2020年8月17日付で新規後発医薬品が承認されています。
今回承認されたジェネリック医薬品は2020年12月11日に薬価収載、販売開始となりました。
薬価収載された内容についての詳しい記事は以下になります。
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2020年12月11日、8月17日に承認された新規ジェネリック医薬品を中心とした様々な医薬品が薬価収載されました。新登場のジェネリック医薬品まずは今回の薬価収載の目玉。初めてジェネリックが登場するものについてまとめます。[…]
新たにジェネリック医薬品が登場するもの
今回、3つの先発医薬品について新たなジェネリック医薬品が承認されました。
プレガバリン(リリカ)のジェネリック
リリカのジェネリックがようやく登場です!
リリカは少しずつ適応を拡大していったため、用途特許が問題となり承認が送れていました。
沢井製薬をはじめとするジェネリック医薬品メーカーと争いましたが、今年7月、特許無効審判で用途特許の一部を無効とする審決が出されした。
2010年4月16日:発売時「帯状疱疹後神経痛」
2010年10月27日:適応拡大「帯状疱疹後神経痛」→「末梢性神経障害性疼痛」
2012年6月22日:適応追加「線維筋痛症に伴う疼痛」
2013年2月28日:適応拡大「末梢性神経障害性疼痛」→「神経障害性疼痛」
ようやく各社はプレガバリンの製造承認を取得できたわけですが、ファイザーはこれを不服として東京地裁に特許侵害訴訟を起こしたと発表しました。
「リリカ(R)」に関する特許権侵害訴訟および仮処分命令の申し立てについて
薬価収載、発売後にファイザーの訴えを認める判決が出た場合はその時点で発売中止になる可能性がありますが・・・どうなるでしょう?
ちなみにファイザーはプレガバリンOD錠のAGの製造承認を取得しています。
リリカOD錠のGE
※は50mgの承認を取得
★はAG
東和薬品のOD錠150mgが楕円形で大きいのが気になりますね・・・。
東和のractabは視認性はいいし、分包にも適しているのですが剤形が大きくなることがありますね。
武田テバと日医工の両方が承認取得。。。
将来的にどちらかに統一される可能性が高いと考えると。。。
気になるプレガバリンODの味は・・・?
うちはリリカの使用量少ないからジェネリックについてもそんなに積極的ではないんです。
(もちろん採用はする予定ですが)
味については先発品と同じくゆず風味を採用するメーカーが多そうですね。
どんな味か気になるところですが、そこはtwitter薬剤師会の猛者の先生方にお任せします。
と思っていたら、こんな情報が・・・!


連載第一回のタイトルは「【2020年新規収載】プレガバリンOD錠の味を比較をしてみた」です!
まさに今回必要な内容!
「オーハラ」、「KN」、「ニプロ」、「トーワ」の味を比較しています。
採用に向けてめちゃくちゃ参考になりますよ!
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で記事が閲覧可能になります。
リリカカプセルのGE
現時点でカプセルの承認が確認できたのは3社のみです。
リバスチグミン(リバスタッチ/イクセロン)のジェネリック
リバスタッチパッチ/イクセロンパッチのジェネリックが登場します。
一番気になるのは皮膚への刺激性と粘着力ですよね。
先発品は基剤の変更を行いましたが、思いのほか改善されていない気もするので・・・。
先発医薬品よりも良いものを作った!というジェネリックが出てきてくれるのを期待しています。
イクセロン/リバスタッチのGE
効能・効果はもちろん、用法・用量も先発と同じです
9mg→4週間→18mgの2段階増量での使用も可能になっています。
リバスチグミン貼付剤で気になる皮膚刺激
リバスチグミンの貼付剤・・・経皮吸収型製剤ということで各製剤の吸収や安定性が気になるところです。
ですが、リバスタッチ/イクセロンのジェネリックということで一番気になるのは皮膚刺激ではないでしょうか?
実際、先発医薬品であるイクセロンパッチとリバスタッチパッチでは、皮膚への刺激性を軽減するために基剤の変更が行われました。
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(記事作成時点から時間が経過したので加筆修正を行なっています)イクセロンパッチとリバスタッチの基剤が変更になりました。以前から変更する変更するとMRさんから聞いていましたが、ようやく変更。当薬局でも全ての規格が切り替わりました。[…]
が、患者さんの訴えが減ったという印象はあまりないですね。。。
イクセロン/リバスタッチの臨床試験のデータを見ると実薬とプラセボで紅斑の発現に差が出ているので基剤よりも薬剤由来の皮膚刺激性なんだと思います。
ざっと見て気になるメーカーは・・・。
- 第一三共エスファ:メマンチンを有する第一三共とタッグ(販売提携)を組むことで認知症領域の強さをアピール?
- 祐徳薬品工業:ユートクと言えば湿布のブランドです、貼付技術を活かした製剤となるのか?日本ケミファとタッグを組んでいます。
- 久光製薬:湿布日本一のブランドと言っても良いと思います。
ってところですね。
詳しい情報が聞けるのが楽しみです。
各社の製剤の比較
わかる範囲で各社の製剤を比較してみます。
リバスチグミンテープ「久光」について
久光製薬のリバスチグミンテープはテープの面積を増やし(3倍)単位面積あたりの薬剤を減らすことで皮膚への刺激軽減を狙っている製剤です。
サイズが大きくなるのは問題かとも思いましたが、リバスタッチ・イクセロンは皮膚刺激で使用を断念する患者さんがかなり多い薬剤なので、それを回避できるのであれば大きなメリットとなります。
大きさについてもフランドルテープが63.5mm×63.5mmですから、リバスチグミンテープ「久光」18mg(54.8mm×54.8mm)はそれよりは小さいのでそこまでびっくりする大きさでもないのではないかと思います。
先発が円形なのに対して久光が四角なのも大きさを感じさせないポイントですね。
ただし、お薬カレンダーのポケットに入らなくなる、一包化に貼り付けて管理していた場合それがしにくくなるなどの欠点はありますね。
あと、包装が14枚入しか存在しないのも欠点ですね。
うちの薬局、日に200枚くらい出ることあるからなあ・・・。
ちなみに、リバスチグミンテープ「久光」(開発コード:HP-1040)と標準製剤(イクセロン・リバスタッチ)の皮膚刺激性を比較した論文が存在ます。
「健康中高年男女を対象としたリバスチグミン含有経皮吸収型製剤(HP—1040)の皮膚刺激性の評価(薬理と治療 Volume 48, Issue 8, 1373 – 1381 (2020))」
被験者をHP-1040投与群と標準製剤投与群に分けて4.5mgを同一箇所に9日間連続で貼付し、皮膚刺激性を確認した試験です。
サイズが明らかに異なるのでオープンラベルでの試験になりますね。
被験者は合計40例(45歳以上65歳未満、男性20名・女性20名)を男性10名・女性10名ずつになるように2群に分けています。
標準製剤群の1例が皮膚刺激以外の理由で投与中止となったため、39例を皮膚刺激性評価の解析対象としています。
その結果、平均皮膚刺激スコア(平均値±標準語差)は以下の通りでした。
- HP-1040:0.044[0.005,0.082]
- 標準製剤:0.141[0.102,0.179]
HP-1040は標準製剤と比較して有意に平均皮膚刺激スコアが低い(P-0.0002)という結果になっています。
掻痒感についてはHP-1040も標準製剤と同程度だったようですが、紅斑の発現率がHP-1040では37.5%、標準製剤は75.0%となっており、HP-1040では1/2となっています。
製剤的にも色んな工夫がされており、箱、個別包装だけでなく、シール自体も規格ごとに文字が色分けされていたり、シールを取り出しやすいようにエンボス加工が施されていたり、貼りやすさの工夫もされています。
参考までにサンプルの写真を貼っておきます。






このあたり、さすが久光さんって感じですね!
プラビックス/バイアスピリン配合錠(コンプラビン配合錠)のジェネリック
コンプラビン配合錠のジェネリックも登場します。
ジェネリック医薬品の統一名称はロレアス配合錠です。
ロレアスって・・・。わかりにくい。プラアスじゃダメだったの?
ロレアス配合錠
日医工サノフィが承認を取得しているのでAGかもしれませんね。
今回承認されるオーソライズドジェネリック
今回も複数のオーソライズドジェネリック(AG*1)が承認されています。
ファイザーUPJが4品目のAG製造承認取得
ファイザーUPJ合同会社が4成分のAGの製造承認を取得しています。
ファイザーUPJ合同会社については詳しくないのですが、おそらくマイランとファイザーのアップジョン事業部(非感染症領域を扱う部門)と合同で設立した会社だと思います。
今回、ファイザーUPJ合同会社が製造承認を取得しているのは、
- プレガバリン(リリカ)
- アムロジピン(ノルバスク)
- エレトリプタン(レルパックス)
- ドキサゾシン(カルデナリン)
の4品目です。
プレガバリンを実際に販売開始するかどうかは裁判の結果次第と思いますが、その際には他の3種類も発売開始し、本格的にジェネリック市場に参入してくるのではないでしょうか?
セレコキシブをはじめとするファイザーのジェネリック(エスタブリッシュ医薬品)もこちらに継承するのではないかと思います。(元々アップジョン事業部が担当しているはずです)
メマリーDSのAG
第一三共エスファがメマリードライシロップのAGの製造承認を取得しています。
0.25g/包、0.5g/包、1.0g/包の3つの包装で販売される予定です。
薬価:193.90円/g(先発薬価:406.90円/g)
アネキセート注射液のAG
ニプロがアネキセート注射液(製造販売元:アスペンジャパン、成分:フルマゼニル)のAGの製造承認を取得しています。
※2020年12月の薬価収載は見送り
スープレン吸入麻酔液のAG
バクスターの子会社 バクスター・ファーマがスープレン吸入麻酔液(デスフルラン)のAGの製造承認を取得しています。
※2020年12月の薬価収載は見送り
ジェネリック医薬品以外で気になるもの
今回、ジェネリックではありませんが、ある意味、今回の承認の目玉と言ってもいい薬が承認されています。
メルカゾール錠2.5mg
なんと、メルカゾール錠の新規格2.5mgが承認されています。
医療関係者の皆さまへ|あすか製薬株式会社 – 医療用医薬品情報サイト
これでメルカゾール錠5mgの半錠に苦しめられることはなくなります・・・!
2.5mg薬価:9.80円/錠(5mg薬価:9.80円/錠)
ちなみにこの規格追加に伴い5mg錠の製剤変更も行われます。
糖衣錠からフィルムコート錠に変更、色も白から黄色に変更されます。
医療関係者の皆さまへ|あすか製薬株式会社 – 医療用医薬品情報サイト
さらに、5mg錠のバラ錠は販売中止になるようです。
医療関係者の皆さまへ|あすか製薬株式会社 – 医療用医薬品情報サイト
(最低薬価なので)当然ながら2.5mgと5mgの薬価は同じになりましたね。
つまり5mg 0.5錠の方が2.5mg 1錠よりも安くなりますが、計算上ほとんどのケースで自己負担額は変わらないかと。
この薬価にも関わらず製造承認を取得、販売してくれるあすか製薬さんに患者ですね。
ちなみに2.5mgは2月発売予定です。