小林化工が22製品を自主回収〜リルマザホンGEの流通が停止に

2021年1月27日、小林化工が製造販売を行っている22製品の自主回収(クラスⅡ)が発表されました。

今回の回収は、昨年12月に行われた厚生労働省、PMDA、福井県による立入調査で指示された全製品の調査を行う中で、不備が判明した製品の自主回収となっています。

自主回収の内容と対象となる医薬品

今回自主回収が行われる製品について回収の理由ごとにまとめたいと思います。

事の発端となった小林化工のイトラコナゾールにリルマザホンが混入した事件についての記事はこちら

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今回の回収についての小林化工からの案内も掲載しておきます。

弊社製品の自主回収(クラスⅡ)のお知らせ(2021.1.27)
この度、弊社が製造販売しております製品につきまして、自主回収(クラスⅡ)することといたしましたので、お知らせいたします。
多大なるご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
詳細につきましては、関連リンクをご参照ください。
関連リンク:https://www.kobayashikako.co.jp/recall/recall_list.php

再試験により承認規格に不適合しなかった製品・ロット

製品出荷時に行われた製品試験において、一度不適合になったが、その理由が十分に検証されないまま再試験で適合と判断されていた製品について、保管していた参考品を用いた再評価が実施されました。その結果、承認規格に適合しなかった製品が自主回収の対象となっています。該当するのは7成分10製品です。

PMDAのサイトには以下の回収理由が記載されています。

製品出荷時に行った製品試験において、再試験の実施に至った理由が十分に検証されていない製品について、参考品を用いた再評価を実施致しました。参考品の定量試験において、承認規格に適合しない結果が得られたため、当該ロットを自主回収(クラスII)することに致しました。

回収対象となるのは以下の製品です。
自主回収となるロット、不適合の理由も記載しています。

  • アトルバスタチン錠5mg「KN」(T9KT16)
  • アトルバスタチン錠 10mg「KN」(T8KU13、T0KU01)

回収理由:定量値が承認規格の下限値を僅かに下回ったため

  • アマルエット配合錠2番「KN」(T0QK23)

回収理由:溶出性試験において承認規格に僅かに適合しなかったため

  • エナラプリル錠 5MEEK(T9DP25)

回収理由:溶出性試験において、承認規格に僅かに適合しなかったため

  • オロパタジン塩酸塩顆粒 0.5%「MEEK」(バラ100g:G8HM06 分包0.5g×200包:G9HM50、G9HM51、G9HM52、G9HM53、G9HM54、G9HM55、G9HM56、G9HM57、G9HM58、G9HM59、G9HM60)

回収理由:純度試験(類縁物質)において、承認規格に僅かに適合しなかったため

  • クロルマジノン酢酸エステル徐放錠 50mg「KN」 (T9CR05)

回収理由:溶出性が承認規格の上限値を僅かに超えていたため

  • タムスロシン塩酸塩 OD錠0.2mg「KN」(T8NC15)

回収理由:定量値が承認規格の下限値を僅かに下回ったため

  • プランルカスト錠 112.5 「EK」(T9FC41)
  • プランルカスト錠 225「EK」(T0FT24)
  • プランルカストDS10%「EK」(R0LKE3)

回収理由:定量値が承認規格の上限値を上回ったため
※プランルカストDS10%「EK」の該当ロットは全て未出荷のため自主回収は実施されない

  • メサラジン錠500mg「AKP」(T9HV10)

回収理由:定量値が承認規格の下限値を僅かに下回ったため

安定性モニタリングで不適合となった製品

製品出荷後に実施する安定性モニタリングで承認規格に適合しなかったものが自主回収の対象となっています。該当するのは4成分8製品です。

  • アマルエット配合錠2番「KN」(使用期限内の全ロット)
  • アマルエット配合錠3番「KN」(使用期限内の全ロット)
  • アマルエット配合錠4番「KN」(使用期限内の全ロット)

回収理由:安定性モニタリングの純度試験(類縁物質)、又は溶出性試験において、承認規格に適合しなかったロットが判明したため

  • エンタカポン錠100mg「KN」(使用期限内の全ロット)

回収理由:安定性モニタリングの溶出性試験において、承認規格に適合しなかったロットが判明したため
※ロットT9PV01については製造方法を改善、試験規格に適合しているため回収の対象外

  • プラコデ配合散(使用期限内の全ロット)

回収理由:安定性モニタリングの溶出性試験において、承認規格に適合しないロット、又は試験が実施されていないロットが判明したため

  • エナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg「MEEK」(使用期限内の全ロット)
    エナラプリル錠 2.5MEEK(使用期限内の全ロット)
  • エナラプリルマレイン酸塩錠5mg「MEEK」(使用期限内の全ロット)
    エナラプリル錠 5MEEK(使用期限内の全ロット)
  • エナラプリルマレイン酸塩錠10mg「MEEK」(使用期限内の全ロット)
    エナラプリル錠 10MEEK(使用期限内の全ロット)

回収理由:安定性モニタリングの純度試験(類縁物質)において、承認規格に適合しない結果が得られたロット、又は試験が実施されていないロットが確認されたため
※エナラプリル錠5MEEK(T9DP25)のみ:参考品の溶出性試験において、承認規格に適合しない結果が得られたため

安定性モニタリングが未実施の医薬品

製品出荷後に実施すべき安定性モニタリングが行われていなかった製品が判明し、自主回収の対象となっています。該当するのは2成分3製品です。

  • 塩酸プロピベリン錠10「KN」(使用期限内の全ロット)
  • 塩酸プロピベリン錠20 「KN」(使用期限内の全ロット)

回収理由:両規格とも、:安定性モニタリングが実施されていないロットが判明したため

  • プラコデ配合散(使用期限内の全ロット)

回収理由:安定性モニタリングの溶出性試験において、承認規格に適合しないロット、又は試験が実施されていないロットが判明したため

製造工程で承認書に記載されていない工程が行われていた製品(リルマザホン)

リルマザホン塩酸塩については全ロットが自主回収となっています。
自主回収の理由は、承認書に記載された製造工程に従って製造しなければいけないにも関わらず、リルマザホン塩酸塩水和物を含む造粒物の混合工程において、承認書に記載された添加剤の他に、記載されていないリルマザホン塩酸塩水和物を添加していたことが判明したためです。イトラコナゾールについて報道されていた「後から有効成分を加えていた」のと類似した内容ですね。

  • リルマザホン塩酸塩錠1mg「MEEK」(使用期限内の全ロット)
  • リルマザホン塩酸塩錠2mg 「MEEK」(使用期限内の全ロット)

回収理由:両規格ともに、造粒物の後混合工程において、承認書記載の添加剤の他に、記載されていないリルマザホン塩酸塩水和物を添加していたため

リルマザホン塩酸塩のジェネリックはリルマザホン塩酸塩錠「MEEK」しか存在しないため、この自主回収により、リルマザホン塩酸塩のジェネリックは流通しなくなってしまいます。(先発品のリスミーのみに)

まとめ

昨年から継続の小林化工問題。かなり長期間の業務停止命令が出ることも予想されていますし、今年もジェネリック医薬品の供給に大きな影響を与え続けそうですね…。

相次ぐ日医工の出荷調整もありますし、このままではジェネリック医薬品自体のイメージ低下が止まりません。薬剤師からしても、頻繁にメーカーを変更するのは申し訳ないと思いますし、それを服用する患者さんからすれば不安・不審の気持ちが膨らんでも仕方がないと思います。

事故や事件を起こしたメーカーが問題改善に向けて取り組むのは当然ですが、患者さんが困っている現状、ジェネリック医薬品の活用で医療費削減を推進する必要性を考えると、業界全体・国も含めて一体となってこの問題に対処していくべきなのではないでしょうか?

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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