【令和3年7月7日付】コミナティとモデルナ筋注の使用上の注意 改訂指示とRMPの公開【心筋炎・心膜炎】

令和3年7月7日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品等について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。

コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)であるコミナティ筋注とCOVID−19ワクチンモデルナ筋注接種後の心筋炎・心膜炎についての記載が追加されています。

※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

使用上の注意の改訂指示(令和3年7月7日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。
令和3年度指示分 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

今回、改訂指示が出されたのは以下のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)2製品で、いずれも心筋炎・心膜炎に関する内容が追記されています。

  • コミナティ筋注
  • COVID−19ワクチンモデルナ筋注

ちなみに、令和元年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

現時点で各医薬品が採用している記載方式に従ってまとめます。

コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)の改訂内容

2製品ともほぼ同じ改訂内容です。(項目番号が少し異なるだけ)

コミナティ筋注の改訂内容

添付文書の重要な基本的注意とその他の注意、主要文献に赤色マーカーの内容が追加されます。

8.重要な基本的注意
8.6 本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸 等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
引用元:コミナティ筋注 使用上の注意改訂のお知らせ

15.その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、因果関係は不明であるが、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している1)
引用元:コミナティ筋注 使用上の注意改訂のお知らせ

23.主要文献
1) Clinical Considerations: Myocarditis and Pericarditis after Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults
引用元:コミナティ筋注 使用上の注意改訂のお知らせ

COVID-19ワクチン モデルナ筋注の改訂内容

添付文書の重要な基本的注意とその他の注意、主要文献に赤色マーカーの内容が追加されます。

8.重要な基本的注意
8.4 本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸 等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
引用元:COVID-19ワクチン モデルナ筋注 添付文書改訂のお知らせ

15.その他の注意
15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、因果関係は不明であるが、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している1)
引用元:COVID-19ワクチン モデルナ筋注 添付文書改訂のお知らせ

23.主要文献
1) Clinical Considerations: Myocarditis and Pericarditis after Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults
引用元:COVID-19ワクチン モデルナ筋注 添付文書改訂のお知らせ

添付文書改訂の理由

pmdaのサイトで公開されている「コロナウイルス修飾ウリジン RNA ワクチン(SARS-CoV-2)の「使用上の注意」の改訂について」には以下の通り改訂理由が記載されています。

改訂の理由及び調査の結果
国内においては、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS- CoV-2)との因果関係が否定できない心筋炎及び心膜炎の副反応疑い報告はないが、機構は、以下の状況を考慮し、専門委員の意見も踏まえ、改訂することが適切と判断した。
・海外において、因果関係は不明であるが、コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)接種後に心筋炎及び心膜炎が 報告されていること(Clinical Considerations: Myocarditis and Pericarditis after Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults)。
・海外において、心筋炎及び心膜炎の注意喚起がなされていること。
・国内においても、因果関係は不明であるが、症例集積が認められること。
・心筋炎、心膜炎が疑われる症状が認められた場合には医師の診察を受ける旨をあらかじめ被接種者に指導することが、早期発見及び重症化への対処の上で重要であると考えること。
・接種対象者の拡大に伴うAYA(Adolescents and Young Adults)世代への接種数増加が予想されること。
引用元:コロナウイルス修飾ウリジン RNA ワクチン(SARS-CoV-2)の「使用上の注意」の改訂について

子ぺんぎん(ジェンツー)
AYA(Adolescents and Young Adults)世代・・・!
直近3年度の国内症例の集積状況
症例コミナティ筋注モデルナ筋注
心筋炎関連症例(因果関係が否定できない症例)
死亡例(因果関係が否定できない症例)
12例(0例)1例(0例)
2例(0例)0例
心膜炎関連症例(因果関係が否定できない症例)
死亡例(因果関係が否定できない症例)
3例(0例)0例
0例

RMP(リスク管理計画)の公開

添付文書の改訂と同日、各製品ともにRMPを公開しています。
内容について簡単にまとめておきます。

コミナティ筋注とモデルナ筋注の安全性検討事項

安全性検討事項は以下の3つのみです。

  • 重要な特定されたリスク:ショック、アナフィラキシー
  • 重要な潜在的リスク:ワクチン関連呼吸器疾患増強(Vaccine-associated enhanced respiratory disease:VAERD)を含むワクチン関連疾患増強(Vaccine-associated enhanced disease:VAED)
  • 重要な不足情報:妊婦及び授乳婦に接種した際の安全性

VAED:ワクチン関連疾患増強(重要な潜在的リスク)

コミナティ筋注・モデルナ筋注ともに臨床試験ではVAEDを示唆する報告はされておらず、発症や重症化を減らすことが報告されています。

マウスを用いた SARS-CoV(SARS)及びMERS-CoV(MERS)ワクチンの非臨床研究やコットンラットを用いたRSウイルスワクチンの非臨床研究においてVAEDが報告されていることから、理論的にSARS-CoV-2ワクチンにおいてもVAEDを引き起こす可能性があると考えれています。
ですが、SARS-CoV-2に関してはin vivoの研究ではVAEDが否定されたという報告もあります。

いずれにせよ、データを蓄積して改めて検証する必要があると判断されたため、「重要な潜在的リスク」にあげられています。

妊娠及び授乳婦に接種した際の安全性(重要な不足情報)

「妊婦・授乳婦に接種した際の安全性」が不足情報としてあげられているので念のため補足を。

コミナティ筋注・モデルナ筋注ともに生殖発生毒性試験において安全性上の懸念は認められていませんが、妊婦または授乳婦について承認前の臨床試験から除外されているため使用経験が少なくなっています。
これはコミナティ筋注・モデルナ筋注が妊婦や授乳婦に対してリスクを持つという意味ではなく、他の多くの薬剤と同様、妊婦・授乳婦への使用について実際にしようしたデータは少ないが危険性を示唆するデータが存在しないことを意味します。

ですが、SARS-CoV-2による感染症について妊婦の重症化や胎児への子宮内感染が起こることが示唆されていることを踏まえて、関連学会からは妊婦に対する摂取を優先して行うべきと意見が出ています。

このような現状を踏まえると、妊婦や授乳婦に対する臨床上の安全性プロファイルを明確にするべきと考えられるため、「重要な不足情報」としたということです。

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