平成31年2月15日、新たな後発医薬品や先発医薬品の新規格が承認されました。
今回承認された品目は6月に薬価収載される予定です。
今回は新規承認の品目はそれほど多くありませんが、AGが多く承認されています。(AGの可能性も含みますが)
目玉はやはりシムビコートのジェネリックであるブデホル吸入粉末剤ですね。
ジェネリック医薬品として初めて登場する成分
今回、新規にジェネリックが登場となるのは9成分、10銘柄となっています。
比較的少なめですね。
- 内服
- エベロリムス(先発医薬品名:アフィニトール、サーティカン)
- シロドシン(先発医薬品名:ユリーフ) ※AGが薬価収載されているが未発売
- ブロナンセリン(先発医薬品名:ロナセン)
- 外用
- オロパタジン点眼液(先発医薬品名:パタノール)
- トラチモ配合点眼液(トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩、先発医薬品名:デュオトラバ) ※AG?が承認されているが薬価未収載
- ブデホル吸入粉末剤(ブデゾニド・ホルメテロール、先発医薬品名:シムビコート)
- モメタゾン点鼻液(先発医薬品名:ナゾネックス) ※AGが承認されているが薬価未収載
- 注射
- テリパラチド皮下注用56.5μg「旭化成」(先発医薬品名:テリボン)
- ボルテゾミブ注射用3mg「DSEP」(先発医薬品名:ベルケイド)
内服薬
まずは内服薬。
アフィニトールのジェネリック
- エベロリムス錠2.5mgAF「サンド」
- エベロリムス錠5mgAF「サンド」
AFはアフィニトール(AFinitor)の頭文字ですね。
サーティカンGEとの区別のためです。
先発医薬品はノバルティス、後発医薬品はその傘下のサンドということで、ひょっとしたらAGなのかもしれませんね。
サーティカンのジェネリック
- エベロリムス錠0.25mgCE「サンド」
- エベロリムス錠0.5mgCE「サンド」
- エベロリムス錠0.75mgCE「サンド」
CEはサーティカン(CErtican)の頭文字ですね。
これもAGではないかと思います。
ユリーフのジェネリック
- シロドシン錠2mg:JG、サンド、YD、TCK、ニプロ、KMP、オーハラ、杏林、あすか、KN、日医工
- シロドシン錠4mg:JG、サンド、YD、TCK、ニプロ、KMP、オーハラ、杏林、あすか、KN、日医工
- シロドシンOD錠2mg:日医工、ツルハラ、KMP、EE、オーハラ、杏林、Me、日新、YD、ケミファ、サンド、ニプロ、サワイ、あすか、KN
- シロドシンOD錠4mg:日医工、ツルハラ、KMP、EE、オーハラ、杏林、Me、日新、YD、ケミファ、サンド、ニプロ、サワイ、あすか、KN
気になるのは薬価です。
先発医薬品であるユリーフ錠の薬価は以下の通りです。
- ユリーフ錠2mg:37.00円/錠
- ユリーフ錠4mg:72.10円/錠
- ユリーフOD錠2mg:37.00円/錠
- ユリーフOD錠4mg:72.10円/錠
10社以上の参入となるので薬価は0.4掛けとなるでしょう。
そうなれば、2mgが14.80円/錠、4mgが28.80円/錠といったところでしょうか?
ただ、シロドシンについてはすでに「DSEP」が以下の薬価で収載されており、2019年3月13日に発売日も決定しています。
- シロドシン錠2mg「DSEP」:18.00円/錠
- シロドシン錠4mg「DSEP」:35.00円/錠
- シロドシンOD錠2mg「DSEP」:18.00円/錠
- シロドシンOD錠4mg「DSEP」:35.00円/錠
微妙なところですね。
泌尿器など処方量が多い薬局であれば、後発医薬品調剤体制加算の算定のためには少しでも早く切り替えたいところですが、6月により安いものが発売されると決まっているとなかなか切り替えにくいというところもあるかもしれません。
薬価収載後すぐに発売しなかったのは本当に販売体制の準備のためだったのか、それとも戦略だったのかはわかりませんが、販売戦略だとすれば今回の承認より前に販売開始しておくべきだったかもしれませんね。
うちも6月に各社が揃うのを待ってから採用しようかな?
ロナセンのジェネリック
- ブロナンセリン錠2mg:DSEP、YD、ニプロ、トーワ、DSPB、EE、武田テバ、サワイ、タカタ、アメル、KN、日医工
- ブロナンセリン錠4mg:DSEP、YD、ニプロ、トーワ、DSPB、EE、武田テバ、サワイ、タカタ、アメル、KN、日医工
- ブロナンセリン錠8mg:DSEP、YD、ニプロ、トーワ、DSPB、EE、武田テバ、サワイ、タカタ、アメル、KN、日医工
- ブロナンセリン散2%:DSPB、アメル
これも10社以上の参入なので0.4掛けですね。
ちなみに、DSPBはAGとして承認を受けています。
ところで、なんでロナセンの承認がこんなに多くなったんでしょう?
そこまでですかね・・・?(←失礼)
外用薬
続いて外用薬です。
パタノールのジェネリック
- オロパタジン点眼液0.1%「サンド」
パタノールのジェネリックは一社のみです。
先発医薬品のパタノールはノバルティスグループのアルコン、ジェネリックもノバルティスグループのサンドなのでこれもAGっぽいですけどどうでしょうか?
シムビコートのジェネリック
- ブデホル吸入粉末剤30吸入:JG、MYL、ニプロ
- ブデホル吸入粉末剤60吸入:JG、MYL、ニプロ
ついに吸入薬のジェネリック、しかも配合剤、シムビコートのジェネリックが登場です。
その名も「ブデホル」!
本当、統一名称のセンスの無さよ・・・。
ちなみにシムビコートはタービュヘイラーという吸入デバイスですが、ジェネリックはどうなるのでしょうか?
詳細はわかりませんが、タービュヘイラーの特許が切れて同じものを使用するのではないかと思います。
吸入デバイスが異なれば肺や気管支に到達する薬剤量が変化してしまいます。
他のデバイスでそれを再現するとなるとかなりハードルが高くなってしまうはずなんですよね・・・。
その辺りは詳しい発表があるまでわかりませんね。
デュオトラバのジェネリック
デュオトラバのジェネリックも登場します。
すでにサンドがAGらしきものの承認を受けていますが薬価未収載です。
今回、ニットーが承認を受けたのでサンドのものも薬価収載されるのかどうかですね。
ナゾネックスのジェネリック
- モメタゾン点鼻液50μg56噴霧用「MYL」
- モメタゾン点鼻液50μg112噴霧用「MYL」
ナゾネックスのジェネリックとしてはすでに杏林リメディオがAGとして製造承認を取得しています。
- モメタゾン点鼻液50μg56噴霧用「杏林」
- モメタゾン点鼻液50μg112噴霧用「杏林」
現在のところ薬価未収載ではありますが、今回マイランがジェネリックの製造承認を取得したことを受け、6月にMYLと一緒に杏林も薬価収載となるんじゃないかと思います。
注射剤
最後に注射薬です。
テリボンのジェネリック
- テリパラチド皮下注用56.5μg「旭化成」
先発医薬品のテリボンが旭化成ファーマなのに、ジェネリックも旭化成?と思いきや、AG用に旭化成シンメッドなる会社が設立されていたんですね。
ということで、テリパラチド皮下注用56.5μg「旭化成」はテリボン皮下注用56.5μgのAGです。
ただし、これは6月の薬価収載は見送る可能性がありますね。
ベルケイドのジェネリック
- ボルテゾミブ注射用3mg「DSEP」
ベルケイドのジェネリックは第一三共エスファ一社のみの参入です。
新規に承認されたオーソライズドジェネリック
今回はオーソライズドジェネリック(AG*1)も多く承認されています。
上ですでに紹介したものも含めてまとめると以下の通り、7成分、10品目にもなります。
(ただし、※についてはAGかどうかは未確定)
- アナストロゾール錠「DSEP」(先発医薬品名:アリミデックス錠)
- エベロリムス錠AF「サンド」(先発医薬品名:アフィニトール錠)※
- エベロリムス錠CE「サンド」(先発医薬品名:サーティカン錠)※
- オロパタジン点眼液「サンド」(先発医薬品名:パタノール点眼液)※
- タモキシフェン錠「DSEP」(先発医薬品名:ノルバデックス錠)
- テリパラチド皮下注用「旭化成」(先発医薬品名:テリボン皮下注)
- ビカルタミド錠「DSEP」(先発医薬品名:カソデックス錠)
- ビカルタミドOD錠「DSEP」(先発医薬品名:カソデックスOD錠)
- ブロナンセリン錠「DSPB」(先発医薬品名:ロナセン錠)
- ブロナンセリン散「DSPB」(先発医薬品名:ロナセン散)
すでにジェネリック医薬品が発売されているが新たにAGが承認されたもの
該当するのは第一三共エスファの3成分で全て抗がん剤です。
プレスリリースも出されているように、第一三共エスファががん領域に力を入れていることがわかります。
がん領域におけるオーソライズド・ジェネリック(AG)製品の製造販売承認取得のお知らせ
ノルバデックスのAG
- タモキシフェン錠10mg「DSEP」
- タモキシフェン錠20mg「DSEP」
アリミデックスのAG
- アナストロゾール錠1mg「DSEP」
カソデックスのAG
- ビカルタミド錠80mg「DSEP」
- ビカルタミドOD錠80mg「DSEP」
そのほか気になるもの
そのほか、気になった承認品目をまとめておきます。
- オキシコドン徐放錠NX(先発医薬品名:オキシコンンチンTR錠?)
- グルベス配合OD錠(先発医薬品、新剤形)
剤型としては初登場のジェネリック医薬品
オキシコンチンTR錠のジェネリックではないかというものが承認されています。
オキシコンンチンTR錠のジェネリック?
- オキシコドン徐放錠5mgNX「第一三共」
- オキシコドン徐放錠10mgNX「第一三共」
- オキシコドン徐放錠20mgNX「第一三共」
- オキシコドン徐放錠40mgNX「第一三共」
おそらく乱用防止製剤であるオキシコンチンTR錠のジェネリックではないかと思いますが、NXは何の略でしょう?
TR錠とは異なる技術による乱用防止製剤なのではないかと思います。
先発医薬品の新剤形
グルベス配合錠の新剤形が承認されています。
グルベスの口腔内崩壊錠
- グルベス配合OD錠
ミチグリニドカルシウム水和物10mgとボグリボース0.2mgの配合錠です。
これまでは普通錠しかなかったのでOD錠は新規承認になります。
食直前に服用する薬剤なので口腔内崩壊錠の剤形とは相性がいいですね。
*1:Authorized Generic