ラベキュア/ラベファイン

ついに・・・というか、やっと。
やっとランサップ/ランピオン以外のピロリ除菌のパック製剤が発売されます。
タケプロンを擁する武田薬品がランサップを販売したのが2002年。
二次除菌に対するランピオンを販売したのが2010年。
そして2013年、エーザイがラベキュア、ラベファインを発売です。

ラベキュアがピロリ一次除菌、ラベファインが二次除菌です。
内容はランサップ/ランピオンとほぼ同じです。
ランサップ/ランピオンがPPIにランソプラゾール(商品名:タケプロン)を用いているのに対し、ラベキュア/ラベファインはPPIにラベプラゾール(商品名:パリエット)を使用しています。
ちなみにアモキシシリンとして使用している商品も異なります。
ランサップ/ランピオンがアモリンカプセル、ラベキュア/ラベファインがサワシリン錠です。
ちなみにラベキュアもランサップと同様、クラリスロマイシンの量により400、800の製剤が作られます。

最大の特徴はPPIにラベプラゾールを採用していることでしょう。
国内で使用されるPPIには、オメプラゾール(先発医薬品名:オメプラール/オメプラゾン)、ランソプラゾール(先発医薬品名:タケプロン)、ラベプラゾール(先発医薬品名:パリエット)、エソメプラゾール(商品名:ネキシウム)があります。
まあ、簡単に言うとラベプラゾールが一番強いんです。
強いけど高い、それがラベプラゾール(というかパリエット)のイメージです。

じゃあ、なぜ強いか?
一つは薬物代謝酵素チトクロムP450が関わっています。
ほとんどのPPIはCYP2C19により代謝を受け分解されます。
日本人のうち15%くらいはこのCYP2C19の活性が非常に低く(Poor Metabolizer:PM)、35%は逆に活性が非常に高い(Rapid Metablizer:RM)ということが知られています。
つまり、15%の人(PM)には普通よりよく効きき、35%の人(RM)には効きが悪いということになります。
ラベプラゾールの代謝の主経路はCYP2C19によるものではなく、非酵素的なものです。
ということで、ラベプラゾールはCYP2C19の遺伝子多型に関わらず効果を発揮することが可能です。
(これはオメプラゾールのS体のみを抽出したネキシウムの売り文句でもありますね。)

もう一つは、壁細胞における活性化です。
PPIは体内に吸収された後、壁細胞から分泌、高濃度水素イオンに接することでPPI活性を発揮できるようになります。
ラベプラゾールの特徴として、低濃度の水素イオン下でもPPI活性を発揮することができます。

以上二つの特徴を併せ持つということでラベプラゾールは最強の胃酸抑制作用を発揮しているというわけです。

ある研究でCYP2C19の遺伝子多型とピロリ菌の一次除菌の成功率を比較しています。
その結果、RMでは74.5%しか成功しなかったのに対し、PMでは98.0%の成功という結果になっています。
このことからもCYP2C19の影響が少ないこと、胃酸分泌抑制作用が強いことが除菌の成功率に影響することがわかります。
もちろん、あらかじめPMとわかっていればラベプラゾールよりもランソプラゾールの方がいいのかもしれませんが、何もわからない状態であればラベプラゾールを選択することで成功率を上がると予想されます。
実際、ランソプラゾールを用いた場合よりもラベプラゾールを用いた方が成功率が高いようですし、三次除菌(シタフロキサシンを使用)ではラベプラゾールがスタンダードです。

ちなみにラベプラゾールのジェネリックでもいいのか?という話ですが。
PPIは腸溶性の製剤がほとんどなので、そこがしっかりしていないと効果も・・・。
ということで、そのへんが確認できているメーカーにした方が良さそうです。

以前、パリエット・サワシリン錠・クラリスという処方を見て、「何でランサップを使わないんだろう。エーザイ好きな先生なのかな?」というつぶやきを見かけたことがありますが、コラコラコラ!と言うわけです。(笑)

ということで、個人的にはラベキュア/ラベファインは大歓迎です。
アモキシシリンが錠剤ってのも飲みやすくていいかもしれませんね。
ランサップ/ランピオンに比べて薬価が高くなるとは思いますが、一週間だけの話なので、確実に除菌できる方が医療費的にはいいんじゃないかと。

と言っても、PPIはすべてラベプラゾールという考えではないのであしからず。
PPIの乱用はあまりいいとは思いません。
どのPPIにしても胃酸分泌抑制という意味では強力過ぎて、胃腸環境を変化させ過ぎてしまうと思っているので。
某ランソプラゾールのメーカーはPPIを幅広く使用する方向に進んでいる気がしますが、ラベプラゾールのメーカーさんは使うポイントを絞ってPPI!という方向に進んでくれるといいな・・・と思います。

これでわかるピロリ除菌療法と保険適用―ガイドラインに基づく活用法

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