オンジェンティス錠(オピカポン)の特徴・作用機序・副作用〜添付文書を読み解く【コムタンとの違いを比較】【COMT阻害薬】

オンジェンティス錠(成分名:オピカポン)は2020年6月29日に承認された「レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」を適応とするCOMT阻害薬です。
COMT阻害薬として使用されているコムタン錠(成分名:エンタカポン)が複数回の投与(最大8回)を必要とするところ、1日1回の投与で効果を発揮することが可能です。
ただし、レボドパ製剤の服用や食事とは前後1時間以上あけて服用する必要があるため、服用のタイミングに注意が必要な薬剤です。

目次

オンジェンティスについて

まずはオンジェンティス錠の承認の背景について簡単にまとめます。
オンジェンティス錠(オピカポン)はレボドパの代謝酵素であるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT*1)を阻害するCOMT阻害薬と呼ばれる薬剤です。
オンジェンティス錠は抹消で効果を発揮し、レボドパの生物学的利用率(BA*2)を増大させ、血漿中のレボドパを効率よく脳内に移行させることでパーキンソン病の症状を緩和させます。
同じ適応を有するCOMT阻害薬としてコムタン(エンタカポン)が存在しますが、コムタンが1日最大8回の服用が必要なところ、オンジェンティスは1日1回の服用で効果を発揮することが可能です。
(エンタカポンについてはレボドパ・カルビドパと配合させたスタレボ配合錠が承認されています)
オピカポンはBIAL社が開発した薬剤で欧州では25mgと50mgのカプセル剤として使用されていますが、小野薬品が錠剤として開発を行い日本国内に導入した形になります。
この記事ではオンジェンティスの特性や注意点、作用機序や対象となるパーキンソン病の基礎知識、副作用や注意点について、添付文書やインタブーフォーム、RMPや審議結果報告書などの資料を元に詳しく解説します。

オンジェンティスの基本情報

基本情報をまとめます。

医薬品名オンジェンティス錠25mg
開発コードONO-2370、BIA9-1067
成分名オピカポン
英語名ONGENTYS(Opicapone)
製造販売元小野薬品工業株式会社
命名の由来薬が効く時間(ON-Time)、日常生活における活動状態(ON-State)
効能・効果レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off 現象)の改善
用法・用量本剤は、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用する。通常、成人にはオピカポンとして25mgを1日1回、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩の投与前後及び食事の前後1時間以上あけて経口投与する。
指定等なし
審議2020年5月29日付 薬食審第一部会
(web審議)
承認日2020年6月29日
薬価収載日
収載時薬価
2020年8月26日
オンジェンティス錠25mg:972.00円/錠
薬価算定方式類似薬効比較方式(Ⅰ)
コムタン錠100mg(薬価:162.00円/錠)の1日薬価972.00円(1日6錠)を元に薬価を算出
販売開始2020年8月26日(薬価収載即日発売)
新医薬品の
投与日数制限
対象(2021年8月末日まで)

国内では2成分目のCOMT阻害薬ですね。
1日1回の投与で安定した効果を発揮することができます。

ぺんぎん薬剤師
フロプロピオン(コスパノン)もCOMT阻害薬だから実のところは3成分目なんです。
※フロプロピオン(コスパノン)はCOMTによるノルアドレナリンの分解を抑制し、Oddi括約筋を弛緩させます。

パーキンソン病とオンジェンティスの作用機序

まず、パーキンソン病について簡単に説明してからオンジェンティスの作用機序について説明していきます。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳内にα-シヌクレインというタンパク質が蓄積することで、中脳にある黒質という神経細胞が変性していく進行性神経変性疾患の一つです。
黒質から放出されるドパミンの量が減少することで様々な症状が引き起こされます。
発見者であるジェームス・パーキンソン(イギリス)の名前から病名がつけられています。
日本では難病に指定されています。

・振戦:手足や顎の震え、何もしていない特に震える安静時振戦が特徴
・固縮:筋肉の緊張が強くなり、関節が硬くなるため他人が動かそうとしても抵抗がある
・寡動、無動:動作の開始に時間がかかり、動作自体も遅くなる、瞬きが減り表情も硬くなる
・姿勢反射障害:体を押されても足が出ず転びやすくなる

また、非運動障害として、嗅覚の低下、便秘、頻尿や排尿困難、起立性低血圧、睡眠障害、記憶障害、鬱、幻覚・妄想などの症状も知られています。

日本での有病率は人口10万人あたり100〜120人と言われており、発症年齢は50~60歳代で年齢とともに発症率・有病率は増加します。

パーキンソン病の薬物療法

パーキンソン病の治療は薬物療法を中心として行われ、その基本となるのがドパミンの前駆物質であるレボドパ(L-ドパ)の補充です。

レボドパ(L-ドパ)

パーキンソン病ではドパミンの前駆物質であるレボドパを投与することで脳内のドパミンを補充し、パーキンソン病の症状を緩和させることが治療の基本となります。
脳内で減少しているドパミンを直接補充することができれば効率がよいのですが、ドパミンは血液脳関門(BBB*3)を通過することができないため、そのまま投与しても効果を発揮することができず、抹消で副作用を起こしてしまうだけです。
それに対し、レボドパはBBBを通過することが可能で、脳内でドパ脱炭酸酵素(DDC*4)によってドパミンに代謝されることで脳内のドパミン濃度を高めることが可能です。
レボドパ単独製剤として以下の2種類が存在します。

ドパゾール錠
ドパストンカプセル
レボドパの代謝経路

レボドパを代謝するドパ脱炭酸酵素(DDC)は脳内のみではなく末梢にも存在します。
そのため、体内に取り込まれたレボドパのうち7割程度は抹消DDCによって代謝(主経路)されドパミンになってしまい、中枢に到達することはできません。
また、同じく体内に取り込まれたレボドパのうち1割程度はカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)によって代謝(副経路)されて3-メチルドパ(3-OMD*5)となってしまいます。

ドパ脱炭酸酵素阻害剤

レボドパを効率的に中枢に移行させるため、レボドパを使用する際にはDDCの働きを阻害するドパ脱炭酸酵素阻害剤(DCI*6)と併用することが基本となっています。

日本国内で承認されているDCIにはカルビドパとベンセラジドが存在し、それぞれレボドパとの配合剤(L-DOPA/DCI)として使用されています。

DCI:カルビドパ
・ネオドパストン配合錠
・メネシット配合錠 など
DCI:ベンセラジド
・イーシー・ドパール
・ネオドパゾール
・マドパー

レボドパが効率よく中枢に移行した結果、レボドパの血中濃度は有効血中濃度(治療域)に保たれています。

日内変動(wearing-off現象)

治療開始初期の段階でレボドパ/DCIで効果を発揮していたとしても、数年後にパーキンソン病の進行とともに効果の持続時間が短くなり、次回の薬剤を服用する前に効果の消失を自覚する状態をwearing-off現象と呼びます。
原因はパーキンソン病の進行によって黒質のドパミン神経終末が減少し、再取り込みしたドパミンを保持できなくなることにあります。
その結果、レボドパが他の神経に取り込まれて短時間でドパミンに代謝されてしまうためだと考えられています。
同じ量のレボドパを投与していても、短時間で大量のドパミンになってしまうため、副作用であるジスキネジア(不随意運動)が出現し、その後は急激にドパミンが消失するため寡動や無動が現れます。
定期的な服薬を続けていても図のように効果の波が現れるため日内変動(wearing-off現象)と呼ばれます。
レボドパの1回投与量を増やしても波が激しくなり悪化するだけなので投与回数を増やすなどしてレボドパの血中濃度を維持することで対応します。

COMT阻害薬

L-DOPA/DCIの投与を継続している場合、抹消ではレボドパのCOMTによる代謝(副経路)が優位になり、その代謝物である3-OMDが増えている状態です。
3-OMDはレボドパの中枢移行を競合的に阻害するため中枢でのレボドパ濃度を減少させてしまいます。

そこで、L-DOPA/DCIに加えてCOMT阻害薬を投与することで、抹消でのCOMTを阻害して3-OMDの産生を抑制、レボドパを効率よく中枢に移行させることが可能となります。

L-DOPA単独とL-DOPA/DCIを比較した場合、脳内のレボドパ濃度はL-DOPA単独に比べてL-DOPA/DCIの方が高くなりますが、レボドパの消失半減期には変化がありません。
ですが、L-DOPA/DCIにCOMT阻害薬を併用すると、レボドパの血中濃度には変化はありませんが、レボドパの消失半減期を延長することが可能です。
このような働きにより、COMT阻害薬はL-DOPA/DCIに併用することでwearing-off現象を改善させると考えられています。

日本国内で発売されているパーキンソン病に使用するCOMT阻害剤はオンジェンティス、L-DOPA/DCIの合剤であるスタレボを含めて3剤です。
オンジェンティスの成分であるオピカポンはパーキンソン病に使用するものとしては国内2成分目のCOMT阻害剤になります。

エンタカポン
・コムタン錠
・スタレボ配合錠(エンタカポン/レボドパ/カルビドパ)
オピカポン
・オンジェンティス錠

オンジェンティス錠のDI

ここからはオンジェンティス錠の添付文書、インタビューフォーム、RMP、審査結果報告書から得ることのできる情報について既存薬であるコムタン(エンタカポン)との比較と合わせてまとめていきたいと思います

禁忌:肝機能障害に注意

オンジェンティスの禁忌は以下のように記載されています。

禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.褐色細胞腫、傍神経節腫又はその他のカテコールアミン分泌腫瘍のある患者〔高血圧クリーゼのリスクが増大するおそれがある。〕
3.悪性症候群又は非外傷性横紋筋融解症の既往歴のある患者〔投与中止に伴い、悪性症候群や横紋筋融解症の発現リスクが増大するおそれがある。〕
4.重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者〔本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。〕
オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業

2番目の「褐色細胞腫、傍神経節腫又はその他のカテコールアミン分泌腫瘍のある患者」、4番目の「重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者」についてはコムタンの禁忌ではありませんが慎重投与に記載されているのでCOMT阻害薬由来のものなのではないかと考えられます。

「褐色細胞腫、傍神経節腫又はその他のカテコールアミン分泌腫瘍のある患者」について、コムタンでは慎重投与、オンジェンティスでは禁忌となっている理由ははっきりとはわかりませんが、オンジェンティスのCOMT阻害作用が長時間発揮されることに関連しているのではないかと思います。
長時間作用する方がリスクは高くなりますよね。

肝機能障害については審査結果報告書に以下の記述があります。

6. 生物薬剤学試験及び関連する分析法、臨床薬理試験に関する資料並びに機構における審査の概略
6.R 機構における審査の概略
6.R.3 肝機能障害患者への投与について
中等度肝機能障害(Child-Pugh分類B)を有する被験者では、本薬のCmax及びAUCがともに約2倍となることが示された。申請用量の2倍の用量である本薬50mgを日本人PD患者に反復経口投与したときの忍容性が確認されていることを踏まえると、中等度までの肝機能障害を有するPD患者への投与に際して本薬を減量する必要はないと考えるものの、当該患者では肝機能が正常な患者と比較して本薬の血漿中濃度が上昇する可能性があることから、慎重に投与する必要がある旨を添付文書において注意喚起する予定である。一方、重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)を有する患者に対して本薬を投与した経験はないこと、及び本薬は主に肝代謝により体内から消失することを踏まえると、重度肝機能障害患者では中等度肝機能障害患者よりも本薬の血漿中濃度が上昇する可能性は否定できないことから、重度肝機能障害患者への本薬の投与は禁忌とすることが適切と判断した。
オンジェンティス錠 審議結果報告書 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

50mg投与時の忍容性についても記載されていますが、海外では50mgが推奨用量とされています。
忍容性があったと言っても副作用の発現リスクは上昇するはずなので注意が必要ですね。
そのため、以下の通り、オンジェンティス唯一の慎重投与は肝機能障害となっています。

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
肝機能障害のある患者〔本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業

参考:Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類について

Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類とは肝臓の障害度を表す分類です。
点数表を元にグレードの分類が行われます。

Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類
グレード点数肝障害の状態
Grade A(軽度)5〜6点代償性肝硬変
肝臓の機能が保たれた状態
Grade B(中等度)7〜9点代償性肝硬変から非代償性肝硬変への過渡期
軽度の合併症が見られる
Grade C(重度)10〜15点非代償性肝硬変
肝臓の機能が維持できなくなり様々な合併症があらわれる

以下の表の点数を元に分類を行います。

Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類の点数表
項目1点2点3点
脳症ない軽度(Ⅰ、Ⅱ)時々昏睡(Ⅲ〜)
腹水ない少量(1〜3L)中等量(3L〜)
血清ビリルビン値(mg/dL)2.0未満2.0〜3.03.0超
血清アルブミン値(g/dL)3.5超2.8〜3.52.8未満
プロトロンビン活性値(%)70超40〜7040未満

効能効果:L-DOPA/DCIとの併用に限る

効能・効果は以下のように記載されています。

効能又は効果
レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善

効能又は効果に関連する使用上の注意
1.本剤は症状の日内変動(wearing-off現象)が認められるパーキンソン病患者に対して使用すること。
2.本剤はレボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩による治療において、十分な効果の得られない患者に対して使用すること。
オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業

L-DOPA/DCIの使用によるwearing-off現象の改善を目的とする薬剤なのでL-DOPA/DCIとの併用が必須となっています。

用法用量:1日1回はメリットだが服薬のタイミングには注意が必要

効能・効果は以下のように記載されていますが、これがオンジェンティス最大の欠点です。

用法及び用量
本剤は、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用する。通常、成人にはオピカポンとして25mgを1日1回、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩の投与前後及び食事の前後1時間以上あけて経口投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.本剤はレボドパ含有製剤と併用することで効果がみられる薬剤であり、単剤で使用しても効果は認められない。
2.本剤はレボドパの生物学的利用率を高めるため、レボドパによるドパミン作動性の副作用(ジスキネジア、幻覚、悪心、嘔吐及び起立性低血圧)があらわれる場合がある。このため、本剤の投与開始時は患者の状態を十分観察し、ドパミン作動性の副作用がみられた場合は、レボドパ含有製剤を調節すること。
3.本剤は、生活習慣、レボドパ含有製剤の投与時間帯等を考慮して適切な投与時間(就寝前等)を定め、毎日一定の時間帯に投与すること。
オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業

オンジェンティスが1日1回で効果を発揮する理由

オンジェンティスのT1/2は25mg投与で0.729±0.173hr、50mg投与で1.42±0.664hrとなっています。
半減期だけを見ると1日1回の投与回数では効果が期待できないように思います。
ですが、審議結果報告書には以下のように記載されています。

3. 非臨床薬理試験に関する資料並びに機構における審査の概略
3.R 機構における審査の概略
3.R.2 本薬の COMT 阻害作用の持続性について
申請者は、以下のように説明した。薬物動態学的観点について、本薬25mgをヒトに1日1回10日間反復経口投与したとき及びエンタカポン200mgを1日3回1日間経口投与したときの最終投与時の血漿中消失半減期は、それぞれ1.67及び1.73時間と同程度であった。薬理学的観点について、ラットに本薬3mg/kg又はエンタカポン3mg/kgを単回経口投与したときの肝臓のCOMT活性は、本薬群では対照群と比較して投与8時間後まで79%以上阻害されていた一方で、エンタカポン群では投与6時間後までに対照群と同程度まで回復した。非臨床試験で認められた持続期間の違いがヒトでも認められるかを、赤血球COMT阻害作用の持続時間を評価した海外第I相試験(BIA-91067-124試験)の結果に基づき検討したところ、本薬25、50又は75mgの1日1回10日間反復経口投与ではいずれの用量でも最終投与24時間後までCOMT活性がベースラインに対して64%以上阻害されていた一方で、エンタカポン200mgの1日3回1日間経口投与では最終投与7時間後までにCOMT活性がベースラインレベルまで回復していた。以上より、本薬は血中からの消失後もCOMT阻害作用の持続がみられた一方で、エンタカポンは血中からの消失に応じて赤血球COMT活性が回復したと考える。
本薬はCOMTに結合して複合体を形成した後、COMTによりカテコール骨格の水酸基がメチル化されてCOMTから解離すると考えられる。本薬のCOMT阻害作用の持続性の機序については、本薬とCOMTとの複合体の解離定数が0.19pmol/Lと小さいことから、本薬はCOMTとの複合体を形成した後、メチル化体生成速度すなわち解離速度が遅いために酵素の活性中心を長時間占有することが寄与している可能性があると考える。
オンジェンティス錠 審議結果報告書 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

消失半減期だけを見るとオンジェンティス(オピカポン)とコムタン(エンタカポン)は同程度ですが、オピカポンはCOMTとの複合体の解離定数が低いためCOMT活性を長時間にわたって失活させることができるというわけですね。

服用のタイミングが非常に難しい

1日1回投与で効果を発揮することができるオンジェンティスですが、問題はその服用時間です。

  • 食事の前後1時間は避ける
  • L-DOPA/DCIの投与前後1時間は避ける

この2つの投与条件がネックとなります。

まずは食事による影響です。

薬物動態
1. 血漿中濃度
(3)食事の影響
健康成人男性(12例)にオピカポンの錠剤50mgを食後(標準食)に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-∞は、空腹時に単回経口投与したときと比べて、それぞれ0.53倍及び0.57倍であった。
オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業

食後の服用ではCmaxとAUC0-∞が約半分になってしまいますね。

次にL-DOPA/DCI投与による影響です。

7. 臨床的有効性及び臨床的安全性に関する資料並びに機構における審査の概略
7.R 機構における審査の概略
7.R.6 用法・用量について
海外第I相試験(BIA-91067-117試験、BIA-91067-118試験)において、
1.本薬とレボドパ/カルビドパ配合剤を同時に投与した場合と比べて、本薬投与1時間後にレボドパ/カルビドパ配合剤を投与した場合の方が血漿中レボドパのAUC0-∞が大きかった(幾何平均値の比[90%信頼区間]:1.09[1.01, 1.16])こと
2.本薬投与1時間後にレボドパ/カルビドパ配合剤又はレボドパ/ベンセラジド配合剤を投与したとき、プラセボ投与時と比較してレボドパのAUC0-lastの比は1.39〜1.78であり、レボドパの曝露量の増加が認められたこと
から、薬力学的作用の観点から本剤とレボドパ含有製剤の投与間隔は 1 時間以上あけることが適切と考えた。
オンジェンティス錠 審議結果報告書 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

オピカポンとL-DOPA/DCIを同時服用することでレボドパの血中濃度が下がってしまうようです。

この2つの点からオンジェンティスは就寝前の服用が推奨されていますが、L-DOPA/DCIの服用タイミングなどでそれも難しい場合は間の時間を決めて服用するしかないでしょうね。
ただ、食事や間食、L-DOPA/DCIの複雑な服用タイミングを考慮すると毎日安定して服用できるかは怪しいですが・・・。
入院や施設入居などで生活リズムが管理されている環境でもない限り就寝前に飲めるようにするのが無難でしょうね・・・。

このあたりを考えると1日1回投与がメリットなのかどうか怪しくなりますね。
wearing-off現象によりL-DOPA/DCIは1日に何回も服用するようになりますが、そこにオンジェンティスが加わることで服用回数が1回増えてしまう可能性があります。
オンジェンティスが効果を発揮すればL-DOPA/DCIの服用回数を減らすことができるのかもしれませんが・・・。

相互作用

オピカポンはOATP1B3、BCRP、P-gpの基質ですが、相互作用はそれらを介したものではなく、作用機序に関連するものがほとんどです。
併用禁忌は存在しませんが、添付文書には併用注意がいくつか記載されています。

COMTにより代謝される薬剤:併用薬の作用増強

当然ですがオンジェンティスはCOMT阻害薬なのでCOMTで代謝される薬剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性があります。

  • アドレナリン(別名エピネフリン)
  • ノルアドレナリン(別名ノルエピネフリン)
  • dl-イソプレナリン塩酸塩
  • ドパミン塩酸塩 など

予想される有害事象は心拍数増加、不整脈、血圧変動です。
「吸入を含めて投与経路にかかわらず注意すること」と記載されています。

MAO-B阻害剤:血圧上昇

MAO-B阻害剤は選択的にMAO-Bを阻害しますが、何らかの理由で選択性が低下し、非選択的MAO阻害作用を発揮した場合に生理的なカテコールアミン全般の代謝が阻害されてしまう可能性があります。

  • セレギリン塩酸塩
  • ラサギリンメシル酸塩 など

予想される有害事象は血圧上昇等です。

鉄剤:双方の血中濃度低下

オピカポンと鉄剤は消化管内でキレートを形成する可能性があり、その場合、オンジェンティスと鉄剤両方の効果が減弱してしまう可能性があります。

三環系・四環系抗うつ薬、ノルアドレナリン再取込み阻害薬、NaSSA:血圧上昇

ノルアドレナリン再取込み阻害作用やノルアドレナリン放出促進作用を有する薬剤と併用すると、オピカポンによりノルアドレナリンの代謝が阻害され、ノルアドレナリンの作用が増強する可能性があります。

  • 三環系抗うつ薬
    • アミトリプチリン塩酸塩
  • 四環系抗うつ薬
    • マプロチリン塩酸塩(ルジオミール)
  • ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI*7
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI*8
    • ベンラファキシン塩酸塩(イフェクサーSR)
    • デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)
  • ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA*9
    • ミルタザピン 等

ノルアドレナリンが上昇した結果、考えられるのは血圧上昇などです。

キニジン:オンジェンティスの血中濃度低下

え?オンジェンティスの血中濃度低下?
てっきりP-gpの競合阻害で血中濃度が上昇するのかと思いきや逆ですね。

RMPに記載されている注意点

重要な特定されたリスク
・ジスキネジア
・幻覚、幻視、幻聴、譫妄
・起立性低血圧
重要な潜在的リスク
・傾眠、突発的睡眠
・悪性症候群
・衝動制御障害
・肝機能障害

ジスキネジア(重要な特定されたリスク)

国内第II相試験(国内02試験)においてジスキネジア関連の副作用の発現率はプラセボ群よりもオピカポン群で高くなっています。
また、海外301試験の二重盲検期、海外製造販売後においてもジスキネジアの副作用が報告されています。
当然ですが、オンジェンティスを投与することでレボドパの生物学的利用率は高まります。
その結果、ドパミン作動性作用であるジスキネジアが発現する可能性は高まります。

幻覚、幻視、幻聴、譫妄(重要な特定されたリスク)

これもジスキネジアと同様です。
国内第II相試験(国内02試験)においてジスキネジア関連の副作用の発現率はプラセボ群よりもオピカポン群で高くなっています。
また、海外第III相試験(海外301試験)の二重盲検期においてもジスキネジアの副作用が報告されています。
当然ですが、オンジェンティスを投与することでレボドパの生物学的利用率は高まります。
その結果、ドパミン作動性作用である幻覚、幻視、幻聴、譫妄が発現する可能性は高まります。

起立性低血圧(重要な特定されたリスク)

これも同様です。
国内第II相試験(国内02試験)においてジスキネジア関連の副作用の発現率はプラセボ群よりもオピカポン群で高くなっています。
また、海外第III相試験(海外301試験)の二重盲検期においてもジスキネジアの副作用が報告されています。
当然ですが、オンジェンティスを投与することでレボドパの生物学的利用率は高まります。
その結果、ドパミン作動性作用である起立性低血圧が発現する可能性は高まります。

傾眠、突発的睡眠(重要な潜在的リスク)

レボドパの生物学的利用率が高まることで傾眠、突発的睡眠が発現する可能性はありますが、国内第II相試験(国内02試験)、海外第III相試験(海外301試験、海外302試験)において「傾眠、突発的睡眠」関連の副作用発現割合にプラセボ群とオピカポン群で明らかな差が認められませんでした。
そのため、重要な潜在的リスクに設定されています。

悪性症候群(重要な潜在的リスク)

ドパミン作動薬の中止又は減量により悪性症候群が発現する可能性はありますが、国内第II相試験(国内02試験)、海外第III相試験(海外301試験、海外302試験)において「悪性症候群」関連の副作用の報告はありませんでした。
そのため、重要な潜在的リスクに設定されています。

衝動制御障害(重要な潜在的リスク)

ドパミン作動薬及び他のドパミン作動性治療薬の投与により、病的賭博、性欲亢進、性欲過剰、強迫性購買、気晴らし食い及び強迫性過食を含めた衝動制御障害の行動症状が発現する可能性があります。
衝動制御障害に関連する副作用は国内第II相試験(国内02試験)の二重盲検期では報告されていませんが、同試験の非盲検期、海外第III相試験(海外301試験)の非盲検期、海外第III相試験(海外302試験)の二重盲検期では報告されています。
そのため、重要な潜在的リスクに設定されています。

肝機能障害(重要な潜在的リスク)

国内および海外臨床試験では特に目立った発現はありませんでしたが、肝機能障害が類薬で報告されていることから、重要な潜在的リスクに設定されています。

まとめ

ここからはまとめに入ります。
まずはオンジェンティスとコムタンを比較してみましょう。

COMT阻害薬の比較
項目オンジェンティス
(オピカポン)
コムタン
(エンタカポン)
適応レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用による
パーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
用法・用量1回25mg 1日1回
食事前後1時間以上あける
L-DOPA/DCI投前後1時間以上あける
1回100〜200mg
1日8回まで
禁忌過敏症の既往歴
カテコールアミン分泌腫瘍
(褐色細胞腫、傍神経節腫など)

悪性症候群、横紋筋融解症
重度肝機能障害(Child-Pugh分類C)
過敏症の既往歴
悪性症候群、横紋筋融解症
相互作用
(併用注意)
COMTの基質
MAO-B阻害剤
鉄剤
三環系・四環系抗うつ薬
NRI(SNRI)
NaSSA

キニジン
COMTの基質
MAO-B阻害剤
ワルファリン
鉄剤
イストラデフィリン

やはり特徴的なのは用法と禁忌ですね。

所感

オンジェンティスの用法「1日1回」から得られるメリットについて考えてみます。
上にも書きましたが、1日1回という服用回数の少なさは魅力的ですが、併用しているL-DOPA/DCIがwearing-off現象においては1日何回も使用しないといけないため、COMT阻害薬の投与回数のみが減っても大きなメリットにはつながりません。
また、オンジェンティスの投与タイミングは食事の前後、L-DOPA/DCI投与の前後を避けないといけないため、治療全体を見たときに服用回数が増えてしまう可能性があります。
なので服薬にかかる負担を軽減する効果はあまり期待できそうにないのですが、効果自体はどうでしょうか?
COMT阻害薬が1日中一定して効果を発揮してくれるというのは大きなメリットになりそうです。
コムタンであれば少ない使用回数から開始して効果を見ながら使用回数を増やしていく必要がありますが、オンジェンティスは1日1回の固定用法で十分な効果を発揮してくれます。
ドパミン作動による有害事象には十分注意しないといけませんが、服用開始当初からしっかりとした効果を期待できるのは大きなメリットだと思います。
問題は服用のタイミングだけですね。
寝る前が基本となると思うのですが、寝る前の服用が難しいケースでは本当に悩むことになりそうです。

どんなケースで輝く薬なのか?

オンジェンティスが最も期待できるのはどのようなケースでしょうか?
すでにL-DOPA/DCIの服用回数が増えている場合はコムタン併用かスタレボ配合錠を使用した方が使いやすいのではないかと思います。
小野薬品のMRさんと話した中ではコムタンからの切り替えを推奨という位置づけとは考えていないと言うことでした。
L-DOPA/DCIの服用回数がそこまで増えていない段階であればかなり使いやすい薬剤ではないかと思います。
ただ、L-DOPA/DCIを毎食後で使っていてwearing-off現象出たら寝る前に追加するよな・・・。
そしたらL-DOPA/DCIの用法を変えない限りオンジェンティスの推奨する就寝前は使えなくなる・・・。
寝る前に飲まないと朝の効果切れが怖いしな・・・。
なかなか頭を悩ませてくれますが、自分の中では最適なパターンってのが見つかりません。
L-DOPA/DCIが毎食後の段階で早めに使い始めるべきなのかな?

粉砕は?

ちなみにコムタンは粉砕すると色素の付着がかなり頑固でした。
きれいになったように見えても濡れたタオルで拭くと黄色くなるし、なんかヌルヌル・・・。
オンジェンティスはどうなんでしょうね。

オンジェンティス(オピカポン)の最新情報

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参考資料

  • オンジェンティス錠 添付文書 小野薬品工業
  • オンジェンティス錠 インタビューフォーム 小野薬品工業
  • オンジェンティス錠に係る医薬品リスク管理計画書 小野薬品工業
  • オンジェンティス錠 審議結果報告書 医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
  • 神経難病の知識:パーキンソン病(兵庫県難病相談センター)
  • コムタン錠 添付文書 ノバルティスファーマ

*1:Catechol-O-MethylTransferase

*2:BioavAilability

*3:Blood-Brain Barrier

*4:Dopa DeCarboxylase

*5:3-O-MethylDopa

*6:Dopa deCarboxylase Inhibitor

*7:Norepinephrine Reuptake Inhibitor

*8:Serotonin Norepinephrine Reuptake Inhibitor

*9:NorAdrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant

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