この記事は2017年9月に作成したものです。
その後、問題は解決し、出荷調整も解除されました。
先日、コカールドライシロップ、アルピニー坐剤の新規採用停止についてまとめましたが、今度はカロナール細粒が出荷停止となってしまう可能性があるとの情報が入ってきました。
すでに出荷調整が始まっていますが、このまま原薬が供給されない場合、各規格・包装の多くが年末ごろでメーカー在庫なしとなってしまうようです。
対象となっているのはあゆみ製薬のアセトアミノフェン製剤のうち、
- カロナール細粒20%
- カロナール細粒50%
- カロナール坐剤小児用50
の3製剤です。
予想通りですが、カロナール細粒、コカールDSの出荷調整の情報を受けて、大量の発注が入ってしまい、予想より早く在庫が枯渇してしまいそうな状況のようです。
また、他社のアセトアミノフェン細粒にも出荷調整がかかってしまっているようです。
長引く山本化学工業製アセトアミノフェン原薬の出荷停止
平成29年6月から国内シェア最大の山本化学工業製アセトアミノフェン原薬が出荷停止となっています。
当初はここまで長引くとは思っていなかったのだと思います。
山本化学工業製アセトアミノフェン原薬を使用しているほとんどのメーカーが在庫は十分あるので問題ないと案内していました。
ですが、出荷停止が長引くことで、先日まとめたように、三和化学のコカールドライシロップやアルピニー坐剤が出荷調整となってしまいました。
三和化学の場合、
- コカールドライシロップ40%
- コカール小児用ドライシロップ20%
- アルピニー坐剤100
の3製剤の新規採用を自粛するという出荷調整がかかっています。
カロナール細粒が出荷調整に
供給についてのお知らせ(あゆみ製薬)
あゆみ製薬の案内によると、
現在のところ、従来の通常の出荷ペースであれば、解熱鎮痛剤「カロナール®︎細粒50%」100g包装以外の細粒は11月下旬以降まで、同「カロナール®︎細粒50%」100g包装は10月下旬までの在庫を保有しておりますが、今後、品薄状態となることが予測されています。
つきましては、多大なご不便をお掛け致しますが、原薬供給の再開後に、弊社から製品が出荷されるまでの間、代替品についてもご検討いただきたく宜しくお願い申し上げます。
とのことです。
とうことで、新規採用不可など、すでに出荷調整に入っているようです。
カロナール細粒/坐剤の出荷停止予定
じゃあ、今のペースであればいつ頃まで在庫が続くのかということです。
あゆみ製薬によれば、
- カロナール細粒20%
- 100g:12月中旬
- 500g:11月下旬
- 0.5g×1200包:来年1月中旬
- 1.0g×360包:12月中旬
- 1.0g×1200包:12月中旬
- カロナール細粒50%
- 100g:10月下旬
- 500g:来年4月以降
- 0.6g×1200包:来年4月以降
- 1.0g×360包:11月下旬
- 1.0g×1200包:来年1月中旬
- カロナール坐剤小児用50 50個:来年4月以降
おそらくですが、出荷調整がかかっているとはいえ、各医療機関が在庫確保に動いた結果、予定よりも早い段階で出荷停止になってしまうのではないでしょうか?
(H29.9.22追記)
予想通り、一気に大量発注が入ってしまったようです。
このまま在庫なしになってしまうかもしれませんね。
カロナール細粒/坐剤の代替薬は?
ということで、最悪の事態に備え、代替薬への切り替えも考えておかないといけません。
カロナール細粒20%の代替薬
カロナール細粒20%の代替薬としては、
- アセトアミノフェン細粒20%「タツミ」
- アセトアミノフェン細粒20%(TYK)
- アセトアミノフェン細粒20%「JG」
- アセトアミノフェン細粒20%「トーワ」
が挙げられます。
4社とも山本化学工業製アセトアミノフェン原薬は使用していないようなので、出荷調整の予定はないと思いますが、もし、代替薬としての採用で発注が集中した場合は、そのせいで出荷調整となってしまう可能性もあるので注意が必要ですね。
その後、予想通り、他社製品にも発注が増え、すでに出荷調整されているとの情報が入ってきていました。
こうなってくると、原末を使用するか、錠剤の粉砕しかありませんが、小児に使用することを考えると苦味が・・・ですよね。
カロナール細粒50%の代替薬はなし
カロナール細粒50%については、他メーカーに同一規格が存在していません。
50%以外の製剤に切り替えるしかないですね。
カロナール坐剤50の代替薬
カロナール坐剤50の代替薬としては、
- アンヒバ坐剤小児用50mg
- アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「日新」
- アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「TYK」
- アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「JG」
- パラセタ坐剤小児用50 50mg
- アルピニー坐剤50 50mg
このうち、アンヒバ坐剤は山本化学工業製アセトアミノフェン原薬を使用しており、6月の時点ですでに出荷調整に入っています。
アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「日新」、アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「TYK」、アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「JG」、パラセタ坐剤小児用50も山本化学工業製アセトアミノフェン原薬を使用しているようなので、今後の状況によっては出荷調整となる可能性が高いです。
アルピニー坐剤50は先日まとめたように新規採用自粛・・・。
坐剤50mgについては、100mgを半分に切って使用するという対応が現実的ですね。
もともと、そのように対応している病院も多いと思うのでそこまでの問題にはならないんじゃないかと思います。
斜めに切って上半分を挿入、下半分は廃棄ですね。
アセトアミノフェン製剤の出荷状況まとめ
剤型別に各社のアセトアミノフェン製剤について、現在(H29.9.21)の状況をまとめてみようと思います。
アセトアミノフェン錠
出荷調整
該当なし
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
- アセトアミノフェン錠200mg「JG」(一部)
- アセトアミノフェン錠300mg「JG」(一部)
- アセトアミノフェン錠200「タツミ」(一部)
該当メーカーの原薬は使用していない
- カロナール錠200
- カロナール錠300
- カロナール錠500
- コカール錠200mg
- アセトアミノフェン錠200mg「トーワ」
- アセトアミノフェン錠200mg(TYK)
- アセトアミノフェン錠200mg「テバ」
- アセトアミノフェン錠200mg「マルイシ」
- アセトアミノフェン錠300mg「マルイシ」
アセトアミノフェン細粒
出荷調整
- カロナール細粒20%
- カロナール細粒50%
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
該当なし
該当メーカーの原薬は使用していない
- アセトアミノフェン細粒 20%「JG」→出荷調整
- アセトアミノフェン細粒 20%「トーワ」→出荷調整
- アセトアミノフェン細粒 20%(TYK)→出荷調整
- アセトアミノフェン細粒20%「タツミ」→出荷調整
これら4社についても出荷調整がかかってしまっているようです。
元々、そこまで生産量が多くなかったところに、急に発注が集中、既存の取引先への対応を優先するための出荷調整かと思います。
アセトアミノフェンDS
出荷調整
- コカールドライシロップ40%
- コカール小児用ドライシロップ20%
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
- アセトアミノフェンDS小児用 20%「タカタ」→出荷調整
出荷調整がかかってしまっているようです。
元々、そこまで生産量が多くなかったところに、急に発注が集中、既存の取引先への対応を優先するための出荷調整かと思います。
該当メーカーの原薬は使用していない
- アセトアミノフェンDS小児用 20%「トーワ」→出荷調整
出荷調整がかかってしまっているようです。
元々、そこまで生産量が多くなかったところに、急に発注が集中、既存の取引先への対応を優先するための出荷調整かと思います。
アセトアミノフェン坐薬
出荷調整
- アンヒバ坐剤小児用50mg
- アンヒバ坐剤小児用100mg
- アンヒバ坐剤小児用200mg
- カロナール坐剤小児用50
- アルピニー坐剤100
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
- アセトアミノフェン坐剤小児用 50mg「JG」
- アセトアミノフェン坐剤小児用 100mg「JG」
- アセトアミノフェン坐剤小児用 200mg「JG」
- アセトアミノフェン坐剤小児用 50mg「TYK」
- アセトアミノフェン坐剤小児用 100mg「TYK」
- アセトアミノフェン坐剤小児用 200mg「TYK」
- アセトアミノフェン坐剤小児用50mg「日新」
- アセトアミノフェン坐剤小児用100mg「日新」
- アセトアミノフェン坐剤小児用200mg「日新」
- パラセタ坐剤小児用50
- パラセタ坐剤100
- パラセタ坐剤200
該当メーカーの原薬は使用していない
- カロナール坐剤100
- カロナール坐剤200
- カロナール坐剤400
- アルピニー坐剤100
- アルピニー坐剤200
アセトアミノフェンシロップ
出荷調整
該当なし
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
該当なし
該当メーカーの原薬は使用していない
- カロナールシロップ2%
- アセトアミノフェンシロップ小児用2%「トーワ」
アセトアミノフェン原末
出荷調整
- アセトアミノフェン「ファイザー」原末(10月中旬で在庫なし)
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
- アセトアミノフェン「JG」原末
- アセトアミノフェン原末「マルイシ」
- アセトアミノフェン「ヨシダ」
- アセトアミノフェン<ハチ>
該当メーカーの原薬は使用していない
- カロナール原末
- ピレチノール
アセトアミノフェン配合剤
出荷調整
該当なし
該当メーカーの原薬を使用しているが通常出荷
- PL 配合顆粒
- SG 配合顆粒
- トーワチーム配合顆粒
該当メーカーの原薬は使用していない
- 幼児用PL配合顆粒
- トラムセット配合錠
- ピーエイ配合錠
各メーカーからの案内
各メーカーから公開されている案内をまとめておきます。
- あゆみ製薬(一部報道について)
- あゆみ製薬(供給についてのお知らせ)
- マイランEPD(アンヒバ®坐剤小児用 50mg/100mg/200mg」 に関するお知らせとお願い)
- 三和化学(アセトアミノフェンを使用した三和化学研究所の医薬品について)
- 塩野義製薬(アセトアミノフェン含有のPL配合顆粒,SG配合顆粒について)
- 持田製薬(弊社トラムセット®配合錠の原料に使用している アセトアミノフェンについて)
- 東和薬品(アセトアミノフェンを使用した当社製品について)
- 長生堂製薬・日本ジェネリック(アセトアミノフェン原薬の一部報道について)
- 武田テバ(『アセトアミノフェン坐剤小児用 50mg・100mg・200mg「TYK」』について)
- 辰巳化学(弊社アセトアミノフェン製剤に使用しております原薬につきまして)
- 日新製薬(原薬アセトアミノフェンの一部報道について)
- シオエ製薬・日本新薬(「パラセタ坐剤 100、200 および小児用 50」の原薬に関するお知らせ)
- 丸石製薬(アセトアミノフェン原末「マルイシ」の原薬について)
- 高田製薬(アセトアミノフェン製剤の原薬に関する一部報道について)
- 吉田製薬(アセトアミノフェン「ヨシダ」の原薬について)
- 東洋製薬化成(アセトアミノフェン<ハチ>の原薬について)
- ファイザー(山本化学工業株式会社にて製造された原薬を使用した製品への対応について)
- ファイザー(アスピリン「ホエイ」、アセトアミノフェン「ファイザー」原末在庫消尽に関するお知らせ)
まとめ
あゆみ製薬の案内によると、
原薬の調達先の追加・変更に向けた試験を実施しており、早期に厚生労働省への申請を進め、今回のような供給上の課題を克服すべく、前者を挙げて業務改革を行って参ります。
ということですが、さすがに今年中に承認というわけにはいかないのではないでしょうか?
アセトアミノフェンといえば、これから気になるのがインフルエンザの流行です。
インフルエンザ罹患時の解熱鎮痛薬の第一選択として使用されているので、今の状況だと、特に小児に対する対応が心配になります。
錠剤についてはおそらく問題なく流通するのではないかと思いますが、細粒やDS、坐剤については流通しているメーカーに発注が集中することで、そのメーカーも出荷制限をかけることに・・・なんてなってしまうのではないかと心配になります。
(H29.9.22追記)
やはり、細粒やDSについては発注量の増により、全社出荷調整がかかってしまったとのことです。
該当メーカーを使用していない各社が生産量を増やせば対応可能かもしれませんが、過去のジェネリックの出荷調整等を考えると少なくとも年内に流通が再開するのは難しいのではないかと思います。
これからインフルエンザシーズンに突入することを考えると、小児科でのアセトアミノフェン使用は必須です。
坐剤で対応するにしても、おそらく、アンヒバ以外の坐剤にも出荷調整がかかってしまうでしょう。
そうなると、アセトアミノフェン原末を使用するか錠剤を粉砕するしか方法がなくなってしまいます。
小児科での使用量を考えると、原末から20%の倍散の予製を作って対応するのが現実的かもしれませんね。
味の問題がありますが。。。
問題なく流通が改善してくれればいいのですが・・・。
関連記事
2017年6月に発覚した問題が契機となっています。
山本化学工業のアセトアミノフェン原薬出荷停止①〜初期報道
山本化学工業のアセトアミノフェン原薬出荷停止②〜コカールドライシロップ・アルピニー坐剤の出荷調整
このままではインフルエンザシーズンがピンチ!と思っていましたが、
山本化学工業のアセトアミノフェン原薬出荷停止④〜原薬の出荷再開
なんとか冬には間に合いました。