2021年1月22日付の官報 号外(第14号)で、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が公示されました。
その中で医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)改正の目玉の一つだった「特定の機能を有する薬局」、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の基準等が正式に公開されています。
令和元年に改正され、令和2年9月に施行された改正薬機法。
その中で定められている「機能別の薬局の認定制度」は令和3年8月から開始されます。
薬局は地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の認定を受けることにより、薬局の特色を公的に宣言できるようになります。
将来的に地域支援体制加算やそれに代わる加算の算定要件になるかどうかは。。。わかりません。
地域連携薬局と専門医療機関連携薬局(特定の機能を有する薬局)とは?
まずは地域連携薬局と専門医療機関連携薬局について復習しておきましょう。
これら2つの認定薬局は改正薬機法において認められる「特定の機能を有する薬局」です。
基準を満たし、都道府県知事に認定されることで、薬局はその機能を掲げることが可能になります。
ちなみに、これら2つの認定薬局名は「薬局」と同じく、認定を受けた薬局以外は類似した名称を名乗ることが禁止されます。
また、認定は1年ごとに更新する必要があります。
地域連携薬局とは?
まずは地域連携薬局についてです。
薬機法第6条の2には以下のように記載されています。
(地域連携薬局)
第六条の二 薬局であって、その機能が、医師若しくは歯科医師又は薬剤師が診療又は調剤に従事する他の医療提供施設と連携し、地域における薬剤及び医薬品の適正な使用の推進及び効率的な提供に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能に関する次に掲げる要件に該当するものは、その所在地の都道府県知事の認定を受けて地域連携薬局と称することができる。
一 構造設備が、薬剤及び医薬品について情報の提供または薬学的知見に基づく指導を受ける者(次号及び次条第一項において「利用者」という。)の心身の状況に配慮する観点から必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
二 利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
三 地域の患者に対し安定的に薬剤を共通するための調剤及び調剤された薬剤の販売又は授与の業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
四 居宅等(薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第二十二条に規定する居宅等をいう。以下同じ。)における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
団塊世代が後期高齢者になる2025年に向けた医療・介護体制において、在宅医療における薬局の役割が期待されています。
「地域連携薬局」は「かかりつけ薬剤師・薬局の機能」を充実させた薬局が認定されるものになります。
専門医療機関連携薬局とは?
続いて専門医療機関連携薬局についてです。
薬機法第6条の3には以下のように記載されています。
(専門医療機関連携薬局)
第六条の三 薬局であって、その機能が、医師若しくは歯科医師又は薬剤師が診療又は調剤に従事する他の医療提供施設と連携し、薬剤の適正な使用の確保のために専門的な薬学的知見に基づく指導を実施するために必要な機能に関する次に掲げる要件に概要するものは、高齢労働省令で定めるがんその他の傷病の区分ごとに、その所在地の都道府県知事の認定を受けて専門医療機関連携薬局と称することができる。
一 構造設備が、利用者の心身の状況に配慮する観点から必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
二 利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設と共有する体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
三 専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導の業務を行う体制が、厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
他の医療機関と連携し、専門的な薬学的知見に基づく指導の実施を行うことも薬局・薬剤師に求めらる機能です。
「専門医療機関連携薬局」は薬剤師の薬学的知見における「専門性」を充実させた薬局が認定されるものになります。
特定の機能を有する薬局に求められる基準
ここからは令和3年1月22日付の官報で公示された内容について詳しく見ていきたいと思います。
令和3年1月22日 号外(第14号)
「省令 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(厚生労働五、六)」
地域連携薬局の基準
まずは地域連携薬局の基準から見ていきましょう。
(地域連携薬局の基準等)
第十条の二 法第六条の二第一項第一号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 法第六条の二第一項第一号に規定する利用者(別表第一を除き、以下単に「利用者」という。)が座つて情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を受けることができる、間仕切り等で区切られた相談窓口その他の区画並びに相談の内容が漏えいしないよう配慮した設備を有すること。
二 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造であること。2 法第六条の二第一項第二号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 薬局開設者が、過去一年間(当該薬局を開設して一年に満たない薬局においては、開設から認定の申請までの期間。以下この条及び次条において同じ。)において、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師を、その他の地域包括ケアシステム(地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第二条第一項に規定する地域包括ケアシステムをいう。以下同じ。)の構築に資する会議に継続的に参加させていること。
二 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について地域における医療機関に勤務する薬剤師その他の医療関係者に対して随時報告及び連絡することができる体制を備えていること。
三 薬局開設者が、過去一年間において、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師に利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について地域における医療機関に勤務する薬剤師その他の医療関係者に対して月平均三十回以上報告及び連絡させた実績があること。
四 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が利用者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について地域における他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制を備えていること。3 法第六条の二第一項第三号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 開店時間外であつても、利用者からの薬剤及び医薬品に関する相談に対応する体制を備えていること。
二 休日及び夜間であつても、調剤の求めがあつた場合には、地域における他の薬局開設者と連携して対応する体制を備えていること。
三 在庫として保管する医薬品を必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供する体制を備えていること。
四 薬局開設者が、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第二条第一号に規定する麻薬の調剤に応需するために同法第三条第一項の規定による麻薬小売業者の免許を受け、当該麻薬の調剤の求めがあつた場合には、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師に当該薬局で調剤させる体制を備えていること。
五 無菌製剤処理を実施できる体制(第十一条の八第一項ただし書の規定により他の薬局の無菌調剤室を利用して無菌製剤処理を実施する体制を含む。)を備えていること。
六 薬局開設者が、医療安全対策に係る事業に参加することその他の医療安全対策を講じていること。
七 当該薬局に常勤として勤務している薬剤師の半数以上が、当該薬局に継続して一年以上常勤として勤務している者であること。
八 当該薬局に常勤として勤務している薬剤師の半数以上が、地域包括ケアシステムに関する研修を修了した者であること。
九 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する全ての薬剤師に対し、一年以内ごとに、前号の研修又はこれに準ずる研修を計画的に受けさせていること。
十 当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、過去一年間において、地域における他の医療提供施設(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の二第二項に規定する医療提供施設をいう。以下同じ。)に対し、医薬品の適正使用に関する情報を提供していること。4 法第六条の二第一項第四号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 居宅等(薬剤師法第二十二条に規定する居宅等をいう。以下同じ。)における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導について、過去一年間において月平均二回以上実施した実績があること。ただし、都道府県知事が別に定める場合にあつては、月平均二回未満であつて当該都道府県知事が定める回数以上実施した実績があることをもつてこれに代えることができる。
二 高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器(以下「高度管理医療機器等」という。)の販売業の許可を受け、訪問診療を利用する者に対し必要な医療機器及び衛生材料を提供するための体制を備えていること。5 法第六条の二第二項の申請書は、様式第五の二によるものとする。この場合において、申請者(申請者が法人であるときは、薬事に関する業務に責任を有する役員。次条第五項及び第十条の九第二項において同じ。)が精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者である場合は、当該申請者に係る精神の機能の障害に関する医師の診断書を当該申請書に添付しなければならない。
6 法第六条の二第二項第四号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 申請者(申請者が法人であるときは、薬事に関する業務に責任を有する役員を含む。次号及び次条第七項において同じ。)が法第五条第三号イからトまでに該当しない旨
二 申請者が法第七十五条第四項又は第五項の規定により地域連携薬局又は専門医療機関連携薬局(以下「地域連携薬局等」という。)の認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過していない旨
重要と思われる部分にマーカーを引いてみました。
表にまとめてみます。
構造・設備 | 相談場所 | 座って相談可能 間仕切り等で区切られた相談窓口 |
高齢者、障害者に配慮した構造 | ||
薬局の体制 | 時間外対応 | 利用者からの相談に対応できる体制 |
休日・夜間の調剤体制 | ※他薬局との連携対応による体制可 | |
他薬局への小分け体制 | ||
麻薬の調剤体制 | 麻薬小売業の免許取得 麻薬の調剤体制 | |
無菌製剤処理の実施体制 | ※他の薬局施設の利用による体制可 | |
医療安全対策 | 医療安全対策係る事業への参加 対策の実施 | |
常勤の勤務期間 | 常勤として1年以上勤務 | |
地域医療に係る体制・実績 | 地域包括ケアシステムの構築に資する会議 | 過去一年間 継続的に参加 |
医療機関への報告・連絡体制とその実績 | 利用者の医薬品の使用に関する情報 過去一年間に月平均30回以上の報告・連絡実績 | |
他薬局への報告・連絡体制 | 利用者の医薬品の使用に関する情報 | |
地域包括ケアシステムに関する研修 | 常勤の半数以上が修了 | |
計画的な研修体制 | 1年毎に計画 実務に従事するすべての薬剤師 地域包括ケアシステムに関する研修 | |
在宅での服薬指導の実績 | 過去一年間 月平均2回以上 | |
医療機器・衛生材料の提供体制 | 高度管理医療機器または特定保守管理医療の許可 訪問診療を利用する者に対し必要な医療機器・衛生材料の提供体制 | |
医療機関への情報提供の実施 | 過去1年間 医薬品の適正使用に関する情報 |
専門医療機関連携薬局の基準
(専門医療機関連携薬局の基準等)
第十条の三 法第六条の三第一項の厚生労働省令で定める傷病の区分は、がんとする。
2 法第六条の三第一項第一号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 利用者が座つて情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を受けることができる個室その他のプライバシーの確保に配慮した設備を有すること。
二 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造であること。3 法第六条の三第一項第二号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 薬局開設者が、過去一年間において、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師を、利用者の治療方針を共有するために第一項に規定する傷病の区分に係る専門的な医療の提供等を行う医療機関との間で開催される会議に継続的に参加させていること。
二 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が当該薬局を利用する第一項に規定する傷病の区分に該当する者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について前号の医療機関に勤務する薬剤師その他の医療関係者に対して随時報告及び連絡することができる体制を備えていること。
三 薬局開設者が、過去一年間において、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師に当該薬局を利用する第一項に規定する傷病の区分に該当する者のうち半数以上の者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について第一号の医療機関に勤務する薬剤師その他の医療関係者に対して報告及び連絡させた実績があること。
四 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が当該薬局を利用する第一項に規定する傷病の区分に該当する者の薬剤及び医薬品の使用に関する情報について地域における他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制を備えていること。4 法第六条の三第一項第三号の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 開店時間外であつても、利用者からの薬剤及び医薬品に関する相談に対応する体制を備えていること。
二 休日及び夜間であつても、調剤の求めがあつた場合には、地域における他の薬局開設者と連携して対応する体制を備えていること。
三 在庫として保管する第一項に規定する傷病の区分に係る医薬品を、必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供する体制を備えていること。
四 薬局開設者が、麻薬及び向精神薬取締法第二条第一号に規定する麻薬の調剤に応需するために同法第三条第一項の規定による麻薬小売業者の免許を受け、当該麻薬の調剤の求めがあつた場合には、当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師に当該薬局で調剤させる体制を備えていること。
五 医療安全対策に係る事業への参加その他の医療安全対策を講じていること。
六 当該薬局に常勤として勤務している薬剤師の半数以上が、当該薬局に継続して一年以上常勤として勤務している者であること。
七 第六項に規定する専門性の認定を受けた常勤の薬剤師を配置していること。
八 薬局開設者が、当該薬局において薬事に関する実務に従事する全ての薬剤師に対し、一年以内ごとに、第一項に規定する傷病の区分ごとの専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導に関する研修を計画的に受けさせていること。
九 当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、地域における他の薬局に勤務する薬剤師に対して、第一項に規定する傷病の区分ごとの専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導に関する研修を継続的に行つていること。
十 当該薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が、過去一年間において、地域における他の医療提供施設に対し、第一項に規定する傷病の区分ごとの医薬品の適正使用に関する情報を提供していること。5 法第六条の三第二項の申請書は、様式第五の三によるものとする。この場合において、申請者が精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者である場合は、当該申請者に係る精神の機能の障害に関する医師の診断書を当該申請書に添付しなければならない。
6 法第六条の三第二項第二号の厚生労働省令で定める要件は、次に掲げる基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体により、第一項に規定する傷病の区分に係る専門性の認定(以下単に「専門性の認定」という。)を受けた薬剤師であることとする。
一 学術団体として法人格を有していること。
二 会員数が千人以上であること。
三 専門性の認定に係る活動実績を五年以上有し、かつ、当該認定の要件を公表している法人であること。
四 専門性の認定を行うに当たり、医療機関における実地研修の修了、学術雑誌への専門性に関する論文の掲載又は当該団体が実施する適正な試験への合格その他の要件により専門性を確認していること。
五 専門性の認定を定期的に更新する制度を設けていること。
六 当該団体による専門性の認定を受けた薬剤師の名簿を公表していること。7 法第六条の三第二項第五号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 申請者が法第五条第三号イからトまでに該当しない旨
二 申請者が法第七十五条第四項又は第五項の規定により地域連携薬局等の認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過していない旨8 第一項に規定する傷病の区分の明示は、当該薬局内の見やすい場所及び当該薬局の外側の見やすい場所に掲示することにより行うものとする。
重要と思われる部分にマーカーを引いてみました。
表にまとめてみます。
傷病の区分 | がん(薬局内外に掲示) ※傷病は今後追加予定 | |
構造・設備 | 相談場所 | 座って相談可能 個室 |
高齢者、障害者に配慮した構造 | ||
薬局の体制 | 時間外対応 | 利用者からの相談に対応できる体制 |
休日・夜間の調剤体制 | ※他薬局との連携対応による体制可 | |
他薬局への小分け体制 | 該当する傷病の区分に係る医薬品 | |
麻薬の調剤体制 | 麻薬小売業の免許取得 麻薬の調剤体制 | |
常勤の半数以上が1年以上勤務 | 常勤として1年以上勤務 | |
医療安全対策 | 係る事業への参加 対策の実施 | |
専門性に係る体制・実績 | 認定薬剤師 | 該当する傷病の区分に係る専門性の認定 |
医療機関との専門会議 | 過去一年間継続的に参加 利用者の治療方針の共有 | |
計画的な研修体制 | 1年毎 実務に従事するすべての薬剤師 該当する傷病の区分の薬学的治験に基づく調剤・指導に関する研修 | |
医療機関への報告実績 | 過去一年間 傷病の区分に該当する利用者の半数以上 医薬品の使用に関する情報 | |
他薬局への報告・連絡体制 | 傷病の区分に該当する利用者の医薬品の使用に関する情報 | |
地域薬局への研修 | 傷病の区分ごとの専門的な薬学的知見に基づく調剤・指導に関する研修 継続的に実施 | |
医療機関への情報提供の実施 | 過去1年間 傷病の区分ごとの医薬品の適正使用に関する情報 |
地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の認定に関するその他の情報
地域連携薬局と専門医療機関連携薬局(地域連携薬局等)の認定に関するその他の情報についても詳しく規定されています。
(地域連携薬局等の認定証の様式)
第十条の四 地域連携薬局等の認定証は、様式第五の四によるものとする。(地域連携薬局等の認定証の掲示)
第十条の五 地域連携薬局等の認定を受けた薬局の開設者(以下「認定薬局開設者」という。)は、地域連携薬局等の認定証を薬局の見やすい場所に掲示しておかなければならない。(地域連携薬局等の認定証の書換え交付の申請書)
第十条の六 令第二条の八第二項の地域連携薬局等の認定証の書換え交付の申請書は、様式第三によるものとする。(地域連携薬局等の認定証の再交付の申請書)
第十条の七 令第二条の九第二項の地域連携薬局等の認定証の再交付の申請書は、様式第四によるものとする。(地域連携薬局等の認定証の返納時の届出)
第十条の八 令第二条の十の規定により、認定薬局開設者が、地域連携薬局等と称することをやめたことにより認定証を返納するときは、地域連携薬局等と称することをやめた日から三十日以内に、様式第八による届書を当該認定証を交付した都道府県知事に提出しなければならない。(地域連携薬局等の認定の更新の申請)
第十条の九 法第六条の二第四項又は第六条の三第五項の規定により地域連携薬局等の認定の更新を受けようとする者は、様式第五の五による申請書に認定証を添えて、都道府県知事に提出しなければならない。
2 前項において申請者が精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者である場合は、当該申請者に係る精神の機能の障害に関する医師の診断書を当該申請書に添付しなければならない。(地域連携薬局等の認定台帳の記載事項)
第十条の十 令第二条の十一に規定する法第六条の二第一項又は第六条の三第一項の規定による認定に関する台帳に記載する事項は、次のとおりとする。
一 認定番号及び認定年月日
二 薬局開設の許可に係る許可番号及び許可年月日
三 認定薬局開設者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事業所の所在地)
四 薬局の名称及び所在地
五 専門医療機関連携薬局にあつては、第十条の三第一項に規定する傷病の区分
六 専門医療機関連携薬局にあつては、法第六条の三第二項第二号に規定する薬剤師の氏名(地域連携薬局等の掲示)
第十五条の十六の二 認定薬局開設者は、当該薬局内の見やすい場所及び当該薬局の外側の見やすい場所に、次に掲げる事項を掲示しなければならない。
一 地域連携薬局等である旨
二 地域連携薬局等の機能に係る説明(地域連携薬局等の変更の届出)
第十六条の三 認定薬局開設者は、次に掲げる事項を変更したときは、三十日以内に、様式第六による届書を提出することにより、認定証を交付した都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 認定薬局開設者の氏名(認定薬局開設者が法人であるときは、薬事に関する業務に責任を有する役員の氏名を含む。)及び住所
二 専門医療機関連携薬局にあつては、法第六条の三第二項第二号に規定する薬剤師の氏名2 前項の届書には、次の各号に掲げる届書の区分に応じて当該各号に定める書類を添えなければならない。ただし、申請等の行為の際当該届書の提出先とされている都道府県知事に提出され、又は当該都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出された書類については、当該届書にその旨が付記されたときは、この限りでない。
一 前項第一号に掲げる認定薬局開設者の氏名に係る届書 認定薬局開設者の戸籍謄本、戸籍抄本又は戸籍記載事項証明書(認定薬局開設者が法人であるときは、登記事項証明書)
二 前項第一号に掲げる役員に係る届書 新たに役員となつた者が精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある者である場合は、当該役員に係る精神の機能の障害に関する医師の診断書
三 前項第二号に掲げる事項に係る届書(新たに法第六条の三第二項第二号に規定する薬剤師となつた者が認定薬局開設者である場合を除く。) 雇用契約書の写しその他の認定薬局開設者の新たに法第六条の三第二項第二号に規定する薬剤師となつた者に対する使用関係を証する書類3 認定薬局開設者は、その薬局の名称を変更しようとするときは、あらかじめ、様式第六による届書を提出することにより、認定証を交付した都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
都道府県知事に対する届出の内容
最後にそれぞれの連携薬局の届出に記載する内容についての部分を抜粋します。
別表第一(第十一条の三関係)
第二 提供サービスや地域連携体制に関する事項
三 地域連携薬局等に関する事項
(1)地域連携薬局
(i)地域包括ケアシステムに関する研修を修了した薬剤師の人数
(ii)第十条の二第二項第二号に基づき、医療機関に情報を共有した回数
イ 利用者(法第六条の二第一項第一号に規定する利用者をいう。ロにおいて同じ。)が医療機関に入院する場合に当該医療機関に情報を共有した回数
ロ 利用者が医療機関から退院する場合に当該医療機関に情報を共有した回数
ハ イ及びロに掲げるもののほか、医療機関に情報を共有した回数
(iii)休日又は夜間に調剤の求めがあつた場合に地域における他の薬局開設者と連携して対応した回数
(iv)在庫として保管する医薬品を必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供した回数
(v)麻薬に係る調剤を行つた回数
(vi)無菌製剤処理に係る調剤を実施した回数
イ 当該薬局において実施した回数
ロ 他の薬局の無菌調剤室を利用して実施した回数
ハ 他の薬局を紹介する等により実施した回数
(vii)地域における他の医療提供施設に対し医薬品の適正使用に関する情報を提供した回数
(viii)居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導を実施した回数(2)専門医療機関連携薬局
(i)第十条の三第一項に規定する傷病の区分ごとの専門性の認定を受けた薬剤師の人数
(ii)第十条の三第三項第二号に基づき、同項第一号の医療機関に情報を共有した回数
(iii)休日又は夜間に調剤の求めがあつた場合に地域における他の薬局開設者と連携して対応した回数
(iv)在庫として保管する第十条の三第一項に規定する傷病の区分に係る医薬品を必要な場合に地域における他の薬局開設者に提供した回数
(v)麻薬に係る調剤を行つた回数
(vi)地域における他の薬局開設者に対して第十条の三第一項に規定する傷病の区分ごとの専門的な薬学的知見に基づく調剤及び指導に関する研修を行つた回数
(vii)地域における他の医療提供施設に対して第十条の三第一項に規定する傷病の区分ごとの医薬品の適正使用に関する情報を提供した回数
これを見ると満たすべき要件の項目がわかりやすいですね。
パブリックコメント
パブコメの結果についても公開されています。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」に対して寄せられた御意見について(案件番号:495200243)
構造設備等の基準について
地域連携薬局の構造設備において、「間仕切り」としているが、間仕切りではプライバシーが確保できないため、専門医療機関連携薬局と同様に個室を基準として設定すべきではないか。
高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造の具体的な内容如何。
医療提供施設と情報を共有する体制に関する基準
薬局・薬剤師が参加できるようなものとすべき。
居宅療養管理指導や在宅訪問薬剤指導に関わる担当者会議等他職種が参画する会議が広く含まれるようにすべき。
従業員が地域の自治会に属することや民生委員との定期的情報交換会の実施、自治会総会への参加などの活動
災害時の医薬品確保、水・電気等も含めた対応
利用者に安定的に薬剤等を提供する体制
常勤薬剤師について、週労働時間が32 時間以上の薬剤師も含めるべきではないか。
全般的に1名を超える常勤薬剤師数を要する体制等が求められているが、健康サポート薬局のように柔軟な対応が配慮されるべきではないか。
出産、育児、介護等のライフイベントがある中で、常勤薬剤師を一定数配置できない場合も想定される。その際、かかりつけ薬剤師指導料の届出時と同様、育児・介護休業法で定める短時間勤務を行う際の例外規定を適応していただけると幸いである。
在宅医療に必要な対応ができる体制に関する基準
「在宅医療に関する取組の実績」の具体的な内容如何
その他
麻薬等の中毒者のおそれがある者の場合は、申請に診断書を添付することとされているが、「おそれがある者の場合」を明確にすべき。
また、施行に際しては、これら基準に示された要件のみを有することによって認定を与えるものではなく、改正薬機法第2条に示されている薬局の本来機能が十分に果たされているうえで、認定薬局としての機能について定められた基準を満たす場合に、認定を与えるものであることについて、十分周知することが必要であると考える。
専門性の認定については、がんに関するもののみではなく、医療薬学専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師、地域薬学ケア専門薬剤師等も幅広く認められるようにすべきではないか。
専門性の認定を行う団体の基準について、専門性を確認する際に「学会発表等の学術業績」を確認していることを加えるべきではないか。
まとめ
とりあえず、気になったことを簡単にまとめてみます。
基準について
地域連携薬局の医療機関への情報提供 月30件以上って、トレーシングレポートを月30回以上提出ってことですよね…?
→パブコメの「医療提供施設と情報を共有する体制に関する基準」のQ13にメモ書き程度のものでもという質問が記載されており、その回答を見ると必ずしもトレーシングレポートではなくてはならないというわけでもなそそうですね。
ちなみに、これは薬局単位ですよね?(薬剤師1人あたりじゃないですよね?)在宅や居宅の報告書は含まれるのかな?
常勤の半数以上が…って要件がありますが、この場合の常勤って何?店舗専任ってこと?つまり、正社員もパートも関係なく考えるってことなのかな?それとも雇用形態を指すのかな?
医薬品の適正使用に関する情報提供については親しい医療機関にお願いしてやらせてもらうなんて形骸化したものにならないことを祈ります。
専門医療機関連携薬局は相談場所が個室となっているけど、地域連携薬局は個室に限らないみたいですね。
無菌製剤については地域内で対応を行える薬局を紹介するという形でも認められるようですね。
地域の他の薬局に対する情報提供はグループ内は認められるのかなあ?それだとただの社内研修ですよね…?このあたり薬剤師会を通じて依頼がくるようになるのかもしれませんね。
薬局は二分化されるのか?
当初、認定薬局の出現により薬局は認定を受けている薬局とそうでない薬局に分かれるのかと思っていましたが、こうして基準を見てみると、認定を受けたくて頑張ればどの薬局でも認定されるってものではなさそうで、地域で模範となる薬局が認定されるものになりそうです。(地域連携は無理矢理取れないこともなさそうですが…)
ただ、それは短期的な話で、これまで努力を続けてきた薬局は認定の対象となるでしょうし、今からでも努力を開始すれば数年後には取得できるはずです。
単純に薬局のみが頑張るという話ではなく、薬剤師一人一人が努力し、地域からの認識を変えていけば認定に近づくはずです。
現時点で認定取得できそう!って薬局であれば是非目指すべきものと思います。
利用者へのアピールだけでなく、就活生や求職者へもアピールできるものになりそうですね!
これが将来的にどうなっていくのか?
すぐに差別化されるものではなさそうですが、認定薬局が単純な施設基準ではなく、薬局と薬剤師の努力の積み重ね、地域からの認知された結果のものである以上、数年後には差別されるものとなっていく可能性があると考えます。
近隣医療機関の処方箋応需には大きく影響しなくても、広域処方箋、退院後の利用者、在宅希望者などが薬局を選択する際の指標となっていくものになっていくのではないでしょうか?
認定されている薬局かどうかというのも大きな二分化となりますが、現時点では認定を目指す薬局かどうかという二分化が起きていくのではないかと思います。
認定されるために変わるのではなく、変わっていき、地域から指示された結果が認定に繋がるはずです。
キーワードは情報発信?
地域連携薬局も専門医療機関連携薬局のどちらも情報提供が一つのテーマになっていると思います。
薬局は機能として医薬品を備蓄し、そこに常駐する薬剤師は医薬品についての知識を持っており日々研鑽を重ねています。
薬局を利用してもらうことで薬局は患者さんの情報を集積していきます。
認定連携薬局は医薬品の知識、収集した情報を他の医療機関に提供することが求められています。これは薬局(薬剤師)の情報収集能力、情報発信力を評価するものとも言えます。
認定を取るために情報提供の数を増やす…のは違うんじゃないかと思ってしまいがちですが、情報提供は相手があってこそのもの。
正常に働けば、数が増えることで薬剤師の経験となり質があがっていくのでないかと期待します。
診療報酬改定でもトレーシングレポートが一つのテーマとして掲げられていましたが、これからの薬剤師には自身が得た情報を必要に応じて加工し、発信していく能力が求められていくのだと思います。