日本ベーリンガーインゲルハイムが申請していたジャディアンス錠(一般名:エンパグリフロジン)が、平成26年11月21日に開催された厚生労働省 薬食審医薬品第一部会で了承されました。
ジャディアンスは日本国内で7製品目のSGLT2阻害薬になります。
成分としては、エンパグリフロジンが国内で6成分目です。
SGLT2阻害剤
SGLT2阻害剤についてはこのブログでも過去に何回も紹介しています。
https://yakuzaishi.love/archive/category/SGLT2阻害薬
ナトリウム-グルコース共輸送担体(Sodium-Glucose Transporter:SGLT)は体の様々な場所に存在し、グルコースの輸送に関わっています。
その中でも、近位尿細管に特異的に発現しているのがSGLT2で、SGLT2阻害剤はその働きを阻害することで、尿中から腎臓へのグルコース再吸収を阻害し、糖の排泄を促進します。
腸管などにも存在するSGLT1を阻害すると下痢などの消化器症状を引き起こしてしまうので、SGLTの中でも2型への選択性を高めた薬剤になっています。
ジャディアンス錠
- 一般名:エンパグリフロジン
- 規格:ジャディアンス錠25mg、ジャディアンス錠10mg
- 申請者:日本ベーリンガーインゲルハイム(日本イーライリリーと共同販促予定)
- 効能・効果:「2型糖尿病」
- 用法・用量:「
10mg錠を1日1回経口投与し、効果不十分な場合は25mg1日1回に増量できる。通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。」
服用時点の縛りなしはフォシーガに続いて2剤目ですね。
海外ではすでに様々な国で販売されているようですね。
SGLT2阻害薬のまとめ
これまでの糖尿病治療薬とは異なる作用機序を持つこの薬剤。
4月に発売したスーグラ(一般名:イプリグラフロジン)を皮切りに、色んなメーカーから次々と発売されています。
平成26年11月 日本国内のSGLT2阻害剤
今のところ日本国内でのSGLT2阻害剤は以下の通りになっています。
発売中
- イプリグラフロジン(アステラス製薬/寿製薬/MSD、商品名:スーグラ)
- ダパグリフロジン(ブリストル/アストラゼネカ/小野薬品、商品名:フォシーガ)
- ルセオグリフリジン(大正製薬/ノバルティスファーマ、商品名:ルセフィ)
- トホグリフロジン(興和/サノフィ、商品名:デベルザ/アプルウェイ)
- カナグリフロジン(田辺三菱製薬/第一三共、商品名:カナグル)
承認了承済(承認待)
- エンパグリフロジン(日本ベーリンガーインゲルハイム、商品名:ジャディアンス)
臨床開発中?
- ertugliflozin(ファイザー/MSD):小核試験陰性
- LX4211(レキシコン):SGLT1/2 デュアルブロッカー
すでに配合剤の噂も?
SGLT2阻害剤にも配合剤の噂が聞こえていますね。
噂の段階も含めて耳にしたものをざっとあげてみると。
- サノフィ & 武田薬品(提携):アプルウェイ+ネシーナ
- 田辺三菱製薬 & 第一三共:カナグル+テネリア(国内第三相臨床試験)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン:vokanamet = カナグル+メトホルミン(欧州承認)
- イーライリリー:ジャディアンス+メトホルミン(FDA承認)
海外ではすでにジャディアンスの合剤も出ているんですね。
SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の組み合わせは各社狙ってそうですね。
SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の両方を販売している会社を挙げてみると。
- MSD:スーグラ、ジャヌビア
- 小野薬品:フォシーガ、グラクティブ
- ノバルティスファーマ:ルセフィ、エクア
- 興和:デベルザ、スイニー
合剤競争もどんどん激しくなっていきそうですね。