ゼンタコートカプセル〜2016年8月4日医薬品第一部会審議品目②

平成28年8月4日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で6製品の承認が了承されました。
今回は、審議が行われた品目の中から、リグロス歯科溶液キットについてまとめます。
クローン病に使用される内服薬で、パルミコート・シムビコートとして使用されているブデゾニドが主成分です。
なお、ゼンタコートカプセルは平成28年9月28日に製造販売が承認されました。

平成28年8月4日薬食審・医薬品第一部会での審議品目

今回審議され、承認が了承されたのは以下の通りです。

一つずつまとめていきたいと思います。

ゼンタコートカプセル

成分名:ブデソニド

  • ゼンタコートカプセル3mg

申請者:ゼリア新薬
効能・効果:軽度から中等度の活動期クローン病
用法・用量:通常、成人にはブテゾニドとして9mgを1日1回朝経口投与する

すでに欧米など35カ国以上で承認済の薬剤です。

クローン病

ご存知の方も多いとは思いますが、簡単に復習しておきます。
クローン病(CD:Crohn’s Disease)は、口腔から肛門までのすべての消化管に非連続性の慢性肉芽腫性の炎症を生じる疾患です。
消化管の中でも、小腸や大腸に病変が見られることが多く、小腸型や大腸型に分類されます。
また、消化管以外にも関節や皮膚、眼に病変を生じる場合もあります。
下痢、腹痛、血便・下血、肛門病変、外瘻等の消化器症状と合わせて、発熱、倦怠感、貧血等の全身症状を起こすことが多く、再発・再燃を繰り返す難治性の疾患で、日本では難病として指定されています。
潰瘍性大腸炎と合わせて、炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)に分類される、慢性的な自己免疫疾患です。

パルミコートと同じ成分の経口薬

ゼンタコートの主成分となるのは糖質コルチコイドであるブデソニド。
ブデゾニドといえば、パルミコートやシムビコートとしてすでに使用されているステロイド剤ですね。
ベクロメタゾン(製品例:キュバール、リノコート、プロパデルム)とほぼ同等の力価とされています。
初回通過効果によりほとんどが代謝されるため、全身性の作用(副作用)を起こしにくいと言う特徴を持ちます。

クローン病のみへの適応

ゼンタコートカプセルは小腸、結腸近位部で薬剤が放出されるように設計された腸溶性徐放製剤です。
日本国内では現在、類薬として、

  • ペンタサ錠(成分名:メサラジン)
  • ペンタサ顆粒(成分名:メサラジン)
  • プレドニン錠(成分名:プレドニゾロン)
  • イムラン錠(成分名:アザチオプリン)
  • アザニン錠(成分名:アザチオプリン)

などが使用されていますが、欧米の治療ガイドラインでは標準的薬剤に位置付けられています。

適応はクローン病のみで、潰瘍性大腸炎に対する適応は有しません。
おそらく、小腸、結腸近位部で薬剤が放出される結果、大腸まで薬剤が到達できないのではないかと思います。
何気に、クローン病に適応を持って潰瘍性大腸炎には適応を持たない薬って初めてですね。

まとめ

この分野、やはりゼリアが強いですね。
初回通過効果によりほとんどが代謝されるブデゾニドは全身性の作用を持ちません。
そのため、小腸・結腸以降の消化管粘膜にのみ作用してくれるというのもメリットなのではないかと思います。
1回に3カプセルとなるので、大きさはわかりませんが、少々飲みにくそうではありますね。
ペンタサもですが、剤形的に飲みにくいというのがこれらの分野の改善点担っていくかもしれませんね。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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