平成25年3月25日付承認医薬品です。
今回は新薬18成分を含む23品目でした。
レゴラフェニブ水和物錠(商品名:スチバーガ錠40mg/バイエル薬品)
新有効成分含有医薬品
効能・効果は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」。
レゴラフェニブは新規の経口マルチキナーゼ阻害薬で、腫瘍の血管新生(VEGFR1-3、TEK)、発がん(KIT、RET、RAF1、BRAF、BRAFV600E)、腫瘍の微小環境(PDGFR、FGFR)の調整に関与するプロテインキナーゼのリン酸化を阻害し、活性を遮断します。
大腸がんに対する分子標的治療薬は、抗VEGF抗体ベバシズマブ(商品名:アバスチン)と抗EGFR抗体セツキシマブ(商品名:アービタックス)、パニツムマブ(商品名:ベクティビックス)以来となります。
通常1日1回160mgを食後に3週間連日投与し、1週間休薬という形で使用します。
バイオマーカーの診断などは必要ありませんが、手術や他の薬物治療で効果不十分な症例が対象となります。
効果ですが、既承認薬剤による標準治療施行後に病勢進行が認められた転移を有する大腸癌患者を対象にした国際共同フェーズ3試験CORRECTで、全生存期間と無増悪生存期間がプラセボと比べ、統計学的に有意に延長することが証明されています。
また、まだ承認前ですが、切除不能または転移を有する消化管間質腫瘍(GIST)についても申請されています。
GISTの承認申請では、日本の8施設を含む無作為化、二重盲検、プラセボ対照、 国際共同フェーズ3試験GRID(GIST-Regorafenib In Progressive Disease)の結果に基づき行われた。GRID試験は、イマチニブ及びスニチニブによる治療で病勢が進行した切除不能または転移を有するGIST患者を対象に、レゴラフェニブと支持療法(BSC:best supportive care)の併用と、プラセボとBSCの併用とを比較されています。
結果、レゴラフェニブとBSCの併用は、プラセボとBSCの併用と比べ、無増悪生存期間を有意に延長しました。
また、腎細胞癌に対する効果も示唆されていますので、その効果には期待が寄せられています。
今回の承認に際して、最近の抗癌剤では珍しく、全例調査は義務付けられていないので、登録を行えばどの医療機関でも使用可能ですが、その反面、副作用に対する注意が必要となるのではないでしょうか?
主な有害事象としては、手足の皮膚反応、疲労、高血圧、下痢、発疹/落屑などが報告されています。