医療用のスミスリン?〜スミスリンローション5%

平成26年2月28日、薬食審第二部会でスミスリンローション5%の承認が了承されました。
スミスリンと言えば、OTCで発売されているスミスリンシャンプーとスミスリンパウダー。
もともとOTCにあった成分が医療用でも発売という、少し珍しいケースです。

スミスリンローション5%

一般名:フェノトリン
クラシエの販売になるようです。

効能•効果は、「疥癬」
用法•用量は、「通常、1週間隔で、1回1本 (30g)を頸部以下 (頸部から足底まで)の皮膚に塗布し、塗布後 12時間以上経過した後に入浴、シャワー等で洗浄、除去する」

医療用のスミスリンの剤形はローションなんですね。

OTCのスミスリン

一般用医薬品(第二類)として販売されているスミスリンにはシラミの駆除に用いるスミスリンLシャンプータイプとスミスリンパウダーがあります。
どちらも大日本除虫菊(金鳥)の子会社であるダンヘルスケアが販売しています。
※ちなみに、ダンヘルスケアのダンは元親会社の住友製薬(現 大日本住友)の医療用医薬品 ダン•リッチ(製造中止)に由来してます。

OTCスミスリンの剤型

スミスリンパウダーはその名の通り粉末の製剤ですが、スミスリンLシャンプーは毛髪に寄生したシラミに対して使いやすいようにされたシャンプータイプの製剤です。

スミスリンパウダーとスミスリンシャンプー

ともに1g(1mL)中に4mgのフェノトリンを含みます。
両方とも効能•効果は、「シラミの駆除」。
頭部や陰部のシラミに使用します。
ちなみに、人に寄生するシラミにはアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミがいますが、スミスリンが効果を持つのはアタマジラミとケジラミです。

OTCスミスリンの使い方

剤形が異なるため、用量や使用する際に濡らしてから使う(シャンプー)かどうかの違いはありますが、どちらも「1日1回、3日に1度ずつ(2日おきに)3~4回繰り返し」、使用後は一定の時間(パウダーは一時間、シャンプーは五分)おいてから通常のシャンプーなどでしっかり洗い流すようになっています。

繰り返して使用するのはシラミが卵によって繁殖するためで、スミスリン一回の使用では卵までは完全に倒すことができません。
なので、専用のクシで卵を取り除きながら、間隔を開けて繰り返し使用することで孵化したシラミを倒すことで完全に駆除できるということです。

二日おきの使用は毎日使用しても効果は変わらず、殺虫剤の一種ですから副作用の可能性が増えるだけでしょうね。

フェノトリン

スミスリンの有効成分であるフェノトリンは、ピレスロイド系化合物と呼ばれるもので、神経末端のナトリウムチャネルを開くことで、脱分極を起こし、神経細胞を常に過剰に興奮した状態にさせてしまうことで神経毒性を発揮します。
昆虫類•爬虫類•両生類に効果を発揮しますが、哺乳類•鳥類の受容体に対する作用は弱いので安全と言われています。

フェノトリンを含む殺虫剤

フェノトリンはスミスリン以外にも殺虫剤として広く使用されています。
代表的なものを挙げると、アースレッド、バルサンなど。
ダニやゴキブリの殺虫剤としても使用されています。

ダニやノミの殺虫剤として、スミスリン粉剤やスミスリン乳剤といったものも販売されています。

疥癬とその治療法

疥癬

ヒゼンダニがヒトの皮膚に疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを掘って寄生し、皮疹や痒みなどの症状を引き起こすものです。

疥癬の治療

現在疥癬の保険適用を受けている薬剤は駆虫薬であるストロメクトール(一般名:イベルメクチン)、イオウ剤(以前、OTCで発売されていた六一0ハップもこれに含まれます。)、オイラックス(一般名:クロタミトン)のみです。
殺虫剤であるγBHCや殺虫剤のスミスリンを保険適用外で使用することもありました。

医療用スミスリンローションの販売

ダニに効果を持つスミスリンですが、皮膚のトンネル内に潜むダニに効果を発揮するためにはスミスリンシャンプーやパウダーを水に溶かしたものでは濃度も薄く(0.4%)効果不十分です。
かといって、医療現場で殺虫剤を溶かして使用するには手間や副作用のリスクが問題となります。

なので、今回承認されたスミスリンローションは濃度も5%(1mLあたり50mg)と高く、ローションなので介護現場などでも使用しやすいと思います。
性質上、同一の居住空間なとで集団発生しますから、使用の手間も大事だ部分です。

塗布後12時間以上で洗い流すようになっているので、介護施設などでは寝る前塗布、翌日お昼前後に入浴といった形でしょうか?

最近はOTCのスミスリンを使用する機会も減りましたが、この機会に復習しておきたいですね!

余談ですが、沖縄などではフェノトリン耐性のシラミも発生して問題となりつつあるようです。
予防効果はないので間違っても予防的には使わないように!

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