平成30年5月15日、協和発酵キリンはセルテクト錠ならびにセルテクトドライシロップ(成分名:オキサトミド)の販売を中止すると発表しました。
発売中止は平成30年8月末を予定ということなので、すでに生産終了して在庫のみの販売のようですね。
経過措置は平成31年3月31日までになります。
セルテクト販売中止の理由は?
協和発酵キリンのページに案内が掲載されています。
セルテクト錠30・ドライシロップ2%「販売中止についてのご案内」
このたび弊社では、アレルギー性疾患治療剤「セルテクト錠30」及び「セルテクトドライシロップ2%」につきまして諸般の事情により2018年8月末日、弊社在庫終了を持ちまして販売を中止させていただくことになりましたので、謹んでご案内申し上げます。
処方量の低下
セルテクトは小児に対する適応を持つことから、小児に対してドライシロップがよく使われているイメージがありました。
ですが、近年では小児適応を取得している第2世代抗ヒスタミン剤が増えています。
その結果、より新しい、鎮静作用の低い第2世代抗ヒスタミン剤が処方される機会が増え、セルテクトの処方量が減ったことが一つの原因かと思います。
薬価の引き下げ?
諸般の事情・・・。
色々あるのかもしれませんけど、今回の薬価改定のせいなんじゃないかと思っちゃいますよね。
- セルテクトドライシロップ2% :90.10→42.20
- セルテクト錠30 30mg:54.30→25.50
がっつり下がりましたからねえ・・・。
セルテクトってどんな薬?
セルテクトについて復習してみましょう。
セルテクトドライシロップ2% 添付文書(Pmda)
セルテクトドライシロップ2% 添付文書(協和発酵キリン)
セルテクト錠30mg 添付文書(Pmda)
セルテクト錠30mg 添付文書(協和発酵キリン)
セルテクトドライシロップ/錠 インタビューフォーム(Pmda)
セルテクトドライシロップ/錠 インタビューフォーム(協和発酵キリン)
セルテクト(成分名:オキサトミド)の国際誕生は1979年です。
ゼスラン・ニポラジン(1970年)、ザジテン(1978年)に続く3成分目の第二世代抗ヒスタミン薬となり、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも古い部類に入ります。
第二世代抗ヒスタミン薬の中では、鎮静作用が強い部類になり、「重要な基本的注意」の中で運転が禁止となっています。
重要な基本的注意
- 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること。
錠とドライシロップで適応が異なります。
医療用医薬品としての特徴の一つは適応にあります。
- セルテクトドライシロップ2%:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹
- セルテクト錠30mg:アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚そう痒症、湿疹・皮膚炎、痒疹
錠剤とドライシロップ、剤型によって適応が異なります。
ドライシロップは鼻炎の適応がない代わりに気管支喘息への適応を持つんですね。
様々なケミカルメディエーターを抑制する
気管支喘息等に適応を持つだけあって、ヒスタミン以外の様々なケミカルメディエーターの作用も抑制します。
製品の特徴及び有用性
- アレルギー反応性細胞内のCa制御によって、ヒスタミンやロイコトリエン等のケミカルメ ディエーターの遊離を強く抑制する。(in vi tro)
- 遊離されたヒスタミン(ラット)、アラキドン酸代謝物(ロイコトリエン等:ラット)、PAF(モルモット)に対して強い拮抗作用を示す。
- 5-リポキシゲナーゼ阻害効果、PAF産生阻害効果を有する。(in vitro)
- 活性酸素の産生抑制(好酸球、好中球)・消去作用を有する。(in vitro)
セルテクトの代替薬は?
セルテクト錠とセルテクトドライシロップ、どちらもジェネリック医薬品が複数販売されています。
(一部は販売中止予定のものもあるようですが)
ということで、継続して使用する場合はジェネリック医薬品を採用するというのが一番確実ですね。
先発品のデータ
セルテクトが販売中止になってジェネリック医薬品のみの販売になった際に困るのが、先発品のデータが閲覧できなくなることです。
なので、セルテクト発売中止後もオキサトミドを継続して採用するのであれば、今のうちにセルテクトの添付文書やインタビューフォームを保存しておきましょう。
配合変化試験成績
・・・・・・。
と、思ってインタビューフォームを見ていると、一番最後に「配合変化試験成績」なんてものが掲載されていました。
こんな貴重なデータも掲載されているんですね。
ということで、ひとまず画像で保管してみました。
副作用
ジェネリックでは副作用も全て頻度不明になってしまうので掲載してみます。
副作用
副作用等発現状況の概要
- 〈成人〉
主として錠剤による承認時及び使用成績調査において、8,188例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は625例(発現率7.6%)で、788件であった。主な副作用は眠気394件(4.8%)、けん怠感43件(0.5%)、AST(GOT)上昇31件(0.4%)、ALT(GPT)上昇39件(0.5%)、肝機能障害6件(0.07%)、口渇29件(0.4%)等であった。(再審査終了時)- 〈小児〉
主としてドライシロップによる承認時及び使用成績調査において、4,094例中、副作用及び臨床検査値異常の発現例は65例(発現率1.6%)で、74件であった。主な副作用は眠気37件(0.9%)、下痢4件(0.1%)、AST(GOT)上昇4件(0.1%)、ALT(GPT)上昇2件(0.05%)、肝機能障害2件(0.05%)等であった。(再審査終了時)
副作用
重大な副作用
- 肝炎、肝機能障害(0.5%)、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ビリルビン、Al-P、LDHの著しい上昇等を伴う肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:全身けん怠感、食欲不振、発熱、嘔気・嘔吐等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、呼吸困難、全身紅潮、咽頭・喉頭浮腫等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
副作用
その他の副作用
- 錐体外路症状
0.1%未満
硬直(口周囲、四肢)、眼球偏位、後屈頸、攣縮、振戦- 過敏症
0.1~5%未満
発疹- 過敏症
0.1%未満
浮腫(顔面、手足等)- 内分泌
0.1%未満
月経障害、乳房痛- 内分泌
頻度不明
女性化乳房- 精神神経系
0.1~5%未満
眠気、けん怠感、口渇- 精神神経系
0.1%未満
頭痛・頭重、めまい・ふらつき・立ちくらみ、しびれ感- 泌尿器
頻度不明
膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等)、排尿困難- 消化器
0.1~5%未満
嘔気・嘔吐、胃部不快感、下痢- 消化器
0.1%未満
便秘、胃痛、腹痛、食欲不振、食欲亢進、にがみ、腹部不快感、口内炎、舌のあれ- 循環器
0.1%未満
動悸- その他
0.1~5%未満
好酸球増多- その他
0.1%未満
ほてり、鼻出血- その他
頻度不明
発熱上記のような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
なお、太字で記載の副作用については投与を中止すること。また、錐体外路症状が発現した場合には、必要に応じて抗パーキンソン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(頻度は錠剤とドライシロップの合計)