2019年3月26日付 効能・効果の追加など一変承認の全レビュー

  • 2019年3月26日
  • 2021年1月17日
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平成31年3月26日、厚生労働省は20製品33品目を承認しました。
今回の記事では、適応追加などの一部変更承認(一変承認)の内容について一気にレビューします。

同日に承認された新医薬品についてはこちらの記事にまとめています。

 

今回一変承認を受けた医薬品一覧

まずは、今回一変承認を受けた医薬品について五十音順に一覧表にまとめました。

新医薬品名
(一般名)
製造販売元追加された効能・効果
オノアクト点滴静注用
(ランジオロール塩酸塩)
小野薬品生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
デュピクセント皮下注
(デュピルマブ(遺伝子組換え))
サノフィ気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)
ハイゼントラ皮下注
(pH4処理酸性人免疫グロブリン)
CSLベーリング慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
ビンダケルカプセル
(タファミジスメグルミン)
ファイザートランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
フォシーガ錠
(ダパグリフロジン)
アストラゼネカ1型糖尿病
点滴静注用ホスカビル注
(ホスカルネットナトリウム水和物)
クリニジェン造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎
リウマトレックスカプセル
(メトトレキサート)
ファイザー局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
リツキサン点滴静注
(リツキシマブ(遺伝子組換え))
全薬工業CD20陽性の慢性リンパ性白血病

また、これらとは別に、同日に日本初のCAR-T細胞療法として承認されたキムリア点滴静注に伴い効能・効果が追加された医薬品があります。

新医薬品名
(一般名)
製造販売元追加された効能・効果
アクテムラ点滴静注用
(トシリズマブ(遺伝子組換え))
中外製薬腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
エトポシド点滴静注液100mg「SN」
(エトポシド)
シオノケミカル腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
エトポシド点滴静注液100mg「サンド」
(エトポシド)
サンド
エトポシド点滴静注液100mg「タイヨー」
(エトポシド)
武田テバファーマ
注射用エンドキサン
(シクロホスファミド水和物)
塩野義製薬
キロサイドN注
(シタラビン)
日本新薬
シタラビン点滴静注液「テバ」
(シタラビン)
武田テバファーマ
トレアキシン点滴静注用
(ベンダムスチン塩酸塩)
シンバイオ製薬
フルダラ静注用50mg
(フルダラビンリン酸エステル)
サノフィ
ベプシド注100mg
(エトポシド)
ブリストル・マイヤーズスクイブ
ラステット注100mg/5mL
(エトポシド)
日本化薬

 

新たに追加された効能・効果や用法・用量

一篇承認を受けた医薬品とその内容について1つずつ解説していきます。

デュピクセント皮下注:気管支喘息

  • 医薬品名:デュピクセント皮下注300mgシリンジ
  • 有効成分:デュピルマブ(遺伝子組換え)
  • 製造販売元:サノフィ
  • 追加された効能・効果:気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)
  • 追加された用法・用量:
    気管支喘息の場合
    通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。

元々の適応はアトピー性皮膚炎に対してのみでしたが、今回、気管支喘息に対する適応が追加されました。
気管支喘息に対する適応を有する抗体医薬としては、

  • ゾレア皮下注(成分名:オマリズマブ)
  • ヌーカラ皮下注(成分名:メポリズマブ)
  • ファセンラ皮下注(成分名:ベンラリズマブ)

に続いて4剤目になりますが、これまでの3剤の適応が「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」なのに対して、デュピクセントの適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)」となっており、適応となる症状の範囲が広くなっています。

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

【 使用上の注意 】
1.重要な基本的注意

  1. 気管支喘息患者に投与する場合、本剤の投与は、気管支喘息の治療に精通している医師のもとで行うこと。
  2. 気管支喘息患者に投与する場合、本剤は既に起きている気管支喘息の発作や症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、急性の発作に対しては使用しないこと。
  3. 気管支喘息患者に投与する場合、本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、医師の診療を受けるよう患者に指導すること。

引用元:デュピクセント皮下注300mg 添付文書

5.小児等への投与
アトピー性皮膚炎においては、小児等に対する有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。] 気管支喘息においては、12歳未満の小児等に対する有効性及び安全性は確立していない。[使用経験がない。] 引用元:デュピクセント皮下注300mg 添付文書

ハイゼントラ皮下注:慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

  • 医薬品名:
    • ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL
    • ハイゼントラ20%皮下注4g/20mL
  • 有効成分:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)
  • 製造販売元:CSLベーリング
  • 追加された効能・効果:慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
  • 追加された用法・用量:
    慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
    通常、成人には人免疫グロブリンGとして 1 週あたり200mg(1mL)/kg体重を1日又は連続する2日で分割して皮下投与するが、患者の状態に応じて、最大400mg(2 mL)/kg体重から投与を開始することもできる。なお、維持用量は200〜400mg/kg体重で適宜増減する。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP*1)は指定難病に認定されています。
同日に製造承認を受けたピリヴィジェンは、

  • 性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善
  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

の2つの作用を持つが、ハイゼントラが取得したのは後者の進行抑制のみ。
ピリヴィジェン点滴静注で筋力の改善を行なった後、ピリヴィジェン点滴静注を継続するかハイゼントラ皮下注に切り替えるかを選択します。

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

〈効能又は効果に関連する使用上の注意〉
本剤を「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制」を目的として用いる場合、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」 に対して静注用人免疫グロブリン製剤を投与し有効性が認められたものの、症状の再発・再燃を繰り返している患者にのみ投与すること。
引用元:ハイゼントラ皮下注 添付文書

〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉
3.本剤を「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制」を目的として用いる場合は、以下の点に注意すること。

  1. 静注用人免疫グロブリン製剤から本剤に切り換える患者において、本剤の 1 週あたりの投与量は、静注用人免疫グロブリン製剤の投与量を考慮し、投与終了1週間後から開始する こと。
  2. 200mg(1mL)/kg体重で投与を開始し、臨床症状が悪化した場合、最大用量まで増量すること。推奨の最大用量は1週あたり400mg(2mL)/kg体重である。
  3. 400mg(2mL)/kg体重で投与を開始し、投与量の減量後に臨床症状が悪化した場合、減量前の投与量で治療を再開すること。
  4. 最大用量で臨床症状の悪化が持続する場合、最大用量で本剤の投与を継続し、少なくとも4週間は経過観察を行った後、本剤の投与を中止し、静注用人免疫グロブリン製剤による治療を再開すること。

引用元:ハイゼントラ皮下注 添付文書

フォシーガ錠:1型糖尿病

  • 医薬品名:
    • フォシーガ錠5mg
    • フォシーガ錠10mg
  • 有効成分:ダパグリフロジン
  • 製造販売元:アストラゼネカ
  • 追加された効能・効果:1型糖尿病
  • 追加された用法・用量:
    1型糖尿病
    インスリン製剤との併用において、通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる。

フォシーガ錠に「1型糖尿病」の適応が追加されました。
2018年12月にスーグラ錠も同様の適応を取得しているので、SGLT2阻害薬の1型糖尿病適応はフォシーガが2剤目となります。
1型糖尿病の場合はインスリンとの併用路なっているのがポイントです。
まあ、SGLT2阻害薬単剤で制御することはまず無理なので当然ですが。

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

<効能・効果に関連する使用上の注意>
1型糖尿病
3.本剤の適用はあらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、 血糖コントロールが不十分な場合に限ること。
引用元:フォシーガ錠 添付文書

<用法・用量に関連する使用上の注意>
1型糖尿病

  1. 本剤はインスリン製剤の代替薬ではない。インスリン製剤の投与を中止すると急激な高血糖やケトアシドーシスが起こるおそれがあるので、本剤の投与にあたってはインスリン製剤を中止しないこと。
  2. 本剤とインスリン製剤の併用にあたっては、低血糖リスクを軽減するためにインスリン製剤の減量を検討すること。ただし、過度な減量はケトアシドーシスのリスクを高めるので注意すること。なお、臨床試験では、インスリン製剤の1日投与量の減量は20%以内とすることが推奨された。

引用元:フォシーガ錠 添付文書

2.重要な基本的注意
(1)(略)ただし、1型糖尿病患者においてインスリン製剤を減量する場合、ケトアシドーシス等のリスクが高まるため、過度の減量に注意すること。
(9)(略)
3)患者に対し、以下の点を指導すること。

  • 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうること。特に、1型糖尿病患者に対しては、上記3点に加えて、ケトアシドーシス発現のリスクが高いことも説明すること。

引用元:フォシーガ錠 添付文書

オノアクト点滴静注用:生命に危険がある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)で難治性かつ緊急を要する場合

  • 医薬品名:
    • オノアクト点滴静注用50mg
    • オノアクト点滴静注用150mg
  • 有効成分:ランジオロール塩酸塩
  • 製造販売元:小野薬品
  • 追加された効能・効果:
    生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:
    心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
  • 追加された用法・用量:
    生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:
    心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
    ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1〜10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。
  • 指定等:希少疾病用医薬品

ランジオロールは短時間作用型 β1 選択的遮断剤です。
資料にわかりやく書かれているのでそちらを参照してください。

心室性不整脈は、心臓突然死の原因となる致死性不整脈であるため、発症時には直ちに電気的除細動などで不整脈を停止し、その後も再発を抑制することが必要です。また、心室性不整脈の発症機序には、心室における交感神経緊張が関与していることが知られており、国内外の心室性不整脈や心臓突然死に関するガイドラインにおいて、β 遮断薬の使用が推奨されています。
引用元:短時間作用型β1選択的遮断剤「オノアクト®点滴静注用50mg/150mg」心室性不整脈に関する国内製造販売承認事項一部変更(効能・効果の追加)の承認を取得

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
〈生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合〉

  1. 本剤は、難治性の心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍の再発抑制に使用すること。
  2. 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。

引用元:オノアクト点滴静注用 添付文書

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
〈生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合〉
心拍数及び血圧等に十分に注意し、慎重に、狭い用量幅で用量を調節すること。
引用元:オノアクト点滴静注用 添付文書

〔使用上の注意〕
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
〈心機能低下例における頻脈性不整脈又は生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合〉
非代償性心不全の患者〔代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。〕
2.重要な基本的注意
〈心機能低下例における頻脈性不整脈又は生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合〉

  1. 本剤の投与により心不全が悪化するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがあるため、心不全の悪化に常に注意すること。
  2. 患者の状態を十分観察し、治療の必要がなくなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、心機能低下例では10μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合、又は生命に危険のある不整脈では40μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても発作の抑制効果が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な 処置を行うこと。
  3. 本剤の減量・中止時に、患者の状態に応じて経口β遮断剤への切り替えを考慮すること。

引用元:オノアクト点滴静注用 添付文書

リツキサン点滴静注:CD20陽性の慢性リンパ性白血病

  • 医薬品名:
    • リツキサン点滴静注100mg
    • リツキサン点滴静注500mg
  • 有効成分:リツキシマブ(遺伝子組換え)
  • 製造販売元:全薬工業
  • 販売元:中外製薬
  • 追加された効能・効果:CD20陽性の慢性リンパ性白血病
  • 追加された用法・用量:
    <CD20陽性の慢性リンパ性白血病に用いる場合>
    他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として初回に1回量375mg/㎡、2回目以降は1回量500mg/㎡を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて、1サイクルあたり1回点滴静注する。最大投与回数は6回とする。
  • 指定等:希少疾病用医薬品

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討を経て、厚労省から開発要請されていたものです。

リツキサンは幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に特異的に結 合する抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を体内の免疫系とともに攻撃します。今 回承認を取得しましたCD20陽性の慢性リンパ性白血病に対しては、他の抗悪性腫瘍剤との併用により使用されます。
引用元:抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン®」 CD20陽性の慢性リンパ性白血病に対する承認取得について

ビンダケルカプセル:トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)

  • 医薬品名:ビンダケルカプセル20mg
  • 有効成分:タファミジスメグルミン
  • 製造販売元:ファイザー
  • 追加された効能・効果:トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
  • 追加された用法・用量:
    トランスサイレチン型心アミロイドーシス
    通常、成人にはタファミジスメグルミンとして1回80mgを1日1回経口投与する。忍容性がない場合は減量できる。
  • 指定等:希少疾病用医薬品、先駆け審査指定制度(2018年11月 承認申請)

トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対する治療薬として承認されるのは国内初です。
トランスサイレチンというタンパクの異常により引き起こされる疾患で、心臓の組織にアミロイドが沈着することによって、心不全が起こります。
指定難病として認定されている疾患です。

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

[効能・効果に関連する使用上の注意]
  1. 本剤の適用にあたっては、最新のガイドラインを参照し、トランスサイレチンアミロイドーシスの診断が確定していることを確認すること。
  2. 肝移植後の患者における有効性及び安全性は確立していない。

トランスサイレチン型心アミロイドーシス

  1. 本剤は、トランスサイレチン型心アミロイドーシスによる心不全を有する患者に使用すること。また、「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験の選択基準等を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
  2. NYHA心機能分類III度の患者では、NYHA心機能分類I・II度の患者より相対的に本剤の有効性が低い可能性があるので、本剤の作用機序、及び臨床試験で示唆されたNYHA心機能分類と有効性の関係を十分に理解し、患者の状態を考慮した上で、本剤投与の要否を判断すること。
  3. NYHA心機能分類IV度の患者における有効性及び安全性は確立していない。

引用元:ビンダケルカプセル 添付文書

点滴静注用ホスカビル注:造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎

  • 医薬品名:点滴静注用ホスカビル注24 mg/mL
  • 有効成分:ホスカルネットナトリウム水和物
  • 製造販売元:クリニジェン
  • 追加された効能・効果:造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎
  • 追加された用法・用量:
    造血幹細胞移植後のヒトヘルペスウイルス6脳炎
    通常、ホスカルネットナトリウム水和物として1回体重1kgあたり60mgを、1時間以上かけて8時間毎に1日3回点滴静注する。
  • 指定等:迅速審査品目

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討、医学・薬学上公知であるとして公知申請が妥当と判断したものです。
国内でこの適応を持つ薬は初めてです。

リウマトレックスカプセル:局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬・膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症

  • 医薬品名:リウマトレックスカプセル2mg
  • 有効成分:メトトレキサート
  • 製造販売元:ファイザー
  • 効能・効果:
    • 局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
    • 関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
  • 用法・用量:(関節リウマチと同様)
  • 指定等:迅速審査

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討、医学・薬学上公知であるとして公知申請が妥当と判断したです。

そのほか添付文書の改訂内容

適応追加に伴い、添付文書の改訂が行われていますが、気になる部分を抜き出します。

[効能・効果に関連する使用上の注意] 尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬又は乾癬性紅皮症の場合
以下のいずれかを満たす尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬又は乾癬性紅皮症の患者に投与すること。
  1. ステロイド外用剤等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者
  2. 難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する患者

引用元:リウマトレックスカプセル2mg 添付文書

 

キムリアの承認に伴い追加された効能・効果

今回の一変承認と同日には日本初のCAR-T細胞療法としてキムリア点滴静注が承認されています。

今回の一変承認では、CAR-T細胞療法(腫瘍特異的T細胞輸注療法)に際して使用する医薬品についての適応追加が多く行われています。

アクテムラ点滴静注用:腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群

  • 医薬品名:
    • アクテムラ点滴静注用80mg
    • アクテムラ点滴静注用200mg
    • アクテムラ点滴静注用400mg
  • 有効成分:トシリズマブ(遺伝子組換え)
  • 製造販売元:中外製薬
  • 効能・効果:腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群
  • 用法・用量:
    サイトカイン放出症候群
    通常、トシリズマブ(遺伝子組換え)として体重30kg以上は1回8mg/kg、体重30kg未満は1回12mg/kgを点滴静注する。
  • 指定等:迅速審査品目

サイトカイン放出症候群(CRS*2)は、過剰な免疫反応により血中のサイトカインが高濃度になってしまうことで引き起こされます。
症状としては発熱や関節痛のようなインフルエンザ症状が主なものですが、重篤な場合、低血圧、頻脈、呼吸困難等を起こし、死に至る場合もあります。
CAR-T療法では、その性質ゆえに、50%以上の頻度でCRSが起きるとされています。
アクテムラの有効成分であるトシリズマブはヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体であることから、サイトカインの1つであるインターロイキン6(IL-6*3)の働きを抑えることでCRSの症状を緩和します。
「腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴う」という書き方からもわかるように、キムリアに対する適応ではなく、今後登場するであろう様々なCAR-T細胞療法に対しても使用することが可能です。

キムリアの前処置に用いる薬剤

キムリア点滴静注の添付文書を見てもらえればわかりますが、キムリアの使用に際しては前処置として別の薬剤が投与されます。
今回はその際に使用される薬剤についても適応追加が行われています。

  • 医薬品名(有効成分、製造販売元):
    • フルダラ静注用50mg(フルダラビンリン酸エステル、サノフィ)
    • 注射用エンドキサン100mg(シクロホスファミド水和物、塩野義製薬)
    • 注射用エンドキサン500mg(シクロホスファミド水和物、塩野義製薬)
    • ベプシド注100mg(エトポシド、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
    • ラステット注100mg/5mL(エトポシド、日本化薬)
    • エトポシド点滴静注液100mg「サンド」(エトポシド、サンド)
    • エトポシド点滴静注液100mg「タイヨー」(エトポシド、武田テバファーマ)
    • エトポシド点滴静注液100mg「SN」(エトポシド、シオノケミカル)
    • キロサイドN注400mg(シタラビン、日本新薬)
    • キロサイドN注1g(シタラビン、日本新薬)
    • シタラビン点滴静注液400mg「テバ」(シタラビン、武田テバファーマ)
    • シタラビン点滴静注液1g「テバ」(シタラビン、武田テバファーマ)
    • トレアキシン点滴静注用25mg(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬)
    • トレアキシン点滴静注用100mg(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬)
  • 効能・効果:腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置
  • 指定等:迅速審査品目

リンパ球中に制御性T細胞が多く存在するとCAR-T細胞の働きを抑えてしまいます。
そこで、培養したCAR-T細胞を患者の体内に戻す際に、前もってリンパ球を減らすために上記の薬を投与します。

*1:Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy

*2:Cytokine Release Syndrome

*3: InterLeukin-6

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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