腎機能障害患者に対するメトホルミン製剤の禁忌の見直し〜2019年6月18日改訂指示

令和1年6月18日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回はメトホルミン含有製剤について添付文書の改訂指示が出されています。
これまで「中等度以上の腎機能障害」が禁忌となっていましたが、それが「重度の腎機能障害」に改められます。

使用上の注意の改訂指示(令和元年6月18日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

今回、添付文書の改訂が実施されたのは主に以下の内容についてです。
メトホルミン製剤

  • 禁忌:中等度の腎機能障害→重度の腎機能障害(中等度の腎機能障害は慎重投与に)
  • 用法・用量に関する使用上の注意:中等度の腎機能障害に関する記載の追加
  • 併用禁忌:アルコール(過度の摂取)

メトホルミン薬剤による「腎機能障害」に対する禁忌の見直し

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

改訂に至った経緯

今回の改訂は、「令和元年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」で検討された結果によるものです。
該当する資料をまとめます。

3.調査結果
○ 国内外の規制状況

  • 米国:推算糸球体濾過量(eGFR)<30(mL/min/1.73m2)の患者は禁忌とされている。30≦eGFR<45 の患者は、投与開始を推奨しない。
  • 英国:腎機能障害患者については、次表のとおり用量調整を行う(なお、腎機能正常患者の1日最高用量は 3,000mg)。
    eGFR (mL/min)1日最高用量
    60≦eGFR<903,000mg
    45≦eGFR<602,000mg
    30≦eGFR<451,000mg
    eGFR<30禁忌
  • 本邦:1日最高用量を2,250mgとする製剤(メトグルコ錠250mg他、以下「高投与量製剤」という。)及び750mgとする製剤(グリコラン錠250mg他、以下「低投与量製剤」という。)がある。腎機能障害患者については、高投与製剤は中等度以上の患者が、低投与量製剤は軽度から重度の患者が、それぞれ禁忌とされている。

○ 国内外の公表文献、学会ガイドライン

  • 軽度から中等度の腎機能障害患者でもメトホルミンを用いた場合は、薬物濃度は概ね治療範囲内にとどまり、乳酸濃度は大幅に上昇しない。また、乳酸アシドーシスの発現リスクは、製剤により違いがあるという記載はない。
  • 日本糖尿病学会の「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」では、腎機能をeGFRで評価し、30mL/min/1.73m2未満は禁忌、30〜45mL/min/1.73m2では慎重投与することと記載されている。
  • 海外の複数の診療ガイドライン等において、中等度までの腎機能障害患者へのメトホルミンの投与は可能とされている。

○ 国内副作用報告
乳酸アシドーシスの副作用 347 例のうち、中等度の腎機能障害患者(eGFR30〜60mL/min/1.73m2)43例の大半は腎機能以外のリスク因子(脱水、心血管系疾患等)が認められている。
引用元:資料1-1 メトホルミン含有製剤における禁忌「腎機能障害」等に係る「使用上の注意」の改訂について

以上の調査結果を踏まえて、以下の対応方針が決定。

4.対応方針

  • 腎機能障害患者に係る禁忌は重度の腎機能障害患者(eGFR<30) のみとする。
  • 経口摂取が困難な場合などの脱水のリスクや、過度のアルコール 摂取には特に注意が必要である旨を追加するとともに、その他乳酸アシドーシスに関連する注意を整理する。
  • なお、eGFRに基づき腎機能障害患者に係る1日最高用量の目安を記載する。
  • メトホルミン含有製剤間の注意喚起の差異を是正する。

引用元:資料1-1 メトホルミン含有製剤における禁忌「腎機能障害」等に係る「使用上の注意」の改訂について

これをもとに添付文書の改訂が行われました。

添付文書の改訂内容

各薬剤ごとに細かい違いはありますが、具体的な添付文書の改訂内容について「メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)」を基本に整理してみます。

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)の改訂内容についてまとめます。
これが基本になるので他の薬剤については異なる部分だけまとめていきます。

[禁忌]の項に下線部の文章が追記されます。

禁忌
次に示す患者

  1. 乳酸アシドーシスの既往のある患者
  2. 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
  3. 重度の肝機能障害のある患者
  4. 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者
  5. 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
  6. 過度のアルコール摂取者

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[用法・用量に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

用法・用量に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • 投与は、少量より開始すること。
  • 投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。
  • 効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を下表の目安まで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量すること。また、投与にあたっては、1日量を1日2~3回分割投与すること。

中等度の腎機能障害のある患者における1日最高投与量の目安
推算糸球体濾過量(eGFR)
(mL/min/1.73m2
1日最高投与量の目安
45≦eGFR<601,500mg
30≦eGFR<45750mg

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[慎重投与]の項に下線部の文章が追記されます。

慎重投与
次に掲げる状態の患者
軽度~中等度の腎機能障害
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[重要な基本的注意]の項に下線部の文章が追記されます。

重要な基本的注意
まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。

  1. 本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。
  2. 脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。
  3. 本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
    • 過度のアルコール摂取を避けること。
    • 発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談すること。
    • 乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。
  4. ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[相互作用]の項に下線部の通り[併用禁忌]が追記されます

相互作用
併用禁忌
アルコール(過度の摂取)

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

アナグリプチン・メトホルミン塩酸塩

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)とは異なる部分のみ以下にまとめます。
それ以外はメトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)と同じです。

[用法・用量に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

用法・用量に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特にeGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
・メトホルミン塩酸塩を少量より開始し、効果を観察しながら徐々に増量するなど、慎重に投与量を調節することが必要であるため、本剤投与がアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用療法より適切であるか慎重に判断すること。
・本剤に含まれるアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の量、下表に示すメトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安も考慮して、本剤の投与量を決めること。

(参考)中等度の腎機能障害のある患者における
メトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安
推算糸球体濾過量(eGFR)
(mL/min/1.73m2
1日最高投与量の目安
45≦eGFR<601,500mg
30≦eGFR<45750mg

※メトホルミン塩酸塩単剤の承認用法は1日量を1日2~3回分割投与であるが、本剤(ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として15mg/500mg又は30mg/500mg)の承認用法は1日1回投与である。

  • 投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

アログリプチン安息香酸塩・メトホルミン塩酸塩

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)とは異なる部分のみ以下にまとめます。
それ以外はメトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)と同じです。

[効能・効果に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

効能・効果に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、アログリプチン安息香酸塩及びメトホルミン塩酸塩を腎機能の程度に応じて減量するなど慎重な投与が必要であるため、本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)とは異なる部分のみ以下にまとめます。
それ以外はメトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)と同じです。

[効能・効果に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

効能・効果に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を腎機能に応じて減量するなど慎重な投与が必要であるため、本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

 

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が750mgである製剤)

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)とは異なる部分のみ以下にまとめます。
それ以外はメトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が2,250mgである製剤)と同じです。

[警告]の項が下線部の通り改訂されます。

警告
重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[禁忌]の項に下線部の文章が追記されます。

禁忌
次に示す患者

  1. 乳酸アシドーシスの既往のある患者
  2. 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
  3. 重度の肝機能障害のある患者
  4. 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者
  5. 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
  6. 過度のアルコール摂取者

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[用法・用量に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

用法・用量に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
・投与は、少量より開始すること。
・投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。
・効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を750mgまで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量すること。また、投与にあたっては、1日量を1日2~3回に分割投与すること。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[慎重投与]の項が下線部の通り新設されます。

慎重投与
次に掲げる状態の患者
軽度~中等度の腎機能障害
軽度~中等度の肝機能障害
高齢者
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[高齢者]の項が下線部の通り改訂されます。

高齢者への投与
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。

  1. 本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。
  2. 腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
  3. 血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

ピオグリタゾン塩酸塩・メトホルミン塩酸塩

メトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が750mgである製剤)とは異なる部分のみ以下にまとめます。
それ以外はメトホルミン塩酸塩(1日最高投与量が750mgである製剤)と同じです。

[禁忌]の項に下線部の文章が追記されます。

禁忌
次に示す患者

  1. 乳酸アシドーシスの既往のある患者
  2. 重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
  3. 心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者
  4. 脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
  5. 過度のアルコール摂取者

重度の肝機能障害のある患者
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

[用法・用量に関連する使用上の注意]の項が新設されます。

用法・用量に関連する使用上の注意
中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特にeGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • メトホルミン塩酸塩を少量より開始し、効果を観察しながら徐々に増量するなど、慎重に投与量を調節することが必要であるため、本剤投与がピオグリタゾン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用療法より適切であるか慎重に判断すること。
  • 本剤に含まれるピオグリタゾン及びメトホルミン塩酸塩の量、下表に示すメトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安も考慮して、本剤の投与量を決めること。

(参考)中等度の腎機能障害のある患者における
メトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安
推算糸球体濾過量(eGFR)
(mL/min/1.73m2
1日最高投与量の目安
45≦eGFR<601,500mg
30≦eGFR<45750mg

※メトホルミン塩酸塩単剤の承認用法は1日量を1日2~3回分割投与であるが、本剤(ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として15mg/500mg又は30mg/500mg)の承認用法は1日1回投与である。

  • 投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。

引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月18日指示分)

まとめ

ようやく改訂されたか〜と思った人も多いのではないでしょうか?
もともとのメルビン・グリコランの時代は軽度を含む全ての腎機能障害が禁忌。

その後、メトグルコが発売となり、中等度以上の腎機能障害が禁忌となりました。
そんななか、日本糖尿病学会から出された「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」では、腎機能(eGFR)が30mL/min/1.73m2未満では禁忌だが、30〜45mL/min/1.73m2では慎重投与と記載されており、保険適応の範囲と矛盾が生じていました。
今回の改訂でようやくその矛盾が解消され、十分な量でメトホルミンが使用可能になったと言えます。
とはいっても、用量制限は守らないといけませんし、脱水や過度のアルコール摂取によるリスクはこれまで以上に周知を広げていく必要があります。
「禁忌ではない=安全」ということではないということをしっかり理解して説明を行っていく必要がありますね。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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