肝性脳症とカナマイシン

肝硬変の患者さんに対する処方。
カナマイシンカプセル 250mg 2C 2×MA

カナマイシンの添付文書を見ると…

  • 適応症:感染性腸炎
  • 適応菌種:カナマイシンに感性の大腸菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ
  • 用法・用量:成人1日2〜4gを4回に分割経口投与する。

改めて考えてみると適応外処方に近いんですね。

肝性脳症

肝疾患が悪化し、肝硬変まで進んでくると様々な問題が生じます。
その代表的なものが肝臓の機能が極端に低下してしまう肝不全。
肝不全は黄疸や腹水、意識障害を引き起こします。

今回のメインとなるのは意識障害、すなわち肝性脳症です。
肝性昏睡、門脈体循環性脳障害とも呼ばれます。

症状としては、人格や行動の変化から始まり、徐々に進行していきます。
気分の変化や判断力の低下、睡眠にも影響が現れます。
羽ばたき振戦も特徴的な症状の一つです。
見当識障害がよく見られます。
眠気や錯乱、動作や会話がゆっくりになることで気付くこともあります。
中には興奮したり、けいれん発作を起こすケースもあります。
最終的には意識を失い、昏睡となります。

肝性脳症とアンモニア

肝性脳症を誘発する重大な要因に血中のアンモニアがあります。
血中アンモニア濃度と肝性脳症は必ずしも相関するわけではありませんが、一定期間アンモニア濃度が高値を維持していると、肝性脳症が起こりやすくなります。
(一時的にアンモニア濃度が高値となっても発症するとは限りません)

食事で摂取した蛋白質は大腸に運ばれると、腸内細菌が持つウレアーゼにより分解され、その際、アンモニアが発生してしまいます。
このアンモニア、通常であれば肝臓で分解されるのですが、肝不全を起こしている場合、分解されずに血中に入ってしまいます。

肝性脳症と抗生物質

そこで、カナマイシンのような吸収されにくい抗生物質が使われます。
カナマイシンはほとんど吸収されないため、腸内でのみその抗菌作用が発揮されます。
結果、ウレアーゼを持つ菌が減り、アンモニアの産生が抑制、血中アンモニア濃度が下がり、肝性脳症の抑制につながるわけです。
今回の処方の場合、肝障害の悪化が見られたので、肝性脳症の予防として、カナマイシンを低用量で使用しているというわけです。
アミノグリコシド系の抗菌剤の場合、第8脳神経障害 すなわち聴覚障害が心配になりますが、今回の量であればそのリスクはかなり低くなります。

ちなみに、肝性脳症に対しては、ラクツロースやラフィノースも使用されますが、これらは乳酸菌を増やし、腸内pHを下げることで、アンモニア産生菌を減らします。

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