平成26年2月24日付、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会での承認が了承された医薬品。
今回、やけに降圧配合剤が多いんじゃない?
なんと3種類も同時に承認される予定です。
はあ~・・・。また覚えるのか・・・。
なんて言わずに見てみましょう!
今回承認されたものの中には、従来から存在するARB/CCB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬/Ca拮抗薬)の配合剤だけでなく、初のレニン阻害薬/CCBの配合剤があります。
アテディオ配合錠
味の素製薬のアテディオ配合錠。
ARBバルサルタン(ディオバン)とCCBシルニジピン(アテレック)の配合剤です。
シルニジピンの配合剤は初ですね!
バルサルタン80mgとシルニジピン10mgを含みます。
アテレック+ディオバンでアテディオということでしょう。
シルニジピンの特徴
ここでシルニジピンについて復習。
シルニジピンはL型カルシウムチャネルに加えてN型カルシウムチャネルもブロックします。
(CCBの代表格のアムロジピンはL型のみブロック)
N型カルシウムチャネルを抑制することで、交感神経の抑制(ノルアドレナリンの放出抑制)が起こり、反射性頻脈を抑制(心保護作用)します。
また、輸入細動脈の収縮(L型)に加え、輸出細動脈の収縮(N型)も抑制することにより糸球体内圧上昇や腎血流低下を抑制(腎保護作用)します。
そのほかには、尿酸値降下作用、浮腫抑制作用などもあります。
というわけで、配合剤に使用されているCCBのほとんどがアムロジピン(レザルタスはアゼルニジピン)なので、シルニジピンを含む初の配合剤の承認はいいんじゃないでしょうか。
ARBがバルサルタンということで、こちらはディオバンのデータに関して色々と問題となっているのが残念なところですがどうでしょう?
効能・効果は「高血圧症」
用法・用量は「成人には1日1回1錠を朝食後に経口投与する。本斉は高血圧治療の第一選択薬として用いない。」
となっています。
朝食後なんですね。
ちなみに。
シルニジピンは食後の方がわずかに血中濃度が高い傾向にあるがほとんど差はありません。
バルサルタンは食後服用で血中濃度が有意に低下するという報告がありますが、降圧効果に有意差はないことがわかっています。
ラジムロ配合錠
続いて、ノバルティスファーマのラジムロ配合錠。
レニン阻害剤を含む配合剤は初です!
ラジムロ配合錠LDがアリスキレン150mg+アムロジピン2.5mg。
ラジムロ配合錠HDがアリスキレン150mg+アムロジピン5mgです。
これもわかりやすく、ラジレス(アリスキレン)+アムロジピンでラジムロということですね。
ラジレスについては以前まとめています。
ラジレス – 薬剤師の脳みそ
ALTITUDE試験の中止のせいかネガティブなイメージが強い・・・。
ALTITUDE試験中止によるアリスキレンへの禁忌追加 – 薬剤師の脳みそ
選択肢が増えるってのは大事なことなんですが、ARBやACE阻害剤などに比べてどのような患者さんに適しているのかがはっきりしないまま・・・。
単純に自分の使用経験が少ないためかもしれませんが。
アリスキレンを含む配合剤ってことで注意点があります。
アリスキレンはp糖蛋白による排出を受けるので、それを阻害するイトラコナゾールとシクロスポリンは併用禁忌です。
用法は「1日1回1錠」ということでラジレス同様、食事についての記載がありませんが、アリスキレンは食事により吸収が大きく下がるため、空腹時か食後かを定めて服用してもらう必要があります。
ラジレスのときも同じことを思いましたが、何で食事による服用時点を決めていないんだろう?
それとも今回はその問題をクリアしてるのかな?
効能・効果は「高血圧症」
用法・用量は「成人には1日1回1錠を経口投与する。本斉は高血圧治療の第一選択薬として用いない。」
です。
平成26年3月25日追記:ラジムロ配合錠は3月24日付で正式に承認されましたが、ノバルティスが販売中止を発表しました。
承認を申請する時点ではアリスキレンがここまで伸びないとは思ってなかったんでしょうね…。
ニュース アーカイブ | ノバルティス | Novartis Japan
ザクラス配合錠
今回承認の3つめの降圧配合剤は武田薬品のザクラス配合錠。
最も新しいARBアジルサルタン(アジルバ)を含む初の配合錠です。
ザクラス配合錠LDがアジルサルタン20mg+アムロジピン2.5mg。
ザクラス配合錠HDがアジルサルタン20mg+アムロジピン5mgです。
これだけ名前の由来が不明ですね。
ザクラス・・・The Classでクラス最強の降圧作用とかそんな感じでしょうか?
まあ、実際、スーパーARBとでも言うべきアジルサルタンと強い降圧作用のアムロジピンの配合錠です。
かなりの降圧効果が期待できます。
効能・効果は「高血圧症」
用法・用量は「成人には1日1回1錠を経口投与する。本斉Jは高血圧治療の第一選択薬として用いない。」
となっています。
降圧配合剤一覧
さて、まとめてみましょう!
ARB+利尿薬
プレミネント配合錠:ロサルタン(ニューロタン)50mg + HCTZ 12.5mg
エカード配合錠LD:カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)4mg + HCTZ 6.25mg
エカード配合錠HD:カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)8mg + HCTZ 6.25mg
コディオ配合錠MD:バルサルタン(ディオバン)80mg + HCTZ 6.25mg
コディオ配合錠EX:バルサルタン(ディオバン)80mg + HCTZ 12.5mg
ミコンビ配合錠AP:テルミサルタン(ミカルディス)40mg + HCTZ 12.5mg
ミコンビ配合錠BP:テルミサルタン(ミカルディス)80mg + HCTZ 12.5mg
イルトラ配合錠LD:イルベサルタン(アバプロ・イルベタン)100mg + TCMZ 1mg
イルトラ配合錠HD:イルベサルタン(アバプロ・イルベタン)200mg + TCMZ 1mg
※ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide:HCTZ)、トリクロルメチアジド(trichlormethiazide:TCMZ)
ARB+CCB
エックスフォージ配合錠:バルサルタン(ディオバン)80mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
レザルタス配合錠LD:オルメサルタンメドキソミル(オルメテック)10mg + アゼルニジピン(カルブロック)8mg
レザルタス配合錠HD:オルメサルタンメドキソミル(オルメテック)20mg + アゼルニジピン(カルブロック)16mg
ユニシア配合錠LD:カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)8mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)2.5mg
ユニシア配合錠HD:カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)8mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
ミカムロ配合錠AP:テルミサルタン(ミカルディス)40mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
ミカムロ配合錠BP:テルミサルタン(ミカルディス)80mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
アイミクス配合錠LD:イルベサルタン(アバプロ・イルベタン)100mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
アイミクス配合錠HD:イルベサルタン(アバプロ・イルベタン)100mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)10mg
アテディオ配合錠:バルサルタン(ディオバン)80mg + シルニジピン(アテレック)10mg
ザクラス配合錠LD:アジルサルタン(アジルバ)20mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)2.5mg
ザクラス配合錠HD:アジルサルタン(アジルバ)20mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
DRI+CCB
ラジムロ配合錠LD:アリスキレン(ラジレス)150mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)2.5mg
ラジムロ配合錠HD:アリスキレン(ラジレス)150mg + アムロジピン(アムロジン・ノルバスク)5mg
やっぱ多いなあ・・・。
配合錠は患者さんの服用する錠剤数が減ることによるアドヒアランスの維持や向上が期待できますし、ほとんどの場合、薬価が安いということで医療費削減の効果が期待できます。
医療費削減効果をもう少し大きくして、後発医薬品扱いになればもっと使用が進むと思うんだけどなあ・・・。