アジルバに続く、「期待の新薬だけどまだ処方されていない」シリーズwww
ブリモニジン酒石酸塩(商品名:アイファガン)点眼液です。
緑内障治療薬としては初のアドレナリンα2受容体作動薬です。
代表的な緑内障治療薬
まず今まで使用されている薬を振り返ってみると・・・
これまでは、緑内障や高眼圧の第一選択薬プロスタグランジンで効果不十分な場合、セカンドラインとしてβブロッカーが使用されていました。
プロスタグランジン関連薬はぶどう膜強膜流出路を介した眼房水の流出を促進することで眼圧を低下させます。
それに対して、β遮断薬は眼房水の産生を抑制することで眼圧を低下させることができます。
βブロッカーの問題点
ただし、β受容体遮断薬には全身性の副作用があり、
- コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ・Ⅲ度)、心原性ショックのある患者
- 気管支喘息、気管支痙攣又はそれらの既往歴のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者
に関しては禁忌となっています。
これが非常にネックでβブロッカーを使いたくても使えない患者さんが存在します。
アドレナリンα2受容体アゴニスト アイファガン
では、アドレナリンα2受容体アゴニストであるアイファガンはどうかというと・・・。
まず、βブロッカーにあったような禁忌は存在しません。
その作用機序は、眼房水産生抑制とともにぶどう膜強膜流出路を介した眼房水の流出を促進することで眼圧を低下させるということです。
その効果のほどは・・・と言いますと。
代表的なβ受容体アンタゴニスト点眼薬であるチモロール点眼液と比較したデータがあります。
48週間の比較試験で平均眼圧の推移において、ブリモニジンはチモロールと有意差なく同等の効果を示しました。
心臓、気管支系の禁忌がなく、効果は従来のセカンドラインであるβブロッカーなみ!
これだけでも十分魅力的なんですが、さらに素晴らしいデータがあります。
ブリモニジン使用群とチモロール使用群の累積視野障害進行率を比較した結果、2年後くらいまでは両群に差は見られませんでしたが、4年後ではチモロールが約0.7に対して、ブリモニジンは約0.25とかなり効果がよいことがわかります。
これは神経保護作用を持っているのかなあ・・・?
もう一つメリット。
保存剤として国内で初めて、細胞障害性の低い亜塩素酸ナトリウムを使用しているのもポイントです。
ただし、やはりα2アゴニストなので、全身性の副作用として、眠気、めまい、徐脈、低血圧などには注意が必要です。
点眼後、軽く目を閉じ5分間の点眼方法を徹底してもらい、副作用の軽減に務めるのは基本ですね。
あとは、若干、結膜に対するアレルギーが発生しやすいようです。
発売の経緯
この薬、元々は米国のアラガン社のもの。
杏林がガチフロキサシン点眼液を導出した際、クロスライセンスとして獲得し、それを千寿にサブライセンスし開発された薬です。
国内では武田-千寿のコンビで発売です。
また武田か・・・、新規医薬品のセンスがいいよなあ。
発売と同時に納品してもらいました。
でも、未だ処方なしwww
とは言うものの、近い将来、多く処方される薬には間違いないと思います。
単剤で使用する薬ではないですが、従来の治療方法で十分な眼圧コントロールができていないケースにとって、有効な治療法になると思います。
早く、処方例を見てみたいな!
ちなみに、アイファガンは1日2回みたいです。
将来的に1日1回タイプや合剤も出るのかな?