ネバナック懸濁性点眼液~白内障手術後の点眼液について

近隣の病院の採用薬品が変更になりました。
これまで、その病院では術後のNSAIDs点眼はジクロード点眼液を使用していたのですが、新しくネバナック懸濁性点眼液(一般名:ネパフェナク)が使用されることになったようです。

国内5剤目のNSAIDs点眼液

2010年12月から販売されている薬なので特別新しい薬剤ではありません。
ですが、その前に販売されたブロナック点眼液が2000年の8月なので、前薬登場から10年ぶりのNSAIDs点眼液だったということになります。

NSAIDs点眼液の一覧

  • 1986年7月 インドメロール点眼液0.5%(一般名:インドメタシン)
  • 1988年10月 ニフラン点眼液0.1%、プロラノン点眼液0.1%(一般名:プラノプロフェン)
  • 1989年5月 ジクロード点眼液0.1%(一般名:ジクロフェナクナトリウム)
  • 2000年7月 ブロナック点眼液0.1%(一般名:ブロムフェナクナトリウム水和物)
  • 2010年12月 ネバナック懸濁性点眼液0.1%(一般名:ネパフェナク)

 

術後にNSAIDs点眼液を使用する理由

白内障手術後には、抗菌点眼薬(ニューキノロン系)、ステロイド系抗炎症点眼薬、非ステロイド系抗炎症点眼薬が使用されます。(これらに加えて癒着防止にミドリンPが使用されることもあり)
抗菌剤は感染防止、ステロイドは炎症の防止ですが、NSAIDsは嚢胞様黄斑浮腫(CME)の予防のために使用されます。

嚢胞様黄斑浮腫(Cystoid Macular Edema:CME)

網膜の中心にある黄斑部に、網膜の血管から水分が漏出し、黄斑網膜が膨み嚢胞を形成、その結果、網膜剥離等を伴う変化を起こした状態で、視力低下を引き起こし、最悪の場合、失明となります。
原因としては、糖尿病網膜症(糖尿病黄斑症)や網膜静脈閉塞症などの血流障害を引き起こす疾患、網膜色素変性症やぶどう膜炎が知られていますが、硝子体手術や白内障手術の後に発症することもあります。

CMEの予防にNSAIDs点眼液

炎症を鎮める作用としては、NSAIDsよりもステロイドの方が効果が強いイメージがありますが、CMEの発症予防効果について比較した結果、ステロイド点眼液より、NSAIDs点眼液の方が有意に発症を予防したというデータがあります。
(ジクロフェナクとフルオロメトロンで検討した結果、ジクロフェナクの方が圧倒的有意にCMEの発症を抑えた)
ですので、CMEの予防にはNSAIDs点眼液を使用することが一般的です。

ジクロード点眼液は冷所保存

上記のデータを根拠として、CMEの予防にジクロード点眼液が選択されることが多かったのだと思います。
ですが、ジクロード点眼液は冷所保存という欠点があります。
ジクロード点眼液に保存剤として添加されているクロロブタノールは、高温で塩酸を発生させてしまいます。
pHが上昇した結果、ジクロフェナクが析出してしまう可能性があるため、ジクロード点眼液は冷所保存となっています。

ネバナック懸濁性点眼液

主成分であるネパフェナクは、非ストロイド性抗炎症薬アンフェナク(商品名:フェナゾックス)のプロドラッグです。
ネパフェナクは角膜透過性が高く、浸透後は速やかに活性代謝物のアンフェナクに変換されて効果を発揮します。
ネパナックはジクロードと同様に、ステロイドよりも有意にCMEの発症を抑制することが証明されています。
さらに、ジクロード点眼液は冷所保存となっていましたが、ネバナック点眼液は室温保存が可能です。
保管の簡便さがジクロードと比較して優れた点であると言えるかもしれません。

ですが、懸濁性であることと、粘性が高めのため、お年寄りの方など、点眼しにくいという声を聞くこともあります。
また、ジクロード点眼液のジェネリック医薬品であるジクロスターPF点眼液はクロロブタノールを含まないため、室温保存が可能ですので、保管方法の簡便さのみを考えるのであれば、そちらを使用するという選択肢もあるかもしれませんね。

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