薬品名 | エクセグラン | トレリーフ |
---|---|---|
先発販売開始 | 2015年2月 | 1989年6月 |
後発医薬品名 | ゾニサミドEX(一部ゾニサミド) | ゾニサミドTRE |
適応 | 部分てんかんおよび全般てんかんの下記発作型
|
|
OD錠25mg 薬価(後発薬価) | 966.10(353.20)円/錠 | ー |
OD錠50mg 薬価(後発薬価) | 1449.10(529.80)円/錠 | ー |
錠100mg 薬価(後発薬価) | ー | 19.10(12.40)円/錠 |
散20% 薬価(後発薬価) | ー | 37.50(27.80)円/g |
ちなみに成分量だけ見ると100mg(散200mg)よりも25mgの薬価の方が圧倒的に高くなっています。
単純な製造コスト(成分量)のみが薬価を決めるわけではないというわかりやすい例ですね。
ベプリジル塩酸塩錠(ペプリコール錠のGE)
「持続性心房細動、頻脈性不整脈(心室性)」、「狭心症」の適応を持つベプリコール錠の後発品が初めて収載されました。
- ベプリジル塩酸塩錠50mg「TE」
- ベプリジル塩酸塩錠100mg「TE」
トーアエイヨー 一社のみが承認を取得し、薬価収載されました。
剤形・規格 | 先発品(ベプリコール錠) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
ベプリジル塩酸塩錠50mg | 44.50円/錠 | 22.30円/錠 | 50.1% |
ベプリジル塩酸塩錠100mg | 84.80円/錠 | 42.50円/錠 | 50.1% |
発売日については未定となっています。
べプリジル塩酸塩錠50mg「TE」・100mg「TE」 薬価基準収載のお知らせ(トーアエイヨー 医療関係者向けHP)
後発品の数量シェアに関する計算では、2024年4月1日から分母に含まれる(後発品がある先発品)こととなっています。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和5年12月8日適用)(厚生労働省)
ちなみにベプリコール錠の発売は1993年2月、30年経って初めての後発品が登場することになります。
レナリドミドカプセル(レブラミドカプセルのGE)
「多発性骨髄腫」、「5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群」、「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」、「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」の適応を持つレブラミドカプセルの後発品が初めて収載されました。
収載されたのはBMSH(ブリストル・マイヤーズスクイブ販売)、サワイ(沢井製薬)、F(富士製薬工業)の3社の製品で、BMSHはAGとしての承認です。
剤形・規格 | 先発品(レブラミドカプセル) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
レナリドミドカプセル2.5mg | 6783.90円/カプセル | 3385.90円/カプセル | 49.9% |
レナリドミドカプセル5mg | 8085.30円/カプセル | 4035.40円/カプセル | 49.9% |
ちなみに、BMSHとサワイは2月15日に承認、Fは8月15日に承認されていました。
「レナリドミドカプセル2.5mg、5mg「BMSH」」薬価基準収載・新発売のご案内(ブリストル・マイヤーズスクイブ 医療関係者向けHP)
レブラミドは先発品と後発品で適応が異なる
先発品と後発品で適応に違いがあるので注意が必要です。
適応 | 先発品 | 後発品 |
---|---|---|
多発性骨髄腫 | ◯ | ◯ |
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群 | ◯ | ◯ |
再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫 | ◯ | × |
再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫 | ◯ | × |
AGでもそれ以外の後発品でも適応の数は同じです。
レボカルニチンFF内用液(エルカルチンFF内用液のGE)
「カルニチン欠乏症」の適応を持つエルカルチンFF内用液の後発品が初めて収載されました。
収載されたのはトーワ(東和薬品)、アメル(共和薬品工業)の2社のみです。
剤形・規格 | 先発品(エルカルチンFF内用液) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
レボカルニチンFF内用液10% | 56.70円/mL | 30.30円/mL | 53.4% |
レボカルニチンFF内用液10%分包5mL | 293.40円/包 | 137.30円/包 | 46.8% |
レボカルニチンFF内用液10%分包10mL | 562.60円/包 | 263.30円/包 | 46.8% |
新製品2成分4品目が薬価基準追補収載(東和薬品 HP)2023年12月追補品のご案内(東和薬品 医療関係者向けHP)新発売のお知らせ(共和薬品工業 医療関係者向けHP)
東和薬品は薬価収載と同時発売したようですが、共和薬品工業もそうなのかな?
レボカルニチン製剤の沿革
レボカルニチン製剤については少しややこしい歴史があるので、後発品の登場と合わせて、備忘録もかねてここでまとめておきたいと思います。
1990年:エルカルチン錠100mg/300mg 発売
・有効成分はレボカルニチン塩化物
・適応は「プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善」
2011年3月:エルカルチン錠100mg/300mgの適応変更(公知申請)
・適応変更「プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症におけるレボカルニチン欠乏の改善」→「カルニチン欠乏症」
2013年2月:エルカルチンFF内用液10%、エルカルチンFF静注1000mg 発売
・有効成分はレボカルニチン
・適応は「カルニチン欠乏症」
・FFはFree Form(フリー体)の略
2014年12月: エルカルチンFF錠100mg/250mg 発売
・有効成分はレボカルニチン
・適応は「カルニチン欠乏症」
・内用液と静注に合わせる形でフリー体を有効成分とする錠剤を開発
・エルカルチン錠とエルカルチンFF錠では用法・用量が異なるため規格も変更
2015年12月:レボカルニチン塩酸塩錠100mg/300mg 発売
・有効成分はレボカルニチン塩化物
・エルカルチン錠100mg/300mgの後発品
2016年3月:エルカルチン錠100mg/300mgの発売中止・経過措置満了
・エルカルチンFF錠100mg/250mgの登場に伴い発売中止に
2017年12月:エルカルチンFF内用液10%分包5mL/分包10mL、エルカルチンFF静注1000mgシリンジ 発売
・エルカルチンFF内用液10%分包5mL/10mLはそれぞれアルミスティック分包品
・エルカルチンFF静注1000mgシリンジはプレフィルドシリンジ製剤
2020年3月:エルカルチンFF静注1000mgの発売中止・経過措置満了
・ガラスアンプル製品だったエルカルチンFF静注1000mgは発売中止に
2022年6月:レボカルニチンFF錠100mg/250mg、エルカルチンFF静注1000mgシリンジ 発売
・有効成分はレボカルニチン
・エルカルチンFF錠100mg/250mg、エルカルチンFF静注1000mgシリンジの後発品
2023年12月:レボカルニチンFF内用液10%/分包5mL/分包10mL 発売 ← NEW!
・有効成分はレボカルニチン
・エルカルチンFF内用液10%/分包5mL/分包10mLの後発品
自分たちは「エルカルチンとエルカルチンFFって何が違うの?」って疑問を持ちますが、今の若い薬剤さんからすると「FFって何?」なんでしょうね。
ジクアホソルNa点眼液(ジクアス点眼液のGE)
「ドライアイ」の適応を持つジクアス点眼液3%の後発品が初めて収載されました。
収載されたのはニットー(日東メディック、製造販売元は東亜薬品)の一社のみです。
剤形・規格 | 先発品(ジクアス点眼液) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
ジクアホソルNa点眼液3% | 529.70円/瓶 | 187.00円/瓶 | 35.3% |
一社のみの承認なので後発品の薬価は0.5掛けで算定されるルールなんですが、ジクアス点眼液は新薬創出等加算の対象のため、累積変換分を差し引いた(新薬創出等加算の返還)上で0.5掛けして後発品の薬価が算定されています。
そのため、ジクアホソルNa点眼液3%の薬価は先発品の35.3%とかなり安くなっていますね。
発売日は2024年2月14日の予定となっています。
新発売のご案内(ジクアホソルNa点眼液3%「ニットー」)(日東メディック 医療関係者向けHP)
ジクアス点眼液LXの後発品はまだと安心するなかれ
ジクアス点眼液3%には効果持続時間を改善したジクアスLX点眼液3%という別製品が存在します。
これ有効成分(ジクアホソルナトリウム)とその濃度(3%)は同一で添加物にポビドンを加えることで効果持続時間を伸ばし、点眼回数を半減させた製剤です。
後発医薬品の数量シェアの計算において「後発医薬品がある先発医薬品」とするかどうかは同一剤形・同一有効成分の後発品の有無で判断されます。
ということは・・・。
気になったので確認してみました。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和5年12月8日適用)(厚生労働省)
ジクアス点眼液3%だけでなくジクアスLX点眼液3%も「4月1日から「2」に変更」と記載されていますね。
「2」というのは「後発医薬品がある先発医薬品」ですから、ジクアスLX点眼液3%は直接の後発品がないのにも関わらず、後発医薬品の数量シェア(置換え率)では分母に入るということになります。(6月以降、後発医薬品調剤体制加算は廃止になりそうなのでどの程度影響するかはわかりませんが)
そもそも、ジクアス点眼液3%とジクアスLX点眼液3%では、剤形・有効成分・濃度が同じということで、一般名がどうなるかも気になるところです。
処方箋に記載する一般名処方の標準的な記載(一般名処方マスタ)について(令和5年12月8日適用)(厚生労働省)
特に注釈がないということは・・・
ジクアス点眼液3%とジクアスLX点眼液3%は同じ一般名「【般】ジクアホソルNa点眼液3%」で処方されることになりそうです。
用法がしっかり記載されていればまだ鑑別できそうですが、そうでなければ区別するのは不可能ですね・・・。
後追いAGも2製品登場
新規収載成分以外に気になるものをまとめます。
酢酸亜鉛錠「ノーベル」(ノベルジンAG)
「ウィルソン病(肝レンズ核変性症)」、「低亜鉛血症」の適応を持つノベルジン錠のAGが収載されています。
ノベルジン錠は製造販売元がノーベルファーマが取得していますが、酢酸亜鉛錠「ノーベル」は製造・販売元はダイト、販売提携先がノーベルファーマとなっています。
おそらく・・・ですが、ノベルジンの製造委託先がダイトで、その関係性を元にAGの製造・販売体制を構築したんじゃないかと思います。
剤形・規格 | 先発品(ノベルジン錠) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
酢酸亜鉛錠25mg | 230.40円/錠 | 100.60円/錠 | 43.7% |
酢酸亜鉛錠50mg | 361.00円/錠 | 157.60円/錠 | 43.7% |
CEO(セオリア ファーマ)とニプロも8月15日付で製造販売承認を取得していたのですが、収載は見送ったようです。
酢酸亜鉛錠についてはサワイ(沢井製薬)が収載・販売していますが、ノーベルファーマから訴訟を起こされており、特許の関係で他社は収載を見送ったのかもしれません。
「ノベルジン」特許に関する特許権侵害訴訟の提起について(ノーベルファーマ HP)
発売に向けて適応も先発品と同じに
承認取得時は(なぜか)「ウィルソン病(肝レンズ核変性症)しか適応がありませんでしたが、収載・発売前日の12月7日付で「低亜鉛血症」の適応を取得しています。
また、酢酸亜鉛錠「ノーベル」は薬価収載と同時に発売となったようです。
【AG】酢酸亜鉛錠25mg・50mg「ノーベル」 新発売、効能又は効果追加(低亜鉛血症)のお知らせ(ダイト HP)
ダサチニブ錠「BMSH」(スプリセルAG)
「慢性骨髄性白血病」、「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」の適応を持つスプリセル錠のAGが収載されています。
ダサチニブ錠「BMSH」の製造販売元はブリストル・マイヤーズスクイブ販売ですが、販売元は先発品のスプリセルの製造販売元のブリストル・マイヤーズスクイブとなっています。
剤形・規格 | 先発品(スプリセル錠) | 後発品 | 薬価割合(後発/先発) |
---|---|---|---|
ダサチニブ錠20mg | 3874.40円/錠 | 1273.40円/錠 | 32.9% |
ダサチニブ錠50mg | 9012.60円/錠 | 3034.40円/錠 | 33.7% |
先発品と同じ適応
ダサチニブ錠のジェネリックはすでに収載・販売されていましたが、既収載のJG(日本ジェネリック)、NK(日本化薬)、サワイ(沢井製薬)、トーワ(東和薬品)の製品は「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」の適応しか取得できていませんでした。
今回登場したAGはその強みを活かして「慢性骨髄性白血病」の適応を有しており、先発品との適応の違いをなくしています。
「ダサチニブ錠20mg、50mg「BMSH」」薬価基準収載・新発売のご案内(ブリストル・マイヤーズスクイブ 医療関係者向けHP)
また、収載と同時に発売されています。
薬価収載が見送られた製品
最後に2023年8月15日 承認品目のうち今回承認が見送られたものについてまとめておきます。
アビラテロン酢酸エステル錠250mg(ザイティガ錠のGE)
DSEP(第一三共エスファ)、JG(日本ジェネリック)、SUN(サンファーマ)、サンド、トーワ(東和薬品)、ニプロの6社が承認を取得していました。
各社ともに先発品と同じ「去勢抵抗性前立腺癌」、「内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌」の適応を取得していましたが、先発品に存在する500mgの承認を取得しているメーカーはありませんでした。
シタグリプチン錠(ジャヌビア/グラクティブのGE)
サワイ(沢井製薬)のみが承認を取得していました。
詳しくは承認時の記事に記載していますが、先発品は水和物なのに沢井製薬のジェネリックは水和物でなかったりと色々気になるところがありました。
令和5年8月15日に承認された後発医薬品【ザイティガ、エディロール錠、ジャヌビア/グラクティブ、トレリーフ、エフィエント、ベプリコール、アミティーザ、エルカルチンFF内用液、ジクアス】
MSDは沢井製薬と製造販売元のメディサ新薬を相手に訴訟を起こしているので、収載見送りにはそれが関係しているかもしれません。
シタグリプチンの知的財産権保護に関する訴状と仮処分申請を提出(MSD製薬 HP)
プラスグレル錠(エフィエントのGE)
トーワ(東和薬品)とDSEP(第一三共エスファ)の2社が承認を取得しており、DSEPはAGの可能性が高いと予想されています。
エフィエント錠の適応は「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患」と「虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化又は小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(2.5mg/3.75mgのみ)」の2種類ですが、ジェネリックはいずれのメーカーも「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患」の適応しか取得していませんでした。
ルビプロストンカプセル(アミティーザカプセルのGE)
VTRS(ヴィアトリス製薬)が承認を取得しており、AGとしての取得でした。
薬価が高い製品なので薬価収載が期待されましたが、AG一社の承認から予想されるように、収載は見送りとなっています。
エルデカルシトール錠「トーワ」(エディロール錠AG)
トーワ(東和薬品)が承認を取得しており、AGと予想されていました。
ただ、先発品のエディロール錠が2022年12月に発売されたばかりなのでさすがに薬価収載はまだまだ先だろうなと思います。
収載のタイミングはエディロール錠の売れ行き次第・・・ってとこでしょうね。
タフチモ配合点眼液「SEC」(タプコムAG)
SEC(参天アイケア)がAGを取得していましたが収載は見送りとなっています。
タフルプロスト点眼液0.0015%「SEC」
上記と同じくSEC(参天アイケア)がAGを取得していましたが収載は見送りとなっています。