一部変更承認 アドセトリス・オルケディア・キイトルーダ・シムジアなど〜20191220

  • 2019年12月22日
  • 2021年1月10日
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2019年12月20日付で適応追加などの一部変更承認が行われています。
今回承認されたのは、2019年11月25日の薬食審・医薬品第二部会と11月29日の薬食審・医薬品第一部会で承認了承されたものの一部と報告品目として挙げられたものです。
フィコンパ(部分発作に対する単独療法・小児適応の追加、細粒の剤形追加)の承認についてはまだのようですね。
剤形追加があるので、新薬と同じタイミングで承認されるのだと思います。(フィコンパ細粒は2020年1月23日付で承認されました。)

目次

令和元年12月20日付承認一覧(一変承認)

今回承認されたのは以下の内容です。

一変承認(2019.12.20)

医薬品名承認内容
アドセトリス点滴静注用末梢性T細胞リンパ腫
再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫には小児用量追加
オフェブカプセル全身性強皮症に伴う間質性肺疾患
オルケディア錠副甲状腺がん並びに副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
キイトルーダ点滴静注根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん
献血ヴェノグロブリンIH静注抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作
献血ベニロン-I静注用視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)
ザバクサ配合点滴静注用適応菌種「セラチア属及びインフルエンザ菌」
適応症「敗血症及び肺炎」
シムジア皮下注既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症
ダラザレックス点滴静注造血幹細胞移植を伴う大量化学療法が非適応で未治療の多発性骨髄腫患者へのDLd療法
バベンチオ点滴静注根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
ボトックス注用既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁
上肢痙縮の用量増量・投与部位追加

オフェブカプセル:全身性強皮症に伴う間質性肺疾患

表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。

医薬品名オフェブカプセル100mg
オフェブカプセル150mg
成分名ニンテダニブエタンスルホン酸塩
申請者日本ベーリンガーインゲルハイム
効能・効果
(追加)
全身性強皮症に伴う間質性肺疾患
指定等希少疾病用医薬品
海外承認米国(2019年9月)
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会

 

抗線維化作用を有する初のSSc-ILD治療薬

これまでの効能・効果は「特発性肺線維症」(IPF*1またはCFA*2)のみでした。
今回の承認で「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」の適応が追加されます。

SSc-ILDに対するオフェブ(ニンテダニブ)の作用機序

作用機序

血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α・β、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1〜3、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1〜3に結合し、活性化を阻害することで効果を発揮する低分子チロシンキナーゼ阻害薬です。
全身性強皮症(SSc*3)では間質性肺疾患(ILD*4)の合併が多くみられ、SSc-ILD*5(全身性強皮症に伴う間質性肺疾患)と呼ばれます。
SSc-ILDの発症メカニズムははっきりとは解明されていませんが、血管障害や自己免疫、繊維化の進展などのプロセスの異常が影響していると考えられています。
オフェブ(ニンテダニブ)はPDGFR、FGFR、VEGFRの活性化を阻害することで、

  • 繊維芽細胞への分化や増殖を抑制
  • 繊維芽細胞やリンパ球の集積を抑制
  • ケミカルメディエーターの産生を抑制

などの効果を発揮し、抗線維化作用を発揮します。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「5. 効能又は効果に関連する注意」に以下の項目が追加されています。

5. 効能又は効果に関連する注意
<全身性強皮症に伴う間質性肺疾患>
皮膚病変等の全身性強皮症に伴う間質性肺疾患以外の臓器病変に対する本剤の有効性は示されていない。
引用元:オフェブカプセル100mg/オフェブカプセル150mg添付文書改訂のお知らせ

また、「7. 用法及び用量に関連する注意」にも以下の項目が追加されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
<全身性強皮症に伴う間質性肺疾患>
7.3 シクロホスファミド、アザチオプリンとの併用時の有効性及び安全性は検討されていない。
引用元:オフェブカプセル100mg/オフェブカプセル150mg添付文書改訂のお知らせ

そのほか、「11. 副作用」や「16. 薬物動態」、「17. 臨床成績」、「18.薬効薬理」、「23.主要文献」の項でも改訂が行われています。

今回の承認に伴う添付文書改訂に合わせて、旧記載要領から新記載要領へ変更されており、それに伴う改訂も実施されています。
また、「授乳婦」に関する項目の見直しが行われています。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
引用元:オフェブカプセル100mg/オフェブカプセル150mg添付文書改訂のお知らせ

非臨床試験で乳汁中への移行が認められていますが、薬理作用や曝露量等からヒトで哺乳中の児における影響は不明となっています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

シムジア皮下注:既存治療で効果不十分な 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症

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医薬品名シムジア皮下注200mgシリンジ
シムジア皮下注200mgオートクリックス
成分名セルトリズマブペゴル(遺伝子組換え)
申請者ユーシービージャパン
効能・効果
(追加)
既存治療で効果不十分な下記疾患
尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症
用法・用量
(追加)
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
通常、成人にはセルトリズマブ ペゴル(遺伝子組換え)として、
1回400mgを2週間の間隔で皮下注射する。
症状安定後には、1回200mgを2週間の間隔、
又は1回400mgを4週間の間隔で皮下注射できる。
指定等なし
海外承認尋常性乾癬:30か国以上
関節症性乾癬:50か国以上
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会

 

乾癬に対する適応を持つ3番目のTNFα阻害薬

これまでの効能・効果は「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」のみでした。
今回の承認で「尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症」に対する適応が追加されます。
乾癬に対する適応を有するTNFα阻害薬には他に、アダリムマブ(ヒュミラ)とインフリキシマブ(レミケード)があります。

シムジア(セルトリズマブペゴル)の作用機序

作用機序

セルトリズマブペゴルはペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab’断片製剤(ヒト化抗ヒトモノクロナール抗体のFc領域を取り除いたFab’領域にポリエチレングリコールを結合したもの)です。
TNF-αと結合することで、TNFαとTNFα受容体との結合を阻害し、その活性を抑制する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。
最大の特徴はFc領域(補体結合部位)を持たないことです。
その結果、補体依存性細胞障害(CDC*6)や抗体依存性細胞傷害(ADCC*7)を有さないため、細胞障害性が低減され、投与部位反応が起こりにくいとされています。
また、Fc領域は胎盤透過性にも関与しているため、Fc領域を持たないことで胎児への影響も低減されています。
さらに、Fc領域の代わりにPEG*8が導入されることで分子量が小さくなり、水溶性も高められています。
その結果、組織移行性が高くなり、作用発現が比較的早いとされています。
PEG化により半減期も長くなっています。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「1.警告」に以下の項目が追加されています。

1.警告
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
1.5 本剤の治療を行う前に、光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)の適用を十分に勘案すること。また、本剤についての十分な知識と乾癬の治療に十分な知識・経験をもつ医師が使用すること。
引用元:シムジア皮下注200mgシリンジ・皮下注200mgオートクリックス 使用上の注意改訂のお知らせ

次に「5.効能又は効果に関連する注意」に以下の項目が追加されています。

5.効能又は効果に関連する注意
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
5.2 以下のいずれかを満たす患者に投与すること。

  • 光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者。
  • 難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する患者。

引用元:シムジア皮下注200mgシリンジ・皮下注200mgオートクリックス 使用上の注意改訂のお知らせ

「7. 用法及び用量に関連する注意」には以下の項目が追加されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
〈尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
7.5 本剤による治療反応は、通常投与開始から16週以内に得られる。16週以内に治療反応が得られない場合は本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
引用元:シムジア皮下注200mgシリンジ・皮下注200mgオートクリックス 使用上の注意改訂のお知らせ

そのほか、「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」や「11. 副作用」、「14. 適用上の注意」、「15. その他の注意」の項でも改訂が行われています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

ザバクサ配合点滴静注用:セラチア属及びインフルエンザ菌、敗血症及び肺炎

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医薬品名ザバクサ配合点滴静注用
成分名セフトロザン硫酸塩/タゾバクタムナトリウム
申請者MSD
効能・効果
(追加)
適応菌種「セラチア属及びインフルエンザ菌」
適応症「敗血症及び肺炎」
用法・用量
(追加)
〈敗血症、肺炎〉
通常、成人には
1回3g(タゾバクタムとして1g/セフトロザンとして2g)
を1日3回60分かけて点滴静注する。
指定等なし
海外承認米国や欧州など4か国(2019年8月)
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会

 

敗血症を起こすリスクのある尿路感染症や腹腔内感染症だけでなく、敗血症自体や肺炎に対しても使用可能になります。

これまでの効能・効果は、
適応菌種「本剤に感性のレンサ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、緑膿菌」、
適応症は「膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍」でした。
今回の承認で適応菌種「セラチア属及びインフルエンザ菌」、適応症「敗血症及び肺炎」が加わります。

適応の背景

細菌

近年、世界的に基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL*9)とよばれる酵素を産生する細菌(ESBL産生菌)が問題になっています。

ESBLsとは?

β-ラクタマーゼはβ-ラクタム系(ペニシリン系及びセファロスポリン系)抗菌薬を不活化させる酵素で、抗菌薬に対して細菌が耐性を獲得するための代表的な手段の一つです。
それに対抗するため、第3世代セファロスポリンやメチシリン、βラクタマーゼ阻害剤とβ−ラクタム系の配合剤などが開発されてきました。
そんな中出現したESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)とは、その名の通り基質特異性を拡張したβラクタマーゼです。
第3世代、第4世代のセファロスポリンやモノバクタムも基質として分解してしまうβラクタマーゼです。
ESBL産生菌は感受性試験では感性であるかのような結果を示すのに、実際に抗菌薬を投与すると期待されるような効果を発揮できない可能性があるため、注意を行う必要があります。

ザバクサの作用機序

作用機序

β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタム(TAZ*10)0.5gとセフェム系抗生物質薬セフトロザン(CTLZ*11)の配合剤(TAZ/CTLZ)です。
タゾバクタムはESBLを不活化させることができるため、それを含むザバクサはESBL産生菌を含む多くの多くのグラム陰性菌に対して効果が期待できます。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「効能・効果に関連する使用上の注意」に以下の項目が追加されています。

<効能・効果に関連する使用上の注意>
(2)肺炎の場合、臨床試験の対象が院内肺炎患者であったことを踏まえ、適切な患者に投与すること。
引用元:ザバクサ®配合点滴静注用の【効能・効果】【用法・用量】追加及び添付文書改訂のお知らせ

「用法・用量に関連する使用上の注意」には以下の項目が追加されています。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
(3)肺炎及び敗血症の場合、本剤の適応菌種等を踏まえ、必要に応じてグラム陽性菌に抗菌活性を有する適切な薬剤を併用して治療を行うこと。

クレアチニンクリア ランス(CLCR)本剤投与量
30~50mL/min1回1.5g1)を1日3回投与
15~29mL/min1回750mg2)を1日3回投与
血液透析中の腎不全患者1回450mg3)を1日3回投与。
ただし、初回のみ2.25g4)とすること
(血液透析実施日は透析終了後速やかに投与)。

1) 本剤1.5g(タゾバクタム0.5g、セフトロザン1g)
2) 本剤750mg(タゾバクタム250mg、セフトロザン500mg)
3) 本剤450mg(タゾバクタム150mg、セフトロザン300mg)
4) 本剤2.25g(タゾバクタム0.75g、セフトロザン1.5g)
引用元:ザバクサ®配合点滴静注用の【効能・効果】【用法・用量】追加及び添付文書改訂のお知らせ

そのほか、「4.副作用」や「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項でも改訂が行われています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

バベンチオ点滴静注:根治切除不能又は転移性の腎細胞がん

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医薬品名バベンチオ点滴静注200mg
成分名アベルマブ(遺伝子組換え)
申請者メルクバイオファーマ
効能・効果
(追加)
根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
用法・用量
(追加)
〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
アキシチニブとの併用において、
通常、成人にはアベルマブ(遺伝子組換え)として、
1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で
1時間以上かけて点滴静注する。
指定等なし
海外承認米国(2019年5月)
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会

 

腎細胞がんに対する適応を持つ初の抗PD-L1抗体。抗PD-L1抗体とTKIの併用も初です。

これまでの効能・効果は、「根治切除不能なメルケル細胞癌」でした。
今回の承認で「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」が加わります。

バベンチオ(アベルマブ)の作用機序

作用機序

活性化された免疫細胞(T細胞やB細胞)の表面には、PD-1*12と呼ばれる、免疫細胞のアポトーシス(細胞自己死)に拘わる分子が存在しています。
PD-1は免疫のブレーキ役(免疫チェックポイント)として免疫応答を調節しており、リガンドであるPD-L1*13が結合すると、免疫細胞としての反応が抑制されます。
がん細胞は自身の表面にPD-L1を発現させることで、免疫反応による攻撃を回避します。
バベンチオの有効成分であるアベルマブはヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体です。
アベルマブはPD-L1に結合することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害し、免疫反応のブレーキが解除、がんを抗原とする抗原抗体反応を増強、悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」の適応では、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI*14) インライタ(アキシチニブ)と併用されます。
チロシンキナーゼ阻害薬と併用する適応を持つがん免疫療法薬はバベンチオが初めてです。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「5. 効能又は効果に関連する注意」が追加されています。

5. 効能又は効果に関連する注意
〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
5.1 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
引用元:バベンチオ 添付文書改訂のお知らせ

「8. 重要な基本的注意」の8.4 甲状腺機能障害、副腎機能障害に関する記載に、下垂体機能障害に関する内容が以下の下線部の通り追記されました。

8. 重要な基本的注意
8.4 甲状腺機能障害、副腎機能障害及び下垂体機能障害があらわれることがあるので、定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を行うこと。また、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること。
引用元:バベンチオ 添付文書改訂のお知らせ

また、「8. 重要な基本的注意」には重症筋無力症に関する記載が追加されています。

8. 重要な基本的注意
8.10 重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと。
引用元:バベンチオ 添付文書改訂のお知らせ

そのほか、「7. 用法及び用量に関連する注意」や「11. 副作用」、「17. 臨床成績」の項でも改訂が行われています。

インライタの添付文書改訂

添付文書

今回の承認でバベンチオはインライタと併用されます。
(また、下にまとめているように、インライタにはキイトルーダとの併用も加わります。)
そのため、インライタの添付文書改訂も実施されているのでまとめておきます。
「5. 効能又は効果に関連する注意」から以下の内容が削除されています。

5. 効能又は効果に関連する注意
抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)による治療歴のない根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
引用元:インライタ 使用上の注意改訂のお知らせ

「7. 用法及び用量に関連する注意」が以下のように変更されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 他の抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)による治療歴のない患者に対しては、PD-1/PD-L1阻害剤と併用することとの併用について、有効性及び安全性は確立していない
引用元:インライタ 使用上の注意改訂のお知らせ

そのほか、「11. 副作用」でも改訂が行われています。
また、今回の承認に伴う添付文書改訂に合わせて、旧記載要領から新記載要領へ変更されており、それに伴う改訂も実施されています。

最適推進ガイドラインの改訂

今回の適応追加に伴い、最適推進ガイドラインも改訂されています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

キイトルーダ点滴静注:根治切除不能又は転移性の腎細胞がん、再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん

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医薬品名キイトルーダ点滴静注20mg
キイトルーダ点滴静注100mg
成分名ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
申請者MSD
効能・効果
(追加)
根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん
用法・用量
(追加)
〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌〉
通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、
1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。
〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
アキシチニブとの併用において、
通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、
1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。
指定等なし
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会(報告品目)

 

キイトルーダとTKIの併用(腎細胞がん)は初めてです。

これまでの効能・効果は以下の通りでした。

  • 悪性黒色腫
  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
  • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
  • がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌
  • がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)

今回の承認で「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」と「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん」が加わります。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序

作用機序

活性化された免疫細胞(T細胞やB細胞)の表面には、PD-1*15と呼ばれる、免疫細胞のアポトーシス(細胞自己死)に拘わる分子が存在しています。
PD-1は免疫のブレーキ役(免疫チェックポイント)として免疫応答を調節しており、リガンドであるPD-L1*16が結合すると、免疫細胞としての反応が抑制されます。
がん細胞は自身の表面にPD-L1を発現させることで、免疫反応による攻撃を回避します。
キイトルーダの有効成分であるペムブロリズマブはヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体です。
ペムブロリズマブは免疫細胞表面のPD-1に結合することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害し、免疫反応のブレーキが解除、がんを抗原とする抗原抗体反応を増強、悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

腎細胞がんについては、審議品目だったバベンチオ点滴静注と同様に、TKI インライタ(アキシチニブ)と併用します。
キイトルーダとTKIの併用は初めてです。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「5. 効能又は効果に関連する注意」に以下の項目が追加されています。

5. 効能又は効果に関連する注意
〈根治切除不能又は転移性の腎細胞癌〉
5.14 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌〉
5.15 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.16 本剤単独投与の延命効果は、PD-L1を発現した腫瘍細胞及び免疫細胞(マクロファージ及びリンパ球)が占める割合 (CPS)により異なる傾向が示唆されている。CPSについて、 「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
5.17「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
引用元:キイトルーダ®点滴静注20mg・100mgの「効能又は効果」「用法及び用量」追加及び添付文書改訂のお知らせ

「7. 用法及び用量に関連する注意」に以下の項目が追加されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
〈再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌〉
7.2 本剤の用法及び用量は「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること。
引用元:キイトルーダ®点滴静注20mg・100mgの「効能又は効果」「用法及び用量」追加及び添付文書改訂のお知らせ

加えて、肝機能障害発現時の対応について、「腎細胞癌患者」における記載が追加されています。(省略)

そのほか、「8. 重要な基本的注意」や「11. 副作用」、「16. 薬物動態」、「17. 臨床成績」の項でも改訂が行われています。
また、今回の承認に伴う添付文書改訂に合わせて、旧記載要領から新記載要領へ変更されており、それに伴う改訂も実施されています。

インライタの添付文書改訂

バベンチオについての内容でまとめているのでそちらを参照してください。

最適推進ガイドラインの改訂

今回の適応追加に伴い、最適推進ガイドラインも改訂されています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

アドセトリス点滴静注用:末梢性T細胞リンパ腫

表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。

医薬品名アドセトリス点滴静注用50mg
成分名ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)
申請者武田薬品
効能・効果
(変更)
末梢性T細胞リンパ腫
再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫
用法・用量
(変更・追加)
<未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫>
シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾロンとの併用において、
通常、成人には、 ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として
3週間に1回1.8mg/kg(体重)を最大8回点滴静注する。
なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
<再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫>
通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として
3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。
なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
指定等なし
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会(報告品目)

 

末梢性T細胞リンパ腫への適応拡大と小児用量の追加

これまでの効能・効果は、「ホジキンリンパ腫」と「再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫」でした。
今回の承認により「ホジキンリンパ腫」と「(CD30陽性)末梢性T細胞リンパ腫」への適応に変更となります。
(より広い概念のリンパ腫へ適応拡大となりました)
また、既治療の(再発又は難治性の)(CD30陽性)末梢性T細胞リンパ腫では小児に対しても使用可能になります。

アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)の作用機序

作用機序

アドセトリスの有効成分であるブレンツキシマブ ベドチンは微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体です。
CD30抗原を標的とする抗CD30モノクローナル抗体に微小管阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンE(MMAE*17)を結合させた抗体-薬物複合体(ADC*18)です。
ブレンツキシマブ ベドチンは抗CD30モノクローナル抗体としての働きにより、CD30抗原が発現した細胞に選択的に取り込まれます。
ブレンツキシマブ ベドチンは血中では安定ですが、細胞内に取り込まれると蛋白分解酵素により抗体部分と薬物部分(MMAE)に分離されます。
細胞内で分離したMMAEはチューブリンに結合して微小管形成を阻害し、細胞周期の停止をさせ、アポトーシスを誘導します。
この性質により、アドセトリスはCD30陽性の腫瘍細胞に対して抗腫瘍効果を発揮します。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「7. 用法及び用量に関連する注意」や「8. 重要な基本的注意」、「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」、「11. 副作用」、「16. 薬物動態」、「17. 臨床成績」、「23. 主要文献」の改訂が行われています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

ダラザレックス点滴静注:造血幹細胞移植を伴う大量化学療法が非適応で未治療の多発性骨髄腫患者へのDLd療法

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医薬品名ダラザレックス点滴静注100mg
ダラザレックス点滴静注400mg
成分名ダラツムマブ(遺伝子組換え)
申請者ヤンセンファーマ
用法・用量
(変更後)
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、
通常、成人にはダラツムマブ(遺伝子組換え)として、1回16mg/kgを
併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、
以下のA法又はB法の投与間隔で点滴静注する。
A法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
B法:1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
指定等なし
審議2019年11月25日 薬食審・医薬品第二部会(報告品目)

 

造血幹細胞移植を伴う大量化学療法が非適応であれば、未治療の多発性骨髄腫患者に対してDLd療法を行うことが可能に

今回の承認により、造血幹細胞移植を伴う大量化学療法が非適応で未治療の多発性骨髄腫患者へのダラザレックスとレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(DLd療法*19)が保険対象となりました。

ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序

作用機序

ダラザレックスの有効成分であるダラツムマブはヒト型抗CD38モノクローナル抗体です。
多発性骨髄腫細胞のほとんどは細胞表面にCD38という抗原が発現しています。
ダラツムマブはCD38抗原に特異的に結合することで、補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貪食(ADCP*20)作用を引き起こし、腫瘍細胞を破壊、増殖を抑制します。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「7. 用法及び用量に関連する注意」が以下のように変更されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.2 本剤の投与間隔、投与間隔の変更時期、本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で選択すること。また、併用薬剤の添付文書を熟読すること。
引用元:ダラザレックス®点滴静注100mg・400mg「使用上の注意」の改訂に伴うお知らせ

そのほか、「11. 副作用」の項でも改訂が行われています。
また、今回の承認に伴う添付文書改訂に合わせて、旧記載要領から新記載要領へ変更されており、それに伴う改訂も実施されています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

DRdはDLdの間違いじゃないかと思うんですが・・・。

ボトックス注用:排尿障害に関する適応追加

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医薬品名ボトックス注用50単位
ボトックス注用100単位
成分名A型ボツリヌス毒素
申請者グラクソ・スミスクライン
効能・効果
(追加①)
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない
神経因性膀胱による尿失禁
用法・用量
(追加①)
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として
100単位を排尿筋に分割して注射する。
再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、
投与間隔は12週以上とすること。
既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない
神経因性膀胱による尿失禁

通常、成人にはA型ボツ リヌス毒素として
200単位を排尿筋に分割して注射する。
再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、
投与間隔は12週以上とすること。
用法・用量
(追加②)
上肢痙縮
通常、成人には A 型ボツリヌス毒素として
複数の緊張筋*に合計400単位を分割して筋肉内注射する。
1回あたりの最大投与量は400単位であるが、
対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。
また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、
投与間隔は12週以上とすること。
*緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、
尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、
長母指屈筋、母指内転筋等
指定等なし
海外承認①90か国以上(2019年8月)
②欧米など92の国または地域(2019年8月)
審議2019年11月29日 薬食審・医薬品第一部会
②は同日に報告品目として

 

脊椎損傷等で通常のOAB治療薬では効果が期待できない排尿障害に対する治療選択肢が加わります。また、上肢痙縮に対しては、注射部位の追加、用量増量によって、効果上昇が期待されます。

これまでの効能・効果は以下の通りでした。

  • 眼瞼痙攣
  • 片側顔面痙攣
  • 痙性斜頸
  • 上肢痙縮
  • 下肢痙縮
  • 2歳以 上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足
  • 重度の原発性腋窩多汗症
  • 斜視
  • 痙攣性発声障害

今回の承認で「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」と「既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」の適応が追加されます。
この適応追加については、日本排尿機能学会から開発要望が出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の議論を経て、厚生労働省が開発を要請したものです。

また、上肢痙縮に関して用法・用量の変更が行われています。
これまでは、「成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計240単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は240単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。」となっていましたが、1回あたりの最大投与量が240単位から400単位に増量されています。
また、これまでの投与部位は「緊張筋:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等」でしたが、「上腕二頭筋」、「上腕筋」、「腕橈骨筋」が加わりました。

ボトックスの作用機序

作用機序

A型ボツリヌス毒素により末梢神経終末内でのアセチルコリンの放出が抑制され、筋弛緩作用を発揮します。
膀胱に投与した場合、膀胱容積が拡大され、緊張筋に投与した場合、痙縮が緩和されます。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「警告」に以下の2項目が追加されています。

【警告】
(4) 過活動膀胱及び神経因性膀胱に対する投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、膀胱鏡を用いた本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行うこと。
(7) 自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者には、緊急時に十分対応できる医療施設において、全身麻酔や血圧モニタリングを実施できる環境の下、本剤を投与すること。
引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

「禁忌」に以下の項目が追加されます。

【禁忌】
(3)過活動膀胱及び神経因性膀胱においては、尿路感染症を有する患者及び導尿を日常的に実施していない尿閉を有する患者[本剤の投与により、病態を悪化させる可能性がある。] 引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

「効能・効果に関連する使用上の注意」に以下の2項目が追加されます。

効能・効果に関連する使用上の注意
(4) 本剤を過活動膀胱に対して投与する場合は、以下の点に注意すること。

  • 1) 以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
    • 抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者
    • 抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動 薬の投与が副作用の発現により困難な患者
    • 抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者
  • 2) 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮すること。

(5)本剤を神経因性膀胱に対して投与する場合は、以下の点に注意すること。

  • 1)以下に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
    • 抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者
    • 抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者
    • 抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者
  • 2)下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者で は、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先すること。また、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断すること。

引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

「用法・用量に関連する使用上の注意」に以下の内容が追加されます。
まずは、上肢痙縮の投与部位追加に関する部分。

用法・用量に関連する使用上の注意
上肢痙縮:
(2)上肢痙縮患者には、筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。

投与筋投与量(単位/筋)投与部位数(部位/筋)
上腕二頭筋702
上腕筋451
腕橈骨筋451

(以下省略)
引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

次に、過活動膀胱/神経因性膀胱に関する部分

用法・用量に関連する使用上の注意
過活動膀胱/神経因性膀胱:
(1)過活動膀胱及び神経因性膀胱で排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
(2)本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行うこと。局所麻酔薬を注入した 場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄すること。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行うこと。
(3)膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する。その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通するおそれがあるため、生理食塩液の過量注入に注意すること。投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認すること。
(4)本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されている。各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避けること。
引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

「2. 重要な基本的注意」に以下の通り下線部が追加されています。

2. 重要な基本的注意
(2) 本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。
2)本剤の投与は対症療法であり、その効果は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2 歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、斜視及び痙攣性発声障害では通常3~4ヵ月、重度の原発性腋窩多汗症では通常4~9ヵ月、過活動膀胱では通常4~8ヵ月、神経因性膀胱では通常8~11ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
3)〜11) 省略
12) 過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤投与により、残尿量が増加し導尿が必要になる場合がある。また、本剤投与により尿閉及び尿路感染が発現することがある。本剤投与後に排尿困難、混濁尿、頻尿、排尿痛、発熱、悪寒、血尿等の症状があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。
13) 脊髄損傷等を有する神経因性膀胱患者においては、本剤投与により筋力低下等が発現した場合、日常生活動作の制限が増大する可能性がある。

(3)〜(11) 省略
(12)本剤を過活動膀胱及び神経因性膀胱患者に投与する場合は、尿路感染の発現に注意し、適切な感染対策を講じること。
(13)抗血小板薬及び抗凝固薬を投与中の過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、排尿筋への注射による出血のリスクが増大することから、本剤投与前に抗血小板薬及び抗凝固薬の休薬等を行うこと。
(14)過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、本剤の投与手技により血尿、排尿困難、膀胱痛等が発現するおそれがある。本剤投与後は患者の状態を十分に観察し、症状があらわれた場合には適切に処置すること。
(15)自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者においては、本剤の投与手技に起因する自律神経異常反射を来すおそれがあることから、直ちに適切な処置を行えるようにしておくこと。
(16)導尿を実施していない過活動膀胱及び神経因性膀胱患者においては、投与後2週間以内に残尿量を測定し、その後は必要に応じて投与後12週までを目安に残尿量測定を定期的に行うこと。

引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

「10. その他の注意」の項に以下の通り下線部の内容が追記されています。

10. その他の注意
(5)動物実験(ラット及びサル)により、本剤投与部位以外の遠隔の筋において、筋萎縮や筋重量減少等の障害が発生したとの報告がある。また、膀胱周囲臓器への誤投与による影響を検討したサルの毒性試験において、本剤を前立腺部尿道及び直腸並びに前立腺内に投与した際に膀胱結石が用量依存的に認められた。
※:過活動膀胱及び神経因性膀胱に対して承認されている本剤の用法は「排尿筋に注射」である。

引用元:ボトックス注用50単位・100単位 効能・効果、用法・用量、使用上の注意改訂のお知らせ

そのほか、「4. 副作用」、「9. 適用上の注意」、の項でも改訂が行われています。
また、今回の承認に伴う添付文書改訂に合わせて、旧記載要領から新記載要領へ変更されており、それに伴う改訂も実施されています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

献血ベニロン-I静注用:視神経炎の急性期に対する適応追加

表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。

医薬品名献血ベニロン-I静注用500mg
献血ベニロン-I静注用1000mg
献血ベニロン-I静注用2500mg
献血ベニロン-I静注用5000mg
成分名乾燥スルホ化人免疫グロブリン
申請者KMバイオロジクス
効能・効果
(追加)
視神経炎の急性期
(ステロイド剤が効果不十分な場合)
用法・用量
(追加)
視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)
通常、1日にスルホ化人免疫グロブリンG 400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する。
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし

 

ステロイド剤で効果が発揮されない視神経炎に対しての新たな選択肢が加わります。

これまでの効能・効果は以下の通りでした。

  • 低又は無ガンマグロブリン血症
  • 重症感染症における抗生物質との併用
  • 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
  • 川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)
  • ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)
  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)
  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善

今回の承認で「視神経炎の急性期(ステロイド剤が効果不十分な場合)」の適応が追加されます。

適応の背景

目

視神経炎のうち、抗アクアポリン4(AQP4*21)抗体陽性の抗AQP4抗体陽性視神経炎と呼ばれるものが存在します。
通常の視神経炎であればステロイド療法で改善するのですが、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD*22)である抗AQP4抗体陽性視神経炎はステロイド治療に抵抗を示します。
(NMOSDについては過去記事 2019.11.22 ソリリス:NMOSD の中で解説しています。)
抗AQP4抗体陽性視神経炎であってもステロイド療法が効くことはありますが、無効例が多いです。
その場合、血漿交換療法や大量免疫グロブリン療法などが行われます。

献血ベニロン-I(乾燥スルホ化人免疫グロブリン)の作用機序

作用機序

献血ベニロン-Iは静注用免疫グロブリン製剤です。
免疫グロブリン製剤である献血ベニロン-Iは、抗AQP4抗体の働きを抑制し、補体依存性細胞傷害(CDC)作用や抗体依存性細胞介在性傷害(ADCC)作用を抑制することでステロイド剤で効果が発揮されない抗体陽性の抗AQP4抗体陽性視神経炎に対して効果を発揮します。
血漿交換療法や大量免疫グロブリン療法のどちらも保険適応外であることが問題でしたが、今回、献血ベニロン-Iが保険適応になることで治療を行いやすくなります。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「効能・効果に関連する使用上の注意」に2つの項目が以下の通り追加されています。

〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
(4)視神経炎の急性期の治療に用いる場合は、ステロイド剤による適切な治療(原則として、メチルプレドニゾロン1,000mg/日を3日間以上点滴静注) によっても十分な効果の得られない患者を対象とすること。
(5)視神経炎の急性期の治療に用いる場合は、原則として、抗アクアポリン4(AQP4) 抗体陽性の患者へ投与すること。抗AQP4抗体陰性の患者は種々の病態を含むため、自己免疫性の病態が疑われ、他の治療で改善が認められない又は他の治療が困難な場合にのみ投与を検討すること。
引用元:献血ベニロン-I 添付文書改訂のお知らせ

「用法・用量に関連する使用上の注意」に以下の項目が追加されています。

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
(6)視神経炎の急性期の治療において、本剤投与後4週間は再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない)。
引用元:献血ベニロン-I 添付文書改訂のお知らせ

また、「2.重要な基本的注意」には以下の2つの項目が追加されています。

2.重要な基本的注意
(10)視神経炎の急性期において、本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化や新たな視神経炎の発現等が認められた場合には、治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で、本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない)。
(11)視神経炎の急性期への投与は、視神経炎の病態・ 診断及び本剤に関する十分な知識を有し、本剤の副作用への対処が可能な医師との連携のもとで行うこと。
引用元:献血ベニロン-I 添付文書改訂のお知らせ

そのほか、「3.相互作用」、「4.副作用」、「【臨床成績】」の項でも改訂が行われています。

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現時点での関連リンクをまとめておきます。

献血ヴェノグロブリンIH静注:抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作

表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。

医薬品名献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注1g/20mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注5g/100mL
献血ヴェノグロブリンIH5%静注10g/200mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注0.5g/5mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注2.5g/25mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注5g/50mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注10g/100mL
献血ヴェノグロブリンIH10%静注20g/200mL
成分名ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
申請者日本血液製剤機構
効能・効果
(追加)
抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作
用法・用量
(追加)
献血ヴェノグロブリンIH5%静注
通常,人免疫グロブリンGとして,
1日あたり1,000mg(20mL)/kg体重を点滴静注する.
ただし,患者の年齢及び状態に応じて適宜減量する.
なお,総投与量は4,000mg(80mL)/kg体重を超えないこと.
献血ヴェノグロブリンIH10%静注
通常,人免疫グロブリンGとして,
1日あたり1,000mg(10mL)/kg体重を点滴静注する.
ただし,患者の年齢及び状態に応じて適宜減量する.
なお,総投与量は4,000mg(40mL)/kg体重を超えないこと.
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし
審議2019年11月29日 薬食審・医薬品第一部会

 

保険適応の範囲で行える抗ドナー抗体陽性腎移植レシピエントの脱感作には「二重ろ過血漿交換療法」以外ありませんでしたが、海外でガイドライン化されている「高用量IVIGを用いた脱感作療法」も使用可能になりました。

これまでの効能・効果は以下の通りでした。

  • 低並びに無ガンマグロブリン血症
  • 重症感染症における抗生物質との併用
  • 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で,著明な出血傾向があり,外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
  • 川崎病の急性期(重症であり,冠動脈障害の発生の危険がある場合)
  • 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)
  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善
  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
  • 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
  • 天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)
  • 血清IgG2値の低下を伴う,肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎,急性気管支炎又は肺炎の発症抑制(ワクチン接種による予防及び他の適切な治療を行っても十分な効果が得られず,発症を繰り返す場合に限る)
  • 水疱性類天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)
  • ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)

※献血ヴェノグロブリンIH5%静注10g/200mLのみ適応なし
今回の承認で「抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作」の適応が追加されます。

免疫グロブリン大量療法による脱感作

作用機序

免疫グロブリン療法(IVIG*23)は、免疫グロブリン大量療法や大量免疫グロブリン療法、免疫グロブリン大量点滴静注療法とも呼ばれます。
高用量IVIGを用いた脱感作療法は複数の国でガイドライン化されていますが日本では使用できていませんでした。
その作用機序ははっきりと解明されていませんが、以下のように推測されています。(日本血液製剤機構 HPより)

自己免疫疾患に対する作用22)
1981年に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対して、免疫グロブリン製剤の大量療法が有効であると報告されて以来、多くの自己免疫疾患において免疫グロブリン製剤の大量療法が行われるようになりました。現在、免疫グロブリン製剤の作用機序として、次のような作用メカニズムが考えられています。
① Fcレセプターを介した作用
免疫グロブリンがマクロファージなどの貪食細胞上のFcレセプターに結合、飽和することにより、自己抗体結合によるオプソニン化を阻害し、貪食細胞による標的細胞の障害をブロックします。
② 補体結合抑制
補体活性化経路のC3bの活性化を抑制し、以降の補体複合体の形成を抑制します。また活性化マクロファージ表面の補体レセプターに結合、飽和し、C3bによるオプソニン化を抑制すると考えられます。
③ 抗イディオタイプ抗体を介した作用
免疫グロブリン製剤は多くの健常人の血漿から製造されるため、抗イディオタイプ抗体を多数含有していますので、これによる自己抗体の中和や、B細胞への作用による自己抗体産生の抑制が考えられます。
④ IgGの異化亢進
エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれたIgGはリソソームに運ばれ分解されますが、胎児性Fc受容体(FcRn)に結合すると異化されず循環血液中に戻されます。
投与された免疫グロブリンにより血中IgG濃度が上昇しFcRnが飽和されると、IgGの異化が亢進し、病因的なIgG自己抗体が減少すると推測されます。
⑤ サイトカイン・ケモカインに対する作用
IL-1やTNF-αなどの炎症性サイトカイン、炎症を促進させるmatrix metalloproteinase(MMP)の発現、ケモカインやその受容体に作用することによるマクロファージの炎症関連たん白発現の抑制効果が報告されています。
⑥ Tリンパ球との相互作用
免疫グロブリン製剤にはT細胞レセプターのβ鎖の可変部に対する抗体やCD4、HLA-Iなどに対する抗体が含まれており、T細胞の機能を低下させリンパ球増殖や抗体産生を抑制すると考えられます。
22) 千葉 厚郎:≪治療の実際―作用機序と適応・効果・副作用≫免疫グロブリン静注療法、内科、2010年
引用元:血漿たん白の生理作用とその適応の概要

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「警告」が追加されています。

【警告】
抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に用いる場合は,腎移植患者の管理に精通している医師又はその指導の記載なしもとで行うこと.
引用元:添付文書改訂のお知らせ

「用法・用量に関連する使用上の注意」に以下の項目が追加されています。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
( 8 )抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に用いる場合は,本剤は投与開始から7日間以内を目安に投与を完了するが,患者の年齢及び状態に応じて適宜調節すること.
引用元:添付文書改訂のお知らせ

「使用上の注意」の「2.‌重要な基本的注意」に以下の項目が追加されています。

【使用上の注意】
2.‌重要な基本的注意
(12)本剤を抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作に対して用いる場合,大量投与に伴う水分負荷を考慮し,適切な水分管理を行うこと.
引用元:添付文書改訂のお知らせ

「使用上の注意」の「7.‌重要な基本的注意」に以下の項目が追加されています。

【使用上の注意】
7.‌小児等への投与
(‌1‌)抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作
小児等に対する安全性は確立していない.
(‌2‌)‌抗ドナー抗体陽性腎移植における術前脱感作以外の効能・効果
低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない.
引用元:添付文書改訂のお知らせ

そのほか、「3.‌相互作用」、「4.‌副作用」、「臨床成績」、「薬効薬理」、「承認条件」の項でも改訂が行われています。

メーカーからの案内

現時点での関連リンクをまとめておきます。

オルケディア錠:副甲状腺がん、副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症

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医薬品名オルケディア錠1mg
オルケディア錠2mg
成分名エボカルセト
申請者協和キリン
効能・効果
(追加)
下記疾患における高カルシウム血症
副甲状腺がん
副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
効能・効果
(追加)
下記疾患における高カルシウム血症
副甲状腺がん
副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
用法・用量
(追加)
〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、
副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉

通常、成人には、エボカルセトとして1回2mgを開始用量とし、
1日1回経口投与する。
患者の血清カルシウム濃度に応じて開始用量として1回 2mgを1日2回経口投与することができる。
以後は、患者の血清カルシウム濃度により投与量及び投与回数を適宜増減するが、
投与量は1回6mgまで、投与回数は1日4回までとする。
指定等希少疾病用医薬品
海外承認なし
審議2019年11月29日 薬食審・医薬品第一部会

 

レアなケースではありますが、高カルシウム血症クリーゼを引き起こす可能性もある症例に対して治療を行うことが可能になります。

これまでの効能・効果は、「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」でした。
今回の承認で「下記疾患における高カルシウム血症 副甲状腺がん、副甲状腺摘出手術または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症」の適応が追加されます。

適応の背景

首

原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT*24)は、腫瘍などの影響で副甲状腺ホルモン(PTH*25)が過剰分泌される疾患です。
副甲状腺がんやPTHは血中のカルシウム濃度を高めてしまうため、高カルシウム血症を起こしてしまいます。
治療の第一選択は副甲状腺摘出術(PTx*26)ですが、合併症などの問題でPTxが不能な場合があります。

オルケディア(エボカルセト)の作用機序

作用機序

オルケディアの有効成分であるエボカルセトはカルシウム受容体作動薬です。
カルシウム受容体は副甲状腺細胞表面に存在し、PTH分泌とPTH生合成の制御を行っています。
エボカルセトはカルシウム受容体に作用することで、PTHの分泌を抑制、血中PTH濃度を低下させます。

適応追加に伴う添付文書改訂部分

添付文書

効能追加に伴い、添付文書の使用上の注意が改訂されています。
「7. 用法及び用量に関連する注意」が以下のように変更されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
〈副甲状腺癌における高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症〉
7.6 血清カルシウム濃度は、本剤の開始時及び用量調整時は2週に1回を目安に測定し、維持期には定期的に測定することが望ましい。
7.7 血清カルシウム濃度が12.5mg/dLを超える場合には、開始用量として1回2mg1日2回を考慮すること。
7.8 投与量の調整が必要な場合には、下表を参考に投与量を増減すること。なお、増量する場合には原則として2週間以上の間隔をあけて1段階ずつ行うこと。血清カルシウム濃度のコントロールが困難な場合には1回投与量の増減幅を1mgとしてもよい。

段階用法・用量1日投与量
12mg 1日1回2mg
22mg 1日2回4mg
34mg 1日2回8mg
46mg 1日2回12mg
56mg 1日3回18mg
66mg 1日4回24mg

7.9 血清カルシウム濃度が7.5mg/dL以下に低下した場合は、直ちに休薬すること。また、必要に応じてカルシウム剤やビタミンD製剤の投与を考慮すること。
7.10 低アルブミン血症(血清アルブミン濃度が4.0g/dL未満)の場合には、補正値を指標に用いることが望ましい。
引用元:オルケディア錠1mg・2mg「使用上の注意改訂のお知らせ」

そのほか、「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」、「11. 副作用」の項でも改訂が行われています。

メーカーからの案内

現時点での関連リンクをまとめておきます。

*1:Idiopathic pulmonary fibrosis

*2:Cryptogenic Fibrosing Alveolitis

*3:Systemic sclerosis

*4:Interstitial Lung Disease

*5:Systemic Sclerosis-associated Interstitial Lung Disease

*6:Complement-Dependent Cytotoxicity

*7:Antibody- Dependent Cellular Cytotoxicity

*8:PolyEthylene Glycol

*9:ExtendedSpectrum Beta-Lactamase

*10:TAZobactam

*11:CefToLoZane Sulfate

*12:Programmed cell death-1

*13:Programmed Death-Ligand 1

*14:Tyrosin Kinase Inhibitor

*15:Programmed cell death-1

*16:Programmed Death-Ligand 1

*17:MonoMethyl Auristatin E

*18:Antibody-Drug Conjugate

*19:Daratumumab/Lenalidomide/dexame-thasone

*20:Antibody Dependent Cellular Phagocytosis

*21:AQuaPorin 4

*22:NeuroMyelitis Optica Spectrum Disorder

*23:IntraVenous ImmunoGlobulin

*24:Primary HyPerThyroidism

*25:ParaThyroid Hormone

*26:prathyroidectomy

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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