2022年8月15日付で新規後発医薬品が承認されています。
じほう社さんが公開している承認一覧はこちらです。
2022年8月15日付医薬品承認情報(承認簿).pdf
今回、初めて参入となるのは5製品(規格として新規参入や薬価未収載を加えると7製品)で、そのうち1製品でAGが承認されています。
新規参入:ボンビバ静注、キュビシン静注、レクサプロ錠、ネキシウムカプセル、ルリコンクリーム/軟膏(、アフィニトール錠)
規格として新規参入:サムスカOD錠15mg
AG承認:ネキシウムカプセル、ケアラム錠、リピトール錠
今回は品目数は少なめですね。
昨今の医薬品供給問題の影響もあり、参入メーカーは今回も少なめな気がします。
結果、全てが薬価収載されたとしても0.4掛けの対象となるもの(同一の剤形区分及び規格で銘柄数が10を超えるもの)はありません。
今回承認された後発医薬品は2022年12月に薬価収載され、発売される予定です。
新規参入となる製品
ネキシウムのGE(エソメプラゾール):AGあり
ネキシウムの後発医薬品が登場です。
- ネキシウムカプセル10mgGE
- エソメプラゾールカプセル10mg「トーワ」
- エソメプラゾールカプセル10mg「DSEP」
- エソメプラゾールカプセル10mg「YD」
- エソメプラゾールカプセル10mg「ケミファ」
- エソメプラゾールカプセル10mg「サワイ」
- エソメプラゾールカプセル10mg「ニプロ」(AG)
- エソメプラゾールカプセル10mg「杏林」
- エソメプラゾールカプセル10mg「日新」
- ネキシウムカプセル20mgGE
- エソメプラゾールカプセル20mg「トーワ」
- エソメプラゾールカプセル20mg「DSEP」
- エソメプラゾールカプセル20mg「YD」
- エソメプラゾールカプセル20mg「ケミファ」
- エソメプラゾールカプセル20mg「サワイ」
- エソメプラゾールカプセル20mg「ニプロ」(AG)
- エソメプラゾールカプセル20mg「杏林」
- エソメプラゾールカプセル20mg「日新」
- ネキシウム懸濁用顆粒分包GE
- エソメプラゾール懸濁用顆粒分包10mg「サワイ」
- エソメプラゾール懸濁用顆粒分包20mg「サワイ」
製造承認取得メーカー:東和薬品、第一三共エスファ、陽進堂、日本ケミファ、沢井製薬、ニプロ、キョーリンリメディオ、日新製薬
カプセルに8社、懸濁用顆粒分包は沢井製薬のみが承認されています。
カプセルのみの承認を受けているニプロの製品はAGとしての承認です。
昨年(2021年)9月14日まで第一三共がネキシウムを共同販売していたからてっきり・・・。
予想される収益に対して契約金が高いとかかなあ・・・?
レクサプロ錠のGE(エスシタロプラム):新剤形あり
レクサプロ錠のジェネリックが登場します。
先発にはないOD錠も承認されています。
- レクサプロ錠10mgGE
- エスシタロプラム錠10mg「JG」
- エスシタロプラム錠10mg「VTRS」
- エスシタロプラム錠10mg「サワイ」
- エスシタロプラム錠10mg「タカタ」
- エスシタロプラム錠10mg「トーワ」
- エスシタロプラム錠10mg「ニプロ」
- エスシタロプラム錠10mg「日医工」
- エスシタロプラム錠10mg「明治」
- レクサプロ錠20mgGE
- エスシタロプラム錠20mg「JG」
- エスシタロプラム錠20mg「VTRS」
- エスシタロプラム錠20mg「サワイ」
- エスシタロプラム錠20mg「タカタ」
- エスシタロプラム錠20mg「トーワ」
- エスシタロプラム錠20mg「ニプロ」
- エスシタロプラム錠20mg「日医工」
- エスシタロプラム錠20mg「明治」
- OD錠(新剤形)
- エスシタロプラムOD錠10mg「DSEP」
- エスシタロプラムOD錠10mg「サワイ」
- エスシタロプラムOD錠10mg「トーワ」
- エスシタロプラムOD錠20mg「DSEP」
- エスシタロプラムOD錠20mg「サワイ」
- エスシタロプラムOD錠20mg「トーワ」
製造承認取得メーカー:日本ジェネリック、マイランEPD合同会社、沢井製薬、高田製薬、東和薬品、ニプロ、日医工、Meiji Seika ファルマ、第一三共エスファ
合計9社(普通錠8社、OD錠3社)が製造承認を取得しています。
沢井製薬と東和薬品は普通錠とOD錠の両方で承認を取得、第一三共エスファはOD錠のみの承認を取得しています。
このまま薬価収載されるかどうかはわかりませんが、沢井・東和と第一三共の戦略が見えて興味深いですね。
AGの承認は取得されていません。
来年、持田製薬販売が取得するかもしれませんね。
キュビシン静注用のGE(ダプトマイシン)
キュビシン静注用のジェネリックが登場します。
- キュビシン静注用350mgGE
- ダプトマイシン静注用350mg「サワイ」
製造承認取得メーカー:沢井製薬
沢井製薬のみが製造承認を取得しています。
ボンビバ静注のGE(イバンドロン酸)
ボンビバ静注のジェネリックが登場します。
- ボンビバ静注1mgシリンジGE
- イバンドロン酸静注1mgシリンジ「トーワ」
- イバンドロン酸静注1mgシリンジ「HK」
- イバンドロン酸静注1mgシリンジ「VTRS」
- イバンドロン酸静注1mgシリンジ「サワイ」
製造承認取得メーカー:東和薬品、シオノケミカル、ブリオファーマ、沢井製薬
4社が製造承認を取得しています。
ブリオファーマがVTRSの屋号で承認を取得しています。ブリオファーマはジェネリック医薬品の営業・輸出販売を行うOhsong Pharm(韓国)の日本法人のようですね。
ルリコン軟膏/クリーム(ルリコナゾール)のGE
ルリコンのジェネリックが登場します。
- ルリコンクリーム1%GE
- ルリコナゾールクリーム1%「イワキ」
- ルリコン軟膏1%GE
- ルリコナゾール軟膏1%「イワキ」
製造承認取得メーカー:岩城製薬
岩城製薬一社のみが承認を取得しています。
これでイミダゾール系の抗真菌外用薬で後発品の承認が行われていないのはアトラント(ネチコナゾール)のみとなりました。
全くの新規承認ではないが気になる後発品
サムスカOD錠15mgのGE(トルバプタン):15mgは初承認
サムスカOD錠15mgのジェネリックが登場します。
- サムスカOD錠15GE
- トルバプタンOD錠15mg「DSEP」
- トルバプタンOD錠15mg「KMP」
- トルバプタンOD錠15mg「TE」
- トルバプタンOD錠15mg「オーツカ」(AG)
- トルバプタンOD錠15mg「サワイ」
- トルバプタンOD錠15mg「トーワ」
- トルバプタンOD錠15mg「ニプロ」
製造承認取得メーカー:第一三共エスファ、共創未来ファーマ、トーアエイヨー、大塚製薬工場、沢井製薬、東和薬品、ニプロ
※既承認(トルバプタンOD錠7.5mg):「DSEP」、「TE」、「オーツカ」(AG )、「ニプロ」
※既承認(トルバプタン顆粒1%):「サワイ」(薬価収載なし)、「トーワ」
サムスカOD錠15mgのジェネリックが登場、7社が承認を取得しています。
オーツカ(大塚薬品工業)がAGを取得しています。
このうち、DSEP、TE、オーツカ(AG)、ニプロはすでに7.5mgの承認を取得、薬価収載が行われており、KMP、サワイ、トーワについては今回15mgと合わせて7.5mgの承認を取得しています。
今回の15mgは「心不全における体液貯留」の適応のみで承認されています。
7.5mgには心不全適応は取得できていませんが、7.5mgについても各社は心不全適応について一部変更申請を行なっているものと思われます。
7.5mgには心不全適応は取得できていませんでしたが、今回の承認取得に合わせて申請が行われており、9月7日付けで適応追加が承認されています。
サムスカとトルバプタンの適応について復習しておきます。
- サムスカ顆粒1% → GE承認
- サムスカOD錠7.5mg → GE承認(AGあり)
- サムスカOD錠15mg → GE承認(AGあり)
- サムスカOD錠30mg
製造販売元:大塚製薬
2010年10月 サムスカ錠15mg 製造販売承認(心不全)
2013年2月 サムスカ錠7.5mg 製造販売承認(心不全)
2013年9月 「肝硬変」の適応追加
2014年3月 「常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)」適応追加
2014年3月 サムスカ錠30mg 製造販売承認(ADPKD)
2017年3月 サムスカ顆粒1% 製造販売承認(心不全、肝硬変、ADPKD)
2019年8月 サムスカOD錠7.5mg/15mg/30mg 承認
2020年6月 「SIADHにおける低ナトリウム血症」の適応追加
2021年3月 サムスカ錠7.5mg/15mg/30mg 発売中止(薬価削除)
今回、GE15mgが承認されたことで、ジェネリックの適応は「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」と「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」の2種類となりました。(2022年8月承認時時点)
トルバプタンOD錠15mgが申請された2022年8月15日時点では以下の図のような状況でしたが、
2022年9月7日付でトルバプタンOD錠7.5mg/顆粒1%も心不全適応が追加されました。
サムスカは今回GEが取得した「肝硬変における体液貯留」、「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」以外にも「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善」、「腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制」を合わせた合計4つの適応を取得しています。
今後、残りの2つの適応についても取得していくものと思われますが、まずは15mg錠の薬価収載と合わせて、すでに発売されている7.5mg錠がいつのタイミングで心不全適応を取得するか注目ですね。
アフィニトールのGE(エベロリムスAF):承認は初めてではないが薬価収載なし
アフィニトールのジェネリックが承認されています。
実はアフィニトールのジェネリックはすでに2019年2月15日に承認されています。(エベロリムス錠2.5mg/5mgAF「サンド」)
サンドが承認を取得しているのでおそらくAG(アフィニトールの製造販売元はサンドの親会社にあたるノバルティスファーマ)だと思われますが、2022年8月現在、薬価収載は行われていません。
ということで、アフィニトールのジェネリックは承認されていても発売されておらず、今回の承認によりようやくジェネリックが発売される可能性が出てきました。(サンドのAGも薬価収載されるかも?)
- アフィニトール錠2.5mgGE
- エベロリムス錠2.5mgAF「JG」
- エベロリムス錠2.5mgAF「NK」
- アフィニトール錠5mgGE
- エベロリムス錠5mgAF「JG」
- エベロリムス錠5mgAF「NK」
製造承認取得メーカー:日本ジェネリック、日本化薬
※既承認:エベロリムス錠2.5mgAF「サンド」(薬価未収載)、エベロリムス錠5mgAF「サンド」(薬価収載なし)
ちなみにAFはアフィニトール(AFinitor)の頭文字と思われます。
(エベロリムス製剤にはアフィニトールとサーティカンが存在するため)
無事に薬価収載・発売される?
2022年10月1日時点で日本ジェネリックと日本化薬のホームページにはエベロリムス錠AFの承認に関する情報が掲載されていません。
また、pmdaにもエベロリムス錠AFの添付文書が掲載されていません。
おそらくですが、エベロリムス錠の一部適応で再審査が終了していないことが影響しているのではないでしょうか?
- 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫、結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫:2012年11月21日~2022年11月20日(希少疾病医薬品)
- 結節性硬化症:2019年8月22日~2022年11月20日(希少疾病医薬品)
- 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌:2010年1月20日~2018年1月19日(終了)
- 膵神経内分泌腫瘍:2011年12月22日~2018年1月19日(終了)
- 手術不能又は再発乳癌:2014年3月17日~2018年1月19日(終了)
- 神経内分泌腫瘍:2016年8月26日~2018年1月19日(終了)
※アフィニトール分散錠2mg/3mg
結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫:2012年12月25日~2022年12月24日(希少疾病医薬品) 結節性硬化症:2019年8月22日~2022年12月24日(希少疾病医薬品)
現時点では「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「神経内分泌腫瘍」、「手術不能又は再発乳癌」での承認で、再審査終了後に「結節硬化症」を追加申請しようと考えているのかなあ・・・?
AGが新たに承認されたもの
ケアラム(イグラチモド)のAG
ケアラムのAGが登場します。
- ケアラム錠25mgGE
- イグラチモド錠25mg「あゆみ」(AG)
- イグラチモド錠25mg「NPI」
- イグラチモド錠25mg「ケミファ」
製造承認取得メーカー:あゆみ製薬、日本薬品工業、日本ケミファ
※既承認:イグラチモド錠25mg「サワイ」
リウマチ関連製品といえば・・・ということであゆみ製薬がエーザイからAGの権利を得て製造承認を取得しています。
※あゆみ製薬は「リウマチ・整形外科領域のスペシャリティファーマ」として、カロナール 、リマチル、メトトレキサート、アザルフィジン、タクロリムス、エタネルセプトBS、アダリムマブBS、インフリキシマブBSを取り扱っています。
リピトール(アトルバスタチン)のAG
なんとここにきてリピトールのAGが承認されています。
- アトルバスタチン錠5mg「VTRS」(AG)
- アトルバスタチン錠10mg「VTRS」(AG)
製造承認取得メーカー:ファイザーUPJ合同会社
このタイミングで出して売れるの?と思いますが、どうなんでしょう?
リピトール錠の刻印を変更するくらいなので、先発の発売を中止する風でもないですし・・・。
ちなみに、2021年2月15日付で承認されているアマルエット配合錠「ファイザー」(薬価未収載)はどうなったんでしょうね・・・。
そのほか気になる承認品目
ビオフェルミン散剤
ビオフェルミン錠の剤形追加として、「ビオフェルミン散剤」が承認されています。
大正製薬 – 近日発売のご案内(ビオフェルミン散剤)
ビオフェルミン製薬 – 近日発売のご案内(ビオフェルミン散剤)
エディロール錠
エディロールカプセルの剤形追加として、「エディロール錠0.5μg/エディロール錠0.75μg」が承認されています。
エディロール錠は、中外製薬が製造販売元としての責任を担い、東和薬品が独占的に販売および情報提供活動を実施します。製造は中外製薬が実施し、東和薬品に供給します。なお、エディロールカプセルの販売体制は変更なく、今後も中外製薬が販売および情報提供を実施します。
なんと、エディロール錠の販売は東和薬品が担うことになります。
東和薬品はエルデカルシトールカプセル「トーワ」(エディロールカプセルAG)は製造販売を行なっているので、カプセルについてはAGを販売、錠剤は先発を販売するという形になります。
ちなみに、エディロールカプセルもエルデカルシトールも製剤の製造については中外製薬が行なっており、将来的に東和薬品に移行する予定になっていたはずです。
今回の錠剤の製造をどちらが行うかは不明ですが、将来的には錠剤もカプセルも全て東和薬品が製造する形になるんだと思います。
ツートラム錠25mg
現在ツートラム錠には
- ツートラム錠50mg
- ツートラム錠100mg
- ツートラム錠150mg
の3つの規格が存在しています。
ここに25mgが追加になるだけかと思いきや、適応の違いがありました。
適応を整理しておきます。
- ツートラム錠25mg:「慢性疼痛」のみ
- ツートラム錠50mg/100mg/150mg:「慢性疼痛」、「疼痛を伴う各種がん」
25mgを使うケースがあまり思い浮かばないのですが、適応に違いがあることはしっかり把握しておきましょう!