ジャルカ配合錠の承認了承、リウマトレックスの公知申請など〜平成30年11月8日 薬食審医薬品第二部会

  • 2018年11月11日
  • 2021年1月17日
  • 薬食審
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平成30年11月8日、厚生労働省の薬食審医薬品第二部会が開催されました。
今回の審議品目はヴィーブヘルスケアが承認申請した2成分配合の抗HIV薬ジャルカ配合錠のみです。
承認了承後、(抗HIV薬のため)平成30年11月26日に迅速承認、12月5日に緊急薬価収載されました。
すぐ承認され、緊急薬価収載が行われると思います。

審議品目

今回審議が行われたのはジャルカ配合錠のみです。
現段階では正式な承認は行われていないため、国内未承認となります。
抗HIV薬のため、平成30年11月26日に迅速承認され、12月5日に緊急薬価収載されました。

2成分での抗HIV療法を可能とする新規配合剤 ジャルカ配合錠

抗HIV治療における初めての2剤レジメン「ジャルカ®配合錠」日本での承認取得についてジャルカ配合錠 添付文書

  • 医薬品名:ジャルカ配合錠(5350.90円/錠)
  • 有効成分:ドルテグラビルナトリウム/リルピビリン塩酸塩
  • 申請者:ヴィーブヘルスケア
  • 効能・効果:HIV-1感染症
  • 用法・用量:通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg及びリルピビリンとして25mg)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。
  • 指定等:希少疾病用医薬品

すでにHIV薬として承認されている成分を組み合わせた新規配合剤になります。

  • ドルテグラビルナトリウム(DTG*1):インテグラーゼ阻害薬(INSTI*2
  • リルピビリン塩酸塩(RPV*3):非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI*4

ドルテグラビルナトリウムは単剤ではテビケイ錠、配合剤ではトリーメク配合錠(ドルテグラビルナトリウム/アバカビル硫酸塩/ラミブジン)として販売されています。
また、リルピビリン塩酸塩も単剤ではエジュラント錠、配合剤ではコムプレラ配合錠(リルピビリン塩酸塩/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン)としてすでに販売されています。

世界初の2剤レジメンによるHIV治療

通常、HIV療法は3〜4剤の併用によって行われますが、ジャルカ配合錠は2剤併用で維持療法を可能とします。
ウイルスが抑制されているHIV-1感染症維持療法における初めての2剤レジメン、1日1回投与配合錠のJuluca®(ドルテグラビルおよびリルピビリン)が米国で承認

多剤併用療法によってウイルス抑制が確認されているHIV感染症に対し、ジャルカ配合錠に切り替えることで、2剤併用での維持療法を可能とします。
世界初とは言っても、すでに30の国または地域で承認されている薬剤です。

食事中〜食直後の服用

食事中または食直後という特徴的な用法はリルピビリン塩酸塩に由来するものです。
実際にエジュラント錠も同様の用法になっています。

効能又は効果
用法及び用量
通常、成人にはリルピビリンとして1回25mgを1日1回食事中又は食直後に経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。

エジュラント錠25mg 添付文書

薬物動態
<外国人における成績>
食事の影響
健康成人に本剤75mgを、空腹時に単回経口投与したときの血漿中リルピビリンのAUCは、食直後に単回経口投与したときと比較して約40%低かった。また、高蛋白質栄養飲料摂取後に本剤75mgを経口投与したときの血漿中リルピビリンのAUCは、食直後(標準食)に経口投与したときと比較して50%低かった。

エジュラント錠25mg 添付文書

 

報告品目

報告品目とは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で薬食審の部会では審議は不要、報告のみで問題ないと判断されたものです。
既に承認されている医薬品と同じ薬理作用に基づく効能効果の追加や剤形追加、規格追加などが対象となることが多いです。
ゴナックス皮下注用の新剤形・新用量の追加については、現段階では正式な承認は行われていないため、国内未承認となります。

ゴナックス皮下注用に新剤形・新用量の追加

  • 医薬品名:
    • ゴナックス皮下注用80mg
    • ゴナックス皮下注用120mg
    • ゴナックス皮下注用240mg(新剤形)
  • 有効成分:デガレリクス酢酸塩
  • 申請者:アステラス製薬
  • 効能・効果:前立腺がん
  • 追加される用法・用量:「12週間間隔で投与を繰り返す場合は、480mgを維持用量とし、1か所あたり240mgずつ腹部に2か所皮下投与する」

12週間間隔の新用量追加

通常、成人にはデガレリクスとして、初回は240mgを1力所あたり120mgずつ腹部2力所に皮下投与する。2回目以降は、初回投与4週間後より、維持用量を投与する。4週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして80mgを維持用量とし、腹部1力所に皮下投与するし、4週間感覚で投与を繰り返す。12週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして480mgを維持用量とし、1力所あたり240mgずつ腹部2力所に皮下投与する。
初回投与:1力所あたり、本剤120mgバイアルに日本薬局方注射用水3.0mLを注入し、溶解後速やかに3.0mLを皮下投与する。(3.0mLで溶解することにより、40mg/mLとなる。)
維持用量を4週間間隔で投与する場合2回目以降:本剤80mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶解後速やかに4.0mLを皮下投与する。(4.2 mLで溶解することにより、20mg/mLとなる。)
維持用量を12週間間隔で投与する場合:1力所あたり、本剤240mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶停後速やかに4.0mLを皮下投与する(4.2mLで溶解することにより、60mg/mLとなる。)

(下線部追加、取消線部削除)

海外でこの用量が承認されている国はないようです。

トレムフィア皮下注に掌蹠膿疱症の適応追加

2018年11月21日、正式に承認されました。
ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤 「トレムフィア®皮下注100mgシリンジ」、 生物学的製剤で日本初の掌蹠膿疱症治療薬として適応追加承認を取得

  • 医薬品名:トレムフィア皮下注100mgシリンジ
  • 有効成分:グセルクマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:ヤンセンファーマ
  • 追加される効能・効果:既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症
  • 用法・用量:通常、成人にはグセルクマブ(遺伝子組換え)として、1回100mgを初回、4週後、以降8週間隔で皮下投与する。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは?

掌蹠膿疱症(PPP*5)は手の平や足の裏にできる無菌性の水疱を特徴とする疾患です。
慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く、感染症やアレルギーなど様々な要因が関与していると考えられていますが、詳細な原因は不明の疾患です。
骨関節炎(掌蹠膿疱症性骨関節炎)を合併することもあり、日常生活に支障をきたすような痛みを伴うことがあります。

効能・効果の追加

グセルクマブはヒトIL-23のP19サブユニットに対するヒトIgG1モノクローナル抗体です。
IL-23より下流のシグナル伝達を阻害することで掌蹠膿疱症に対する効果が期待されています。

添付文書は以下のように改訂されました。る予定です。

効能・効果
既存治療で効果不十分な下記疾患
尋常性乾癖、関節症性乾癖、膿萢性乾癖、乾癖性紅皮症、掌蹟膿庖症

(下線部追加)

また、これに合わせて警告等も改訂されています。

警告
4.掌蹠膿疱症患者では、本剤の治療を開始する前に、光線療法を含む既存の療法の適用を十分に勘案すること。

効能又は効果に関連する使用上の注意
掌蹠膿疱症:中等症から重症の膿疱・小水疱病変を有する患者に投与すること。

用法及び用量に関連する使用上の注意
掌蹠膿疱症:本剤の治療反応は、通常投与開始から24週以内に得られる。24週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。

(下線部追加)

 

そのほか

2品目の公知申請が了承されています。
公知申請とは、日本では承認されていない効能・効果について海外で承認されている場合、海外での実績やデータを元に、有効性や安全性が医学的に明らか(公知)であるとして、試験の一部を省略して申請を行える制度です。
公知申請が行われたものについては、部会で承認が了承された時点で医療保険の適応となります。
承認はまだなので、添付文書上は適応外使用でも医療保険の対象となる状態です。

公知申請:点滴静注用ホスカビル注

  • 医薬品名:点滴静注用ホスカビル注24mg/mL
  • 成分名:ホスカルネットナトリウム水和物
  • 予定追加適応:造血幹細胞移植後ヒトヘルペスウイルス6脳炎

公知申請:リウマトレックスカプセル

  • 医薬品名:リウマトレックスカプセル2mg
  • 成分名:メトトレキセート
  • 予定追加適応:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

*1:DoluTeGravir sodium

*2:INtegrase Strand Transfer Inhibitor

*3:RilPiVirine hydrochloride

*4:Non-Nucleic acid Reverse Transcriptase Inhibitor

*5:Pustulosis Palmaris et Plantaris

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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