2016年6月16日付の官報で新規後発医薬品の薬価が告示されました。
6月17日から適用され、多くの品目が収載同時に販売開始予定です。
後発薬品として初めて収載されるのは、オランザピン、ボリコナゾール、ロピニロール塩酸塩、エンタカポン、カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド、オクトレオチド酢酸塩、バルサルタン・ヒドロクロロチアジド、モンテルカストナトリウムの8成分です。
それ以外にも、新剤形やAG、様々な品目が登場します。
後発医薬品に初収載となる成分
まずは、今回、初めて後発医薬品として収載される成分についてまとめます。
オランザピン(ジプレキサ)
ジプレキサについては錠・ザイディス錠(口腔内崩壊錠)・細粒の3剤形のジェネリック医薬品が登場します。
先発品には存在しない1.25mg、20mgの規格もあります。
特に、錠、OD錠については同時発売が10社を越えているため、2016年度薬価制度改革で導入された「初収載の内用薬で10品目超は4掛け」ルールに該当しています。
細粒については残念ながら(?)ちょうど10社なので、通常通りの5掛けですね。
ザィディスではなくODなのはやはり特許の関係なんですかね?
あとは適応症の問題で、
- 統合失調症
- 双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
2の双極性障害に関する適応がジェネリックにはなしで適応違いが生じるかと思いきや、薬価収載前に一部ジェネリックは適応を取得してますね。
オランザピン錠1.25mg
- 販売メーカー:アメル
- 薬価:23.20円(1.25mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新用量)
オランザピン錠2.5mg
- 販売メーカー:DSEP、EE、JG、KN、YD、アメル、オーハラ、サワイ、テバ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、杏林、三和、日医工、日新、明治(18社)
- 薬価:44.10円(2.5mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサ錠2.5mg(138.10円)
オランザピン錠5mg
- 販売メーカー:DSEP、EE、JG、KN、YD、アメル、オーハラ、サワイ、テバ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、杏林、三和、日医工、日新、明治(18社)
- 薬価:83.50円(5mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサ錠5mg(258.30円)
オランザピン錠10mg
- 販売メーカー:DSEP、EE、JG、KN、YD、アメル、オーハラ、サワイ、テバ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、杏林、三和、日医工、日新、明治(18社)
- 薬価:158.40円(10mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサ錠10mg(489.80円)
オランザピン錠20mg
- 販売メーカー:アメル、EE、KN
- 薬価:237.60(20mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新用量)
オランザピンOD錠1.25mg
- 販売メーカー:アメル
- 薬価:23.20円(1.25mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新用量)
オランザピンOD錠2.5mg
- 販売メーカー:DSEP、EE、JG、TCK、アメル、タカタ、テバ、トーワ、ファイザー、杏林、日医工、明治(12社)
- 薬価:44.10円(2.5mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサザイディス錠2.5mg(138.10円)
オランザピンOD錠5mg
- 販売メーカー:DSEP、JG、TCK、アメル、タカタ、テバ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、杏林、日医工、明治(13社)
- 薬価:83.50円(5mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサザイディス錠5mg(258.30円)
オランザピンOD錠10mg
- 販売メーカー:DSEP、JG、TCK、アメル、タカタ、テバ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、杏林、日医工、明治(13社)
- 薬価:158.40円(10mg1錠)
- 先発医薬品名:ジプレキサザイディス錠10mg(489.80円)
オランザピン細粒1%
- 販売メーカー:DSEP、アメル、オーハラ、サワイ、トーワ、ニプロ、ファイザー、ヨシトミ、日医工、明治(10社)
- 薬価:193.30円(1%1g)
- 先発医薬品名:ジプレキサ細粒1%(472.20円)
ボリコナゾール(ブイフェンド)
ボリコナゾールについては先発品にはない100mgの規格が登場します。
ボリコナゾール錠50mg
- 販売メーカー:DSEP、JG、アメル、タカタ、テバ、トーワ、日医工
- 薬価:481.60円(50mg1錠)
- 先発医薬品名:ブイフェンド錠50mg(1,139.20円)
ボリコナゾール錠100mg
- 販売メーカー:JG、アメル
- 薬価:844.80円(100mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新用量)
ボリコナゾール錠200mg
- 販売メーカー:DSEP、JG、アメル、タカタ、テバ、トーワ、日医工
- 薬価:1,481.80円(200mg1錠)
- 先発医薬品名:ブイフェンド錠200mg(3,505.00円)
ロピニロール(レキップ)
レキップについては先発医薬品には存在しないOD錠が登場します。
パーキンソン病では嚥下障害のある方も少なくないので口腔内崩壊錠の剤形追加は嬉しいですね。
普通錠・口腔内崩壊錠ともに、それぞれ1社ずつの販売です。
ロピニロール錠0.25mg
- 販売メーカー:JG
- 薬価:23.90円(0.25mg1錠)
- 先発医薬品名:レキップ錠0.25mg(58.40円)
ロピニロール錠1mg
- 販売メーカー:JG
- 薬価:82.20円(1mg1錠)
- 先発医薬品名:レキップ錠1mg(202.10円)
ロピニロール錠2mg
- 販売メーカー:JG
- 薬価:152.50円(2mg1錠)
- 先発医薬品名:レキップ錠2mg(375.10円)
ロピニロールOD錠0.25mg
- 販売メーカー:アメル
- 薬価:23.90円(0.25mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新剤型)
ロピニロールOD錠1mg
- 販売メーカー:アメル
- 薬価:82.20円(1mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新剤型)
ロピニロールOD錠2mg
- 販売メーカー:アメル
- 薬価:152.50円(2mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新剤型)
エンタカポン(コムタン)
コムタンのジェネリックも今回初登場です。
エンタカポン錠100mg
- 販売メーカー:JG、KN、アメル、トーワ
- 薬価:92.00(100mg1錠)
- 先発医薬品名:コムタン錠100mg(217.30円)
カンデサルタンシレキセチル・ヒドロクロロチアジド(エカード)
カデチア・・・?
ああ、エカードか。
やっぱり統一名称はロサルヒド以外、なかなか馴染まないですね。
エカード、アイミクス配合剤のジェネリック医薬品の統一名称が決定 – 薬剤師の脳みそ
あすかとテバの2社が発売ですが、どちらも武田薬品グループ。
オーソライズドジェネリック(AG)はあすかの方です。
カデチア配合錠LD
- 販売メーカー:あすか(AG)、テバ
- 薬価:33.70円(1錠)
- 先発医薬品名:エカード配合錠LD(67.30円)
カデチア配合錠HD
- 販売メーカー:あすか(AG)、テバ
- 薬価:64.20円(1錠)
- 先発医薬品名:エカード配合錠HD(128.30円)
オクトレオチド酢酸塩(サンドスタチン)
サンドスタチンのジェネリックは2社から登場です。
オクトレオチド皮下注50μg
- 販売メーカー:SUN、あすか
- 薬価:773円(50μg1mL1管)
- 先発医薬品名:サンドスタチン皮下注用50μg(1,546.00円)
オクトレオチド皮下注100μg
- 販売メーカー:SUN、あすか
- 薬価:1,400円(100μg1mL1管)
- 先発医薬品名:サンドスタチン皮下注用100μg(2,800.00円)
バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(コディオ)
バルヒディオ・・・、これも統一名称ですね。
ロサルヒドに続く配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称が公開(2014年7月) – 薬剤師の脳みそ
AGをサンドが販売します。
バルヒディオ配合錠MD
- 販売メーカー:サンド(AG)、テバ
- 薬価:53.30円(1錠)
- 先発医薬品名:コディオ配合錠MD(106.50円)
バルヒディオ配合錠EX
- 販売メーカー:サンド(AG)、テバ
- 薬価:53.90円(1錠)
- 先発医薬品名:コディオ配合錠EX(107.70円)
モンテルカストナトリウム(シングレア/キプレス)
モンテルカストは1社のみ。
AGとしてキョーリンリメディオが販売します。
ということは、シングレアじゃなくてキプレスのジェネリックってのが正確なところですかね?
剤形も錠剤のみで、チュアブル錠や細粒は今回は見送り。
AGの特権を生かして他社より2〜3ヶ月早く、9月に発売予定です。
かなりのシェアを獲得しそうですね。
モンテルカスト錠5mg
- 販売メーカー:KM
- 薬価:76.80円(5mg1錠)
- 先発医薬品名:キプレス/シングレア錠5mg(153.80円)
モンテルカスト錠10mg
- 販売メーカー:KM
- 薬価:101.80円(10mg1錠)
- 先発医薬品名:キプレス/シングレア錠10mg(203.50円)
既にジェネリックとして販売されている成分
既にジェネリックとして販売されている成分についても、多くの品目が薬価収載されています。
剤形違いや少し話題になりそうなものについてまとめてみます。
剤形・規格が初登場の後発医薬品
成分としては既に後発医薬品が存在しますが、これまでにない剤形のものも今回は多く登場します。
アムバロ配合OD錠
- 販売メーカー:TCK、ファイザー、日医工
- 薬価:43.70(1錠)
- 先発医薬品名:エックスフォージ配合OD錠(105.50円)
ビカルタミドOD錠80mg
- 販売メーカー:KN、NK、あすか、ケミファ、サワイ、ニプロ、日医工、明治
- 薬価:361.00円(80mg1錠)
- 先発医薬品名:カソデックスOD錠80mg(813.20円)
シルニジピン錠20mg
- 販売メーカー:AFP、FFP、JG、テバ
- 薬価:48.80円(20mg1錠)
- 先発医薬品名:アテレック錠20(95.30円)
イマチニブ錠400mg
- 販売メーカー:ファイザー
- 薬価:1,170.60円(400mg1錠)
- 先発医薬品名:該当なし(新用量)※グリベック
イトラコナゾール内用液1%UD20mL
分包品としての登場です。
- 販売メーカー:日本臓器
- 薬価:868.30(1%20mL1個)
- 先発医薬品名:イトリゾール内用液1%(薬価収載単位が異なる)
フルスルチアミン塩酸塩顆粒10%
- 販売メーカー:廣貫堂
- 薬価:6.40円(10%1g)
- 先発医薬品名:該当なし(新剤型) ※アリナミンF
今回新しく追加になったAG
上にもAGが登場していますが、既に発売されているジェネリック医薬品にAGが新たに追加になっています。
GSKのジェネリック部門ともいうべきアスペンの製品です。
- バラシクロビル顆粒50%「アスペン」(バルトレックス顆粒50%)
- バラシクロビル錠500mg「アスペン」(バルトレックス錠500mg)
- パロキセチン錠10mg「アスペン」(パキシル)
イソジンのAG登場?
イソジンシリーズはこれまでムンディファーマと提携していたMeiji Seikaファルマが発売していましたが、提携解消、ムンディファーマが塩野義製薬と提携したことから販売移管が行われています。
- イソジンシュガーパスタ軟膏:2016年2月12日〜塩野義製薬が販売
- イソジンガーグル液7%、イソジン液10%、イソジンスクラブ液7.5%、イソジンフィールド液10%、イソジンパーム液0.5%、産婦人科用イソジンクリーム5%、イソジンゲル10%:2016年8月1日〜塩野義製薬が販売開始
OTCでイソジンブランドに使用していたカバくん問題が記憶に新しいところだと思います。
イソジンを失った明治。
そんな明治が承認を取得したイソジンのジェネリックが薬価収載されています。
長年イソジンを扱ってきた明治が作るジェネリックですから、ある意味AGのようなものかも?
今回、薬価収載されるのは以下のとおりです。
- ポビドンヨード外用液10%「明治」(イソジン液10%)
- ポビドンヨードガーグル液7%「明治」(イソジンガーグル液7)
- ポビドンヨードゲル10%「明治」(イソジンゲル10%)
- ポビドンヨードスクラブ液7.5%「明治」(イソジンスクラブ液7.5%)
※イソジンシュガーパスタの代わりのメイスパン配合軟膏は5月12日に発売済
その他気になる品目
上にあげたもの以外で気になったジェネリックです。
ラクツロース・シロップ60%分包10mL/15mL「コーワ」(モニラック・シロップ)
15mLの分包品は今まで存在しなかったと思います。
ラロキシフェン塩酸塩錠60mg(エビスタ錠60mg)
- 販売メーカー:EE、KN、テバ
沢井製薬に続いて他者も出してきましたね。
ってことは、用途特許だけでは販売中止まで持っていくのは厳しいってことなのかな?
ロサルヒド配合錠HD(プレミネント配合錠HD)
- 販売メーカー:アメル、EP、SN、FFP、科研、KO、KOG、ケミファ、サンド、タナベ、ツルハラ、DK、TCK、トーワ、日医工、日新、ニプロ、明治、モチダ、YD
かなりの数のメーカーが販売開始しますね。
でも、後出しでこのメーカー数だとかなり厳しいんじゃ・・・。
セルトラリン錠100mg(ジェイゾロフト錠100mg)
- 販売メーカー:科研、杏林、ケミファ、サワイ、サンド、JG、タナベ、DSEP、TCK、ニプロ
上に同じくです。
新たな剤形が追加になった先発医薬品
先発医薬品の剤形追加も行われます。
- グルファストOD錠5mg/10mg
- セイブルOD錠25mg
- クレストールOD錠2.5mg/5mg
グルファスト・セイブルの口腔内崩壊錠はわかるんですが、クレストールって必要なのかなあ?
かなり小さい錠剤ですよね・・・。
いや、それでもあった方がいいとは思うんですけどね。
そうです。
採用が切り替えになったので納得できないんです(笑)
かなりの使用量なので在庫調節が大変なもんで。