どうしてもこの時期は調剤報酬(診療報酬)改訂について考えることが多くなります。
今回は在宅関連部分について詳しく考察してみました。
今回はあくまでも自分個人の考えです。
調剤報酬関連の最新記事はこちらです。
平成26年度調剤報酬改定 疑義解釈資料(その1)公開 – 薬剤師の脳みそ
一般名処方で先発医薬品を選択した際のレセプト摘要欄記載方法~平成26年度調剤報酬改定 – 薬剤師の脳みそ
平成26年度診療報酬改定 官報告示 – 薬剤師の脳みそ
平成26年調診療酬関連記事の一覧は
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です。
よろしくお願いします。
在宅に関する改訂は過去にまとめています。
調剤報酬点数表の改正案公開~平成26年度調剤報酬改定 その5 – 薬剤師の脳みそ
基準調剤加算・在宅の改定~平成26年度調剤報酬改定 その2 – 薬剤師の脳みそ
- 2014改定 在宅部分
在宅に関する改訂をまとめると。
在宅患者訪問薬剤管理指導料において、同一建物居住者以外に対する場合の大幅なプラス改定(500点→650点)に対し、同一建物居住者に対するマイナス改定(350点→350点)がありました。
保険薬剤師1人につき1日5回に限り算定という新たな算定回数の縛りも加わりました。
基準加算における施設基準にも在宅の実績が加わっています。
同一建物居住者への同時算定は評価減
今回の改定、同一建物とそうでない場合の点数の開きが大きくなっています。
同一建物居住者以外(650点)と同一建物居住者の点数(300点)には倍以上の開きがあります。
これは何を意味しているのか?
今回は医療保険のみでの改定なので医療保険対象者で考えないといけませんが、将来的には介護保険も同様の改訂になるのだと思います。
同一建物のケースを考えると老老介護・認認介護などの状況の患者宅に訪問する場合があります。
つまりは同一建物に二人の在宅の対象となる患者さんが二人いるケース。
(介護保険の認定を受けているケースは少ないかもしれませんが存在します)
調剤報酬による経済誘導と考えて素直に従うと、それぞれ別の日に訪問しなさい。という意味になりますよね?
(同一建物居住者の条件は同日に算定した場合に限ります)
同じ日に訪問し、二人同時に指導を行えば、300点+300点→600点。
別の日に訪問し、二日に分けて指導を行えば、650点+650点→1300点。
その差は倍以上です。
医療従事者が週に複数回患者宅を訪問することによるメリットというのは当然あると思います。
ただ、それがこの点数分だけあるかどうかは不明ですが。
では、ケアハウスや有料老人ホーム、介護サービス付き高齢者向け住宅(以前の高齢者専門賃貸住宅:高専賃)の入居者を対象に訪問を行なっている場合はどうなんでしょう?
(介護保険の認定を受けていない方のみが入居していると仮定して考えています)
現実的かどうかは別として、入居者している在宅訪問の対象者が7名以下であれば、土日祝も含めた一週間、毎日一人ずつ訪問するということが可能かもしれませんが、それを超えるともう無理になってしまいますね。
7名まで:650点×7→4550点/週
8名:650点×6 + 300点×2→4500点/週
1人増えただけで点数が下がるという現象が起こってしまいます。
国が目指している在宅医療
もうおわかりだと思いますが、施設とまとめて在宅の契約を行うなんてことはやめなさいという改定なんだと思います。
実際に、薬局が老人施設を作って在宅に出かけるケースや特定の施設と契約を行なっているケースというのはあると思います。
国はそういったケースをなくしていきたいんだと思います。
たしかに在宅医療の推進っていうのは高齢化が進み、高齢社会となった日本にとって急務です。
そのために在宅医療を進めてきましたし、これからも進めていきます。
その中で、在宅医療を狙ったビジネスというものもたくさん登場してきました。
ビジネスが現れるということはその分野の発展が進むということです。
その反面、経済利益が目的となってしまうために、国の意図したものではない、悪い形が現れることもあります。
ただ、地方など在宅医療の浸透が十分でない部分にとってはそれがいい形であろうとそうでなかろうと、ほかに選択肢がないわけですから、そういう意味では世の中に寄与している部分も大きいと思います。
なので、今の段階でそれにブレーキをかけることになりかねない今回の改定がどう進んでいくのか少し注意が必要な部分かもしれません。
経済利益などなくても、医療促進のために在宅医療が発展していくという形がベストではあるのですが・・・。
個人的にはビジネス的に医療を行うことは決して悪いことではないと思っています。
(全面的にいいとも思っていませんが)
在宅の質の向上
薬剤師一人につき一日五人までの縛りも同じ理由でしょうか?
五人縛りはあまり納得できていません。
緊急時に関してはもちろん除外して欲しいなぁ…。
介護における居宅療養管理指導が含まれるかどうかが大きな分け目です。
今回は医療保険のみが対象ですが、二年後の介護保険改定でどうなるかが重要ですね。
基準加算や医療機関からの紹介の要件に在宅の実績がありますし、単独の在宅はプラス改定なので、在宅を増やしたいという国の考えは間違いないはずです。
ただし、質の良い在宅を増やしたい。
薬剤師として国の考える在宅とはどのようなものかをはっきりイメージしなくてはなりません。
あくまでも個人の妄想ですが、いかがでしょうか?
近いうちにこの妄想のきっかけとなった診療報酬(医科)の在宅関連部分についてまとめたいと思います。