ALTITUDE試験中止によるアリスキレンへの禁忌追加

昨年末、ノバルティスよりALTITUDE試験が中止が発表されました。
それに伴い、今回、ついにアリスキレン(商品名:ラジレス)に禁忌が追加となりました。

ALTITUDE試験

ALTITUDE試験
腎機能障害を有する2型糖尿病患者を対象に、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)またはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(ARB)にラジレスを上乗せした効果を、プラセボを対照に実施したランダム化比較試験(RCT)
主要評価項目は心血管死・蘇生をした突然死・非致死性心筋梗塞・心不全による予期せぬ入院・非致死性脳卒中・腎機能の悪化

この試験の中間解析において、ACE阻害薬やARBにアリスキレンを追加した群でACE阻害薬やARBによる治療群を上回る有益性がなかった上に、非致死性脳卒中、腎合併症、高カリウム血症、低血圧の発現率が高かったというデータがでたために、独立データモニタリング委員会の指摘を受け、試験中止となりました。

ALTITUDE試験に伴う添付文書改定

今回の添付文書改定はこの結果を受けたもので、糖尿病の患者において、アリスキレンは、ARBもしくはACE阻害剤との併用が禁忌となりました。

とは言っても、アリスキレンは唯一の直接的レニン阻害剤(DRI)。
これまでのRA系阻害剤とは全く異なる作用も期待されています。
その期待を受けてなのか?
今回の禁忌の文章の中には、「ただし、ACE阻害剤又はARB投与を含む他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く」の一文が加えられています。
まだ糖尿病患者に対して併用できるケースを残しているあたり、アリスキレンが秘めている可能性を残している形ですよね。

なぜアリスキレンが有害事象を起こしたのか?

降圧剤のデータなんて数年では集まらないと思います。
10年以上の歳月をかけて初めて様々なメリット、デメリットが明らかになるものです。
今回、アリスキレンでこのような結果が起こった背景には、他のRA系阻害剤が持つ、臓器保護に代表される様々な効果が知られていたこともあるのではないでしょうか?

アリスキレンはRA系阻害剤の中で唯一レニンを直接阻害する薬です。
そりゃ、期待も高まるってものです。
予想される効果を期待して数多くの試験がされていく中で、今回、たまたまよくない結果が出てしまった。
はじめから多くの試験を行っている分、よくない結果が出る確率も上がりますよね。

ただ、この試験、かなり自由度が高い試験でした。

ACE阻害薬かARBを含む心血管に関する至適な治療(糖尿病の方の高血圧における標準治療)を受けた上で、アリスキレン追加群とプラセボ追加群の2群に割り付けられ、1)アリスキレンを別途使用しない、2) ACE阻害薬とARBは併用しない、という条件以外には制約のない至適な治療を4年間継続する。

ですから、今回有害事象を起こしたケースについて、どのような治療を行なっていたのか詳細に検討してみると、もっと別の原因が出てくるんじゃないのかなあ・・・と思います。
アリスキレンは色々注意が必要(明日、詳しく書きます)な薬です。
食事の影響、腎機能の影響、相互作用、個体差など・・・。
最適な条件で試験が実施されていたかどうかが非常に気になります。
そのへんの詳しい調査って行われているのかなあ・・・?

アリスキレンに関しては他にも様々な大規模臨床試験が実施されていますので、今後、様々なエビデンスが報告されていくと思います。
今後が楽しみな薬ですね。

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