平成30年8月15日、新たな後発医薬品や先発医薬品の新規格が承認されました。
今回承認された品目は12月に薬価収載される予定です。
今回は新規承認の後発医薬品が多く、トラムセット、リフレックス/レメロン、ユリーフ、ストラテラ、レルパックス、バイナス、ロルカム、イレッサ、ゼローダ、ルミガン、デュオトラバ、モーラスパップXRなどがあります。
ちなみに薬価収載は12月になる予定です。
- 1 初めてジェネリック医薬品が承認された成分
- 2 剤形・規格として初承認のジェネリック医薬品
- 3 そのほか気になるもの(AGなど)
- 4 脚注
初めてジェネリック医薬品が承認された成分
今回、新規にジェネリックが登場するのは配合剤(合わせて1成分)も含めると14成分とかなり多くなっています。
- 内服・外用
- イレッサ(ゲフィニチブ)
- レルパックス(エレトリプタン)
- ストラテラ(アトモキセチン)
- ゼローダ(カペシタビン)
- デュオトラバ(トラボプロスト・チモロールマレイン酸塩)
- トラムセット(トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン)
- バイナス(ラマトロバン)
- ユリーフ(シロドシン)
- リフレックス/レメロン(ミルタザピン)
- ルミガン(ビマトプロスト)
- ロルカム(ロルノキシカム)
- 注射
- アリムタ(ペメトレキセドナトリウム)
- ネスプ(ダルベポエチンアルファ)
- プレセデックス(デクスメデトミジン)
アリムタ注射用のジェネリック医薬品
成分はペメトレキセドナトリウム水和物、抗がん剤として使用される葉酸代謝拮抗剤です。
今回承認されたのは以下の2品目で一社のみです。
- ペメトレキセド点滴静注用100mg「DRRD」
- ペメトレキセド点滴静注用500mg「DRRD」
DRRDはDr. Reddy’s Laboratories Ltd.のブランド名のようです。
インドの会社ですが今回が初参入かな?
イレッサのジェネリック医薬品はAG?
成分はゲフィニチブ、上皮成長因子受容体(EGFR*1)チロシンキナーゼ阻害剤です。
第一三共エスファのみが承認を取得しています。
- ゲフィチニブ錠250mg「DSEP」
これはオーソライズドジェネリック(AG*2)のようです。
第一三共エスファ株式会社のがん領域におけるオーソライズド・ジェネリック事業について
第一三共エスファ、本気でAG事業を進めていますね。
レルパックスのジェネリック
成分はエレトリプタン、5-HT1B/1D受容体作動型片頭痛治療剤です。
先発品と同じ普通錠は7社が承認を取得しています。
- エレトリプタン錠20mg:DSEP、TCK、YD、サンド、トーワ、日医工、日新
エレトリプタンのOD錠も登場
先発品のレルパックスは普通錠のみでしたが、ジェネリックにはOD錠も登場予定です。
一社のみが承認を取得しています。
- エレトリプタンOD錠20mg「アメル」
ストラテラのジェネリック登場
成分はアトモキセチン、注意欠陥多動性障害(ADHD*3)に使用されるノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI*4)です。
まずは先発品と同じカプセル剤ですが、全規格ともに3社が承認を取得しています。
- アトモキセチンカプセル5mg:サワイ、ファイザー、日医工
- アトモキセチンカプセル10mg:サワイ、ファイザー、日医工
- アトモキセチンカプセル25mg:サワイ、ファイザー、日医工
- アトモキセチンカプセル40mg:サワイ、ファイザー、日医工
次にこれも先発品と同じ内用液ですが、2社が承認を取得しています。
- アトモキセチン内用液0.4%:トーワ、ニプロ
先発品にはない錠剤の規格も
今回、先発品にはない錠剤が承認されています。
4社が承認を取得しており、これが一番多いです。
- アトモキセチン錠5mg:DSEP、タカタ、トーワ、ニプロ
- アトモキセチン錠10mg:DSEP、タカタ、トーワ、ニプロ
- アトモキセチン錠25mg:DSEP、タカタ、トーワ、ニプロ
- アトモキセチン錠40mg:DSEP、タカタ、トーワ、ニプロ
ゼローダのジェネリック医薬品
成分はカペシタビン、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤です。
一社のみが承認を取得しています。
- カペシタビン錠300mg :サワイ
デュオトラバ初のジェネリックはAG?
成分はトラボプロスト・チモロールマレイン酸塩、プロスタグランジンF2α誘導体/β遮断薬配合の緑内障点眼薬です。
それぞれの成分を用いた点眼液のジェネリックは発売されていますが、この組み合わせの配合点眼薬のジェネリックは初めてです。
一社のみが承認を取得しています。
- トラチモ配合点眼液「サンド」
先発品はノバルティスグループのアルコン、サンドもノバルティスグループですから当然AGじゃないかな?と思うのですがどうでしょう?
ついにトラムセットのジェネリックが登場
今回承認されるジェネリック医薬品の目玉といってもいいかもしれません。
トラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの配合剤です。
さすが注目されているようで、25社が承認を取得しています。
- トアラセット配合錠:DK、DSEP、EE、JG、Me、SN、TC、TCK、YD、あすか、オーハラ、ケミファ、サワイ、サンド、テイコク、トーワ、ファイザー、マルイシ、杏林、共創未来、三笠、日医工、日新、日本臓器、武田テバ
にしても、この「トアラセット」って名前(統一名称)はなんとかならんものですかね?
先発品と絶対に間違える・・・。
現在(H30年8月)のトラムセットの薬価が69.80なので、トアラセットはその0.4掛けで27.9円くらいになりそうですね。
安い!!
ネスプのバイオセイム登場
ネスプのAGが承認されています。
持続型赤血球造血刺激因子製剤 『ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」』国内製造販売承認取得のお知らせ
バイオ医薬品なので、ABS*5、いわゆるバイオセイムになりますね。
協和発酵キリンの子会社、協和キリンフロンティア株式会社が承認を取得しています。
- ダルベポエチンアルファ注5μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注10μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注15μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注20μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注30μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注40μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注60μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注120μgシリンジ「KKF」
- ダルベポエチンアルファ注180μgシリンジ「KKF」
バイオセイムとは?
元来、バイオ医薬品は単純な構造式での比較を行うことができず、同様のものを作ろうとしてもあくまでも類似品(バイオシミラー)としての承認を取得することしかできませんでした。
ただ、特許を譲り受けたABSであれば製法まで全て同一で製造を行うことができ、同一品として認められます。
これをバイオセイムと言います。
バイオセイムは後発医薬品扱いとなり、初参入の薬価は0.5掛けです。
バイナスに初のジェネリック医薬品登場
実はジェネリックがなかったバイナス。
初めてジェネリック医薬品が登場します。
寿製薬一社ですが、最近、いいところを狙ってきますね。
- ラマトロバン錠50mg「KO」
- ラマトロバン錠75mg「KO」
プレセデックスのジェネリック医薬品
α2作動性鎮静剤のプレセデックスにジェネリックが登場します。
この薬も古くから存在しているもので何故このタイミングなんでしょう?
何か理由があるのか?注射に触れることがないのでわかりません。
- デクスメデトミジン静注液200μg
ニプロ、サンド、ハンルイ
- デクスメデトミジン静注液200μg/ 50mLシリンジ「ニプロ」
ユリーフのAG登場
選択的α1A受容体遮断薬として前立腺肥大症に使用されるユリーフにもジェネリックが登場します。
ユリーフ錠、ユリーフOD錠のどちらも第一三共エスファのAGのみが承認されています。
前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬「ユリーフⓇ錠/OD錠」のオーソライズド・ジェネリック(AG)事業について
ユリーフは第一三共が出しているのだから当然ですね。
- シロドシンOD錠2mg「DSEP」
- シロドシンOD錠4mg「DSEP」
- シロドシン錠2mg「DSEP」
- シロドシン錠4mg「DSEP」
リフレックス/レメロンのジェネリック医薬品にはOD錠も
ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA*6)のリフレックス/レメロンにジェネリック医薬品が登場します。
トラムセットと並ぶ今回の注目株ということで18社が承認を取得しているので、0.4掛けになりそうですね。
- ミルタザピン錠15mg
- ミルタザピン錠30mg
EE、JG、TCK、YD、アメル、ケミファ、サワイ、タカタ、トーワ、ニプロ、ファイザー、フェルゼン、杏林、共創未来、日医工、日新、明治、武田テバ
しかも、OD錠も登場する予定です。
- ミルタザピンOD錠15mg
- ミルタザピンOD錠30mg
DSEP、アメル、サワイ、トーワ、ニプロ
ルミガン点眼液のジェネリック医薬品
プロスタマイド誘導体の緑内障治療点眼薬ルミガンにジェネリック医薬品が登場します。
- ビマトプロスト点眼液0.03%:SEC、SNJ、TS、ニットー、わかもと、日新
ロルカム初のジェネリック医薬品
何気にジェネリックが存在しなかった非ステロイド性消炎症鎮痛薬(NSAIDs*7)ロルカム。
またしても寿製薬が承認を取得しています。
- ロルノキシカム錠2mg「KO」
- ロルノキシカム錠4mg「KO」
剤形・規格として初承認のジェネリック医薬品
成分としてはすでにジェネリック医薬品が登場していますが、剤型や規格として初めての登場となるものもあります。
上に書いたものも合わせてまとめてみます。
- 剤型・規格として初登場のジェネリック
- ボリコナゾール点滴静注用(ブイフェンド静注用)
- フェキソフェナジン塩酸塩DS5%(アレグラドライシロップ5%)
- フリウェル配合錠ULD(ルナベル配合錠ULD)
- ケトプロフェンパップXR120mg(モーラスパップXR120mg)
- 先発医薬品には存在しない剤型・規格のジェネリック
- アトモキセチン錠(ストラテラカプセルの剤形違い)
- オロバタジン塩酸塩ドライシロップ1%(アレロック顆粒0.5%の新剤形・規格違い)
- エレトリプタンOD錠(レルパックス錠の剤形違い)
- ポビドンヨード外用液10%スボンジ スティック30mL(イソジン液10%の新剤形)
- ミルタザピンOD錠(リフレックス錠/レメロン錠の剤形違い)
先発には存在しないアレロックのドライシロップがジェネリックで登場
アレロックの散剤にはアレロック顆粒0.5%しか存在しませんが、ジェネリックとしてドラシロップが承認されています。
- オロバタジン塩酸塩ドライシロップ1%「日本臓器」
含量%が異なるので注意が必要ですね。
ブイフェンド静注用のジェネリック医薬品
抗真菌薬ブイフェンド200mg静注用のジェネリック医薬品が登場します。
これまでは錠剤にしかジェネリック医薬品は存在しませんでした。
- ボリコナゾール点滴静注用200mg「YD」
アレグラDSのジェネリック医薬品
これまで、フェキソフェナジンの後発医薬品のうち、ドライシロップの剤型を持つのは
- フェキソフェナジン塩酸塩DS6%「トーワ」
- フェキソフェナジン塩酸塩DS6%「タカタ」
のみで、先発医薬品とは含量が異なるもので、アレグラドラシロップ5%自体のジェネリック医薬品は存在しない状態でした。
今回、正式にアレグラドラシロップ5%の後発医薬品となるものについて東和薬品が承認を取得しています。
- フェキソフェナジン塩酸塩DS5%「トーワ」
(訂正:元の記事ではニプロも承認を取得したように記載していましたが、間違いでした)
先発医薬品同様の用法・用量を追加取得
まだ薬価収載前ですが、先発医薬品である先発医薬品アレグラドライシロップ5%の再審査期間満了に伴い、東和薬品も申請を行い、それが承認されました。
これで、アレグラドライシロップ5%とフェキソフェナジン塩酸塩DS5%「トーワ」の用法用量の差はなくなっています。
(フェキソフェナジン塩酸塩DS6%に関しては今回の変更の対象外です)
フェキソフェナジン塩酸塩 DS5%「トーワ」(2018年12月薬価収載予定)「用法・用量」の追加承認取得のお知らせ
ポビドンヨード製剤の新剤型登場
イソジンを先発とするポビドンヨードの外用液に新剤型が登場しています。
リバテープ製薬が承認を取得していますが、医薬品としての承認取得は初めてなのではないでしょうか?
- ポビドンヨード外用液10%スボンジ スティック30mL「TL」
スポンジスティックということでスポンジ部分にポビドンヨード外用液が染み込ませているのではないかと思いますが、使いやすそうな面白い製品になりそうですね。
ルナベルULDのジェネリック医薬品にはAGも登場
ルナベル配合錠ULD(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール)のジェネリック医薬品が承認されています。
ルナベル配合錠LDにはジェネリック医薬品が存在しましたが、ULDは今回が初めてです。
- フリウェル配合錠ULD
あすか、サワイ、トーワ、モチダ
ちなみにあすか製薬はAGとしてLDと合わせて承認を取得しています。
http://ssl.eir-parts.net/doc/4514/tdnet/1624372/00.pdf
モーラスパップXRのジェネリック医薬品
ついにXRにもジェネリックが登場するようです。
- ケトプロフェンパップXR120mg「テイコク」
モーラスパップXRと言えばパップ剤で水分が減るほど密着性が強くなる特殊な技術を用いた剤型になりますが、装着感、効果の持続はどうなんでしょうか?
そのほか気になるもの(AGなど)
パキシルCRの新規格やベイスンのAGも承認されています。
今回承認されているAGをまとめておきます。
- ゲフィチニブ錠250mg「DSEP」(イレッサ錠250mg)
- トラチモ配合点眼液「サンド」(デュオトラバ配合点眼液)
- ダルベポエチンアルファ注5μg/10μg/15μg/20μg/30μg/40μg/60μg/120μg/180μgシリンジ「KKF」(ネスプ注射液5μg/10μg/15μg/20μg/30μg/40μg/60μg/120μg/180μgプラシリンジ)
- シロドシン錠2mg/4mg「DSEP」(ユリーフ錠2mg/4mg)
- シロドシンOD錠2mg/4mg「DSEP」(ユリーフOD錠2mg/4mg)
- ボグリボース錠0.2mg/0.3mg「武田テバ」(ベイスン錠0.2mg/0.3mg)
- ボグリボースOD錠0.2mg/0.3mg「武田テバ」(ベイスンOD錠0.2mg/0.3mg)
パキシルCRの新規格
パキシルCR錠に新規格が登場するようです。
- パキシルCR錠6.25mg
ベイスンのAG登場
武田テバがベイスンのAGの承認を取得しています。
オーソライズド・ジェネリック製造販売承認取得のお知らせ ボグリボース錠0.2mg・0.3mg「武田テバ」 ボグリボースOD錠0.2mg・0.3mg「武田テバ」
- ボグリボースOD錠0.2mg「武田テバ」
- ボグリボースOD錠0.3mg「武田テバ」
- ボグリボース錠0.2mg「武田テバ」
- ボグリボース錠0.3mg「武田テバ」
武田テバは後からAGを増やしていますね。
後から登場してもそれだけシェアが取れるのでしょう。
流通の方もお願いしますね。