アンジオテンシンII受容体拮抗薬

  • 2012年6月18日
  • 2021年1月3日
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というわけで、今日もRA系阻害剤。
シリーズ最後はアンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)です。

各RA阻害剤の特徴

例によって、RA系と各阻害剤をまとめます。
Angiotensinogen

↓←Renin DRI

AngiotensinI

↓←ACE ACE-I

AngiotensiII
↓         ↓
↓         ↓
AT1 ARB     AT2

  • レニン活性:DRI↓、ACE-I↑、ARB↑
  • レニン濃度:DRI↑、ACE-I↑、ARB↑
  • アンジオテンシンI:DRI↓、ACE-I↑、ARB↑
  • アンジオテンシンII:DRI↓、ACE-I↓、ARB↑
  • ブラジキニン:DRI→、ACE-I↑、ARB→

ARBの効果

まずは、アンジオテンシンⅡ(ATⅡ)拮抗薬の効果について。

AIIはアンジオテンシンIが活性化されて生成されます。
ATIIはアンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体とアンジオテンシンIIタイプ2(AT2)受容体に結合し、生理作用を発揮します。

AT1受容体の作用として、
細胞質内にCa2+を流入による血管収縮、アルドステロン合成と分泌の促進による血圧上昇があります。

次に、AT2受容体の作用として、血管拡張による血圧下降があります。

ARBはAT1受容体に選択的に拮抗するため、AT1受容体の作用をなくします。
さらに、AT1受容体に結合できなくなった結果、血中のATIIが増加し、より多くのATIIがAT2受容体に結合するようになります。
このようにAT1の作用を減らしつつ、AT2受容体の作用を増やすことがARBの降圧作用となります。

降圧効果以外に期待される効果

ACE阻害剤同様、ARBにも降圧効果以外の様々な作用があります。
腎保護作用はACE-Iと同じで、腎臓の輸出細動脈を拡張し、糸球体内圧を下げることによるものです。

また、AT1の間質細胞増殖作用、心筋細胞肥大作用を阻害し、AT2の間質細胞増殖抑制作用、心筋細胞肥大抑制作用を促すことで心肥大抑制作用があることもわかっています。

大規模臨床試験が、腎保護、心保護、脳保護など様々な臓器保護作用について行われています。
ACE-IよりもARBの方が臨床試験が進んでいるように思います。
これは単純な降圧作用だけでなく、臓器保護のエビデンスを評価するようになったタイミングもあるのでしょうが、薬価が安くなってしまった古いACE-Iよりも、まだ薬価が高いARBに各メーカーがお金をかけている・・・ということなんでしょうか?

各薬剤ごとの特徴

各薬剤ごとの特徴も様々です。
例1)ロサルタン(商品名:ニューロタン)
•尿酸排泄作用
尿細管での尿酸の再吸収を担うURAT1を阻害するため
•血栓予防作用
トロンボキサンA2(TXA2)/プロスタグランジンH2(PGH2)受容体拮抗作用により、血管の収縮とともに血小板の凝集を抑制する

例2)テルミサルタン(商品名:ミカルディス)、イルベサルタン(商品名:アバプロ/イルベタン)
この二つはピオグリタゾン(商品名:アクトス)の1/3程度のPPARγ刺激作用を持っている。
PPARγ刺激により期待される効果は、抗炎症・抗酸化ストレス、組織(心・血管・脳)リモデリング抑制、脂質代謝改善、インスリン抵抗性改善など。
これらメタボリックシンドロームに有効な作用をもつARB(〜サルタン)として、テルミサルタン、イルベサルタンをメタボサルタンと呼ぶ場合もある。
特にイルベサルタンについては腎臓への組織以降に優れている。

などなど。

ARBの副作用

副作用について。
ACE-Iで問題となる空咳を克服したのが、ARBのはずなんですが・・・。
何故か全く起こらないわけでもない。
血管浮腫についても同じ。
これはなんででしょうね?

あとは、高カリウム血症。
これはRA系阻害剤すべてに生じる副作用ですね。

ARBとACE阻害薬の違い

ACE-Iの問題点(空咳)を改善して生まれたのがARBと言うイメージがありますが、作用機序からして全く異なる薬剤です。
個人的には多様性効果についてはARBよりもACE-Iの方が優れていると思います。
空咳があるかないかでARBが優位に立っていますが、どうなんでしょう?

ただし、最新のARBは降圧効果にも優れており、プラスアルファで臓器保護が期待できることを考えると、非常に使いやすい薬だと思います。

 

本当はRA系阻害剤についてはまだまだ、まだまだまだ、書きたいことがあるんですが、キリがないので小出しで書いていこうと思います。

 

医療用医薬品情報提供データベースDrugShotage.jp

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