サビーン点滴静注用 承認 (平成26年1月17日)

  • 2014年1月23日
  • 2021年1月5日
  • 承認
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サビーン点滴静注用500mg。
一般名はデクスラゾキサン。
キッセイ薬品がオランダのスペファーム社から日本における権利を取得し、国内における開発を行った薬剤です。

効能•効果は「アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出」。
日本においてはこの適応では初の薬剤です。

アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬は組織の炎症や壊死で難治性の潰瘍を形成する場合があります。
点滴中に激しく動いたりして血管外に漏れてしまうと皮膚障害が出てしまい、ひどいときには皮膚の壊死を起こします。
乳がん治療時などの血管痛も代表的なものです。

ここで少しだけアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬についておさらい。
抗がん性抗生物質の一種です。
①塩基対の間に入り込む(インターカレーション)ことでDNAやRNAの合成を妨げる。
②トポイソメラーゼⅡを阻害することでDNAの転写・複製を阻害する。
③鉄媒介酸素ラジカル(活性酸素/フリーラジカル)を生成してDNAや細胞膜を損傷する。
以上三つの作用機序により、細胞分裂が盛んながん細胞の増殖を抑制します。
DNA構造を直接破壊するので、化学療法で最も細胞障害性が高いとされています。
現在承認されている薬は以下のとおりです。
アドリアシン(一般名:ドキソルビシン)
ドキシル(一般名:リポソーマルドキソルビシン)
ダウノマイシン(一般名:ダウノルビシン)
タレルビシン、ビノルビン(一般名:ピラルビシン)
ファモルビシン(一般名:エピルビシン)
イダマイシン(一般名:イダルビシン)
アクラシノン(一般名:アクラルビシン)
カルセド(一般名:アムルビシン)
ノバントロン(一般名:ミトキサトロン)

これまで日本では、アントラサイクリン系抗癌剤の血管外漏出に対してステロイドの局所注射を行っていましたが、その効果は証明されていません。
そのほかではチオ硫酸ナトリウム、ヒアルロニダーゼなどが使用されています。

デクスラゾキサンの作用機序は完全には解明されていませんが、トポイソメラーゼⅡに対する作用を介してアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害を抑制すると考えられています。
デクスラゾキサンは、海外ではSavene®、Totect®として販売されています。

開発においては、アントラサイクリン系抗がん剤のもう一つの問題、蓄積性心毒性もターゲットとしていたようです。
ドキソルビシンなどは総投与量が一定に達すると7~26%もの割合で心不全を発生することが知られています。
これはアントラサイクリンが発生させる鉄媒介酸素ラジカルによるものですが、鉄キレート剤であるデクスラゾキサンがフリーラジカルスカベンジャーとして働くことにより、心不全の発生を抑制することが可能となります。
小児においては、治療によってガンを克服できても、それによる心毒性で将来のQOLが低下してしまう可能性があるので、そのような場合において、デクスラゾキサンが有益に働いてくれることが期待されたのですが、二次発がんのリスクがあるため、小児への投与は推奨されていないのが現状のようです。

薬局で調剤を行うことはまずない薬剤ですが、外来化学療法を受けている患者さんがどのような治療を受けているか理解することは大切ですね。

治療薬インデックス2014

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 単行本

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