2019年11月13日、厚生労働省の中医協総会が開かれ、新薬14製品の薬価収載を了承、11月19日に薬価収載されました。
前回(9月4日)、前々回(5月22日)に薬価収載見送りとなっていた鉄乏性貧血治療薬のフェインジェクト(カルボキシマルトース第二鉄)は今回も収載見送りですが、前回(9月4日)見送られていた、切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺がんに対する適応を持つポートラーザ(ネシツムマブ)が収載されています。
また、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の市場拡大再算定による薬価引き下げ(2020年2月1日実施)についても決定しているのでまとめます。
2019.11.19日薬価収載 参考資料
今回参考にした資料です。
- 中央社会保険医療協議会 総会(第432回)議事次第
- 新医薬品一覧表(令和元年11月19日収載予定)中医協 総-1-1 元.11.13
- HIF-PHD 阻害薬の収載に伴う対応について(案) 中医協 総-1-2 元.11.13
- (参考)J038 人工腎臓 中医協 総-1 元.10.9 中医協 総-1-2参考 元.11.13
- 別表第1(医科点数表)<第2章>処置(平成30年 厚生労働省告示第43号)
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(平成30年3月5日 保医発0305第1号)
- 市場拡大再算定の特例品目について 中医協 総-1-3 元.11.13
- 市場拡大再算定の特例の要件について 中医協 総-1-3参考 元.11.13
- 令和元年 11 月薬価収載予定の新薬のうち14日ルールの例外的な取扱いをすることについて(案) 中医協 総-1-4 元.11.13
- 使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
- 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(保医発1118第2号 令和元年11月18日)
今回薬価収載された新医薬品の一覧
表が画面に入りきらない場合は横にスクロールできます。
製品名 (一般名) | 規格 | 薬価 |
---|---|---|
アイベータ配合点眼液 (ブリモニジン酒石酸塩/チモロールマレイン酸塩) | 1mL | 456.00円 |
イスパロクト静注用 (ツロクトコグ アルファペゴル(遺伝子組換え)) | 500国際単位1瓶(溶解液付) 1,000国際単位1瓶(溶解液付) 1,500国際単位1瓶(溶解液付) 2,000国際単位1瓶(溶解液付) 3,000国際単位1瓶(溶解液付) | 67,436円 124,632円 178,510円 230,339円 329,913円 |
エクフィナ錠 (サフィナミドメシル酸塩) | 50mg1錠 | 963.90円 |
エベレンゾ錠 (ロキサデュスタット) | 20mg1錠 50mg1錠 100mg1錠 | 387.40円 819.20円 1,443.50円 |
クリースビータ皮下注 (ブロスマブ(遺伝子組換え)) | 10mg1mL1瓶 20mg1mL1瓶 30mg1mL1瓶 | 304,818円 608,282円 911,812円 |
コララン錠 (イバブラジン塩酸塩) | 2.5mg1錠 5mg1錠 7.5mg1錠 | 82.90円 145.40円 201.90円 |
トリンテリックス錠 (ボルチオキセチン臭化水素酸塩) | 10mg1錠 20mg1錠 | 168.90円 253.40円 |
ハルロピテープ (ロピニロール塩酸塩) | 8mg1枚 16mg1枚 24mg1枚 32mg1枚 40mg1枚 | 404.90円 623.00円 801.50円 958.40円 1,101.00円 |
フィアスプ注 フレックスタッチ フィアスプ注 ペンフィル フィアスプ注 100単位/mL (インスリン アスパルト(遺伝子組換え)) | 300単位1キット 300単位1筒 100単位1mLバイアル | 1,918円 1,338円 334円 |
ブリニューラ脳室内注射液150mg (セルリポナーゼ アルファ(遺伝子組換え)) | 150mg5mL1瓶 | 1,327,645円 |
ベネクレクスタ錠 (ベネトクラクス) | 10mg1錠 50mg1錠 100mg1錠 | 874.60円 3,964.50円 7,601.10円 |
ポートラーザ点滴静注液800mg (ネシツムマブ(遺伝子組換え)) | 800mg50mL1瓶 | 238,706円 |
ラスビック錠75mg (ラスクフロキサシン塩酸塩) | 75mg1錠 | 361.40円 |
リティンパ耳科用250μgセット (トラフェルミン(遺伝子組換え)) | 1セット | 32,691.30円 |
新たに薬価収載された医薬品
新規に薬価収載された医薬品についてまとめます。
新規有効成分を含む新医薬品
まずは新規有効成分を含有する医薬品として承認され、薬価収載が決定した医薬品についてまとめます。
エクフィナ錠
- エーザイ株式会社より、パーキンソン病治療剤『エクフィナ®錠50mg』(一般名:サフィナミドメシル酸塩)日本において新発売
- パーキンソン病治療剤「エクフィナ®錠」(一般名:サフィナミドメシル酸塩) 日本において製造販売承認を取得
- 医薬品名と薬価
- エクフィナ錠50mg:963.90円/錠
- 成分名:サフィナミドメシル酸塩
- 申請者:Meiji Seikaファルマ
- 効能・効果:レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善
- 用法・用量:本剤は、レボドパ含有製剤と併用する。通常、成人にはサフィナミドとして50mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて100mgを1日1回経口投与できる。
- 1日薬価:963.90円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(アジレクト錠)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年11月20日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
中枢シナプス間隙のMAO-Bによるドパミン分解を抑制、レボドパ含有製剤と併用することでドパミン濃度を高め、パーキンソン病の症状を改善に繋げます。
現在、日本国内で使用可能なMAO-B阻害剤には、
- 塩酸セレギリン(エフピーOD錠)
- ラサギリン(アジレクト錠)
がありますが、どちらも不可逆的かつ選択的なMAO-B阻害薬に分類されます。
日本初の可逆的かつ選択的なMAO-B阻害薬です。
また、アジレクトと同様にエクフィナも覚醒剤原料には指定されていない(エフピーは覚せい剤原料に指定)ため流通上の規制を受けずに扱うことができます。
トリンテリックス錠
- トリンテリックス錠10mg・20mg 新発売のご案内
- うつ病治療剤「トリンテリックス®錠」の日本における発売について
- トリンテリックス錠10mg・20mg 薬価基準収載のご案内
- トリンテリックス錠10mg・20mg 製造販売承認取得のご案内
- 医薬品名と薬価
- トリンテリックス錠10mg:168.90円/錠
- トリンテリックス錠20mg:253.40円/錠
- 成分名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩
- 申請者:武田薬品工業
- 効能・効果:うつ病・うつ状態
- 用法・用量:通常、成人にはボルチオキセチンとして10mgを1日1回経口投与する。
- 1日薬価:168.90円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(レクサプロ錠)
- 加算:
- 有用性加算(II)(A=5%)
- 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(主な理由:加算適用品)
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年11月27日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤と呼ばれる新規抗うつ薬です。
- セロトニン再取り込み(セロトニントランスポーター(5-HTT*1/SERT*2))阻害作用
- 5-HT3受容体アンタゴニスト作用
- 5-HT7受容体アンタゴニスト作用
- 5-HT1D受容体アンタゴニスト作用
- 5-HT1B受容体部分アゴニスト作用
- 5-HT1A受容体アゴニスト作用
このように、セロトニンだけでなく、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンの遊離を調節する事で効果を発揮すると考えられています。
有用性加算の対象
トリンテリックス錠は有用性加算(II)の対象となっています。
有用性加算(II)(A=5%)
本剤はセロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン作動性作用の両方を持つ新規作用機序医薬品である。海外のガイドラインでは、認知機能障害を伴う大うつ病患者に対して、唯一最高のエビデンスレベルで推奨されており、一定の臨床的有用性があると考えられたことから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した。
引用元:新医薬品一覧表(令和元年11月19日収載予定)中医協 総-1-1 元.11.13
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
トリンテックスについては、CYP2D6を介した相互作用とCYP2D6 PM患者に対する用量に関する内容です。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1)トリンテリックス錠10mg及び同錠20mg
本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において、「CYP2D6の阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましい。投与に際しては、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
コララン錠
- 小野薬品 コララン製品情報ページ
- HCNチャネル遮断薬「コララン®錠」新発売のお知らせ
- コララン 製造販売承認取得のご案内
- コララン®錠(イバブラジン塩酸塩)慢性心不全に係る効能・効果で国内製造販売承認を取得
- 医薬品名と薬価
- コララン錠2.5mg:82.90円/錠
- コララン錠5mg:145.40円/錠
- コララン錠7.5mg:201.90円/錠
- 成分名:イバブラジン塩酸塩
- 申請者:小野薬品工業
- 効能・効果:洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全
ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。 - 用法・用量:通常、成人にはイバブラジンとして、1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始する。開始後は忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、必要に応じ、2週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1回投与量は2.5、5又は7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量においても、1日2回食後経口投与とする。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 1日薬価:403.80円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(アカルディカプセル)
- 加算:
- 有用性加算(I)(A=35%)
- 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(主な理由:加算適用品)
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年11月19日(薬価収載即日販売開始)
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
イバブラジンは心臓の洞結節に発現するHCN4*3チャネルを選択的に阻害することで、心臓のペースメーカー電流(If)を抑制する初のHCNチャネル遮断薬です。
これにより、心筋活動電位の第4層の脱分極が遅れ、その結果、心拍数が減少します。
他の薬剤とは異なり、心臓の伝導性、収縮性、再分極や血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用があると言われています。
有用性加算の対象
コララン錠は有用性加算(I)の対象となっています。
有有用性加算(I)(A=35%)
本剤はHCNチャネルを阻害する新規作用機序医薬品であり、審査報告書において「心拍数を減少させる目的で投与する、新たな治療選択肢として臨床現場に提供する意義はある」とされている。また、臨床試験では、既存の薬物治療下でも安静時心拍数の高い患者に対して、心血管死又は心不全悪化による入院の発現割合を低減させることが確認されて いる。
以上を踏まえ、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断した。
引用元:新医薬品一覧表(令和元年11月19日収載予定)中医協 総-1-1 元.11.13
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
コララン錠については、投与対象となる患者の心拍数についての内容です。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(2)コララン錠2.5mg、同錠5mg及び同錠7.5mg 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において、「β遮断薬の最大忍容量が投与されても安静時心拍数が75回/分以上の患者に投与すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
エベレンゾ錠
- 腎性貧血治療薬「エベレンゾ®錠」日本で新発売
- エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg 薬価基準収載及び留意事項変更のご案内
- No.483 エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg 新発売(予定)のご案内
- HIF-PH阻害薬「エベレンゾ®錠」 透析施行中の腎性貧血の治療薬として 日本で製造販売承認取得 -経口投与が可能なファーストインクラスの治療薬-
- 医薬品名と薬価
- エベレンゾ錠20mg:387.40円/錠
- エベレンゾ錠50mg:819.20円/錠
- エベレンゾ錠100mg:1,443.50円/錠
- 成分名:ロキサデュスタット
- 申請者:アステラス製薬
- 効能・効果:透析施行中の腎性貧血
- 用法・用量:赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。
赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合
通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。 - 1日薬価:465.80円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(ネスプ注射液)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年11月20日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
エベレンゾは日本で初めての経口腎性貧血治療薬であり、初のHIF-PH阻害薬です。
エリスロポエチン(EPO(ErythroPOietin)))は腎臓で産生されるホルモンで赤血球の産生を促進する造血因子の一つです。
慢性腎臓病(CKD*4)患者はEPOを十分に産生することができないため赤血球産生が滞り貧血(腎性貧血)を起こしやすくなります。
EPOの産生において中心的役割を担っているのが低酸素誘導因子(HIF*5)です。
HIFが活性化されることでEPOの産生が促進され、結果、赤血球の産生も促進されます。
HIFの分解に関わるのがプロリン水酸化酵素(PHD*6)です。
HIF-PH阻害薬はPHDを阻害することでHIFの活性を高め、EPOを産生、赤血球を増加させる薬剤です。
人工腎臓(血液透析)
適応(透析施行中の腎性貧血)を見てもらえればわかるようにエベレンゾ錠は透析中の患者さんに対してのみ使用可能な薬剤になっています。
透析の90%以上は血液透析(HD*7)です。
HDを行う場合、診療報酬において「人工腎臓」の処置料が算定されており、エリスロポエチン(ESA*8)製剤はその技術料の中に包括されています。
J038 人工腎臓(1日につき)
- 慢性維持透析を行った場合1
- イ 4時間未満の場合:1,980点
- ロ 4時間以上5時間未満の場合:2,140点
- ハ 5時間以上の場合:2,275点
- 慢性維持透析を行った場合2
- イ 4時間未満の場合:1,940点
- ロ 4時間以上5時間未満の場合:2,100点
- ハ 5時間以上の場合:2,230点
- 慢性維持透析を行った場合3
- イ 4時間未満の場合:1,900点
- ロ 4時間以上5時間未満の場合:2,055点
- ハ 5時間以上の場合:2,185点
- その他の場合:1,580点
(省略)
注6 1から3までの場合にあっては、透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水及び別に厚生労働大臣が定める注射薬の費用は所定点数に含まれるものとする。
引用元:診療報酬の算定方法の一部を改正する件 別表第1(医科点数表)<第2章>処置(平成30年 厚生労働省告示第43号)
第2章 特掲診療料
第9部 処置<処置料>
(一般処置)
J038 人工腎臓
(7) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。
- ア 「1」から「3」までの場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。
- イ 「1」から「3」までにより算定する場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。
(参考)J038 人工腎臓 中医協 総-1 元.10.9 中医協 総-1-2参考 元.11.13
ここで問題になるのが、ESA製剤に変わってエベレンゾ錠を使用した場合はどうすべきかということですが、ESA製剤と同様にエベレンゾ錠の費用も技術料に包括されます。
そのため、HDを行う場合、エベレンゾは基本的に院内処方で用いられることになります。
○ 留意事項案
「J038 人工腎臓」の留意事項について、以下のように加える。
「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)には、ロキサデュスタット錠は、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤と同様のものとみなし、 その費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。
「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)であって、ロキサデュスタット錠を処方する場合には、院内処方を行うこと。
引用元:HIF-PHD 阻害薬の収載に伴う対応について(案) 中医協 総-1-2 元.11.13
アステラスからも以下のようにアナウンスが出されています。
なお、エベレンゾ®錠の診療報酬算定は、平成30年度診療報酬点数表の「別表第一 医科診療報酬点数表:第2章 特掲診療料:第9部 処置:第1節 処置料(一般処置):J038 人工腎臓(1日につき)」に該当し、包括払いとなります。また、本剤の処方にあたっては、留意事項において、院内処方を行うこととの通知がございます。
引用元:エベレンゾ錠20mg・50mg・100mg 薬価基準収載及び留意事項変更のご案内
1 別添1第2章第9部J038中(23)の次に次を加える。
(24) 「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)には、ロキサデュスタット錠は、エリスロポエチン製剤及びダルベポエチン製剤と同様のものとみなし、その費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。
「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)であって、ロキサデュスタット錠を処方する場合には、院内処方を行うこと。
引用元:「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(保医発1118第2号 令和元年11月18日)
エベレンゾは適応上 腹膜透析(PD*9)の患者さんに対しても使用できるようになっていますが、その場合は院外処方が行われるはずです。
が、現状ではPD自体がほとんど行われていないので、薬局でお目にかかるケースはなかなかなさそうですね。
ベネクレクスタ錠
メーカーからのアナウンスが非常に多いため必要に応じてクリックして展開してください。
- 医薬品名と薬価
- ベネクレクスタ錠10mg:874.60円/錠
- ベネクレクスタ錠50mg:3,964.50円/錠
- ベネクレクスタ錠100mg:7,601.10円/錠
- 成分名:ベネトクラクス
- 申請者:アッヴィ合同会社
- 効能・効果:再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
- 用法・用量:通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 1日薬価:30,404.40円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(イムブルビカカプセル)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年11月22日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
ベネトクラクスは難治性の慢性リンパ性白血病(CLL*10)/小リンパ球性リンパ腫(SLL*11)で高頻度に見られる抗アポトーシス・タンパク質であるBCL-2*12タンパクを標的とする初の分子標的薬、選択的BCL-2阻害薬です。
CLLやSLLではBCL-2というタンパク質が過剰発現し、がん細胞のアポトーシスを阻害しています。
ベネトクラクスはBCL-2を阻害することで、本来がん細胞が持っているアポトーシスの機能を回復させます。
ラスビック錠
- 医薬品名と薬価
- ラスビック錠75mg:361.40円/錠
- 成分名:ラスクフロキサシン塩酸塩
- 申請者:杏林製薬
- 効能・効果:
〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
〈適応症〉
咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎 - 用法・用量:通常、成人には、ラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与する。
- 1日薬価:361.40円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(II)(クラビット錠)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2020年1月8日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
過去記事にまとめています。
https://yakuzaishi.love/entry/elastic-20190920
杏林製薬が自社で創製したキノロン系合成抗菌薬です。
肺への移行性が高く、少ない量で効果を発揮する新規レスピラトリーキノロンです。
薬価はクラビット錠500mgと同じ361.40円/錠です。
ラスビックと他のNQの薬価
- ラスビック錠75mg:361.40円/錠(361.40円/日)
- グレースビット錠50mg:162.00円/錠(324.00〜648.00円/日)
- ジェニナック錠200mg:216.90円/錠(216.90円/日)
- アベロックス錠400mg:444.20円/錠(444.20円/日)
- クラビット錠500mg:361.40円/錠(361.40円/日)
※2019年11月時点
他のニューキノロンとの適応比較
近年承認された他のニューキノロンとラスビック錠を比較してみます。
適応菌種
- ラスビック錠:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
- グレースビット錠:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
- ジェニナック錠:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
- アベロックス錠:ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、アクネ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
青字:ラスビックにはない適応菌種
赤字:ジェニナック・アベロックスにはない適応菌種
適応症
- ラスビック錠:頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、 急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、 副鼻腔炎
- グレースビット錠:咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、子宮頸管炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
- ジェニナック錠:咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎
- アベロックス錠: 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎。急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎
青字:ラスビックにはない適応症
赤字:アベロックスにはない適応症
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
ラスビック錠については、AMR*13対策についての内容が記載されています。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(3)ラスビック錠75mg
本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において、「本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
フィアスプ注
- 新規の超速効型インスリンアナログ製剤「フィアスプ®注」〔一般名:インスリン アスパルト(遺伝子組換え)〕、発売のお知らせ
- 新規の超速効型インスリンアナログ製剤「フィアスプ®注」(一般名:インスリン アスパルト)、国内での製造販売承認取得のお知らせ
- 医薬品名と薬価
- フィアスプ注 フレックスタッチ:1,918円/キット
- フィアスプ注 ペンフィル:1,338円/筒
- フィアスプ注 100単位/mL:334円/バイアル
- 成分名:インスリン アスパルト(遺伝子組換え)
- 申請者:ノボノルディスクファーマ
- 効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病
- 用法・用量:
(フレックスタッチ/ペンフィル)
通常、成人では、初期は1回2~20単位を毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日4〜100単位である。通常、小児では、毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日0.5〜1.5単位/kgである。
(100単位/mLバイアル)
通常、成人では、初期は1回2〜20単位を毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。また、持続型インスリン製剤と併用することがある。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日4〜100単位である。通常、小児では、毎食事開始時に皮下投与するが、必要な場合は食事開始後の投与とすることもできる。 また、持続型インスリン製剤と併用することがある。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日0.5〜1.5単位/kgである。必要に応じポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与する。また、必要に応じ静脈内注射を行う。 - 1日薬価:639円/日
- 算定方式:別の銘柄として算定しない(ノボラピッド)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2020年2月7日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
新規の超速効型インスリンアナログ製剤ですが、成分はノボラピッドと同じインスリンアスパルトです。
異なるのは添加剤としてニコチン酸アミドが含まれること。
これにより、投与後初期のインスリンアスパルトの吸収が速くなり、インスリンによる血糖降下作用がノボラピッドよりも速く発現すると考えられています。
この血糖降下作用の速さにより、食直前(ノボラピッド:食前15分以内)でなく食事開始時(食事開始前の2分以内)や食事開始後(食事開始から20分以内)の投与を可能とした、いわばスーパーノボラピッドです。
「別の銘柄として算定しない」ということで薬価はノボラピッドと全く同じになっています。
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
フィアスプ注については、在宅自己注射指導管理料を算定可能、注入器用注射針加算は算定不可となっています。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(4)フィアスプ注フレックスタッチ、同注ペンフィル及び同注100単位/mL
- 本製剤はインスリン製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
- フィアスプ注 フレックスタッチについては注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算は算定できないものであること。
ブリニューラ脳室内注射液
- 医薬品名と薬価
- ブリニューラ脳室内注射液150mg:1,327,645円/瓶
- 成分名:セルリポナーゼ アルファ(遺伝子組換え)
- 申請者:BioMarin Pharmaceutical Japan
- 効能・効果:セロイドリポフスチン症2型
- 用法・用量:通常、セルリポナーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、300mgを2週間に1回、脳室内投与する。なお、患者の状態、年齢に応じて適宜減量する。
- 1日薬価:-
- 算定方式:原価計算方式
- 加算:
- 有用性加算(II)(A=5%)(加算係数=0.2)
- 市場性加算(A=10%)(加算係数=0.2)
- 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(希少疾病用医薬品として指定)
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2020年1月6日
- 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
セロイドリポフスチン症2型(CLN2(ceroid lipofuscinosis, neuronal, 2()))を対象とした初の治療薬です。
セロイドリポフスチン症(CL*14)は、細胞内での代謝障害により、神経細胞内にセロイドリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性疾患です。
CLの1病型である2型(CLN2)で欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を脳室内に直接補充することでリポフルスチンの蓄積を減少させます。
セロイドリポフスチン症2型は希少疾患とされていますが、ブリニューラ脳室内注射液のピーク時使用患者数は8人と予想されています。
原価計算方式での算定に加えて有用性加算と市場性加算の対象
新規作用機序、初の適応ということで原価計算方式で薬価が算定されています。
さらに有用性加算と市場性加算の対象となっています。
補正加算
- 有用性加算(II)(5~30%):本剤は、これまで有効な治療方法が存在しなかったセロイドリポフスチン症2型に対する初の薬剤であること等から、治療方法の改善が示されていると判断し、有用性加算(II)(A=5%)とすることが適当と判断した。
- 市場性加算(I)(10~20%):本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした。
ただし、補正加算に加算係数0.2を乗じることが決定されており、(10%+5%)×0.2=3%の加算となっています。
クリースビータ皮下注
- 医薬品名と薬価
- クリースビータ皮下注10mg:304,818円/瓶
- クリースビータ皮下注20mg:608,282円/瓶
- クリースビータ皮下注30mg:911,812円/瓶
- 成分名:ブロスマブ(遺伝子組換え)
- 申請者:協和キリン
- 効能・効果:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
- 用法・用量:
○FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)
成人には、4週に1回1mg/kgを皮下投与する。症状等に応じて適宜減量する。小児には、2週に1回0.8mg/kgを皮下投与する。症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。
○腫瘍性骨軟化症
成人には、4週に1回0.3mg/kgを皮下投与する。症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。 - 1日薬価:-
- 算定方式:原価計算方式
- 加算:
- 有用性加算(I)(A=45%)(加算係数=1.0)
- 市場性加算(A=10%)(加算係数=1.0)
- 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(希少疾病用医薬品として指定)
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:未定
線維芽細胞増殖因子23(FGF*1523)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体。
くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤です。
希少疾患とされていますが、ピーク時の患者数は443人と予測されています。
原価計算方式での算定に加えて有用性加算と市場性加算の対象
新規作用機序、初の適応ということで原価計算方式で薬価が算定されています。
さらに有用性加算と市場性加算の対象となっています。
補正加算
- 有用性加算(I)(35~60%):本剤はFGF23に結合し、血清リン濃度の低下作用を阻害することにより、血清無機リン濃度を維持し、骨軟化症に伴う症状の改善傾向を示した新規作用機序医薬品である。本剤の開発に当たって、小児でリン酸製剤等による既存の治療法と比較したランダム化非盲検比較試験が実施され、本剤群でくる病の重症度評価で有意な改善が認められたことから、有用性加算(I)A=45%が妥当と判断した。
- 市場性加算(I)(10~20%):本剤は希少疾病用医薬品の指定を受けていることから加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした。
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
クリースビータ皮下注の使用においては、レセプトにFGF23の過剰を確認した検査の実施年月日を記載する必要があります。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(5)クリースビータ皮下注10mg、同皮下注20mg及び同皮下注30mg
本剤の効能又は効果は「FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症」であり、FGF23の過剰産生により血清リン濃度が低下している患者が対象であることから、FGF23の過剰を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては必ず実施年月日を記載すること。
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
ポートラーザ点滴静注液
- 【発売準備中】ポートラーザ®点滴静注液800mg 製品写真
- 製造販売承認取得及び承継に関するお知らせ(2019.6)
- 抗悪性腫瘍剤 ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体「ポートラーザⓇ点滴静注液800mg」の製造販売承認の承継について
- 医薬品名と薬価
- ポートラーザ点滴静注液800mg:238,706円/瓶
- 成分名:ネシツムマブ(遺伝子組換え)
- 申請者:日本化薬
- 効能・効果:切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌
- 用法・用量:ゲムシタビン及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはネシツムマブ(遺伝子組換え)として1回800mgをおよそ60分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 1日薬価:22,734円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(ベクティビックス点滴静注)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年6月18日
- 発売日:2019年11月22日
肺癌では初の抗EGFR抗体薬(遺伝子組換えヒト免疫グロブリンG1モノクローナル抗体)です。
癌細胞のEGFRを阻害することで増殖を抑制すると同時に、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC*16活性)を高めることで癌細胞の破壊を促進します。
イスパロクト静注用
- イスパロクト® 静注用 製造販売承認取得のお知らせ
- ペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤「イスパロクト®静注用」〔一般名:ツロクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、N8-GP〕、国内での製造販売承認取得のお知らせ
- 医薬品名と薬価
- イスパロクト静注用500:67,436円/瓶
- イスパロクト静注用1000:124,632円/瓶
- イスパロクト静注用1500:178,510円/瓶
- イスパロクト静注用2000:230,339円/瓶
- イスパロクト静注用3000:329,913円/瓶
- 成分名:ツロクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)
- 申請者:ノボ ノルディスク ファーマ
- 効能・効果:血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制
- 用法・用量:
本剤を添付の専用溶解液全量で溶解し、1〜2mL/分で緩徐に静脈内に注射する。
通常、1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、12歳以上の患者には、通常、1回体重1kg当たり50国際単位を4日毎に投与する。なお、患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり50国際単位を週2回、又は1回体重1kg当たり75国際単位を週1回投与することもできる。
12歳未満の小児には、通常、1回体重1kg当たり60国際単位を週2回投与する。なお、患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり50〜75国際単位を週2回又は3日毎に投与することもできる。 - 1日薬価:68,732円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(II)(過去6年間の最低一日薬価)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:未定
半減期延長型血液凝固第8因子製剤です。
イスパロクトはノボエイト(ツロクトコグ アルファ)をペグ化して半減期を延長させたものになります。
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
イスパロクト静注用は
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(6)イスパロクト静注用500、同静注用1000、同静注用1500、同静注用2000、及び同静注用3000
- 本製剤は遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
- 本製剤は針及び注入器付の製品であるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する場合、医科点数表区分番号「C151」注入器加算及び「C153」注入器用注射針加算は算定できないものであること。
新規格・新剤形
新規格や新剤形が追加されたものです。
ハルロピテープ
- 協和キリン ハルロピテープ紹介ページ
- 経皮吸収型 パーキンソン病治療剤「ハルロピ®テープ(開発コード:HP-3000)」国内販売開始のお知らせ
- 経皮吸収型 パーキンソン病治療剤「ハルロピ®テープ(開発コード:HP-3000)」の国内製造販売承認取得のお知らせ
- 経皮吸収型 パーキンソン病治療剤「ハルロピ®テープ(開発コード:HP-3000)」の国内製造販売承認取得のお知らせ
- 医薬品名と薬価
- ハルロピテープ8mg:404.90円/枚
- ハルロピテープ16mg:623.00円/枚
- ハルロピテープ24mg:801.50円/枚
- ハルロピテープ32mg:958.40円/枚
- ハルロピテープ40mg:1,101.00円/枚
- 成分名:ロピニロール塩酸塩
- 申請者:久光製薬
- 効能・効果:パーキンソン病
- 用法・用量:通常、成人にはロピニロール塩酸塩として1日1回8mgから始め、以後経過を観察しながら、必要に応じて1週間以上の間隔で、1日量として8mgずつ増量する。いずれの投与量の場合も1日1回、胸部、腹部、側腹部、大腿部又は上腕部のいずれかの皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、ロピニロール塩酸塩として1日量64mgを超えないこととする。 - 1日薬価:1,916.80円/日
- 算定方式:類似薬効比較方式(I)(ニュープロパッチ)
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:
2019年11月29日2019年12月17日 - 新医薬品の処方日数制限:あり(2020年11月末日)
レキップと同じ有効成分を含んだ薬剤で、久光製薬独自の経皮薬物送達システム(TDDS*17)技術を用いて開発した全身性の経皮吸収型製剤です。
血中薬物濃度を安定して維持し、効果を持続させることでパーキンソン病治療薬の新たな選択肢になることが期待されます。
ドパミンアゴニストの経皮吸収型製剤としてはニュープロパッチ(ロチゴチン)に続いて2剤目になります。
(2019年11月29日追記)11月29日に発売予定でしたが製品パッケージのバーコード表示に係る修正が発生したため12月17日に発売延期になっています。
アイベータ配合点眼液
- 医薬品名と薬価
- アイベータ配合点眼液:456.00円/mL
- 成分名:ブリモニジン酒石酸塩/チモロールマレイン酸塩
- 申請者:千寿製薬
- 効能・効果
次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合:
緑内障、高眼圧症 - 用法・用量:1回1滴、1日2回点眼する。
- 1日薬価:45.60円/日
- 算定方式:新医療用配合剤の特例
- 加算:なし
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:未定
- 新医薬品の処方日数制限:なし
α2作動薬であるブリモニジン(アイファガン)とβ遮断薬であるチモロール(チモプトール)の配合剤です。
α2作動薬とβ遮断薬を組み合わせた配合点眼薬は初めてになります。
薬価はアイファガンと同じです。
新医療用配合剤の特例
「自社品の薬価の0.8倍」+「他社の後発品の最低薬価」により算定(ブリモニジン酒石酸塩のみ自社品がある。)した ところ、アイファガン点眼液0.1%の薬価を下回ったため、本剤の薬価はアイファガン点眼液0.1%の薬価と同額とした。
引用元:新医薬品一覧表(令和元年11月19日収載予定)中医協 総-1-1 元.11.13
新薬14日ルールの例外
アイベータ配合点眼液は以下の通り新医薬品14日ルールの対象外となりました。
令和元年11月薬価収載予定の新薬のうち14日ルールの例外的な取扱いをすることについて(案) 中医協 総-1-4 元.11.13
同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量について、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる新医薬品については、新医薬品に係る処方日数制限を設けないこととする。
引用元:令和元年11月薬価収載予定の新薬のうち14日ルールの例外的な取扱いをすることについて(案) 中医協 総-1-4 元.11.13
2 掲示事項等告示の一部改正について
新医薬品(医薬品医療機器等法第 14 条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第10第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにアイベータ配合点眼液が当該制限の例外とされた。
引用元:使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について(保医発1118第1号 令和元年11月18日)
リティンパ耳科用
- 医薬品名と薬価
- リティンパ耳科用250μgセット:32,691.30円/セット
- 成分名:トラフェルミン(遺伝子組換え)
- 申請者:ノーベルファーマ
- 効能・効果:鼓膜穿孔
- 用法・用量:鼓膜用ゼラチンスポンジに100μg/mLトラフェルミン(遺伝子組換え)溶液全量を浸潤させて成形し、鼓膜穿孔縁の新鮮創化後、鼓膜穿孔部を隙間なく塞ぐように留置する。
- 1日薬価:-
- 算定方式:原価計算方式
- 加算:
- 有用性加算(I)(A=35%)(加算係数=1.0)
- 市場性加算(II)(A=5%)(加算係数=1.0)
- 新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算適用)
- 製造販売承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年12月9日
鼓膜穿孔を対象とした国内初の治療薬です。
有効成分のトラフェルミンはフィブラストスプレーやリグロス歯科用液キットの有効成分でもあります。
リティンパの投与方法と技術料について
リティンパは単純な投与が行われるものではなく、手術を行なって投与される製剤です。
そのため、リティンパの投与に係る技術料が定められます。
「リティンパ耳科用 250μg」の投与に係る技術料について
○ 準用技術
K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき) 1,580点
○ 留意事項案
「K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)」の留意事項について、以下のように加える。
トラフェルミン(遺伝子組換え)を用いた鼓膜穿孔閉鎖に当たっては、6か月以上続く鼓膜穿孔であって、自然閉鎖が見込まれない患者のうち、当該鼓膜穿孔が原因の聴力障害を来し、かつ本剤による鼓膜穿孔閉鎖によって聴力障害の改善が見込まれる者に対して実施した場合に限り本区分の所定点数を準用して算定できる。なお、診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に本剤による鼓膜穿孔閉鎖を実施する医学的必要性の症状詳記を添付すること。
引用元:新医薬品一覧表(令和元年11月19日収載予定)中医協 総-1-1 元.11.13
薬価基準収載に伴う留意事項
令和元年11月18日付で、令和元年11月19日の薬価収載と同時に適用される注意事項について通知が出されています。
リティンパ耳科用については、使用上の注意の確認、鼓膜穿孔閉鎖術が算定可能であることについて記載されています。
3 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(7)リティンパ耳科用250μgセット
- 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「鼓膜の穿孔期間、穿孔状態等から、穿孔した鼓膜の自然閉鎖が見込まれない患者を本剤の投与対象とすること。」「熱傷、放射線治療等により鼓膜が障害されている患者で、障害部位から鼓膜の再生が期待されない場合は、有効性が期待できないため、投与しないこと。」「外耳道及び中耳内に活動性の炎症、感染症又は耳漏を有する患者には、有効性が期待できないため、投与しないこと。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
- 本製剤を患者に使用した場合は、医科点数表区分番号「K311」鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)を算定できるものであること。
鼓膜穿孔閉鎖術については診療報酬上の改定が行われています。
2 別添1第2章第10部第1節第5款K296の次に次を加える。
K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)
トラフェルミン(遺伝子組換え)を用いた鼓膜穿孔閉鎖に当たっては、6か月以上続く鼓膜穿孔であって、自然閉鎖が見込まれない患者のうち、当該鼓膜穿孔が原因の聴力障害を来し、かつ本剤による鼓膜穿孔閉鎖によって聴力障害の改善が見込まれる者に対して実施した場合に限り、区分番号「K311」鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)の所定点数を準用して算定できる。なお、診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に本剤による鼓膜穿孔閉鎖を実施する医学的必要性の症状詳記を添付すること。
引用元:「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(保医発1118第2号 令和元年11月18日)
キイトルーダ点滴静注の市場拡大再算定
キイトルーダ点滴静注に市場拡大再算定が適応され、2020年2月1日より薬価が引き下げられます。
市場拡大再算定とは?
2年目以降の予想販売額が一定額を上回った場合、年4回の薬価収載のタイミングで薬価の引き下げが行われるルール。
- 原価計算方式で薬価算定された医薬品:最大25%の薬価引き下げ
- 年間販売額150億円超かつ予測年間販売額の2倍以上
- 年間販売額100億円超かつ予測年間販売額の10倍以上
- 類似薬効比較方式で薬価算定された医薬品:最大15%の薬価引き下げ
適応拡大などで市場実態が大きく変化し、年間販売額150億円超かつ予測年間販売額の2倍以上
- 市場拡大再算定の特例
- 年間販売額が 1,500 億円を超え、基準年間販売額の 1.3 倍以上となるもの:最大50%の薬価引き下げ
- 年間販売額が 1,000 億円を超え、基準年間販売額の 1.5 倍以上となるもの:最大25%の薬価引き下げ
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB*18)に基づく検討を行ったところ、「年間販売額が1,000億円超かつ、基準年間販売額の1.5倍超」という要件に該当したため、市場拡大再算定の特例の対象となったようです。
変更後(令和2年2月1日以降)の薬価は以下の通りです。
- キイトルーダ点滴静注20mg:76,491円/錠→63,077円/錠
- キイトルーダ点滴静注100mg:371,352円/錠→306,231円/錠
17.5%の引き下げとなっていますね。
まとめ・雑感
やはり一番の注目は初のHIF-PH阻害薬 エベレンゾですね。
現段階では適応により透析患者さんの使用に絞られていますが、CKD適応を取得予定とのことです。
2019年のノーベル生理学賞でも話題になった作用機序をもつ薬剤です。
現段階では薬局でなかなかお目にかかることはなさそうですが、今後は他のメーカーからもHIF-PH阻害薬が登場してくるので要注目です!
初のHCNチャネル遮断薬 コラランにも注目です。
慢性心不全の新たな選択肢として期待されています。
近いうちに詳しくまとめたいなと思っている薬剤です。
フィアスプ注はノボラピッドに置き換わるのか、それともそれぞれが状況に応じて使い分けられていくのか?
いまいち位置付けがわかりにく薬剤かな・・・と思っています。
そういう意味では新規ニューキノロン ラスビックや新規抗うつ薬 トリンテリックスも同じです。
どのような形でどの程度使われるのか、果たして本当に有効なのか、立ち位置が曖昧なんですよね・・・。
ちなみに、鉄乏性貧血治療薬のフェインジェクトは今回で3回目の見送り。
どうなることやら・・・。
*1:5-HT Transporter
*2:SERotonin Transporter
*3:Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated 4
*4:Chronic Kidney Disease
*5:Hypoxia-Inducible Factor
*6:Prolyl Hydroxylase Domain
*7:HemoDialysis
*8:Erythropoiesis Stimulating Agent
*9:Peritoneal Dialysis
*10:Chronic Lymphocytic Leukemia
*11:Small Lymphocytic Lymphoma
*12:B Cell Lymphoma and Leukemia-2
*13:AntiMicrobial. Resistance
*14:Ceroid Lipofuscinoses
*15:Fibroblast Growth Factor
*16:Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity
*17:Transdermal Drug Delivery System
*18:National Data Base