小児科から処方。
ホスリボン配合顆粒 1包 2×MA 6日分
どうやら病院が新規採用したようだったので急遽手配しました。
ホスリボン配合顆粒は1 包(0.48g)にリンとして100mg(成分としてリン酸二水素ナトリウム一水和物 330mg 、無水リン酸水素二ナトリウム 119mg)を含みます。
効能・効果は「低リン血症」、リンの補充に用いる薬です。
リンは食品自体に加え、添加物にも多く含まれているため、通常の食事で不足することはまずありません。
普段、尿中には650mgのリンが排出されています。
ですが、摂取するリンが減少すると、腎臓は尿中への排出を抑え、リンを維持します。
つまり、腎臓がリンの調整を行っています。
では、低リン血症がどうやって起こるかと言うと、腎臓でリンの排泄を調節する腎尿細管に異常がある場合か、腎臓には異常がなく線維芽細胞成長因子23(FGF23)というリン排泄を増やすホルモンが増加している場合かになります。
前者は先天性もしくは薬剤性のファンコニー症候群と呼ばれるもので、リン以外の電解質にも異常が生じます。
後者は家族性低リン血症性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets:XLH)などで、こちらはリンのみが低下します。
リンが不足することで骨の石灰化障害が引き起こされ、骨変形や低身長、 著明な骨痛や筋力低下、偽骨折といった症状を示す「くる病・骨軟化症」になってしまいます。
低リン血症の治療法としては、経口リン酸製剤と活性型ビタミンD製剤の併用療法が一般的です。
ですが、これまで日本には低リン血症の適応を持つ経口リン酸製剤が存在しませんでした。
なので、腸管洗浄剤であるビジクリア配合錠を粉砕して使用することがあったようです。
日本小児腎臓病学会をはじめ日本内分泌学会などの開発要望書により、厚生労働省がゼリア新薬に開発を依頼し、製造された薬です。
用法・用量は、「通常、リンとして1日あたり20〜40mg/kgを目安とし、数回に分割して経口投与する。」となっています。
上記の処方の場合、体重は10kg弱でしたのでやや少なめということになりますが、あくまでも補充ですので様子を見ながら調整ということですね。
「以後は患者の状態に応じて適宜増減するが、上限はリンとして1日あたり3000mgとする。」となっているので、30包/日が最大となります。
目安量の計算では、体重として75〜150kgとなりますが、用量オーバーとなることはそう多くないと思います。
警告に、「本剤と同一成分である腸管洗浄剤ビジクリア配合錠で、急性腎不全、急性リン酸腎症(腎石灰沈着症)が報告されている。本剤の用法・用量はビジクリア配合錠の用法・用量とは異なるものの、腎不全、リン酸腎症の発現に注意すること。」とあるのでビジクリア配合錠についても少しまとめます。
効能・効果は「大腸内視鏡検査の前処置における腸管内容物の排除」
大腸内視鏡検査のためには腸管内の糞便などを完全に排出する必要があるので、ニフレック、マグコロール、マグコロールPを服用していました。
ですが、これらは全て液剤(もしくは粉末を溶解して液剤として服用)なので、味や量などの問題があり、服用が難しいケースがありました。
ビジクリア配合錠は錠剤なので服用上の味の問題がクリアできます。
用法・用量は、「通常、成人には大腸内視鏡検査開始の4〜6時間前から 本剤を1回あたり5錠ずつ、約200mLの水とともに15分毎に 計10回(計50錠)経口投与する。」となっているので楽とは言い難いかもしれませんが…。
さて、ビジクリア配合錠による急性腎不全、急性リン酸腎症(腎石灰沈着症)です。
発症してしまった場合は、永続的な腎不全になってしまうので注意が必要です。
特に、高齢者、高血圧症の患者、循環血液量の減少、腎疾患、活動期の大腸炎のある患者、腎血流量、腎機能に影響を及ぼす薬剤(利尿剤、ACE阻害剤、ARB、NSAIDs 等)を使用している患者については慎重投与となっています。
ビジクリア配合錠の場合、院内で服用することが多いのでよく理解することで未然に防ぐことができる副作用だとは思いますが、ホスリボン配合顆粒の場合はそうは行きません。
ただ、ビジクリア配合錠は1錠中にリン酸二水素ナトリウム一水和物734.7mg、無水リン酸水素二ナトリウム265.3mgを含みます。
これはホスリボン配合顆粒2包以上に該当します。
ビジクリア配合錠は1回あたり5錠を10回なので、ホスリボン配合顆粒に換算すると成人量で100包/日以上ということになります。
ホスリボン配合顆粒を使用する場合は、ビジクリア配合錠の慎重投与を頭に入れておき、長期服用の場合は注意が必要かもしれませんね。
- 作者: Dr Miriam Kinai
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