潰瘍性大腸炎でイムラン(アザニン、一般名:アザチオプリン)を使用していた患者さんですが、どうも効果不十分な様子でした。
次、来局したときの処方はロイケリン散10%(一般名:メルカプトプリン)。
色々疑問があります。
まず、ロイケリン散の適応は?
添付文書を見ると、効能・効果は「下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解 急性白血病、慢性骨髄性白血病」。
アザニン、イムランは「2.ステロイド依存性のクローン病の緩解導入及び緩解維持並びにステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の緩解維持」があるので問題なかったのですが、ロイケリンは適応外での使用ということになります。
もう一つの疑問。
それはアザチオプリンとメルカプトプリンの違い。
というか、アザチオプリンはメルカプトプリンのプロドラッグです。
メルカプトプリンはプリンヌクレオチドの合成を阻害することで、DNA合成を抑制します。
結果、細胞分裂が活発な炎症細胞周辺の免疫系を抑制することが可能となります。
なぜ、わざわざアザチオプリンをメルカプトプリンに変更したのか?
結論から言うと、イムラン、アザニンとロイケリン、どちらも潰瘍性大腸炎に使用することがあります。
イムラン、アザニンでは効果が不十分だったり副作用が出る場合でも、ロイケリンでは問題ないというケースがあります。
イムラン、アザニンはプロドラッグにすることで、体の中で徐々にメルカプトプリンに変換され、穏やかに効果を発揮しますが、ロイケリンはダイレクトに活性型として体内に入るので素早く強く効果を発揮するイメージですから効果に差があるのは当然かもしれません。
また、ロイケリンは散剤のみなので、用量調節が容易というのもメリットですね。
薬価ですがアザニン、イムランが153.1なので通常用量(50~100mg)では153円~306円となります。
ロイケリン散は79.2なので通常用量(100mgとする)では79.2円と安価なのもメリットかもしれません。
アザニン、イムランとロイケリンの関係はペンタサ、アサコールとサラゾピリンの関係に似ているのかもしれませんね。