MTP阻害剤ジャクスタピッドカプセルの承認了承〜2016年9月7日医薬品第一部会審議品目⑩

平成28年9月7日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で10製品の承認が審議され、すべて了承されました。
今回審議が行われた希少疾病用医薬品のうち、ジャクスタピッドカプセルについてまとめます。
平成28年9月28日に承認済みです。

平成28年9月7日薬食審・医薬品第一部会での審議品目

今回審議され、承認が了承されたのは以下の通りです。

一つずつまとめていきたいと思います。

ジャクスタピッドカプセルの承認を了承

成分名:ロミタピドメシル酸塩

  • ジャクスタピッドカプセル5mg
  • ジャクスタピッドカプセル10mg
  • ジャクスタピッドカプセル20mg

申請者:AEGERION PHARMACEUTICALS
効能・効果:「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」
用法・用量:「通常、成人には、1日1回夕食後2時間以上あけて、ロミタピドとして5mgの経口投与から開始する。忍容性に問題なく、効果不十分な場合には2週間以上の間隔をあけて10mgに増量する。さらに増量が必要な場合には、4週間以上の間隔で忍容性を確認しながら段階的に20mg、40mgに増量することができる。」

ホモ接合体家族性高コレステロール血症とは?

家族性高コレステロール血症(FH:Familial Hypercholesterolemia)とは、先天的に低比重リポタンパク受容体(LDLR:Low Density Lipoprotein Receptor)に関連する遺伝子に変異が生じているため、低比重リポタンパク質(LDL:Low Density Lipoprotein)を細胞内に取り込むことができず、血液中のLDL-C(LDL Cholesterol)が異常に高くなってしまう疾患です。
どちらか片方の親由来の遺伝子のみに変異が生じているのをヘテロ接合体、両親の遺伝子が共に変異を起こしている場合をホモ接合体と呼びます。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH:Heterozygous Familial Hypercholesterolemia)ではLDLRの働きが健常人の半分くらいと言われていますが、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH:Homozygous Familial Hypercholesterolemia)ではLDLRがほとんど存在しないと言われています。
そのため、高コレステロール血症の症状はHeFHよりもHoFHの方が重く、コレステロールが沈着した結果、皮膚黄色腫、腱黄色腫、若年性角膜輪が見られます。
重度の高LDL-C血症が持続することになるため、若年時でも冠動脈疾患を起こしやすくなります。
ヘテロ接合体FHは500人に1人の割合で発症するのに対して、ホモ接合体FHの割合はかなり低く、100万人に1人以上の割合で発症すると言われています。
HoFHは難病に指定されています。(HeFHは指定されていない)

HoFHの治療方法

ヘテロ接合体FHではスタチン系薬剤(アトルバスタチン、ロスバスタチンなど)や抗PCSK9モノクローナル抗体(エボロクマブ、アリロクマブ)による治療が行われますが、LDLRがほとんど存在しないホモ接合体FHでは効果が期待できません。
そのため、重症例やホモ接合体FHでは、透析のように血液を体外に出し、LDL吸着法によりLDL-Cを除去するLDLアフェレーシスが行われます。

MTP阻害剤の働き

ジャクスタピッドカプセルの成分であるMTP阻害剤ロミタピドはLDLRを介さずにLDL-Cを低下させることが可能なのでホモ接合体FHに対しても効果を発揮できます。

MTPとLDL-C

ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP:Microsomal triglyceride transfer protein)は、小腸におけるカイロミクロン、肝臓におけるVLDLなど、アポリポ蛋白B(ApoB)を含有したリポ蛋白の合成・分泌に関わるタンパク質です。
※VLDLとカイロミクロンはTG-richリポ蛋白(トリグリセリドリッチリポ蛋白)と呼ばれています。

小腸でのカイロミクロン合成

食事により摂取されたトリアシルグリセロール(TG:TriacylGlycerol、トリグリセリド)は十二指腸で膵リパーゼにより、脂肪酸とモノアシルグリセロール(モノグリセリド)に分解されます。
これらは胆汁酸によりミセルを形成し、小腸から吸収されます。
小腸上皮細胞に入った後は、再びTGに戻り、コレステロールと共に、MTPを介してApoBと結合、カイロミクロン(キロミクロン)となります。
カイロミクロンは胸管を経て血中に放出され、肝臓に運ばれます。
脂溶性ビタミン等もカイロミクロンに結合することで吸収されます。
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肝臓でのVLDL合成

肝臓では過剰になったTGとコレステロールは、MTPを介してApoBと結合し、超低密度リポタンパク質(VLDL:Very Low Density Lipoprotein)となり、肝静脈に放出されます。
血中のVLDLはリポ蛋白リパーゼ(LPL:LipoProtein Lipase)によりTGの分解、除去を受け、IDL(Intermediate Density Lipoprotein)を経て、LDLとなります。
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MTP阻害剤ロミタピド

ロミタピドを成分とするジャクスタピッドカプセルは、MTPを阻害することで血中のLDL-C濃度を下げる、日本では初めての作用機序を持つ薬剤です。
(海外ではすでに承認済み)
MTPを阻害することで、VLDLの合成を阻害し、肝臓から血漿中へVLDLを分泌できなくすることで、血漿中LDL-C濃度を低下させます。
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また、小腸上皮細胞でのカイロミクロンの合成を阻害することで、コレステロールの吸収を抑制します。
ですが、カイロミクロンの合成が阻害することで、脂溶性栄養素(必須脂肪酸や脂溶性ビタミン等)の吸収も抑制されてしまうため、摂取量を増やし補う必要があります。
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今回のジャクスタピッドカプセルの場合は、サプリメントとして配布されることが計画されれいるようです。

まとめ

ジャクスタピッドカプセルはMTPを阻害するという、これまでの薬剤と異なる作用機序により、LDL受容体を介さずにLDL-Cを低下させることが可能です。
これまでのLDLRを介して効果を発揮する薬剤では、LDL受容体に異常を起こしているホモ接合体FHに対しては効果が期待できませんでしたが、MTP阻害剤であれば効果を発揮できるため、大きく期待されています。

ジャクスタピッドカプセルでは適応がありませんが、MTP阻害剤は中性脂肪の吸収や血中放出も抑制するため、高中性脂肪血症に対する効果も期待されます。
今後、MTP阻害剤は、メタボリックシンドロームによるインスリン抵抗性等にも効果が期待されるのではないかと思います

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