ジェネリック医薬品市場はここ数年で急激な伸びを見せています。
2011年に4,840億円だった後発医薬品市場は、2015年には4年間で41.3%伸び、6,837億円になるといわれています。
高血圧分野では、昨年、バルサルタン(先発品:ディオバン)やカンデサルタン(先発品:ブロプレス)のような大型ARBの後発医薬品が発売され、それぞれオーソライズドジェネリック(AG)が発売されています。
高脂血症分野においては、第一選択薬であるスタチン系薬剤で、2011年にアトルバスタチン(先発品:リピトール)、2013年にピタバスタチン(先発品:リバロ)の後発医薬品が発売されています。
さらに、感染症領域では、高用量レボフロキサシン(先発品:クラビット)も発売され、AGも登場しました。
高齢化がますます進む中で、認知症治療薬の代表であるドネペジル(先発品:アリセプト)の使用もますます促進されていきそうです。
インフリキシマブ(商品名:レミケード)などバイオシミラーも続々登場しています。
さて、今年はどのような後発医薬品の発売が予定されているのでしょうか?
平成27年2月承認、6月薬価収載予定の新規後発医薬品
- クロピドグレル硫酸塩(先発医薬品名:プラビックス) 抗血小板剤
- ナフトピジル(先発医薬品名:フリバス) 排尿障害改善薬
- メトホルミン塩酸塩(先発医薬品名:メトグルコ) ビグアナイド系糖尿病治療薬
- メサラジン(先発医薬品名:アサコール) 潰瘍性大腸炎治療薬
- レトロゾール(先発医薬品名:フェマーラ) アロマターゼ阻害薬
- リネゾリド(先発医薬品名:サイボックス) オキサゾリジノン系合成抗菌剤
これはなかなかのラインナップですね。
特にプラビックス、メトグルコ。
プラビックスのジェネリック
プラビックス錠25mg 薬価:112.5円、プラビックス錠75mg 薬価:282.7 用量:50~75mg(一日薬価:225~282.7円)
プラビックスは使用量を考えると、ジェネリックの処方もかなり多くなりそうです。
ただ、5月末でエフィエント錠(一般名:プラスグレル)の新薬投与制限が解除されるので、そっちに切り替えることも考えられるか?と言ったところでしょうか。
エフィエント錠 – 薬剤師の脳みそ
コンプラビン(一般名:クロピドグレル/アスピリン)もそこまで使用が増えていないような気がするので、かなりの方がジェネリックに切り替えるのではないでしょうか?
日医工サノフィ(SANIK)がAGを準備しているとの話も聞こえてきています。
メトグルコのジェネリック
メトグルコ錠250mg 薬価:10.2円、メトグルコ錠500mg 薬価:19円 用量:500~2,250mg/日(一日薬価:20.4~91.8円)
メルビンからジェネリックではなく、用量や禁忌で有利なメトグルコに切り替えて使用しているところも多かったと思いますが、メトグルコにもジェネリックが登場します。
患者数を考えると、かなりの切り替えが予想されますね。
【メルビンの思い出】メトグルコとグリコランと乳酸アシドーシス【メトホルミン】 – 薬剤師の脳みそ
アサコールのジェネリック
アサコール錠400mg 薬価:88.6円 用量:2,400~3,600mg/日(一日薬価:531.6~797.4円)
一日あたりの使用量や値段を考えるとかなり大きいですね。
特定疾患(法別番号:51)から指定難病(法別番号:54)に切り替わり、これまで薬局での自己負担がなかった方が2割負担となっています。
特定疾患治療研究事業(51)と難病医療費助成制度(54)~薬局での対応はどう変わる? – 薬剤師の脳みそ
自己負担限度額によっては後発医薬品の使用を望む人が多いのではないかと思います。
フェマーラのジェネリック
フェマーラ錠2.5mg 薬価:674.1円 用量:2.5mg/日(一日薬価:674.1円)
単価が高く、服用期間も長いのでジェネリックの使用を希望される方が多いかもしれません。
適応外ですが、自由診療で不妊治療に使用する方はジェネリックを選択できれば大きく治療費を減らすことができますね。
フェマーラで不妊治療 – 薬剤師の脳みそ
平成27年8月承認、12月薬価収載予定の新規後発医薬品
- タゾバクタム/ピペラシリン水和物(先発医薬品名:ゾシン静注用) β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質
- バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩(先発医薬品名:エックスフォージ) 降圧配合剤
- セルトラリン塩酸塩(先発医薬品名:ジェイゾロフト) SSRI
- マサキカルシトール(先発医薬品名:オキサロール注) 二次性副甲状腺機能亢進症治療薬
- アムロジピンベシル酸塩/アトルバスタチンカルシウム(先発医薬品名:カデュエット) 降圧/高脂血症治療薬配合剤
エックスフォージのジェネリック
エックスフォージ錠 薬価:114.6(一日薬価:114.6円)
え~と、たしか統一名称がアムバロ配合錠に決まったんでしたっけ?
ロサルヒドに続く配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称が公開(2014年7月) – 薬剤師の脳みそ
カデュエットのジェネリック
カデュエット配合錠1番 薬価:75.3、カデュエット配合錠2番 薬価:120.1、カデュエット配合錠3番 薬価:97、カデュエット配合錠4番 薬価:141.7
こちらはアマルエット配合錠でしたね。
まとめ
2015年も大型ジェネリックが続々登場しそうですね。
とくに前半は注目すべき品目が多いです。
一番の目玉はやはりクロピドグレル(プラビックス)でしょうか?
かなりの数のメーカーが参入することになりそうですね。
製剤的に患者さんや医療関係者にメリットのあるものが発売されることも期待したいですね。