ジェネリック医薬品のブランド名称は各社、成分名+剤型+規格+「メーカー名」で統一されていますが、成分が複数に含まれている配合剤についてはそうではなく、各社のブランド名称のまま発売されています。
近年、配合剤の数は増えてきており、このまま各社が独自のブランド名称を付けていくと、医療事故の元になったり、ジェネリック普及の妨げになるとして、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会(旧学会名:日本ジェネリック医薬品学会、3017年4月に改名)は「配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称」を検討しています。
実際に、配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称で発売されている配合剤ジェネリックも増えてきていますし、今後も多くの薬が発売されていくことになると思います。
今回の記事は「配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称」について個人的に思っていることをブツブツ述べているだけの、どうでもいいといえばどうでもいいまとめです(笑)
すでにジェネリック医薬品が発売されているもの
まずは、すでにジェネリック医薬品が発売されているものです。
全て統一名称が使用されています。
高血圧治療薬(一部、脂質異常症治療薬)
- プレミネント配合錠:「ロサルヒド」(ロサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- エックスフォージ配合錠:「アムバロ」(バルサルタン・アムロジピン)
- コディオ配合錠:「バルヒディオ」(バルサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- カデュエット配合剤:「アマルエット」(アムロジピン・アトルバスタチン)
- ユニシア配合錠:「カムシア」(カンデサルタン・アムロジピン)
- ミカムロ配合錠:「テラムロ」(テルミサルタン・アムロジピン)
- ミコンビ配合錠:「テルチア」(テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- エカード配合錠:「カデチア」(カンデサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- アイミクス配合錠:「イルアミクス」(イルベサルタン・アムロジピン)
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(選択的AT1受容体ブロッカー)+サイアザイド (チアジド)系利尿薬(ARB+TZD)
- プレミネント配合錠:「ロサルヒド」(ロサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- コディオ配合錠:「バルヒディオ」(バルサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- ミコンビ配合錠:「テルチア」(テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド)
- エカード配合錠:「カデチア」(カンデサルタン・ヒドロクロロチアジド)
以上4剤についてジェネリック統一名称が採用されています。(H30.6現在)
せめて、このグループの中で法則性が統一されていたらわかりやすいと思うんだけどなぁ。
下記にそれぞれについて書いていますが、「ヒドロクロロチアジド」部分を「ヒド」とするか「チア」とするか統一してくれたらわかりやすいのになぁ・・・。
ロサルヒド配合錠(プレミネント配合錠)
プレミネント配合錠(成分名:ロサルタン/ヒドロクロロチアジド)のジェネリック統一名称は「ロサルヒド配合錠(英字名:Losarhyd)」です。
Losartan+Hydrochlorothiazide→Losarhyd(ロサルヒド)
記念すべき?最初のジェネリック統一名称です。
成分名の頭文字を組み合わせて名付けられているのでわかりやすい!とこの時は思いました。
バルヒディオ配合錠(コディオ配合錠)
コディオ配合錠(成分名:バルサルタン/ヒドロクロロチアジド)のジェネリック統一名称は「バルヒディオ配合錠(英字名:VALHYDIO)」です。
Valsartan+Hydrochlorothiazide=Co-DIO→VALHYDIO(バルヒディオ)
う〜ん・・・。これが一番ひどいかも。
なんでコディオまで組み合わせたんだろ?
バルサヒド(Valsahyd)とかじゃダメだったんかな?
テルチア配合錠(ミコンビ配合錠)
ミコンビ配合錠(テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド)のジェネリック統一名称は「テルチア配合錠(英字名:TELTHIA)」です。
Telmisartan+Hydrochlorothiazide→TELTHIA(テルチア)
テルヒドではなく、テルチアなんですね。
だったらロサルヒドもロサルチアのような・・・。
カデチア配合錠(エカード配合錠)
エカード配合錠(カンデサルタン/ヒドロクロロチアジド)のジェネリック統一名称は「カデチア配合錠(英字名:CADETHIA)」です。
Candesartan+Hydrochlorothiazide→CADETHIA(カデチア)
サイアザイド 配合剤の命名パターンが変わったってこと?
カンデチアの方が単純でよくない?
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(選択的AT1受容体ブロッカー)+カルシウム拮抗薬(ARB+CCB)
- エックスフォージ配合錠:「アムバロ」(バルサルタン・アムロジピン)
- ユニシア配合錠:「カムシア」(カンデサルタン・アムロジピン)
- ミカムロ配合錠:「テラムロ」(テルミサルタン・アムロジピン)
- アイミクス配合錠:「イルアミクス」(イルベサルタン・アムロジピン)
以上4剤についてジェネリック統一名称が採用されています。(H30.6現在)
やはり、グループの中での法則性はありません。
テラムロのように「ARBの成分名頭2音」+「ムロ」じゃダメだったんかな?
バルムロ、カナムロ、イルムロ・・・いい感じだけどなあ。
アムバロ配合錠(エックスフォージ配合錠)
エックスフォージ配合錠(アムロジン/バルサルタン)のジェネリック統一名称は「アムバロ配合錠(英字名:AMVALO)」です。
Amlodipine+Valsartan→AMVALO(アムバロ)
ロサルヒドほどの切れはないかなあ。
バルムロ(VALMLO)じゃダメだったのかな?
カムシア配合錠(ユニシア配合錠)
ユニシア配合錠(カンデサルタン/アムロジピン)のジェネリック統一名称は「カムシア配合錠(英字名:CAMSHIA)」です。
Candesartan+Amlodipine=UNISIA→CAMSHIA(カムシア)
先発品名も絡めるパターン・・・。
カナムロ(CANAMLO)がいいなあ。。。
テラムロ配合錠(ミカムロ配合錠)
ミカムロ配合錠(テルミサルタン/アムロジピン)のジェネリック統一名称は「テラムロ配合錠(英字名:TERAMURO)」です。
Telmisartan+Amlodipine→TERAMURO(テラムロ)
ちなみに、英字名はTELAMULOじゃなくてTERAMUROなんですね。
発音上の問題?
イルアミクス配合錠(アイミクス配合錠)
アイミクス配合錠(イルベサルタン/アムロジピン)のジェネリック統一名称は「イルアミクス配合錠(英字名:ILUAMIX)」です。
Irbesartan+Amlodipine=AIMIX→ILUAMIX(イルアミクス)
これも先発品名を絡めるパターンですね。
これも英字名でRがLに変わっていますね。
イラムロ(IRAMLO)でいいと思うんだけどなあ。
カルシウム拮抗薬(CCB)+HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬剤)
- カデュエット配合剤:「アマルエット」(アムロジピン・アトルバスタチン)
この1剤のみです。(H30.6現在)
というかCCB/スタチンの配合剤はカデュエットのみですね。
アマルエット配合錠(カデュエット配合錠)
カデュエット配合剤(成分名:アムロジピン/アトルバスタチン)のジェネリック統一名称は「アマルエット配合錠(英字名:AMALUET)」です。
Amlodipine+Atorvastatin=Caduet→AMALUET(アマルエット)
これはかなりややこしいですよね。
先発品名が絡んでいるし、後半に「L」が加えられています。
緑内障・高眼圧症治療の配合点眼液
- ザラカム配合点眼液:「ラタチモ」(ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩)
- コソプト配合点眼液:「ドルモロール」(ドルゾラミド塩酸塩・チモロールマレイン酸塩)
以上2剤の配合点眼液についてジェネリック統一名称が採用されています。(H30.6現在)
ラタモロール、ドルチモとしていないのは配合している薬剤の区別のためならいいなと思います。
あとで紹介しますが、デュオトラバ配合点眼液(トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩液)が「トラチモ」なので、
- 「PGF2α誘導体+β遮断薬」:「PGF2α誘導体の頭2文字」+「チモ」
- 「炭酸脱水酵素阻害剤+β遮断薬」:「炭酸脱水酵素阻害剤の頭2文字」+「モロール」
って規則性を持たせているのでは?
そうならわかりやすいなあ・・・。
ラタチモ配合点眼液(ザラカム配合点眼液)
ザラカム配合点眼液(ラタノプロスト/チモロールマレイン酸塩)のジェネリック統一名称は「ラタチモ配合点眼液(英字名:Latachimo)」です。
Latanoprost+Timolol Maleate→Latatimo→Latachimo(ラタチモ)
「ti」が「chi」に置き換わっていますが発音の問題?
ちなみに、デュオトラバ→トラチモなので、
- タプコム(タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)→タフチモ
- ミケルナ(ラタノプロスト/カルテオロール塩酸塩)→ラタカル
ってなったらいいなあ(希望)
ドルモロール配合点眼液(コソプト配合点眼液)
コソプト配合点眼液(ドルゾラミド塩酸塩/チモロールマレイン酸塩)のジェネリック統一名称は「ドルモロール配合点眼液(英字名:Dormolol)」です。
Dorzolamide hydrochloride+Timolol Maleate→Dormolol(ドルモロール)
アゾルガ(プリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩)はプリモロールかな?(希望)
そのほか
- ゾシン配合点滴静注用:「タゾピペ」(タゾバクタム・ピペラシリン)
- ルナベル配合錠:「フリウェル」(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)
以上2剤についてジェネリック統一名称が採用されています。(H30.6現在)
ゾシン配合点滴はβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質(TAZ*1/PIPC*2)、ルナベル配合錠は黄体ホルモン・卵胞ホルモン(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)配合の低用量ピルです。
タゾピペ配合点滴静注用(ゾシン配合点滴静注用)
ゾシン配合点滴静注用(タゾバクタム/ピペラシリン)のジェネリック統一名称は「タジピペ配合点滴静注用(英字名:TAZOPIPE)」です。
Tazobactam+Piperacillin→TAZOPIP(タゾピペ)
フリウェル配合錠(ルナベル配合錠)
ルナベル配合錠(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)のジェネリック統一名称は「フリウェル配合錠(英字名:FREWELL)」です。
NorethisteroneもEthinylestradiolも関係ないですね。
LUNABELLのエルはわかるのですが、「FREW」の部分はどこから来たんでしょう?
と思ってたらインタビューフォームに記載されていますね。
(3)名称の由来
フリウェル:「(痛みからの)解放」を意味するfreeと、「良くなる、改善する」を意味するwellを組み合わせた。
LD:Low Dose
フリフェル配合錠は持田製薬からしか販売されていません。
これ、統一名称といっても持田製薬が決めたものを統一名称として採用したということでしょうか?
今後発売される予定のジェネリック医薬品
ここからは、今後ジェネリック医薬品の発売が予定されているものです。
内服薬
まずは内服薬について見ていきます。
これを見ていると、近い将来ジェネリック医薬品の発売が予定されているものもわかりますね。
- エプジコム配合錠:「ラバミコム」(ラミブジン・アバカビル硫酸塩)
- ツルバダ配合錠:「エムテノ」(エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)
- レザルタス配合錠:「オルアゼ」(オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン)
- スタレボ配合錠:「エカレボ」(レボドパ・カルビドパ水和物・エンタカポン)
- トラムセット配合錠:「トアラセット」(トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン)
今の所、以上5種類のジェネリック統一名称が挙げられています。
ラバミコム配合錠(エプジコム配合)
エプジコム配合錠(ラミブジン/アバカビル硫酸塩)のジェネリック統一名称は「ラバミコム配合錠(英字名:Labamicom)」です。
Lamivudine+Abacavir sulfate=Epzicom→Labamicom(ラバミコム)
先発品も絡んでいるちょっと複雑な命名ですね。
エムテノ配合錠(ツルバダ配合錠)
ツルバダ配合錠(エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)のジェネリック統一名称は「エムテノ配合錠(英字名:EmTeno)」です。
Emtricitabine+Tenofovir disoproxil fumarate→EmTeno(エムテノ)
これは非常にわかりやすい。。。とおもっていましたが、以下のような意見も。
「エムテノ」(エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)は、デシコビ配合錠(エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド)のジェネリックが出たとき紛らわしいんじゃないかなーと、個人的に懸念してます。
命名って難しいですね…。 https://t.co/Im62UM0ben— koimari (@koishimariko) 2018年6月19日
おっしゃる通りで、統一名称の命名には側鎖の違いまでは反映されていないように思えます。
結局、統一名称から一般名を連想しようとはせず、そういう医薬品名として割り切って覚えないとミスの元になりそうですね。
オルアゼ配合錠(レザルタス配合錠)
レザルタス配合錠(オルメサルタン メドキソミル/アゼルニジピン)のジェネリック統一名称は「オルアゼ配合錠(英字名:OLAZE)」です。
Olmesartan medoxomil+azelnidipine→OLAZE(オルアゼ)
これもわかりやすい命名ですね。
エカレボ配合錠(スタレボ配合錠)
スタレボ配合錠(レボドパ/カルビドパ水和物/エンタカポン)のジェネリック統一名称は「エカレボ配合錠(英字名:ECaLevo)」です。
Entacapone+Carbidopa Hydrate+Levodopa→ECaLevo(エカレボ)
「エ」からエンタカポン、「カ」からカルビドパを連想するのは厳しいなあ・・・。
エンカルレボもイマイチか・・・。
トアラセット配合錠(トラムセット配合錠)
トラムセット配合錠(トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン)のジェネリック統一名称は「トアラセット配合錠(英字名:TOARASET)」です。
Tramadol hydrochloride+Acetaminophen=TRAMCET→TOARASET
先発品も絡んでいるちょっと複雑な命名ですけど、これはまあ、わかりやすいですね。
外用薬
続いて外用薬。
- デュオトラバ配合点眼液:「トラチモ」(トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩液)
- シムビコート(タービュヘイラー):ブデホル(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物)
っていうかシムビコートのジェネリック出るの?
トラチモ配合点眼液(デュオトラバ配合点眼液)
デュオトラバ配合点眼液(トラボプロスト/チモロールマレイン酸塩液)のジェネリック統一名称は「トラチモ配合点眼液(英字名:TraTimo)」です。
Travoprost+Timolol Maleate→TraTimo(トラチモ)
上にも書いたけどとてもわかりやすくて好きです。
ブデホル(シムビコート)
シムビコート(ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物)のジェネリック統一名称は「ブデホル(英字名:BudeForu)」です。
Budesonide+Formoterol fumarate hydrate→BudeForu(ブデホル)
これもわかりやすいですね。
でも、デバイスはどうするんでしょうね?
タービュヘイラーは使えないんでしょうし・・・。
デバイス違ったら全然別物になりますよね?
まとめ
特にまとめることもないんですが(笑)
配合剤ジェネリック医薬品の統一ブランド名称について一つずつ、あーだこーだと述べてみました。
複数成分を持つ配合剤である以上、単純に成分名をした場合、薬品名が非常に長くなってしまいそのまま医薬品名にするのは難しいです。
ですが、3剤併用の統一名称を見ていると、結局、成分名にしないとミスの元になりかねない・・・とも思います。
なかなか難しい問題ですね。
一つ一つ覚えていくしかないですねー。