当ブログは医療従事者向けのブログですが、その中でもこの記事は特に専門家を対象とした内容となっています。
平成31年2月21日、米国FDA*1(食品医薬品局)から衝撃的な発表が行われました。
「FDA adds Boxed Warning for increased risk of death with gout medicine Uloric (febuxostat)」
簡単に訳すと「FDAは痛風治療薬 Uloric(フェブキソスタット)による死亡リスク増加についてのBoxed Warning(枠組み警告)を追加した」となります。
インパクトのあるコメントですよね。
フェブキソスタットは日本国内ではフェブリク®︎の商品名で使用されている医療用医薬品で、おそらく現在、痛風治療薬として最も多く使用されている薬剤です。
記事内に詳しくまとめますが、FDAはフェブキソスタットはアロプリノールと比較して死亡リスクを高めると結論づけています。
かなりインパクトのある情報になりますが、根拠となっている論文ではあくまでもアロプリノール服用群との比較です。
また、日本人に対して使用した場合どうなるか述べられているわけではありません。
ですので、現在服用しているフェブキソスタットの中止を推奨するものではなく、慌てて薬を変更するような話ではありません。
一般の方で気になっている方は自己判断で服用中止することがないようにしてください。
(2019.6.27追記)2019年6月26日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で添付文書の改訂について議論されました。
結論としては、「重要な基本的注意」で、心血管疾患の発現を注意喚起する方針となり、特に服用する患者を限定する必要はないとの判断となっています。
近いうちに添付文書の改訂指示が出される予定です。
FDAによる報告
FDAの報告内容についてリンクを掲載します。
Safety AnnouncementとData Summaryの翻訳
google翻訳の力を借りつつ自分なりに翻訳したものが以下の内容です。
特に重要と思う部分に下線をつけています。
Safety Announcement
[2-21-2019]米国食品医薬品局(FDA)は、痛風治療薬であるUloric(フェブキソスタット)について、他の痛風治療薬であるアロプリノールと比較して死亡リスクが高いと結論付けています。
今回の結論は、Uloricによる心臓関連死亡リスクと全死亡リスクの増加について記載されている安全性臨床試験の結果についての詳細なレビューに基づいています。
これを受けて、Uloricの処方情報を更新し、最も注目される警告であるBoxed Warning (枠組み警告)への記載と新規の患者向け投薬ガイドを要求しています。
また、アロプリノールでは有効に治療できていない患者やアロプリノールによる重度の副作用を経験している特定の患者のみにUloricの使用を制限しています。
Uloricは2009年に痛風と呼ばれる関節炎の治療を目的としてFDA承認を受けました。
痛風は、尿酸と呼ばれる体内で自然発生する物質が蓄積した結果、発赤、腫脹、および関節痛等の突然の発作によって起こります。
Uloricは血中の尿酸値を下げるように作用します。
痛風は、米国内で約830万人の成人が罹患している慢性疾患です。
痛風を治療するための薬の数は限られており、治療の選択肢が必要とされています。
心臓病や脳卒中の既往歴がある場合、自身のヘルスケア専門家と痛風を治療するためにUloricを使用することの利点とリスクについて話し合うべきです。
Uloricを服用しているときに以下の症状が発生した場合は、直ちに緊急医療処置を受けてください。
- 胸の痛み
- 息切れ
- 急速または不規則な心拍
- 体の片側のしびれや脱力
- めまい
- 会話することが困難
- 突然の激しい頭痛
痛風を悪化させる可能性があるので、ヘルスケア専門家と相談せずにUloricの服用を中止しないでください。
医療専門家は、アロプリノールによる治療で失敗した、もしくはアロプリノールによる治療を受け入れることができない患者に対してのみUloricを使用するようにしてください。
Uloricによる心血管リスクについて患者と相談した上で、上記の症状が現れた場合は直ちに医師の診察を受けるようにアドバイスしてください。
2009年にUloricを承認した際、起こり得る心血管イベントに関する警告と予防措置を含め、製薬メーカー武田薬品工業に大規模な市販後安全性臨床試験の実施を求めました。
行われた試験は、Uloricまたはアロプリノールのいずれかで治療された痛風の患者6,000人以上を対象に実施されました。
主な結果は、心臓関連の死亡、致命的でない心臓発作、致命的でない脳卒中、および不安定狭心症と呼ばれる介入を必要とする心臓への不適切な血液供給の状態の組み合わせでした。
結果は、全体として、Uloricはアロプリノールと比較してこれらの複合事象のリスクを増加させなかったことを示しました(Data Summary参照)。
しかしながら、個別の結果を評価した場合、Uloricは「心臓関連の死亡」と「全ての原因による死亡」のリスク増加を示しました。
アロプリノールで治療を受けた患者では、1,000人あたり年間11人の心臓関連の死亡が観察されましたが、Uloricによる治療を受けた患者では1,000人あたり年間15人の心臓関連の死亡が観察されました。
さらに、アロプリノールで治療を受けた患者では1,000人あたり年間22人の死亡(全ての原因)が観察されましが、Uloricで治療を受けた患者では1,000人あたり年間26人の死亡(全ての原因)が観察されました。
この安全性試験は、2019年1月11日の外部専門家による公開諮問委員会会議でも議論されました。
Data Summary
FDAが2009年にUloric(フェブキソスタット)を承認したとき、我々はUloricで治療された患者において起こり得る心血管イベントに関する警告と注意を処方情報に含めました。
また、製薬メーカーの武田薬品工業に、Uloricの心血管の安全性を評価するための市販後の大規模臨床試験の実施を要求しました。
痛風および心血管疾患患者におけるフェブキソスタットとアロプリノールの心血管安全性試験(CARES*2)は、Uloricまたはアロプリノールのいずれかによる痛風治療を受ける6,190人の患者に対し多施設共同無作為化二重盲検比較試験として行われました。
試験は、米国、カナダ、メキシコで実施され、2010年4月に開始され、2017年7月に完了しました。
主要評価項目は、心血管死、致命的でない心筋梗塞、致命的でない脳卒中、緊急の血行再建を伴う不安定狭心症。
副次的評価項目には、MACEコンポジットの個々の構成要素およびあらゆる原因による死亡が含まれます。
研究デザインは、非劣性マージンを1.3とする非劣性試験でした。
結果は、この研究が予め指定された非劣性マージンを満たしたが、心血管死の有意な増加があることを示した(下記のTable 1参照)。
さらに、全体的な死亡率が大幅に増加しました。
これは心血管系の死亡によるものです。
Table 1. CARES Study Results
<valign=”center”>追加評価項目:
引用元:FDA adds Boxed Warning for increased risk of death with gout medicine Uloric (febuxostat)
まとめてみると・・・
本文中で気になった部分(下線部)をまとめてみます。
- 心臓病や脳卒中の既往歴がある場合、主治医と痛風治療にフェブキソスタット(フェブリク®︎)を使用する利点とリスクについて話し合うべき
- Uloricを服用しているときに以下の症状が発生した場合は、直ちに緊急医療処置を受けてください。
- 胸の痛み
- 息切れ
- 急速または不規則な心拍
- 体の片側のしびれや脱力
- めまい
- 会話することが困難
- 突然の激しい頭痛
- 痛風を悪化させる可能性があるので、ヘルスケア専門家と相談せずにフェブキソスタット(フェブリク®︎)の服用を中止しない
- 医療従事者はアロプリノールによる治療で失敗・治療を受け入れることができない患者に対してのみフェブキソスタット(フェブリク®︎)を使用することとする
- 心血管関連死の報告数は、アロプリノールでは1,000人あたり年間11人(1.1%)、フェブキソスタット(フェブリク®︎)では1,000人あたり年間15人(1.5%)
- 全死亡の報告数は、アロプリノールでは1,000人あたり年間22人(2.2%)、では1,000人あたり年間26人(2.6%)
また、CARES試験のデータ要約を見てみると、
「複合主要エンドポイント」、「致命的でない心筋梗塞」、「致命的でない脳卒中」、「緊急冠動脈血行再建術を伴う不安定狭心症」についてはフェブキソスタット(フェブリク®︎)とアロプリノールで差はほとんど見られませんが、
心血管死(4.3% vs 3.2%)、全死亡(7.8% vs 6.4%)についてはフェブキソスタット(フェブリク®︎)の方がアロプリノールに比べて多くなっていることがわかります。
確かに、心血管イベント全体ではフェブキソスタットとアロプリノールに差はありませんが、心血管死と全死亡に注目してみるとフェブキソスタットの方がアロプリノールよりも高くなっていることがわかります。
一般の方へ:もしこの記事を読んで不安になってもフェブリクの服用はやめないでください
一般の方の目にも触れているようなので。
これについては大事なのでもう一度書いておきます。
「Do not stop taking Uloric without first talking to your health care professional, as doing so can worsen your gout.(痛風を悪化させる可能性があるので、ヘルスケア専門家と相談せずにフェブキソスタット(フェブリク®︎)の服用を中止しないこと。)」
もし、一般の方でこの記事を読み、フェブリクの服用を継続してもいいか不安になっても自己判断では中止しないでください。
あくまでもアロプリノールと比較して死亡リスクが多かったという内容ですから、フェブキソスタットが有害という結論ではありません。
また、服用を中止することによるデメリットを踏まえて今回の問題が明確に優先されるという結論は出ていません。
そもそも、日本人に対しても同じことが起こるとも限りません。
薬剤師としてどう対応するか
今回の情報を自分なりに吟味した結果ですが、現在、フェブキソスタットによる治療を継続している方が薬剤を変更しないといけないとは思えません。
あくまでもアロプリノールと比較した場合のデータですし、そもそもアジア人を対象とした試験ではありません。(心血管系リスクは欧米人と比較して日本人で低いという報告もあります)
医療費に対する考え方がシビアなアメリカとしては、どちらでもいいのであれば薬価が安いアロプリノールを推奨するのは当然だと思います。
仮に、薬剤変更となっても尿酸合成阻害の作用を持つ薬剤は他にはアロプリノール(ザイロリック®︎等)かトピロキソスタット(トピロリック®︎/ウリアデック®︎)しかありません。
トピロキソスタットはフェブキソスタットと同じ作用機序に分類されますし海外での使用実績が少ないのでフェブキソスタットが抱える問題をすべて回避できるとはっきりと断定できません。
アロプリノールについては薬価が安いし、死亡リスクの面でも安心ですが、腎機能への負担や皮膚毒性の高さが気になるところです。
結論として、慌てて対応する必要はないですが、薬剤師として医師への情報提供は行う必要があると思います。
新規に服薬を開始する場合、これまでのようにフェブキソスタットが第一選択にはならないと思います。
アロプリノールが優先して使用されるべきですし、それが難しい場合にトピロキソスタットが選択されるかな?
現在、フェブキソスタットで尿酸値が十分改善しており、アロプリノールに対する忍容性の問題がなければ、切り替えを提案してもいいのではないかなとは思います。
腎機能悪化時は低用量になりますから、元々の薬価が安いことに加えて薬剤費的にはかなりの低コストになるというメリットはありますよね。
あと、日本の場合、心血管リスクを下げるためにとりあえず尿酸値も下げておこうというケースも少なくないのでそもそもの必要性は?っていう問題もありますよね。。。
帝人ファーマや武田薬品工業から何らかの情報提供があるのではないかと思うのでそれを待ちたいと思っています。
使用する患者を限定する必要はなし(2019.6.27追記)
2019年6月26日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会でこのことについて検討が行われました。
結論としては、添付文書の「重要な基本的注意」で「心血管疾患の発現を注意喚起」するが、使用する患者を限定する必要はないということでした。
ですので、現在服用している方は今後も服用を継続することで問題ありません。
フェブキソスタットと心血管リスク
ちなみに、皆さんはフェブキソスタットに心血管リスクを高める可能性があることをご存知だったでしょうか?
フェブキソスタットの心血管リスクについては以前から何度か話題にあがっていました。
添付文書やIFからは得ることのできない情報
ただ、これについては添付文書やインタビューフォームを見てもまずわかりません。
(2019.6.27追記)2019年6月26日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で「重要な基本的注意」で「心血管疾患の発現を注意喚起」する方針が決定しました。
近いうちに添付文書の改訂指示が出される予定です。
心血管関連の情報としては、以下の内容しか記載されていません。
4.副作用
(2)その他の副作用
心臓:動悸(頻度不明)、心電図異常(1%未満)
引用元:フェブリク錠 添付文書
RPMと審査報告書
じゃあ、どこに書いてあるの?って話なのですが、医薬品について詳しい情報を得るために、インタビューフォームより突っ込んで調べようとなると出てくるのが、リスク管理計画書(RMP*3)と審査報告書です。
審査報告書は名前からどんなものかわかると思うのですが、RMPについてはPmdaのサイト内で詳しく説明されているので一度読んでみてください。
ちなみに、フェブリク錠のRMPと審査報告書へのリンクは下記です。
どちらもPmdaの添付文書等検索(医療用医薬品)から閲覧可能です。
フェブリクのRMPに記載されている内容
フェブリクのRMPを読んでみると下記のように心血管系のリスクについて記載されています。
重要な潜在的リスク
心血管系の事象
- 重要な潜在的リスクとした理由:
国内の製造販売後(2011年1月21日〜2015年4月20日)において、心血管系に関連する因果関係が否定できない有害事象(非重篤を含む)が集積されているが、痛風・高尿 酸血症患者には心血管系リスクを有する患者が多く、背景疾患との関連性が考えられるなど、本剤との因果関係は十分に示されていない。また、海外で実施された臨床試験で心血管系イベントが増加したとの報告事例はあるものの因果関係は明らかとなっていない。上記のとおり、背景疾患との関連性が考えられるなど、個々の症例の解析を併せて考慮すると、本剤との因果関係は十分に示されておらず、潜在的なリスクと考えた。 国内の製造販売後(2011年1月21日〜2015年4月20日)の因果関係が否定できない有害事象では、「脳梗塞」死亡1例を含む4例、「心不全」死亡1例を含む2例、「心筋梗塞」 死亡1例、「心室性不整脈」死亡1例、「心突然死」1例等の重篤な症例が収集されており、背景情報が少ないながら死亡に至った例も報告されている。海外の臨床試験及び製造販売後においても心血管系の事象に関連する重篤な症例が報告されている。なお、海外では心血管系リスクの高い痛風患者を対象に、本剤の心血管系に対する安全性を評価する製造販売後臨床試験を実施中である。 上記のとおり、国内の製造販売後の非重篤を含めた発現状況の集積はあるものの、背景疾患との関連が考えられるなど本剤との因果関係は十分に示されていない一方、重篤な症例や重大な転帰となった症例が収集されていることから、重要な潜在的リスクとして設定した。 - 医薬品安全性監視活動の内容及びその選択理由:
【内容】- 通常の医薬品安全性監視活動
- 追加の医薬品安全性監視活動として、以下を実施する。
- 特定使用成績調査(長期使用)(痛風・高尿酸血症適応)
- 使用成績調査(がん化学療法に伴う高尿酸血症適応)
- 市販直後調査(がん化学療法に伴う高尿酸血症適応)
【選択理由】
海外における本剤の製造販売後の安全性データや、海外で実施中である本剤の心血管系リスクを評価するための製造販売後臨床試験の成績との比較を交え、日本人におけるリスクについて、製造販売後における心血管系事象の発現頻度及び好発時期等の発現状況をより詳細に把握するため。
- リスク最小化活動の内容及びその選択理由:
【内容】- 通常のリスク最小化活動として、添付文書の「その他の副作用」の項に心血管系の関連検査値異常、徴候を記載して注意喚起する。
- 追加のリスク最小化活動として、以下を実施する。
- 市販直後調査からの情報提供(がん化学療法に伴う高尿酸血症適応)
発現状況を継続的に監視し、何らかの懸念が認められた場合は、必要に応じて注意喚起する。
【選択理由】
心血管系事象の発現状況に関する情報を医療関係者に提供し、適正使用に関する理解を促すため。
引用元:フェブリク錠10mg/20mg/40mgに係る医薬品リスク管理計画書
フェブリクの審査報告書に記載されている内容
審査報告書には以下のように心血管リスクについて記載があります。
7.R.2 安全性について
心血管系事象について、いずれの投 与群においても認められた事象は非重篤であり、治験薬との因果関係は否定された。なお、痛風患者を 対象とした海外臨床試験において、本剤群で対照群と比べ発現割合が高い傾向が示唆されたことから、 現在海外で本剤の心血管系リスクを明らかにする目的で海外市販後臨床試験を実施中である(TMX-67_301試験、FUM005試験)。
引用元:フェブリク錠 審査報告書(2016年5月23日)
9. 審査報告(1)作成時における総合評価
なお、機構は、肝機能障害、過敏症、腎機能障害、血球減少、心血管系事象、甲状腺機能に関する事象、横紋筋融解症の発現状況、腎機能障害患者及び肝機能障害患者における安全性等については、製造販売後にさらに検討が必要と考える。
引用元:フェブリク錠 審査報告書(2016年5月23日)
やっぱりRMPと審査報告書は大事!
ついつい、添付文書とインタビューフォームだけを読んでその薬のことを知った気になってしまいますが、今回のようなことがあると審査報告書やRMPは大事だなって実感します。
RMPについては2014年10月以降に承認された医薬品についてしか存在しませんが、新薬発売開始などの際には必ず目を通すようにしていきたいですね。
添付文書の改訂(2019.6.27追記)
2019年6月26日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会でこの件について検討が行われています。
フェブキソスタットの安全対策について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料1-1)
- 本薬の位置付けを変更する必要性について
以下の理由より、現時点で本薬の適用患者を限定する等本薬の位置付けを変更する措置は必要ないと判断する。- CARES試験の結果は本薬群とアロプリノール群との相対的なリスク比を示したものであり、アロプリノールは心血管系イベントを抑制するとの報告及び全死亡を低減するとの報告もあることを考慮すると、本薬自体が心血管死のリスクを高めると必ずしも解釈できないこと。
- 一般に心血管系リスクは欧米人と比較して日本人で低いとの報告があり、また、東アジア民族において本薬群とアロプリノール群で心血管イベント及び心血管死において差が認められていないとの研究報告があることを踏まえると、アジア民族の組入れが3%であったCARES試験でのアロプリノールと本薬の心血管死のリスク差が日本人に外挿可能か否かは不明であること。
- 本薬とアロプリノールの心血管リスク又は死亡リスクに差異はなかったとする人口ベースコホート研究が複数報告されていること。
- CARES試験において本薬の尿酸降下作用は認められており、本薬の尿酸生成抑制薬としての有用性は否定されていないこと。
- 添付文書における注意喚起の必要性について
- CARES試験の結果は一定の精度下での結果であり、また認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」にて当該試験結果について情報提供するとともに、「重要な基本的注意」において予防的観点から心血管疾患の発現について注意喚起をする必要性があると判断する。
- 今後の対応について
- 日本人における本薬の心血管系イベントに関する情報収集及び評価を行うために、データベース調査等を検討する。
- 類薬における注意喚起の必要性について
- 本薬と同様にキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有するトピロキソスタット(効能・効果:痛風、高尿酸血症)については、審査時点で心血管死リスクの懸念が示されておらず、キサンチンオキシダーゼ阻害作用と心血管リスク発現の関係は不明であるもののCARES試験において類薬で差が認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」にて当該試験結果について情報提供をする必要性があると判断する。
引用元:フェブキソスタットの安全対策について(令和元年6月26日 令和元年度第4回安全対策調査会 資料1-1)
以上のように、添付文書の「その他の注意」に試験結果についての記載が追記され、「重要な基本的注意」で「心血管疾患の発現を注意喚起」する方針が決定しました。
使用される患者を限定する必要はないとの結論も出ていますね。
近いうちに添付文書の改訂指示が出される予定です。
結局どうしたらいいの!?→今フェブリク飲んでいる人はそのままで大丈夫です
結局、フェブリクは飲まない方がいいの!?って話になってしまうのが怖いので最後にもう一度。
あくまでも、海外の試験データを検討した結果、アロプリノールと比較してフェブキソスタットの死亡リスクが高かったという話です。
フェブキソスタット自体が悪いという話にななりません。
どちらを使おうかと悩むのであればアロプリノールを優先できればいいですが、わざわざ変更するレベルという話にはなっていません。
ただ、処方する先生の考え方次第なので見直すいい機会ではあると思います。
まずは各メーカーからの情報を待ちたいと思います。
厚生労働省の結論:「使用する患者を限定する必要なし」
(2019.6.27追記)2019年6月26日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で「重要な基本的注意」で「心血管疾患の発現を注意喚起」する方針が決定しました。
以下、ミクスonlineの記事からです。
FDAが添付文書の改訂を指示した根拠となる試験は、一般的に心血管系リスクが欧米人と比較して低いとされる、アジア人のデータが少ないことなどから、適用患者を限定するなど変更の必要はないと判断した。
引用元:厚労省 帝人ファーマのフェブリク錠 心血管疾患リスクを注意喚起へ