日本ベーリンガーインゲルハイム初の抗がん剤となるジオトリフ錠(一般名:アファチニブマレイン酸塩)。
 ジオトリフ錠20mg、ジオトリフ錠30mg、ジオトリフ錠40mg、ジオトリフ錠50mgの4規格です。
 効能・効果は、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」
 1日1回40mgを空腹時に経口投与します。
 非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの85%で、このうちEGFR遺伝子変異の患者は40%とされています。
類薬としてはアストラゼネカのイレッサ(一般名:ゲフィチニブ)や中外製薬のタルセバ(一般名:エルロチニブ塩酸塩)などのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)がありますが、ジオトリフ錠は初の不可逆的ErbBファミリー阻害薬となります。
 同じ分子阻害薬であるイレッサやタルセバはがん細胞の増殖に関わる最も一般的な上皮成長因子受容体EGFR(ErbB1)のチロシンリン酸化を阻害しますが、ジオトリフはすべてのErbBファミリー(EGFR/ErbB1、HER2/ErbB2、ErbB4)のキナーゼ受容体を不可逆的に阻害します。
 EGFR変異の肺腺がんは、非喫煙者やアジア系人種との臨床的関連性が深いことが特徴です。
 ジオトリフは、イレッサやタルセバよりきめ細かくかつ不可逆的に、がん細胞の成長や生存・転移を促進するEGFR経路をブロックします。
 それだけでなく、EGFR経路と関わりのあるHER2やHER4などのErbBファミリーの受容体を阻害するため、さらに多くのがん細胞経路を不活性化することができます。
 このことから、乳がんなど他のガンに対しての試験も行われています。
LUX-Lung3試験においては、EGFR-TKIとして初めて、ペメトレキセド+シスプラチンの併用療法との比較を行い、EGFR変異陽性のNSCLC患者に対し、ペメトレキセド+シスプラチンによる初回治療よりも優れていることが示されています。
抗がん剤もプラチナ製剤から分子標的薬にどんどん移行していく時代ですね。
 
 
