平成30年9月21日付承認品目一覧(一部10月10日付)〜新医薬品と一変承認の内容について

  • 2018年10月10日
  • 2021年1月10日
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平成30年9月21日付で同年7〜8月の薬食審 部会で審議されていた品目が承認されています。
(平成30年10月10日追記)一品目のみ遅れて10月10日付で承認され、これで予定されていたものは全て承認されたことになります。
今回製造承認を受けたものについては11月に薬価収載される予定です。

目次

平成30年7月27日 薬食審 第一部会

平成30年7月27日 薬食審 第一部会で審議されていた医薬品が承認されました。

トラディアンス配合錠

2型糖尿病治療用配合剤「トラディアンス®配合錠AP/BP」国内製造販売承認取得トラディアンス配合錠 添付文書トラディアンス配合錠 インタビューフォーム

  • 医薬品名
    • トラディアンス配合錠AP
    • トラディアンス配合錠BP
  • 成分名:リナグリプチン/エンパグリフロジン
  • 申請者:日本ベーリンガーインゲルハイム
  • 効能・効果:2型糖尿病(ただし、リナグリプチン及びエンパグリフロジンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)
  • 用法・用量:通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして10mg/5mg又は25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。

国内3番目のDPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬配合剤

DPP-4阻害薬のトラゼンタ錠(成分名:リナグリプチン)とSGLT2阻害薬のジャディアンス錠(成分名:エンパグリフロジン)の配合剤です。
同じ作用機序の組み合わせの配合剤としては、

  • カナリア配合錠(成分名:テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物/カナグリフロジン水和物)
  • スージャヌ配合錠(成分名:シタグリプチンリン酸塩水和物/イプラグリフロジンL-プロリン)

に続く3剤目になります。

AP/BPの2規格が存在しますが、成分含有量は以下の通りになっています。

  • トラディアンス配合錠AP:リナグリプチン5mg/エンパグリフロジン10mg
  • トラディアンス配合錠BP:リナグリプチン5mg/エンパグリフロジン25mg

トラディアンス配合錠はDPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬配合剤の中で唯一複数の規格をもつ薬剤になります。
これがメリットとなるか煩雑化となるか・・・。

切り替えを行う際の注意

配合剤である以上、他のものと同じように、少なくともどちらかの成分を使用していて効果不十分の場合にのみ使用可能ということになります。

効能・効果に関連する使用上の注意
3.トラディアンス配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして25mg/5mg)については、原則として以下の場合に使用を検討すること。なお、特にエンパグリフロジン10mg及びリナグリプチン5mgの治療により効果不十分な場合に投与する際は、経過を十分に観察すること。

  • 既にエンパグリフロジン25mg及びリナグリプチン5mgを併用し状態が安定している場合
  • エンパグリフロジン10mg及びリナグリプチン5mgの治療により効果不十分な場合
  • エンパグリフロジン25mgの単剤治療により効果不十分な場合

DPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬配合剤のまとめ

現時点(平成30年7月時点)で判明しているDPP-4阻害薬/SGLT2阻害薬配合剤についてまとめておきます。

配合剤名DPP-4阻害薬SGLT2阻害薬
カナリア配合錠テネリグリプチン 20mg
(テネリア錠20mg)
カナグリフロジン 100mg
(カナグル錠100mg)
スージャヌ配合錠シタグリプチン 50mg
(ジャヌビア錠50mg)
イプラグリフロジン 50mg
(スーグラ錠50mg)
トラディアンス配合錠APリナグリプチン 5mg
(トラゼンタ錠5mg)
エンパグリフロジン 10mg
(ジャディアンス錠10mg)
トラディアンス配合錠BPエンパグリフロジン 25mg
(ジャディアンス錠25mg)

 

アガルシダーゼ ベータBS点滴静注「JCR」(報告品目)

ファブリー病治療酵素製剤「アガルシダーゼ ベータBS点滴静注『JCR』」 製造販売承認取得に関するお知らせアガルシダーゼ ベータBS点滴静注「JCR」 添付文書アガルシダーゼ ベータBS点滴静注「JCR」 インタビューフォーム

  • 医薬品名:
    • アガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」
    • アガルシダーゼ ベータBS点滴静注35mg「JCR」
  • 成分名:アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)[アガルシダーゼベータ後続1]
  • 申請者:JCRファーマ
  • 効能・効果:ファブリー病
  • 用法・用量:通常、アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり1mgを隔週、点滴静注する。

ファブラザイムの初のバイオ後続品になります。
(リプレガル点滴静注用3.5mgのバイオ後続品ではありません)

平成30年8月3日 薬食審 第二部会

平成30年8月3日 薬食審 第二部会で審議されていた医薬品が承認されました。

ベージニオ錠

抗悪性腫瘍剤「ベージニオ®錠 50mg,100mg,150mg」 「ホルモン受容体陽性かつ HER2 陰性の手術不能又は再発乳癌」に対する治療薬として 製造販売承認を取得ベージニオ錠 添付文書ベージニオ錠 インタビューフォーム

  • 医薬品名
    • ベージニオ錠50mg
    • ベージニオ錠100mg
    • ベージニオ錠150mg
  • 成分名:アベマシクリブ
  • 申請者:日本イーライリリー
  • 効能・効果:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
  • 用法・用量:内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

ベージニオ錠の有効成分であるアベマシクリブはサイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6*1)阻害薬に分類され、ホルモン受容体陽性の乳がんの細胞周期を調節することでがん細胞の増殖を抑制します。
すでに承認されているイブランスカプセル(成分名:パルボシクリブ)に続く、国内2剤目のCDK4/6阻害薬です。

CDK4/6阻害剤アベマシクリブの作用機序

細胞は一つの細胞が二つの細胞に分裂(細胞分裂)することで増殖していきます。
細胞分裂の周期を細胞周期と言いますが、細胞周期は間期(G1期→S期→G2期)とM期に分けられます。
通常、細胞は過剰に増殖しないための自己調節を行っていますが、ホルモン受容体陽性の乳がんの場合、その調節機能が失われてしまい、がん細胞が増殖していしまいます。

細胞周期を回転させるために必要な転写因子の一つがE2Fです。
細胞休止期において、E2Fはがん抑制因子であるpRBが結合することで抑制されています。
ホルモン受容体陽性の乳がんでは、E2Fが常に活性化している状態になってしまうため、がん細胞が増殖を続けてしまいます。
ホルモン受容体陽性とはエストロゲン受容体(ER*2)陽性のことを指しますが、ER陽性のがん細胞がエストロゲンと結合するとサイクリンDという物質が合成されます。
このサイクリンDとCDK4/6という酵素が複合体を形成した結果、E2FとpRBの結合が切られてしまい、E2Fが活性化、細胞周期が回転し続ける状態になってしまいます。

ベージニオ錠の有効成分であるアベマシクリブはCDK4/6を選択的に阻害することで、ER陽性の乳がんの過剰な増殖を抑制します。

ビーリンサイト点滴静注

  • 医薬品名:ビーリンサイト点滴静注用35μg
  • 成分名:ブリナツモマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:アステラス・アムジェン・バイオファーマ
  • 効能・効果:再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病
  • 用法・用量:通常、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、14日間休薬する。これを1サイクルとし、最大5サイクル繰り返す。その後、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、56日間休薬する。これを1サイクルとし、最大4サイクル繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
    • 体重が45kg以上の場合:1サイクル目の1~7日目は1日9μg、それ以降は1日28μgとする。
    • 体重が45kg未満の場合:1サイクル目の1~7日目は1日5μg/㎡(体表面積)、それ以降は1日15μg/㎡(体表面積)とする。ただし、体重が45kg以上の場合の投与量を超えないこと。

ビーリンサイト点滴静注の有効成分であるブリナツモマブは二重特異性T細胞誘導(BiTE*3)抗体に分類されます。

BiTE®抗体ブリナツモマブの作用機序

BiTE®抗体とは標的細胞とT細胞の二種類に対して特異性を有するように作られた抗体で、それぞれに結合することで標的細胞とT細胞を近くに誘導します。
その結果、T細胞本来の働きにより標的細胞の細胞自己死(アポトーシス)が誘導されます。

ブリナツモマブはT細胞表面に発現するCD3とB細胞表面に発現するCD19に対して特異性を持つBiTE®抗体であるため、B細胞性急性リンパ性白血病に対して抗がん作用を発揮します。

オプジーボ点滴静注240mg

  • 医薬品名:オプジーボ点滴静注240mg(新規格)
  • 成分名:ニボルマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:小野薬品
  • 効能・効果:
    • 悪性黒色腫
    • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
    • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
    • 再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
    • 再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌
    • がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌
    • がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
  • 用法・用量:
    1. 悪性黒色腫
      通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。ただし、悪性黒色腫における術後補助療法の場合は、投与期間は12ヵ月間までとする。
      根治切除不能な悪性黒色腫に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回80mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。
    2. 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
      通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。
      化学療法未治療の根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対してイピリムマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを3週間間隔で4回点滴静注する。その後、ニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。
    3. 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫
      通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔で点滴静注する。

ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体オプジーボ の作用機序

オプジーボの作用機序は過去に何回もまとめていますが、再度復習しておきます。

活性化された免疫細胞(T細胞やB細胞)の表面には、PD-1(Programmed cell death-1)と呼ばれる、免疫細胞のアポトーシス(細胞自己死)に拘わる分子が存在しています。
PD-1は免疫のブレーキ役(免疫チェックポイント)として免疫応答を調節しています。
また、PD-1に特異的に結合する物質(リガンド)とて発見されたのがPD-L1とPD-L2です。
PD-1にPD-L1が結合すると、免疫細胞としての反応が抑制されてしまいます。
がん細胞は自身の表面にPD-L1を発現させることで、免疫反応による攻撃を回避します。

オプジーボの有効成分であるニボルマブはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体です。
ニボルマブはPD-1の細胞外領域(PD-1リガンド結合領域)に結合することで、PD-1とPD-L1の結合を阻害します。
その結果、免疫反応にかかっていたブレーキが解除され、がんを抗原とする抗原抗体反応を増強、悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

固定用量の追加

オプジーボは平成30年8月21日に1回240mgの固定用量の承認が了承されています。
オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注の「悪性胸膜中皮腫」と「悪性黒色腫の術後補助療法」への適応拡大、「固定用量への用法・用量」の変更、およびオプジーボとヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)点滴静注との併用療法における「腎細胞がん」への適応拡大に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得
これに合わせて240mg製剤も承認される予定です。

トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」(報告品目)

トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」・点滴静注用150mg「第一三共」 製造販売承認取得のご案内トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」 添付文書トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」 インタビューフォーム

  • 医薬品名
    • トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」
    • トラスツズマブBS点滴静注用150mg「第一三共」
  • 成分名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]
  • 申請者:第一三共
  • 効能・効果:
    • HER2過剰発現が確認された乳がん
    • HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
  • 用法・用量:HER2過剰発現が確認された乳癌にはA法を使用する。
    HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。

    • A法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
    • B法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。

    なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

ハーセプチンのバイオ後続品(バイオシミラー)。
トラスツズマブ後続1は日本化薬(NK)とセルトリオン・ヘルスケア・ジャパン(CTH)が販売していますが、それに続くもの(トラスツズマブ後続2)になります。
ただし、先行品とトラスツズマブ後続1、トラスツズマブ後続2ではそれぞれ適応や用法に違いがあります。
先行品であるハーセプチンと比較した場合、

  • トラスツズマブ後続1は胃がんに対しての適応のみ
  • トラスツズマブ後続2は胃がんと乳がんに適応があるが乳がんについてはA法のみ

となっています。

製品名効能・効果(用法・用量)
乳がん胃がん
A法B法B法(他の抗悪性腫瘍剤との併用)
ハーセプチン
(先行品)
トラスツズマブBS点滴静注用「NK」
トラスツズマブBS点滴静注用「CTH」
(トラスツズマブ後続1)
トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」
(トラスツズマブ後続2)
トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」
(トラスツズマブ後続3)

 

平成30年8月29日 薬食審 第二部会

平成30年8月29日 薬食審 第二部会で審議されていた医薬品が承認されました。

ゾスパタ錠

FLT3阻害剤「ゾスパタ®錠40 mg」再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病治療薬として日本で製造販売承認取得ゾスパタ錠 添付文書ゾスパタ錠 インタビューフォーム

  • 医薬品名:ゾスパタ錠40mg
  • 成分名:ギルテリチニブフマル酸塩
  • 申請者:アステラス製薬
  • 効能・効果:再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
  • 用法・用量:1日1回120mgを経口投与する
  • 指定等:
    • 希少疾病用医薬品
    • 先駆け審査指定医薬品

ギルテリチニブは世界初のFLT3/AXL阻害剤です。
FLT3*4遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML*5)に対する治療薬は初めてです。
今回の承認が了承された内容では「再発または難治性」AMLに限られていますが、現在、その制限を外すべく治験が行われているようです。

FLT3/AXL阻害剤ギルテリチニブの作用機序

FLT3受容体は細胞増殖に関するシグナル伝達に関わっていますが、FLT3遺伝子に変異が怒ることで、未成熟の白血球細胞が増殖し、ガン化が引き起こされてしまいます。
また、AXL受容体はがん細胞の増殖と薬剤耐性に関与しています。
ギルテリチニブはFLT3とAXLの2つを同時に阻害することで急性骨髄性白血病における腫瘍細胞の増殖と、薬剤耐性の獲得を抑制することができる薬剤です。
FLT3とAXLの2つのシグナル伝達を同時に阻害する薬剤は世界で初めてになります。

先駆け審査指定医薬品

ギルテリチニブは先駆け審査指定医薬品です。
先駆け審査指定についてPMDAのサイトから引用します。
先駆け審査指定制度について|厚生労働省

患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目(以下「対象品目」という。)に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図るものです。

 

ローブレナ錠

第三世代のALK陽性非小細胞肺がん治療薬「ローブレナ®」(一般名:ロルラチニブ)、日本において世界初承認ローブレナ錠 添付文書ローブレナ錠 インタビューフォーム

  • 医薬品名:
    • ローブレナ錠25mg
    • ローブレナ錠100mg
  • 成分名:ロルラチニブ
  • 申請者:ファイザー
  • 効能・効果:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐性のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
  • 用法・用量:通常、成人にはロルラチニブとして1日1回100mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • 指定等:条件付き早期承認制度適用医薬品

ロルラチニブは第3世代の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK*6)阻害剤です。
他のALK阻害剤に対する耐性変異を有する非小細胞肺がんに対しても効果を発揮します。

第三世代のALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤

現在承認されている、非小細胞肺がんに対するALK阻害薬は以下の通りです。

  • 第1世代 ALK阻害薬:クリゾチニブ(ザーコリカプセル)
  • 第2世代 ALK阻害薬:
    • アレクチニブ(アレセンサカプセル)
    • セリチニブ(ジカディアカプセル)

ロルラチニブは第3世代のALK阻害薬に位置付けられます。

条件付き早期承認制度

ロルラチニブは条件付き早期承認制度が適用される初めての薬です。
条件付き早期承認制度についてPMDAのサイトから引用します。
医薬品条件付早期承認制度への対応 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

重篤な疾患であって有効な治療法が乏しく患者数が少ない疾患等を対象とする医薬品について、我が国での治験実施が困難、あるいは実施可能であっても治験の実施にかなりの長時間を要すると認められる場合に、承認申請時に検証的臨床試験以外の臨床試験等で一定程度の有効性及び安全性を確認した上で、製販後に有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施すること等を承認条件により付与する取扱い等を整理し、明確化することにより、企業における開発予見性を高め、早期の実用化を促進する

 

フィラジル皮下注

遺伝性血管性浮腫(HAE)の新規治療薬「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ」の製造販売承認を取得フィラジル皮下注 添付文書フィラジル皮下注 インタビューフォーム

  • 医薬品名:フィラジル皮下注30mgシリンジ
  • 成分名:イカチバント酢酸塩
  • 申請者:シャイアー・ジャパン
  • 効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作
  • 用法・用量:通常、成人にはイカチバントとして1回30mgを皮下注射する。効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、6時間以上の間隔をおいて1回30mgを追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は3回までとする。
  • 指定等:希少疾病用医薬品

遺伝性血管性浮腫(HAE*7)とは、遺伝子の異常により、補体第1成分阻害因子(C1インヒビター)の機能が損なわれるために起きる疾患です。
体のあらゆるところに浮腫が現れるのが症状ですが、場合によっては激しい腹痛や窒息を起こすことがあります。
そのため、急性発作への対応が重要になりますが、急性発作へ使用できる薬剤はベリナートP静注用(人C1‐インアクチベーター)しか存在しませんでした。
今回審議されたフィラジル皮下注は、皮下注製剤なので自己注射が可能になります。
作用機序も異なり、C1インヒビターを補充するのではなく、急性発作に関与するブラジキニンの働きを抑制するものです。

ジビイ静注用

ペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤「ジビイ®静注用」 の製造販売承認を取得ジビィ静注用 添付文書ジビィ静注用 インタビューフォーム

  • 医薬品名:
    • ジビイ静注用500
    • ジビイ静注用1000
    • ジビイ静注用2000
    • ジビイ静注用3000
  • 成分名:ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)
  • 申請者:バイエル薬品
  • 効能・効果:血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制
  • 用法・用量:
    本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内注射する。なお、1分間に2.5mLを超える注射速度は避けること。
    通常、12歳以上の患者には、1回体重1kg当たり10〜30国際単位を投与 するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
    定期的に投与する場合、通常、12歳以上の患者には、体重1kg当たり30〜40国際単位を週2回投与するが、患者の状態に応じて、体重1kg当たり45〜60国際単位を5日に1回投与、又は体重1kg当たり60国際単位を週1回投与することもできる。

PEG化することで半減期を延長した遺伝子組換え第8因子製剤です。
血友病Aに対する治療薬で2歳以上の患者に対して週2回使用します。
状態に応じて、5日ごと、または週1回の用法・用量が定められているようです。

オラビ錠口腔用(報告品目)

>
口腔咽頭カンジダ症治療薬「オラビ錠口腔用 50mg」の国内製造販売承認取得のお知らせ

  • 医薬品名:オラビ錠口腔用50mg
  • 成分名:ミコナゾール
  • 申請者:そーせい
  • 効能・効果:カンジダ属による口腔咽頭カンジダ症
  • 用法・用量:1日1回

口腔用ミコナゾールの新剤型です。
現在はフロリードゲル経口用2%が存在しますが、錠剤タイプは初めてです。
錠剤といっても、1日1回、上顎歯肉に付着させて使用する形のようです。

国内での販売は富士フイルム富山化学株式会社

オラビ錠口腔用はそーせいが開発した医薬品ですが富士フイルムファーマが国内における販売権を取得していました。
富士フイルムファーマ 口腔咽頭カンジダ症を適用とする「SO-1105(一般名:ミコナゾール)」の日本における独占販売に関する契約を締結
ですが、ご存知の通り、富士フイルムファーマ株式会社は2019年3月31日付で解散となることが決まっています。
子会社解散に関するお知らせ
そのため、10月1日に発足する富士フイルム富山化学株式会社がオラビ錠口腔用の販売を行うことになるようです。

トラスツズマブBS点滴静注用「ファイザー」(報告品目)

ファイザー初のオンコロジー領域のバイオシミラー トラスツズマブBS点滴静注用60mg、同150mg「ファイザー」製造販売承認を取得トラスツズマブBS点滴静注用「ファイザー」 添付文書

  • 医薬品名:
    • トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」
    • トラスツズマブBS点滴静注用150mg「ファイザー」
  • 成分名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続3]
  • 申請者:
  • 効能・効果:
    • HER2過剰発現が確認された乳がん
    • HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん
  • 用法・用量:HER2過剰発現が確認された乳癌にはA法を使用する。
    HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用でB法を使用する。

    • A法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]として初回投与時には4mg/kg(体重)を、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注する。
    • B法:通常、成人に対して1日1回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]として初回投与時には8mg/kg(体重)を、2回目以降は6mg/kgを90分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。

    なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

ハーセプチンのバイオ後続品(バイオシミラー)。
トラスツズマブ後続2(第一三共)が承認されていますが、それに続くものです。
やはり、先行品とは適応・用法に違いがありますが、トラスツズマブ後続3はトラスツズマブ後続2と同様です。
先行品であるハーセプチンと比較した場合、

  • トラスツズマブ後続1は胃がんに対しての適応のみ
  • トラスツズマブ後続2・3は胃がんと乳がんに適応があるが乳がんについてはA法のみ

となっています。

ハーセプチンとトラスツズマブBSの適応等の違い

先行品とトラスツズマブ後続それぞれの効能効果、用法用量の違いについてまとめます。

製品名効能・効果(用法・用量)
乳がん胃がん
A法B法B法(他の抗悪性腫瘍剤との併用)
ハーセプチン
(先行品)
トラスツズマブBS点滴静注用「NK」
トラスツズマブBS点滴静注用「CTH」
(トラスツズマブ後続1)
トラスツズマブBS点滴静注用「第一三共」
(トラスツズマブ後続2)
トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」
(トラスツズマブ後続3)

 

平成30年8月30日 薬食審 第一部会

平成30年8月30日 薬食審 第一部会で審議されていた医薬品が承認されました。

ベオーバ錠

過活動膀胱治療薬「ベオーバ®錠 50mg」の製造販売承認取得について

  • 医薬品名:ベオーバ錠50mg
  • 成分名:ビベグロン
  • 申請者:杏林製薬
  • 効能・効果:過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
  • 用法・用量:通常、成人にはビベグロン50mgを1日1回食後に経口投与する

 

アドレナリンβ3受容体作動薬ビベグロンの作用機序

ビベグロンは選択的β3アドレナリン受容体作動薬です。
日本国内で発売されている同様の作用機序を持つ薬剤にはベタニス(成分名:ミラベグロン)があります。
ビベグロンはノルアドレナリンと同様にアドレナリンβ3受容体を刺激することが可能です。
その結果、アデニル酸シクラーゼが活性化され、cAMP増加、細胞内Ca2+が減少する結果、膀胱平滑筋を弛緩させ、膀胱容積が拡大されます。
膀胱β3受容体に作用することで、膀胱を弛緩させ、過活動膀胱の症状を改善します。

米メルクが創薬した成分ですが、杏林が日本での権利を取得し開発したものです。

エイベリス点眼液

緑内障・高眼圧症治療剤「エイベリス点眼液 0.002%」の製造販売承認を取得エイベリス点眼液 添付文書エイベリス点眼液 インタビューフォーム

  • 医薬品名:エイベリス点眼液0.002%
  • 成分名:オミデネパグ イソプロピル
  • 申請者:参天製薬
  • 効能・効果:緑内障・高眼圧症
  • 用法・用量:1回1滴、1日1回点眼

宇部興産が創薬したオミデネパグを参天製薬と共同開発したものです。
プロスタノイドEP2受容体に作用することで眼房水の流出を促進し、眼圧を低下させます。

新しいプロスタノイド関連緑内障治療薬

プロスタノイド関連の緑内障治療薬には以下のものがあります。

  • プロスタグランジンF2α誘導体:イソプロピル ウノプロストン(レスキュラ)、ラタノプロスト(キサラタン)、トラボプロスト(トラバタンズ)、タフルプロスト(タプロス)
  • プロスタマイドF2α誘導体:ビマトプロスト(ルミガン)

今回審議されたオミデネパグ イソプロピルはこのどれにも当てはまらない新規化合物で、誘導体ではないのでより選択的にプロスタノイドEP2受容体に作用することが可能になっているのではないかと思われます。

ロラピタ静注

ロラピタ®静注2㎎の製造販売承認を取得ロラピタ静注 添付文書

  • 医薬品名:ロラピタ静注2mg
  • 成分名:ロラゼパム
  • 申請者:ファイザー
  • 効能・効果:てんかん重積状態
  • 用法・用量:通常、成人にはロラゼパムとして4mgを静脈内投与する。投与速度は2mg/分を目安として緩徐に投与すること。なお、必要に応じて4mgを追加投与するが、初回投与と追加投与の総量として8mgを超えないこと。
    通常、生後3ヵ月以上の小児にはロラゼパムとして0.05mg/kg(最大4mg)を静脈内投与する。投与速度は2mg/分を目安として緩徐に投与すること。なお、必要に応じて0.05mg/kgを追加投与するが、初回投与と追加投与の総量として0.1mg/kgを超えないこと。

同成分としてワイパックス錠がありますが、その静注版です。
国際抗てんかん連盟によると「てんかん重積状態とは、発作停止機構の破綻あるいは発作を引き起こす状態が異常に遷延する状態」*8を指します。
てんかん重積状態の第一選択薬はジアゼパムまたはロラゼパムの静注とされていますが、ロラゼパム静注については国内未発売です。
そのため、 日本てんかん学会から治療薬の開発が要望され、厚労省からの開発要請を受けてファイザーが開発しました。

モビコール配合内用剤

モビコール®配合内用剤は製造販売承認を取得いたしました。

  • 医薬品名:モビコール配合内用剤
  • 成分名:マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム
  • 申請者:EAファーマ
  • 効能・効果:慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
  • 用法・用量:本剤は、水で溶解して経口投与する。
    通常、2歳以上7歳未満の幼児には初回用量として1回1包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包までとする。
    通常、7歳以上12歳未満の小児には初回用量として1回2包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包までとする。
    通常、成人及び12歳以上の小児には初回用量として1回2包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として6包まで(1回量として4包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として2包までとする。

マクロゴール4000を有効成分として用いたポリエチレングリコール製剤で、浸透圧性下剤です。
小児の便秘では、原則として浸透圧性下剤から治療を開始するようにされています。
そのため、日本小児栄養消化器肝臓学会から治療薬の開発が要望され、厚労省からの開発要請を受けてEAファーマと持田製薬が共同開発しました。
この2社のコンビはグーフィス錠と同じですね。

マクロゴール4000を有効成分としているものでは、同じくEAファーマの経口腸管洗浄剤モビプレップ配合内用剤がありますが、名前も組成も近くなっています。

メトアナ配合錠

2 型糖尿病治療剤「メトアナ®配合錠」の 製造販売承認取得のお知らせメトアナ配合錠 添付文書メトアナ配合錠 インタビューフォーム

  • 医薬品名:
    • メトアナ配合錠LD
    • メトアナ配合錠HD
  • 成分名:アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩
  • 申請者:三和化学研究所
  • 効能・効果:2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)
  • 用法・用量:通常、成人には1回1錠(アナグリプチ/メトホルミン塩酸塩として100mg/250mg又は100mg/500mg)を1日2回朝夕に経口投与する。

ビグアナイド薬(BG*9)メトグルコ(成分名:メトホルミン塩酸塩)とDPP-4阻害薬スイニー錠(成分名:アナグリプチン)の配合剤です。
メトホルミンとアナグリプチンで「メトアナ」、わかりやすいネーミングですね。

BG薬とDPP-4阻害薬の配合剤には

  • エクメット配合錠(成分名:ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩):1日2回
  • イニシンク配合錠(成分名:アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩):1日1回

がありますが、ここに割って入る意義があるのかどうか・・・。

ラグノスNF経口ゼリー分包12g(報告品目)

慢性便秘症*の適応を追加したラクツロース製剤 「ラグノス®NF 経口ゼリー分包 12 g」製造販売承認取得のお知らせラグノスNF経口ゼリー分包12g 添付文書ラグノスNF経口ゼリー分包12g インタビューフォーム

  • 医薬品名:ラグノスNF経口ゼリー分包12g
  • 成分名:ラクツロース
  • 申請者:三和化学研究所
  • 効能・効果:
    • 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
    • 高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
      • 精神神経障害
      • 手指振戦
      • 脳波異常
    • 産婦人科術後の排ガス・排便の促進
  • 用法・用量:
    • 慢性便秘症
      通常、成人には本剤24g(本剤2包)を1日2回経口投与する。症状により適宜増減するが、1日最高用量は72g(本剤6包)までとする。
    • 高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
      通常、成人には本剤12~24g(本剤1~2包)を1日3回(1日量として本剤3~6包)経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。
    • 産婦人科術後の排ガス・排便の促進
      通常、成人には本剤12~36g(本剤1~3包)を1日2回(1日量として本剤3~6包)経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。

ラグノスゼリー分包16.05gの新剤型で適応違いになります。
有効成分がラクツロースなので浸透圧性下剤に分類されます。

現在使用されているラグノスゼリー分包16.05gの適応は以下の通りです。

 

  • 高アンモニア血症に伴う下記症候の改善
    • 精神神経障害
    • 手指振戦
    • 脳波異常
  • 産婦人科術後の排ガス・排便の促進

ラクツロースを有効成分とする下剤にはモニラック・シロップ(ラクツロース・シロップには便秘の適応がありません)がありますが、便秘に関する適応は「小児における便秘の改善」となっており、成人に対する適応はありません。
これに対して、ラグノスNF経口ゼリー分包12gは成人のみの用法・用量となっています。

ところでNFですが、ラコールと同じく、新組成(New Formula)の略でしょうか?

一変承認を受けた品目

一部変更の承認を受けたものについてまとめます。

アドセトリス点滴静注の適応拡大(報告品目)

悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」の一次治療を含む「CD30陽性ホジキンリンパ腫」に対する効能効果及び用法用量に関する製造販売承認事項一部変更の承認取得について

  • 医薬品名:アドセトリス点滴静注用50mg
  • 成分名:ブレンツキシマブベドチン(遺伝子組換え)
  • 申請者:武田薬品
  • 変更内容:効能・効果からCD30陽性ホジキンリンパ腫から「再発又は難治性」が削除され、それに伴い用法・用量も変更

添付文書の改訂内容

改訂前

  • 効能・効果:再発又は難治性のCD30陽性の下記疾患
    • ホジキンリンパ腫
    • 未分化大細胞リンパ腫
  • 用法・用量:通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8 mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

改訂後

  • 効能・効果:CD30陽性の下記疾患
    • ホジキンリンパ腫
    • 再発又は難治性の未分化大細胞リンパ腫
  • 用法・用量:
    1. 未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫
      ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用において、通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として2週間に1回1.2mg/kg(体重)を最大12回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
    2. 再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫
      通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8 mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

「再発又は難治性」の制限がなくなることで、「CD30陽性ホジキンリンパ腫」に対しては第一選択で使用可能になります。

今回の適応拡大はECHELON-1試験に基づくものです。

<ECHELON-1試験について>
本試験は、未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者さんを対象としたランダム化多施設共同試験で、非盲検の臨床第3相試験です。アドセトリスに化学療法を併用した一次治療としての有用性を検討することを目的に、ホジキンリンパ腫の標準的な一次治療として知られているABVD(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)療法(以下「対照群」)あるいはアドセトリスとAVD(ABVDからブレオマイシンを除いた療法)の併用療法(以下「アドセトリスAVD群」)に無作為に割付けられました。本試験では、中央判定委員会の評価において、アドセトリスAVD群は対照群と比較して統計学的に有意な修正無増悪生存期間の延長が認められました(ハザード比:0.770、p値=0.035)。アドセトリスAVD群の2年修正無増悪生存率は82.1%であり、対照群は77.2%でした。重要な副次評価項目である全生存期間の中間解析では、アドセトリスAVD群で良好な傾向が認められました。

 

小腸ガンに対するFOLFOX療法が正式な効能・効果として追加(報告品目)

抗悪性腫瘍剤「エルプラット」、活性型葉酸製剤「レボホリナート『ヤクルト』」 「小腸がん」に対する効能・効果の追加に係る承認取得抗悪性腫瘍剤 オキサリプラチン点滴静注液50mg/100mg/200mg「サワイ」公知申請による効能・効果および用法・用量追加承認取得のお知らせ抗悪性腫瘍剤 オキサリプラチン点滴静注液50mg「NK」・同100mg「NK」・同200mg「NK」の小腸癌に対する効能・効果の追加承認取得について活性型葉酸製剤 レボホリナート点滴静注用25mg「NK」・同100mg「NK」の小腸癌に対する効能・効果の承認取得についてオキサリプラチン点滴静注液50mg/100mg/200mg「ニプロ」・レボホリナート点滴静注液25mg/100mg「NP」 「効能・効果」、「用法・用量」及び「使用上の注意」改訂のお知らせオキサリプラチン点滴静注液50mg・100mg・200mg「DSEP」の効能・効果、用法・用量に係る承認取得のお知らせレボホリナートカルシウム注射剤の 「小腸癌」の効能・効果に関する追加承認取得のお知らせ

適応追加となる医薬品名

  • オキサリプラチン
    • エルプラット点滴静注液50mg
    • エルプラット点滴静注液100mg
    • エルプラット点滴静注液200mg(ヤクルト本社)
    • オキサリプラチン点滴静注液50mg「サワイ」
    • オキサリプラチン点滴静注液100mg「サワイ」
    • オキサリプラチン点滴静注液200mg「サワイ」(沢井製薬)
    • オキサリプラチン点滴静注液50mg「NK」
    • オキサリプラチン点滴静注液100mg「NK」
    • オキサリプラチン点滴静注液200mg「NK」(日本化薬)
    • オキサリプラチン点滴静注液50mg「ニプロ」
    • オキサリプラチン点滴静注液100mg「ニプロ」
    • オキサリプラチン点滴静注液200mg「ニプロ」
    • オキサリプラチン点滴静注液50mg「DESP」
    • オキサリプラチン点滴静注液100mg「DESP」
    • オキサリプラチン点滴静注液200mg「DESP」(第一三共エスファ)
  • フルオロウラシル
    • 5-FU注250mg
    • 5-FU注1000mg(協和発酵キリン)
  • レボホリナートカルシウム
    • アイソボリン点滴静注用25mg
    • アイソボリン点滴静注用100mg(ファイザー)
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg「オーハラ」
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用100mg「オーハラ」(大原薬品)
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg「ヤクルト」
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用100mg「ヤクルト」
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg「NK」
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用100mg「NK」(高田製薬)
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg「NP」
    • レボホリナートカルシウム点滴静注用100mg「NP」(ニプロ)

小腸がんに対するFOLFOX*10療法が正式な適応となります。
すでに公知申請が認められているので保険適用にはなっています。

ブスルフェクス点滴静注用に新用量追加(報告品目)

用法・用量追加及び添付文書改訂のお知らせ

  • 医薬品名:ブスルフェクス点滴静注用60mg
  • 成分名:ブスルファン
  • 申請者:大塚製薬
  • 効能・効果:
    • 同種造血幹細胞移植の前治療
    • ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療
  • 追加される用法・用量:1日1回の用法が追加

成人について、1日1回の用法・用量が追加になります。

添付文書の改訂内容

改訂前
用法・用量

  • 成人:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、ブスルファンとして1回0.8mg/kgを生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和・調製して 2時間かけて点滴静注する。本剤は6時間毎に1日4回、4日間投与する。なお、年齢、患者の状態により適宜減量する。
  • 小児:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、ブスルファンとして以下の体重別の投与量を生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和・調製して2時間かけて点滴静注する。本剤は6時間毎に1日4回、4日間投与する。なお、年齢、患者の状態により適宜減量する。

改訂後
用法・用量:他の抗悪性腫瘍薬との併用において、成人には A 法又 は B 法、小児には C 法を使用する。なお、患者の状態 により適宜減量する。

  • 成人
    • A法:ブスルファンとして1回0.8mg/kgを2時間かけて点滴静注する。本剤は6時間毎に1日4回、4日間投与する。
    • B法:ブスルファンとして1回3.2mg/kgを3時間かけて点滴静注する。本剤は1日1回、4日間投与する。
  • 小児
    • C法:ブスルファンとして以下の体重別の投与量を2時間かけて点滴静注する。本剤は6時間毎に1日4回、4日間投与する。

「再発又は難治性」の制限がなくなることで、「CD30陽性ホジキンリンパ腫」に対しては第一選択で使用可能になります。

ドブタミンに心エコー図検査における負荷に対する適応追加(報告品目)

ドブタミン点滴静注液100㎎、同200㎎キット、同600㎎キット「ファイザー」公知申請により適応追加の承認取得

  • 医薬品名(申請者):
    • ドブトレックス注射液100mg(共和薬品)
    • ドブトレックスキット点滴静注用200mg(共和薬品)
    • ドブトレックスキット点滴静注用600mg(共和薬品)
    • ドブタミン点滴静注液100mg「ファイザー」(マイラン製薬)
    • ドブタミン点滴静注液200mgキット「ファイザー」(マイラン製薬)
    • ドブタミン点滴静注液600mgキット「ファイザー」(マイラン製薬)
  • 成分名:ドブタミン
  • 申請者:
  • 追加される効能・効果:心エコー図検査における負荷

 

平成30年10月10日付で承認されたもの

何故かパージェタの適応拡大のみ遅れて10月10日の承認となりました。

パージェタ点滴静注の適応拡大

何故かパージェタの適応拡大のみ平成30年10月10日付で承認となりました。
当初承認が了承されていた術後薬物療法だけでなく、術前薬物療法も追加されているのでそれが承認が遅れた理由かもしれません。

[https://www.chugai-pharm.co.jp/news/cont_file_dl.php?f=181010_jPerjeta_EBC_Approval.pdf&src=[%0],[%1]&rep=2,769:title=抗悪性腫瘍剤「パージェタ®」「HER2 陽性の乳がんにおける術前・術後薬物療法」に対する効能・効果追加の承認取得について] パージェタ点滴静注 添付文書
パージェタ点滴静注 インタビューフォーム

  • 医薬品名:パージェタ点滴静注420mg/14mL
  • 成分名:ペルツマブ(遺伝子組換え)
  • 申請者:中外製薬
  • 変更内容:「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」に術前・術後補助療法が追加された結果、「HER2陽性の乳癌」が適応に。それに伴い、用法・用量も一部変更。

元の適応は「HER2陽性の手術不能または再発乳がん」で、添付文書にあった以下の記載も削除されています。

効能又は効果に関連する使用上の注意
2.本剤の手術の補助化学療法としての有効性及び安全性は確立していない。

添付文書の改訂内容

添付文書の改訂内容をまとめておきます。

効能又は効果:○HER2陽性の手術不能又は再発乳癌
効能又は効果に関連する使用上の注意

  1. HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
  2. 本剤の手術の補助化学療法としての有効性及び安全性は確立していない。HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち、再発リスクの低い患者(リンパ節転移のない患者)における本剤の有効性及び安全性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること。

用法及び用量:トラスツズマブ(遺伝子組換え)と他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には840mgを、2回目以降は420mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。ただし、術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月間までとする。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

*1:Cyclin Dependent Kinase 4/6

*2:Estrogen Receptor

*3:Bispecific T-cell Engagers

*4:FMS-LikeTyrosinekinase3

*5:Acute Myeloid Leukemia

*6:Anaplastic Lymphoma Kinase

*7:Hereditary AngioedEma

*8:Trinka E, Cock H, Hesdorffer D et al: A definition and classification of status epilepticus – Report of the ILAE Task Force on Classification of Status Epilepticus. Epilepsia 56: 1515-1523, 2015.

*9:BiGanide

*10:FOL– FOLinic acid + Fluorouracil + OXaliplatin

 

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