薬食審第一部会 リティンパ・ハルロピ・フィアスプ【報告品目】テリボンの新剤形など

  • 2019年8月2日
  • 2021年1月17日
  • 薬食審
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2019年8月1日に厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で審議され、承認が了承された新医薬品についてまとめます。
この記事を作成している時点では承認が了承された段階で、正式には承認されていません。
(9月に正式に承認される予定です)

2019年8月1日の薬食審・医薬品第一部会

今回は3製品について審議され全て承認が了承されています。

  • リティンパ耳科用セット
  • ハルロピテープ
  • フィアスプ注フレックスタッチ

また、3製品の一部変更について報告品目があげられています。

  • アフィニトール(適応追加)
  • 献血ベニロン−I静注用(適応追加)
  • テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター(新剤形)

審議品目

まずは審議が行われた3製品について。

リティンパ耳科用250μgセット

  • 医薬品名:リティンパ耳科用250μgセット
  • 成分名:トラフェルミン(遺伝子組換え)
  • 申請者:ノーベルファーマ
  • 効能・効果:鼓膜穿孔

鼓膜穿孔に対する治療薬は国内初になります。
液体としてゼラチンスポンジに染み込ませ、それを耳に詰めて使用するようです。
ノーベルファーマさんらしい他にない医薬品ですよね。

フィブラストスプレーやリグロス歯科用液キットと同成分

トラフェルミンはbFGF*1(塩基性線維芽細胞増殖因子)の一種です。

として科研製薬から販売されています。
科研製薬のホームページにはその働きについて以下のように記載されています。

線維芽細胞、血管内皮細胞、表皮細胞に作用して、肉芽形成、血管新生、上皮化を促進することで、創傷治癒の期間短縮に優れた効果を発揮します。
引用元:フィブラストスプレー情報サイト > ホーム > 概要[作用メカニズム]

ハルロピテープ

  • 医薬品名:
    • ハルロピテープ8mg
    • ハルロピテープ16mg
    • ハルロピテープ24mg
    • ハルロピテープ32mg
    • ハルロピテープ40mg
  • 成分名:ロピニロール塩酸塩
  • 申請者:久光製薬
  • 効能・効果:パーキンソン病

久光製薬独自の経皮薬物送達システム技術を用いることで、安定した血中薬物濃度の維持を可能としています。
パーキンソン病の適応を持つ貼付剤はニュープロパッチに続いて2剤目になります。
ハルロピ・・・貼るロピ(ニロール)か!

レキップと同成分

ロピニノールは非麦角系ドパミンアゴニストに分類され、

としてグラクソスミスクライン(GSK)から発売されています。
久光製薬が得意とする経皮薬物送達システム技術を用いることでニュープロパッチに対してどのような優位点を持っているのか期待しています。
協和キリンと提携して販売を行なっていくようです。

フィアスプ注

  • 医薬品名:
    • フィアスプ注フレックスタッチ
    • フィアスプ注ペンフィル
    • フィアスプ注100単位/mL
  • 成分名:インスリン アスパルト(遺伝子組換え)
  • 申請者:ノボ ノルディスクファーマ
  • 効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病

ノボラピッドの改良型、超超速効型インスリンアナログです。
添加物を変えているだけっていうのがすごい・・・。

ノボラピッドと同成分

インスリン アスパルトは超速効型インスリンアナログとしてノボラピッドの製品名ですでに発売されています。

フィアスプは添加物にニコチン酸アミドを加えることで吸収を早め、ノボラピッドよりも早い段階でのインスリンの作用の発現を可能にした製剤です。
血糖降下作用がノボラピッドよりも早くなった結果、食直前だけでなく食事中の使用も可能になります。
海外ではすでに販売されている製剤で、ノボラピッドからはもちろん、ヒューマログやアピドラからの切り替えも進みそうですね。

報告品目

PMDA*2(医薬品医療機器総合機構)の審査段階で部会での審議を行わず報告のみでよいと判断されたものです。

アフィニトール:結節性硬化症

アフィニトール錠ならびにアフィニトール分散錠の適応が拡大されます。

適応の変化(予想)

これまでの適応は単純な結節性硬化症ではなく、

  • 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫
  • 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫

のいずれかでしたが、正式な承認を受ければ症状にかかわらず結節性硬化症全般が適応になります。

アフィニトール錠(一変承認前の適応)

  1. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  2. 神経内分泌腫瘍
  3. 手術不能又は再発乳癌
  4. 結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫
  5. 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫


アフィニトール錠(一変承認後の適応)

  1. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
  2. 神経内分泌腫瘍
  3. 手術不能又は再発乳癌
  4. 結節性硬化症

アフィニトール分散錠

  • 結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫(一変承認前)
  • 結節性硬化症(一変承認後)

献血ベニロン−I静注用:慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善

効能・効果に「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善」が追加されます。

適応の変化(予想)

一変承認前の適応

  1. 低又は無ガンマグロブリン血症
  2. 重症感染症における抗生物質との併用
  3. 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
  4. 川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)
  5. ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)
  6. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)


一変承認後の適応

  1. 低又は無ガンマグロブリン血症
  2. 重症感染症における抗生物質との併用
  3. 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で著明な出血傾向があり、外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
  4. 川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)
  5. ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)
  6. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)
  7. 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善

テリボン 皮下注28.2μgオートインジェクター(新剤形・新用量)

新剤形であるオートインジェクターが登場します。

  • 新剤形の製品名:テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター
  • 成分名:テリパラチド酢酸塩
  • 申請者:旭化成ファーマ
  • 効能・効果:骨折の危険性の高い骨粗鬆症
  • 新用量:低用量で週2回投与
新剤形は用量半分

これまでの剤形と比較してみると。

  • テリボン皮下注用56.5μg(既存の剤形)
  • テリボン 皮下注28.2μgオートインジェクター(新剤形)

ポイントは1回の投与量がテリボン皮下注用56.5μgの半分になっていること。
週に2回投与する必要がありますが、1回投与量が少ないので悪心や嘔吐の副作用が少なくなることが期待されます。
オートインジェクターなので自己注も簡易になります。
薬価収載は11月ごろになる予定です。

*1:basic Fibroblast Growth Factor

*2:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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