エフィエント錠

第一三共が大型新薬として力を入れてきたエフィエント(一般名:プラスグレル)が国内承認が了承されました。
第一三共と宇部興産の共同研究で発見、開発は第一三共とイーライリリーが共同で行いました。
同じ抗血小板薬のプラビックス(一般名:クロピドグレル)に挑みます。

エフィエント錠の承認情報

第一三共のエフィエント錠。
規格は3.75mgと5mgの2つです。

効能•効果は、

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患
急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)、安定狭心症および陳旧性心筋梗塞

用法•用量は、

通常、成人には、投与開始日にプラスグレルとして20 mgを 1日 1回経口 投与し、その後、維持用量として1日 1回 3.75 mgを経口投与する。

プラスグレルの特徴

作用機序
プラビックス(一般名:クロピドグレル)やパナルジン(一般名:チクロピジン)と同じチエノピリジン誘導体でADP受容体拮抗作用を持ちます。
血小板細胞表面に存在するADP受容体の内、P2Y12受容体に作用し、血小板凝集を促進させるシグナル伝達を抑制し、抗血小板作用を示します。

チクロピジンでは血栓性血小板減少性紫斑病(TPP)や無顆粒球症、重篤な肝機能障害に注意が必要でしたが、クロピドグレルやプラスグレルは副作用が少ないのが特徴です。

また、チクロピジンもクロピドグレルもCYP2C19による代謝を受けて活性化されるが、プラスグレルはCYP2C19による代謝は受けず、一段階の代謝のみで薬効を発揮するという特徴があります。

CYP2C19と言えば!
プラスグレルはCYP2C19で代謝されるPPI(オメプラゾール)などとの併用を気にしなくてもいいということになりますね。
また、過去にこんな記事を書きました。
ラベキュア/ラベファイン – 薬剤師の脳みそ
日本人のうち15%くらいはCYP2C19の活性が非常に低く(Poor Metabolizer:PM)、35%は逆に活性が非常に高い(Rapid Metablizer:RM)ということが知られています。

と言うことは…。
パナルジンやプラビックスは日本人の2割(2C19のPM)では効果が薄く、日本人の3割強(2C19のRM)では効果が強いと言う効果ご不安定な部分があるということになります。
それがプラスグレルではなく、また代謝経路も短いので効果の立ち上がりも早いと言う事になります。

つまり、エフィエントは日本人に使用しやすいと言う特徴になりますね。

ちなみに、チエノピリジン誘導体の内、チクロピジンは第一世代、クロピドグレルは第二世代、プラスグレルは第三世代と呼ばれています。

プラスグレルの適応

アメリカやヨーロッパなど70以上の国ですでに承認済み、販売されています。
適応は「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患」のみです。
現在、プラビックスが第一選択とされていますが、なんとしてもその牙城を崩したいところだと思います。

プラビックスには「虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制」、「末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制」の適応もありますが、今のところプラスグレルはこれらの適応追加の予定はないのだと思います。
「虚血性脳血管障害」については低用量アスピリンと効果に差がないため、第一選択は薬価の安い低用量アスピリン(バイアスピリン、バファリン81mg)となっていますし、「末梢動脈疾患」(PAD)についてはシロスタゾール(プレタール)が第一選択薬となっているため、それを上回る効果が出ない限り、適応を取得するメリットはないのだと思います。

プラビックスの牙城を崩せるか?

プラビックスはリピトールについで世界二位の売上を誇る薬剤です。
エフィエント錠はその牙城を傷すことを狙って作られたのは間違いないのですが、アメリカではプラビックスには勝てなかったようです。
理由はやはり薬価でしょうか?
アメリカではエフィエントはプラビックスより高かったことが原因で使用が伸びなかったようです。
プラビックスもパナルジンと比べればかなり高いですからね・・・。
パナルジン錠100mg:55.10円、プラビックス錠25mg:112.50円、プラビックス錠75mg:282.70円(平成26年5月28日修正)
さあ、どうなるでしょうか?
個人的には日本製で日本人向けということで応援したい薬剤です。
薬価があまり高くならなければいいけれど・・・。

平成26年5月28日追記
昨日付でエフィエントが発売されました。
薬価は、エフィエント錠3.75mg:282.70円、エフィエント錠5mg:359.80円
エフィエントの常用量3.75mgはプラビックスの常用量である75mgと並びましたね!

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