ゾフルーザによるショック・アナフィラキシーなど〜2019年6月4日改訂指示

令和1年6月4日、厚生労働省医薬・生活衛生局は、新たな副作用が確認された医薬品について、添付文書の使用上の注意を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知しました。
今回は大きく分けて4つの副作用について、それぞれ添付文書の改訂指示が出されています。

※副作用に関する記載を中心とした記事ですが、あくまでも医療従事者を対象とした記事です。副作用の追加=危険な薬剤というわけではないのがほとんどです。服用に際して自己判断を行わず医療従事者の指示にしたがってください。

使用上の注意の改訂指示(令和元年5月9日)

PMDAへのリンクを貼っておきます。

今回、添付文書の改訂が実施されたのは以下の4種類の内容についてです。

  • トリプタン系薬剤:薬剤の使用過多による頭痛(重要な基本的注意、重大な副作用)
  • バベンチオ点滴静注:膵炎(重大な副作用)
  • 抗 PD-1 抗体医薬品(オプジーボ点滴静注・キイトルーダ点滴静注):結核(慎重投与、重大な副作用)
  • ゾフルーザ:ショック、アナフィラキシー(重大な副作用)

ちなみに、今年度からpmdaが発出する改定案の一部は旧記載要領と新記載要領の両方が掲載されるようになっています。

違いは項目番号の有無のみなので、現段階では併記されている場合は旧記載要領の方を参考にしています。

トリプタン系薬剤による「薬剤の使用過多による頭痛」

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

直近3年度の国内での「薬剤の使用過多による頭痛」関連症例は以下の通りです。

  • ナラトリプタン塩酸塩:1例(因果関係が否定できない症例ではない)
  • エレトリプタン臭化水素酸塩:3例(因果関係の否定できない症例はなし)
  • リザトリプタン安息香酸塩:1例(因果関係の否定できない症例ではない)

死亡例の報告はありません。

国内症例の集積は少ないものの、海外添付文書の記載及びレセプト情報・特定健診等情報データベースによる処方実態調査結果に関して、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。
引用元:トリプタン系薬剤の「使用上の注意」の改訂について

ん?トリプタン系薬剤による薬物乱用頭痛(MOH*1)の報告ってこんなに少ない?
かなり知られているもので珍しい症例ではないと思っていたんですが・・・。
実際に日本頭痛学会では診断基準も定められていますね。

トリプタン乱用頭痛
3ヵ月を超えて、1ヵ月に10日以上、定期的に 1つ以上のトリプタンを摂取している(剤形は問わない)
引用元:日本頭痛学会:P106-109 , 8. 物質またはその離脱による頭痛 , 国際頭痛分類第3版beta版 , 医学書院 , 2014.

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[重要な基本的注意]の項に以下の文章が追記されます。

本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

また、[副作用]の「重大な副作用」の項に以下の文章が追記されます。

薬剤の使用過多による頭痛:薬剤の使用過多による頭痛があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

 

アベルマブ(遺伝子組換え)による「膵炎」

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

バベンチオ点滴静注は「根治切除不能なメルケル細胞癌」に対する適応を有するヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体です。
直近3年度に国内で「膵炎」関連症例の報告はありませんが、pmdaは今回の改訂理由を以下のように説明しています。

海外症例が集積したことから、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。なお、国内症例は集積していないものの、薬物動態及び安全性プロファイルに国内外の民族差があるとの知見は現時点で得られていないこと、及び本邦における効能・効果は「根治切除不能なメルケル細胞癌」であり、国内で投与される患者数は極めて少ないことを考慮し、海外症例に基づき改訂することが適切と判断した。
引用元:アベルマブ(遺伝子組換え)の「使用上の注意」の改訂について

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[11.副作用]の「11.1 重大な副作用」の項に以下の文章が追記されます。

膵炎
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

 

ニボルマブ(遺伝子組換え)、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)による「結核」

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

直近3年度の国内での「結核」関連症例は以下の通りです。

  • ニボルマブ(遺伝子組換え):10例(因果関係が否定できない症例:6例)
  • ペムブロリズマブ(遺伝子組換え):4例(因果関係が否定できない症例はなし)

死亡例はありません。
pmdaは今回の改訂理由を以下のように説明しています。

以下の点等に基づき、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した。

  • 国内外の症例が集積したこと。
  • 非臨床試験において、野生型マウスと比較して、PD-1ノックアウトマウスでは、結核菌に感染させた場合に生存率が低下したとの報告があること。(PNAS. 2010; 107:13402–7)
  • 日本人全体の結核発症率(人口10万対13.3、厚生労働省. 平成29年結核登録者情報調査年報集計結果について)と比べて、ニボルマブ(遺伝子組換え)投与患者における結核発症率(10万人対58.2、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を対象とした特定使用成績調査において発現が認められた2例に基づく推定)は約 4.4 倍で あり、高い傾向が認められていること。
  • 医薬品副作用データベースを用いた不均衡分析において、抗PD-1抗体医薬品とEGFR-TKIの副作用報告を対象として、結核関連 事象のReporting Odds Ratio(ROR)を算出した結果、結核が副作用として知られていないEGFR-TKIと比較し、抗PD-1抗体医薬品におけるRORが3.51(95%CI:1.2~10.4)であり、統計学的に有意に高かったこと。

引用元:抗 PD-1 抗体医薬品の「使用上の注意」の改訂について

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[慎重投与]の項に以下の文章が追記されます。

結核の感染又は既往を有する患者
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

また、[副作用]の「重大な副作用」の項に以下の文章が追記されます。

結核:結核を発症することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと。
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

 

バロキサビルマルボキシルによる「ショック、アナフィラキシー」

添付文書改訂の対象となる薬剤は以下の通りです。

直近3年度の国内での「ショック、アナフィラキシー」関連症例は42例で、そのうち因果関係が否定できない症例は16例でした。
死亡例は1例で因果関係が否定できないものではありません。

添付文書の改訂内容

具体的な添付文書の改訂内容は以下の通りです。
[副作用]の「重大な副作用」の項に以下の文章が追記されます。

ショック、アナフィラキシー
引用元:使用上の注意改訂情報(令和元年6月4日指示分)

*1:Medication Overuse Headache

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