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m3.com会員登録平成29年3月30日、外用頭部乾癬治療薬コムクロシャンプー0.05%(成分名:クロベタゾールプロピオン酸エステル)の製造が承認されました。
有効成分のクロベタゾールプロピオン酸エステルといえばデルモベート®︎の成分です。
でも、コムクロで注目すべきなのはその剤型。
医療用では初めてとなるシャンプー製剤になります。
平成29年5月24日に薬価収載、7月11日に販売開始となっています。
日本初の医療用シャンプー製剤!
コムクロシャンプーで話題になるのはシャンプーというその剤型です。
OTCではシャンプー型の医薬品が存在しています。
シラミ駆除用薬としてフェノトリンを成分に含む
- スミスリンL シャンプータイプ
- アース シラミとりシャンプー
です。
ですが、医療用でのシャンプー製剤はコムクロシャンプーが初めてになります。
ちなみに、コムクロシャンプーはGalderma Pharma S.A.が開発した製剤で、2004年に米国で販売開始されており、現在では62カ国で販売されています。
何故、シャンプータイプの医薬品が開発されたのか?
それはステロイドによる副作用を減らすためです。
コムクロシャンプーの成分はクロベタゾールプロピオン酸エステル。
これはみなさんご存知の通り、最も強い Ⅰ群:strongestのランクに位置づけられているステロイドです。
頭部乾癬にはローションタイプのステロイドが使用されます。
クロベタゾールプロピオン酸エステルを成分とする製剤であればデルモベートスカルプローションが該当します。
ですが、頭皮は薬剤の吸収率が高いため、皮膚萎縮等の副作用が起こりやすいことが問題となります。
この問題を回避するため、短時間接触療法(SCT:Short Contact Therapy、ショートコンタクトセラピー)を取り入れたのがコムクロシャンプーです。
SCTでは、薬剤の接触時間を減らすことで、過剰な吸収を減らし副作用を軽減することを可能とします。
ディフェリンゲル(アダパレン)の副作用軽減でSCTが用いられているケースがありますね。
コムクロは、シャンプー製剤とすることで、薬剤を患部(頭部)に塗布した後、約15分後に水または湯などを加えることで泡立ち洗い流し、SCTを可能にしています。
コムクロシャンプーの概要
コムクロシャンプー0.05%の概要についてまとめます。

- 成分・含量:1g中に日局クロベタゾールプロピオン酸エステル0.5mg
- 効能・効果:頭部の尋常性乾癬
- 用法・用量:「通常、1日1回、乾燥した頭部に患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水又は湯で泡立て、洗い流す。」
- 包装:1本あたり125mL(125g)
コムクロシャンプーの薬価収載単位は「g」となっていますが、1mL=1gということで、間違いは起こりにくそうですね。
(クレナフィン爪外用液:4mL=3.56g、ルコナック爪外用液:4mL=3.5g)
コムクロシャンプーを須要する上での注意点
シャンプー製剤という特徴が使用上の注意に反映されています。

6 .適用上の注意
- 使用時
- 薬剤の浸透性が高まる可能性があることから、塗布部位を覆わないこと。
- 眼及び眼瞼皮膚へ付着しないよう注意し、付着した場合は直ちに水で洗い流すこと。
- 使用後:本剤使用後は、完全に洗い流し、よく手を洗うこと。
- 保管方法
- 本剤を子供の手の届かない、高温にならない所に保管すること。一般のシャンプー等と区別して保管すること。
- 開封後、4週間以上経過したものは使用しないこと。
洗い流すまでが用法ですからそれは当然として、他のシャンプーと区別するのは重要ですね。
子供が触ってしまう可能性もあると思います。
期限は開封後4週間ということですね。
コムクロシャンプーの薬価は?
コムクロシャンプーの薬価は、同成分の先発医薬品デルモベートスカルプローションとそのジェネリックの中間になっています。
デルモベートスカルプローション0.05%が32.80円/g。
そのジェネリックが11.30円/gか8.20円/gです。
ちなみに、コムクロシャンプーは先発医薬品扱いです。
コムクロシャンプーの使用方法
コムクロシャンプーの具体的な使用方法についてまとめておきます。
(まとめておかないといざという時自分が慌てそう・・・)

コムクロシャンプーは塗布してから15分後に洗い流す必要があるため、使用は入浴前になるかと思います。
- コムクロシャンプーを手に取り頭皮の患部に馴染ませる。
- 爪を立てず指の腹を使って優しく馴染ませる
- 500円玉くらいの面積のコムクロシャンプーで頭皮1/3分
- 使用時に髪が濡れていると薬剤が垂れてきて目などに入る危険性もあるので乾いた状態で使用すること
- 薬剤が浸透させるため15分間そのまま待つ
- 浴室で待ってもいいが汗をかいて薬剤が垂れないように注意
- 薬剤が垂れるのを防ぐためにシャンプーハット等を使用するとその部分を覆うことになり吸収が上がってしまう可能性があるので避ける
- お湯や水をかけ、泡だてて頭皮をよく洗う
- その際に爪を立ててしまわないこと(ケネブル現象*1の防止)
- 薬剤をしっかり洗い流せるように頭皮・髪・手・全身をしっかり洗い流す
- コムクロシャンプーを洗い流すためのシャンプーは必要ない
- コムクロシャンプー以外にヘアケアのためにシャンプーやコンディショナー、リンスを使うことも可能(治療上、使用制限がある人を除く)
シャンプーとしてコムクロを見てみる
コムクロシャンプーに使用されている界面活性剤は「ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム」、いわゆる「ラウレス硫酸ナトリウム」です。
ラウリル硫酸ナトリウムの分子量を大きくすることで皮膚への浸透を抑えつつ、洗浄力は維持したものです。
ただ、洗浄力が強すぎるため、皮脂等も過剰に剥がしてしまうという問題があります。
なので、肌への刺激等を気にしてシャンプーを選んでいる人からしたら、う〜んとなってしまうかもしれません。
ですが、クロベタゾールプロピオン酸エステルをしっかり落とし、短時間接触療法(short contact therapy)を可能とするためには仕方がないのかもしれませんね。
コムクロシャンプー自体は透明の粘りのある液体で、いわゆるシャンプーのにおいらしいです。
まとめ
医療用医薬品で日本初のシャンプー製剤になるコムクロシャンプー。
成分や使用部位を考えるとはデルモベートスカルプローションに非常に近いものになりますが、使用後にシャンプーとして洗浄可能で短時間接触療法(SCT:short contact therapy)を可能にしているのが一番の特徴になります。
ただ、気になるのはデルモベートスカルプローションなりそのジェネリックなりを使用してから15分後に普通のシャンプーを行うことでSCTを実施してはダメなのでしょうか?濃度も同じですし。
コムクロシャンプーはSCT専用に作られているので、それと同じとはいかないまでも、過剰な皮膚移行による副作用は軽減可能なんじゃないかと思います。
シャンプー製剤とすることで、自分の愛用のシャンプーが使えなくなる(使ってもいいかもしれませんが手間は増える)のが嫌だって人もいそうですね。
今ひとつ、これじゃないとダメだって理由が見えなかったりするんですがいかがでしょうか?
でも、これまでにないタイプの薬剤ということで興味深いですね。
自分の薬局では使用する予定は全くありませんが、いつ処方箋が来ても対応できるように準備だけはしておきたいと思います。
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