イグザレルト(リバーロキサバン)の腎障害患者投与時の指標

  • 2015年4月1日
  • 2021年1月17日
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「来週、検査を受けるので、その日の朝はイグザレルト以外を飲んで、イグザレルトを持って受診するように言われたんだ。わかりやすいように分けてもらっていい?」
最近、そんな話を聞くことが増えました。
検査を受ける人は、イグザレルト(一般名:リバーロキサバン)を1日10mgで服用している方々、つまり腎機能障害を持つ人です。

腎機能障害とイグザレルト

イグザレルトの添付文書を見てみると、

用法及び用量に関連する使用上の注意

  1. クレアチニンクリアランス30~49mL/minの患者には、10mgを1日1回投与する。
  2. クレアチニンクリアランス15~29mL/minの患者では、本剤の血中濃度が上昇することが示唆されており、これらの患者における有効性及び安全性は確立していないので、本剤投与の適否を慎重に検討した上で、投与する場合は、10mgを1日1回投与する。

と記載されています。
ということで、10mg服用しているということは腎機能障害を持つ人(フルコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン併用者を除く)ということです。

NOACDOAC(Direct Oral AntiCoagulant:直接経口抗凝固薬)はワーファリン(一般名:ワルファリンカリウム)とは異なり、ビタミンKによる影響を受けないため、食事による影響を受けにくく、定期的なPT-INR測定を必要としないというメリットがあります。
NOACDOACの中でもイグザレルトは一日一回の服用でよく、錠剤も小さく、一包化も可能というメリットがあります。
そのため、高齢者などCKD、腎機能障害を持つ患者さんに対してイグザレルトを使用するケースは少なくないと思います。

ですが、Ccr=15~29mL/minの患者にイグザレルトを使用する場合でも、投与量はイグザレルトのCcr=30~49mL/minの場合と同じく10mgとなっており、Ccr=30mL/minを少し切るような患者さんにおいて、どの程度出血リスクが増大するかの判断が難しくなっています。

PT-INRやaPTTの定期測定を必要としないのはNOACのメリットでもありますが、実際の効き具合が見えないという意味ではデメリットでもあります。

じゃあ、腎機能の状態がイグザレルトを服用して問題ないかどうか迷うような境界線に属している患者さんに対して、イグザレルトを継続して使用していいかどうか判断する手段はないのかというと、そんなことはないです。

イグザレルト服用中の血液凝固検査

上でNOACはPT-INRやaPTTの測定を必要としないと書きましたが、イグザレルトの場合、PT-INRが指標になります。
プラザキサ(一般名:ダビガトラン)の場合は、その作用機序からPT-INRは指標とならず、血液凝固能が高度に低下した場合のみ、aPTTで判断できるという程度です。
ですが、イグザレルトの場合は、PT-INRがある程度の指標となります。

直接第Xa因子阻害薬であるイグザレルトは、投与4時間後に第Xa因子の阻害効果が最大となり、効果は8〜12時間持続します。
服用後、24時間程度で第Xa活性は回復すると言われています。

イグザレルトの服用に問題があるような腎機能障害がある場合、リバーロキサバンの排泄が遅れた結果、1日1回の投与では少しずつ、作用の蓄積が起こり、服用直前の血液凝固能が回復しないという状態になります。
その場合の指標となる値が、ある程度継続してイグザレルトを服用している患者さんの、イグザレルト服用直前のPT-INRの値です。
およそ1.4を目安として、服用継続の可否を判断するのが望ましいと言われています。
この判断は、状況によって異なりますが、年齢とともに腎機能は低下していく傾向にありますし、患者さんの体の状況は変わっていきます。
定期的にイグザレルトの服用を継続して問題ないかどうかの判断を行っていくことは大切だと思います。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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